2006年03月31日

会うは別れのはじめなり。逆また然り。

3月30日。学内の友人Tさんが、4月から名古屋にあるハイテクベンチャーへ転職するのでその門出を祝って一緒に食事に行きました。

彼とは2004年の夏ごろに出会い、以降の2年間で、さまざまな活動をともにしてきました。これからの彼の仕事の話、これまでともにしてきた活動の話し、これからの社会のあり方の話、理想とする会社組織、そんな話しを4時間くらいして、夜12時くらいに最後の挨拶をしておのおのの家路に着きました。

泉中央付近.jpg

彼と作り出してきたモノゴトは、地域の若者に大きな可能性を気づかせる小さな刺激、を生み出してきたのだと信じています。ここで二人の道は分かれ、この先はおのおのの志した道を行きます。ですが彼とは長い人生の経路の中で、幾度かのお互いの人生が交差するときがある、そんな気がします。仙台で志を共にする友人としてきた活動は、これからは次のステップに移ります。『活動2.0』へ。
いつも身の丈に合ったチャレンジをする私ですが、消え行く彼の車を見ながら、2004年春に仙台にもどったときに比べて、少しだけ自分の身の丈が伸びているような気がしました。



その他、年度末にあたりご報告

2006年03月30日

潜在意識と顕在意識

人間の意識には「潜在意識」と「顕在意識」があるそうです。顕在意識は私たち人間が普段思考しているこの意識です。この顕在意識は自分たちの自由になります。一方、潜在意識というのは私たちが自分の意識で自由に制御できるものではなく、普段は意識することが無いものです。

このコントロールできない潜在意識は、自分の将来、自分の自信、自分の人間性などに深く影響を与えているそうです。なりたい自分に成長してゆけるようになりたいとしても、潜在意識は直接私たちの顕在意識がコントロールすることは出来ません。じゃあ、人はどうやってもなるようにしかならないか、というと、そうでもありません。潜在意識は普段、顕在意識のしゃべっていることを聞いているそうです。ただ、潜在意識の特性として「主語」を理解出来ないそうです。なので聞いている全ての文章の主語を消してしまって、全ての文章の主語を「私は」に直して理解するそうです。

つまり、「○○さんは、とてもみんなに好かれている」「○○さんは、すごく仕事ができる」「○○さんは、いつも元気で気持ちが良い」という言葉をたくさんしゃべる人の潜在意識は、上の文章を「私は」に置き換えた言葉を復唱しているわけです。「私は、みんなから好かれている、私はすごく仕事ができる、私はいつも元気で気持ちが良い人だ」と潜在意識は自分自身にプラスの影響を与えていきます。

逆に悪口ばかり言う人の中では何が起こっているでしょうか。「あいつは、すごく嫌われている」「あいつは、全くだめなやつだ」「あいつは陰気くさくてやる気もない」そんなことを毎日毎日、悪口の発言者の潜在意識は聞いています。顕在意識がしゃべる悪口を潜在意識はきながら主語を「私は」に変えて復唱してしまいます。つまり「私は、すごく嫌われているし、全くだめなやつで、陰気くさくてやる気もない人だ」と。

誰かの悪口をいうことは自分自身をすり減らし、誰かをほめることは自分自身を成長させる。そんな性質が人間の脳にはあるようです。

なりたい自分があったなら、それを具現化している人たちのいる社会に身をおくこと。それが一番自然に適切なほめ言葉を発せられる環境であり、なりたい自分にまっすぐに近づく方法なのかもしれません。

2006年03月29日

マーケティングフロー、15のステップ。

今日は「モノづくりマーケティングセミナー(主催:東北経済産業局)」に参加しました。講師は、ブレイントラスト&カンパニーの大志田社長殿と、フォルムの松本社長。大志田氏は、以前県庁の産業支援事業のプロデューサーもされています。松本氏は東北工大の先生もされています。

さて、マーケティング。私はこれまでマーケティングのことを茫漠としか分かっていませんでした。大志田氏の資料にフローが書いてあったので、メモしておきます。

マーケティングフロー
■リサーチ(調査設計⇒市場調査⇒分析結果⇒)
■テストマーケティング(仮説立案⇒試行調査⇒仮説検証⇒)
■プランニング(商品計画⇒販売計画⇒販促計画⇒)
■アクション(企画制作⇒宣伝広報⇒市場投入⇒)
■ソリューション(結果分析⇒戦略再考⇒時期戦略⇒Startへもどる)


最後のくだりではこうもおっしゃっていました。『つきつめればマーケティングとは科学的な手法で、根拠に裏付けられた対策を講じ、市場形成を支援すること。データ検証に基づく商品開発や販売企画として実行される。連携する隣組は販売戦略(セリング)と価値戦略(ブランディング)』

このところ、洗練されたモノづくりをテーマにしたセミナーがたくさんありました。モノづくりには当然デザインという要素は重要なものですが、デザイン自体が、エンジニアリング(設計)的な側面と、サイエンス(科学)的、アート的な側面をもつせいか、一流の仕事をなしてきた講師の方々それぞれの信念は相容れないものが顕著にありました。多様なスタイルがあることが分かった、私の今の段階はその程度に過ぎません。局面や戦略内容に応じてどのスタイルが良いのかはきっと異なるでしょう。近いうちに、これらの知識・情報を整理したいと思います。

追記:ブランディング、についても大志田氏の資料にきづきを得ました。メモします。
ブランド戦略は、単にネーミングすることでも、マークを作ることでもない。これは形式(記号)のブランド。ユーザの体感イメージや、想起シーンを創ること。これが本質(価値)のブランド。モノの差別性だけを訴えても大同小異。記号だけの乱立にならないように、コト(プロモーション)と表裏一体で

追記2:松本氏の講演も素敵なものでした。思わずIDEOを彷彿とするようなオフィスが思い浮かぶような文化です。一つおもしろいアイデアが。カットしていないダンボールをつなげてインスタント・パネルにする。というものです。仕事のときに壁に貼る資料を一斉に片付けるときや大人数での展示に活用している、とのこと。実際の映像を見たら、なるほどいいなぁ、と思いました。

ちなみに開発プロセス(企画⇒調査⇒デザイン展開⇒試作⇒設計⇒金型⇒製品)がWEBサイトで紹介されています。インダストリアルデザイン(ID)のフローも興味深いですね。
posted by 石井力重 at 20:35| Comment(0) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー

2006年03月28日

BENETTON製チャリティーバンド

先日久々に、ファッション系の男性誌を買ってみました。スーツ、靴、鞄は今どんなものあるのか、知りたかったのと、ちょうど「ちょいわるおやじ」路線のLEONに対して、新しい「○○おやじ」の路線を展開しようという雑誌が創刊されたので見ておきたかったので。

その雑誌はOCEANといって、表紙は環境に配慮しデザイン性の高い通販雑誌的なテイストを感じるものでした。路線としては、「ベッカムみたいに家庭を愛する男が素敵でしょ」「子育ても素敵な日常を演出する舞台になってきたんですよ」といったメッセージを感じるものでした。

高校生のときに「ホットドッグプレス」を稲毛駅(千葉市)で買って紙面をめくるときのあのインクのにおいと同時にわくわくした感覚を、すこし思い出します。ただ、高校生のころの雑誌よりも明らかに、印刷技術もプレゼンテーションの配色・文字配置も、雑誌は進化していますね。特にページにあちこち非定形紙や折込、エンボス加工紙もあってこれは昔ならかなり高かっただろう技術が今はリーズナブルになったのだと時代を感じました。

紙面デザインといういみで参考になるなぁとおもいつつ、ハンティングワールドのブルーの鞄は素敵だ、けれど鞄にそこまでの値段は出せないなぁ、とか思いながら、しばし高級な良い品物を所有するたのしさ見たいなのを、感じたり、娘と楽しそうにスタイリッシュな日常をすごす男性モデルを見て、こういう生活良いなぁ、とおもい、ふと、雑誌というのは情報を提供するものではなく、希望とか明日への期待を提供するものなのだとおもったり。

BENETTON.jpg

それで首記のおまけが付いていました。ホワイトバンドと同じ外見でブルーです。チャリティーとベネトンと雑誌の連携で出来ているそうです。私は高校生のころに一番好きだったのがBENETTONでした。当時はUNITED COLORS OF BENETTON、というロゴではなく、糸と編み棒を組み合わせた「デフォルメしたタコ」のようなブランドロゴが付いていた時代です。当時は随分熱心に買ったものです。いつしかブランドがすきでも商品は買わなくなっていました。なので、早速本から出して腕にしてみたのでした(写真)。普段はほとんどアクセサリーを身につけませんが、たまにはこういうもをしてみるのもいいですね。

これをつけながら「募金は本来商品の購入ではない。ないけれども、募金の記念にある程度手に入りにくい『モノ』をもらえると、日本人はすごく満足度合いがあがるんだろうなぁ」と感じました。情報とか企画というものも、電子データで送るよりもある種の『モノ』に転写して統合的な価値として提供したほうが、情報・企画に対して対価を得やすいのだろう、と感じました。

2006年03月27日

「起業家の地域に対する意識」(学会発表の原案)

2006年6月に産学連携学会が東京であります。その発表締め切りがあと数日後になりました。先週まで私は発表するつもりがなかったのすが、いろんな活動が一段落したので、この数日間で発表原案が作れたら発表しようとおもって、今日の午前中に発表スライドを作ってみました。

内容はこれまでの研究調査で得られたデータをある視点(地方立地の起業家は地域というものをどう感じているか。地方のデメリット、メリットは実際どう捉えているのか)で分析した内容にしようとしています。

産学連携学会向けスライド(Ver.1)

発表の切り口は先日の長距離ドライブをした時に思いついてざっくりアイデアを持っていたので、スライド10枚(≒発表10分)を勢いに任せて一気に二時間でつくりました。大体こういうものを描くときには最初に思い切り書いたものが一番素直な視点をもっているものですから。

内容がまだ荒削りであることと、考察部分も記憶を元にざっくり書いたものなのでブラッシュアップしますが、大体こんなトーンの「研究のためのトピックを抽出した」的発表にしようとおもいます。学会ごとのカラーがありますが、発表しようとしている学会は比較的コーディネータ実務者の多いコミュニティーなので「生」「現場」「顔の見える的」な要素を強めにしていきたいと思います。
posted by 石井力重 at 17:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究活動/検討メモ&資料

2006年03月26日

高速走行中に考え事をすると、素直な思考パターンが顕在化する。

他の目的を遂行しながら、発案したり、企画を立てたり、観察対象の洞察を行うと、思いのほかいいものが出たり自分の率直な考えが表面化することがあるようです。

この週末は所用があり、「仙台〜会津(往復)」それから「仙台〜新潟(往復)」の合計900kmを運転しました。パートナー企業の方と、事業の強みの抽出や新事業構想をしたり、一人きりで何百キロも運転したときには、スケッチブックとペンをハンドルの上において、アイデアや着想をメモしながらすごしました。

memo.jpg

一人で運転しながら考え事をしたり、メモを書いたりするのが危ないかな、と思ったのですが、結論としては非常に「運転」も「考え事」も快適に行えました。走ったのがほとんど高速道路なので、脳の活動を思考に割くことができ、メモ書きは一瞬視線を落とすだけで、後は手元を見ないでささっと書き付けます。スケッチブックくらいの大きさと固さがあると、十分にハンドルの上でメモが書けるものです。

とはいえ、合流やトンネルなどもあるので時折思考を中断したり、深く集中することはありません。どうもこの辺の感覚がいいようです。適度に作業することがあり、適度に外部からのディスターブがない、という環境が。またメモを書いておくと「あれ、その前は何考えていたっけ?」というのがなく、網羅的に思考することが出来ます。さらに、パーキングエリアで休憩するときに、メモ書きに補足や展開を書き込むことで充実して体を休めることが出来ます。

あまり脳のパワーを使わずに長時間出来る作業、という部分にミソがあるような気がします。のめりこみすぎない意識状態ならではの思考促進環境というものがあるような。これと似た感覚のものに、お風呂に入っているときにふと企画を思いついたりする、ということがあります。あるいは散歩をしているときなど。

もう一歩それを考えてみると、電車で旅行するときに思考が進むことがあります。でも深く集中できる車両などだと、こういう「ながら思考」とは違っているような気がします。あるいは図書館で机に向かっているときなども、深く集中していて、すこし上記とは違うようです。どちらが良い悪い、ではなく、ある種の異なった思考機能が働く、ような感じです。この「ながら思考」には、より直感とか自分の素直な本音とか、ぱっと思いついたことを、理性で加工することなくシンプルに表面化する作用がある、そんな気がします。

2006年03月25日

開発の鉄人、多喜義彦社長の講演を聞いてきました。

3月24日。会津の商工会議所の主催した新事業創出セミナーに参加してきました。講師は、システム・インテグレーション株式会社の多喜義彦社長です。多喜氏は、顧客と一緒になって開発を行う開発コンサルタントです。『日経モノづくり』の「開発の鉄人」の執筆や、特許庁の発行する「特許流通データーベース・開放特許活用事例集」のとりまとめ、40社の技術顧問などすごい実績を持っています。(開発の鉄人 過去の記事の一部⇒1 2 3 4 5 6 7 現在連載中。)これまでのコンテンツをまとめて本を出版されています。『価格競争なき ものづくり』

今回は、会津でのセミナーでしたが、ベンチャーの取締役をしている友人の梅津氏とともに仙台から車を飛ばして行きました。そのセミナーはものづくりの本質に根ざした多喜氏の生き様、思想、事例など大変勉強になることばかり。その中でも特に印象に残るものがありました。

▼手離れ悪くしろ・お客にしがらんで、一緒なって。汗かいて。/汗を流すことがこれからの産業
▼パラダイムの変化。コスト・品質・納期、とは違う視点。/安心・環境・コンプライアンス、それと知財(ブラント、特許)/某産業では、知財をあつめて仕組み・組織を作った。/きちっとやって汗を流すと非常に儲かる。
▼「際(きわ)」を超える。/「結い」「手間がえ」/「ついで」のこともやってほしい。

講演全部の速記メモ ⇒ 新事業創出セミナーin会津.txt

「猫の形の焼き物がうけて量産しようとしたクライアントをとめて、”せっかく高く売れているのにどうして儲からない事業にしようとするのか”として、量産化ではなくストーリー作り(モノづくりはコトづくり)を進め成功した。」という多喜氏の話しからは、現代の経営の難しさを感じました。以下は講演に着想を得て展開する石井の私論です。ヒット商品が出ると生産能力を上げて収益を大きくしたいものです。機会損失を少なくする、なんていったりして。しかし、大量生産されたものをその商品の顧客はほしかったのか。という地点に視点をもどして考えることが必要なんだとおもいます。一方でもともと扱っている商品が100円ショップ向けのものであれば、ストーリーづくりに時間を割いたり、商品の手離れ悪くしたら事業は大きな壁にぶつかるでしょう。一概にどっちか一方の戦略が良い、というわけではなく、狙う市場、事業のモデルがどの位置づけなのかをきちんと把握して戦略を考えることが重要だと思います。

価格競争なきものづくり.gif (図、石井作成)

図に描いて考えを整理してみると、安く・たくさんの商品は、ライバルとのコスト競争で、究極的な目標は市場の独占です。一社独占となりある種の「社会インフラ化」というところまでたどり着くとその事業は非常に市場に対して影響力を持つことになります。現実問題としては市場の変化の早さや代替技術による市場の消滅などがありますが。一方、高く・少ない、という商品は、後発参入が促進されるほどの市場規模がなく競争する相手は、一見奇妙に聞こえるかもしれませんが、「顧客」であると考えられます。高付加価値なもの、洗練されたものを求める顧客のセンスを上回り商品をリリースするべく不断の努力が求められます。そして究極の目標は「ブランド化」と考えられます。

ここでは、これら商品の位置づけによって、提供する価値、とるべき基本戦略が異なる、ということを図示することで整理しました。もう一歩議論をすすめると、社会格差の拡大が顕著になっていますが、これにより価格と購買量のピラミッド構造は、より中間帯は細り、底辺層の肥大と上部層の増加にという形になります。商品の位置づけ上、高価格での成功と、低価格での成功はあっても中間的なものは売れにくい、という傾向が今後はますます強まると思われます。

蛇足ながら、じゃあ、高価格と低価格、どちらがいいか、ということを少しだけ検討してみたいと思います。一般に「売上規模や組織は大きいほうが安定する」という性質があります。社員4人の会社と100人の会社では、一人の欠員の影響度が違います。しかし上記のことをふまえて考えるともう少し話は複雑そうです。

■組織人員が多いケース:組織的対応。一人退職しても何とかなる⇒仕事はシステム化⇒システム化されると模倣されやすい⇒特許などの確保が必要。

■組織人員が少ないケース:属人的な技能。一人やめると非常にいたい⇒付加価値にしめる属人的要素の割合が高いと模倣しにくい⇒長期的にイノベータが競争優位を保持しやすい。

こうしてみると、人が多いほうが欠員に対して安定的ではありますが、模倣者の対策に失敗するとすぐに価格競争になる可能性があります。人が少ない場合は欠員の影響度が高いのは確かですが属人的スキルに付加価値の源泉がある場合はなかなか模倣しにくく長期にわたり優位性を確保しやすいという特徴があります。「事業は大きいほうが良い?」という問いも状況により答えはさまざまである、ということを蛇足のまとめにしたいと思います。

2006年03月24日

関係者を訪問し、ざっくりとベクトルあわせをしました。

3月23日。仙台にある老舗のインキュベート施設と大学発ベンチャーにお伺いし関係者の方々にお時間をいただき、4月からの活動のベクトルあわせをざっくりとしました。

これまでは走りながらアウトラインだけを構想していたプランを具体的なスケジュールに落とし込むために、私の基本構想と受入機関の来期の計画を聞きながらその場で大まかに仕事内容を検討しました。

2006年3月23日のメモ

私のこれからの仕事は少し特殊な、公益と私益の中間の「共益」的なものを創り出す仕事だと、私は考えています。とはいえ、活動するには経費もかかるし、将来はこの事業を独立採算が可能なものに成長させていきます。

今までの私の活動では多くの方に助けていただきながら進めてきましたが、これからはじめる事業では、より多くの方にお力をおかりしながら進めてゆくことになります。おかげさまでを常に心にもって、志しを高くし道を究めて行くと同時に、顧客価値を常に期待値以上にしてゆけるように全力で努力してゆきたいと思います。

2006年03月23日

目に見えない報酬、プライスレス。

本日、クライアントに案件の成果物を提出してきました。とても喜んでいただけました。今回は、「たとえ10倍の価格を払ってでもお客さんがよろこんでお金を払うような仕事の品質」を目指しました。10倍、とまでは行きませんが、多分4倍くらいの価値を提供できたのではないか、と感じます。こういう仕事ができたときは、やはりうれしいです。

私はアイデアプラントの運営において、仕事の価値と報酬の関係を次のように捉えています。
仕事の成果の価値=経済的な報酬+経済的なもの以外の報酬

この「経済的なもの以外の報酬」というのには、貴重な経験や学びの機会があります。大体これまでの経験からすると経験・学びの報酬が、金銭的な報酬のおよそ1〜2倍程度の分量になるような感覚です。

今回の案件では、さらに「経済的なもの以外の報酬」として「他のお客さんに紹介してもらう」というものがあることを実感しました。これは大なり小なりいつもあると思うのですが、今回クライアントの社長さんから「いやね、この前○○会長にお会いしたんだが、そのときに君たちの事を少し言ってあってね。今度紹介のメールを入れておいてあげるから。」とおっしゃっていただいたときに、その会長さんの企業が非常に大手なので、とても驚きました。アイデアプラントの価値を評価していただいてそういう企業の会長さんにご紹介いただけることに。

この非経済的な報酬が、将来にどれほどの可能性になるのか分かりません。目に見えない報酬は、プライスレス。そんなことをふと思いました。

2006年03月22日

本当に起業家のためになる支援とは。

TEO.jpg

先日、仙台TEOのイベントでパネルディスカッションがあり、首記のテーマについて、起業家・起業家支援者・エンジェルが意見を述べておられました。支援者サイドからは「起業家のニーズにこたえること」という言葉などがありました。起業家サイドからは少しトーンの違う答えが多かったように感じられました。ある方は、「(それって、儲かるの?とは聞かずに)一緒に考えてくれること。」と回答されていました。

私も、何が一番起業家に必要だろうかと考えてみました。まず、起業家に必要なモノを考えるときに、人・金・物・情報・時間、といった経営資源の観点から○○が必要、ということを言いたくなりますが、どうもそういう切り口からは必要なモノを描き出すことは難しそうです。プリミティブなニーズとしてはそれはもちろんあるでしょうけれど、一定レベルまで準備されている起業家には、もう少し次元の高いニーズがあるようです。

また、起業家といえども、初めて事業を起こすような時に右も左も分からず、とにかく動いてみるという部分は少なからずあるわけで、その中で、「私には今、これが必要です」ということを的確にいってのけることは難しそうです。それがいえるようならば、その課題は半分以上解決しているわけですから。その意味では、起業家さんに何が必要ですか、とたずねることだけでは、十分ではないのかもしれません。

こんなことをパネルディスカッションを聞きながら考えていました。では、ためになる支援とはなんだろうか、と考えながらこれまでの活動で得られた経験から、以下のことが必要なのではないだろうか、と思いました。裏付けのない「着想」段階の私論ですが。
『メンター』『キーパーソンにプライベートな株主になってもらうこと』
『顧客業界のリーダー企業と共同で事業開発・製品開発を行うこと』


右も左も分からない環境で初めての経験となる経営を遂行していくことは、多くの迷い・悩み・焦りがあります。こうしたことを理解し適切な方向を自分が選び取るために相談できる先人(メンター)の存在が効果的です。特にメンターになる人物はその人と近い価値観をもっていることが重要だともある起業家の方がかつておっしゃっていました。メンターを通じて、精神的なサポートも得ますが、ある種の経営資源、もしくはその組み合わせを得ることもあります。

そして起業家やベンチャー企業がぶつかる大きな課題の一つとして『初期の顧客の獲得』があります。既存製品よりもいい品質・優れた機能を持っていても、実績のないうちはその製品を購入しない、という我が国の市場の特性があり、そこに苦しむことが多いようです。大学発ベンチャーの分析をしているときにそこを乗り越えるうまいやり方がいくつか見られました。地域や業界のキーパーソンにプライベートな株主になってもらう方法です。彼らは応援する起業家に倒産されては困るわけで経営に必要な支援を親身になって考えて適宜行います。時にはネットワークを通じてその効果的な連携や仲介を作り出します。企業の購買担当者にセールスしても煙たがらるものが、自社の社長経由で購買検討を要請されたら状況は随分好転します。

また顧客業界の企業と共同開発することで、製品・サービスが出来上がったらすぐに彼らにそのユーザになってもらえます。共同開発した企業は、自社にとって必要なスペックや耐久性をそこに盛り込みますから、「顧客のほしいもの」が出来上がります。このときに、共同開発した企業が業界のリーダ企業であると、その企業での採用実績があるため、他の企業への展開も容易になります。(ただし、パートナー企業にとってのライバル企業への販売にはある種の制約が付くでしょう。)

以上、私見ですが、本当に起業家のためになる支援とは、上記のようなものを起業家が獲得できるようにサポートすることではないか、と思います。

追記:私自身が行おうとする事業が構想段階・準備段階のものも含めていくつかあります。私自身の事業において顧客となりうる企業と共同事業にする、という視点をもったほうがいいな、とこのブログ書きながら思いました。なかなか、人間は自分のことになると思いつかない・気づかないものですね。
posted by 石井力重 at 06:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究活動/検討メモ&資料

2006年03月21日

取材の効用(情報から新しい知識を引き出す)

先日MOTセミナーに参加した際に、東工大の教授のお話しで、「ケーススタディーを企業に協力してもらいながら作る。それを一番喜ぶのはどこだと思いますか」という話しが出ました。私は”ライバル企業ではないか”とおもったのですが、答えは違いました。それは「一番喜ぶのは、インタビュー対象企業そのものだ。」ということでした。

さらに続けて「深く取材を受け分析されたその資料を通じて、企業はわが身を振り返り自社が今後どうするを、考えるのに非常にいい材料になる」とのこと。以前からもやもやと感じていた考えがこのときにはっきりしました。『取材の効用には、質問や事実・情報の体系化を通じて本来それらの情報を知っていた人が、そこから新しい知識を引き出すこと』とだと。

(注)これ以外にも、取材の効用はあります。取材を通じてそれが広く公表されることでPR効果もあります。また、TVや紙媒体に掲載されたビデオテープ・紙面が自社のよいセールスツールになる、といったこともあります。

私が研究者もしくは一個人として取材を行うこともあります。こうした効用のうち『問いかけることで相手が、情報から知識を引き出すこと』が少しでも多くできたら、とおもいます。それにはある程度、慎重に恣意性を排した、効果的で体系的な質問を行うことが必要なのだろう、と思います。

速記メモ:060320 MOTセミナー.txt

2006年03月20日

大学院生の知的作業能力を活かした仕事

今日は、MOTセミナーと仙台TEOのイベントに参加しつつ、時間の合間を縫ってある調査レポートを仕上げていました。アイデアプラントのあるクライアントから、「○○の分野に事業を展開したい。その技術的な基礎知識・今後の動向をざっくりと、まとめてほしい」という依頼がありそのご要望にこたえて資料を集め、加工編集したものです。

技術的な基礎知識は、図書館で関連書籍を根こそぎ借りてきて一番最近の動向をふまえて、かつ将来深い部分へ入るときにも利用できそうな一冊をベースに、クライアントからの質問項目に答えるカタチで関連ページをピックアップしていきます。今後の動向については、俯瞰できる白書系の資料を当たり、その中に今後の期待される展開分野や複数の技術活用事例をピックアップしていきます。そうしてそれらを統合して概要説明の手作り資料をつけて、ファイルに閉じました。そうしてみるとなかなかのものです。調査レポート、なんて名前をつけるとさらにそれっぽくなります。

ICタグ.jpg
情報通信白書.jpg

この作業は、ビジネスプランをいくつも書いてきた経験が大きく生きています。どういった視点で資料を集めればいいか。資料は大体どのあたりを当たれば適切な情報が得られるか。技術と経営の両面から、そうしたことをふまえながら作業をするとそれなりのレポートが短時間で作成できます。将来的には、大学院生の知的作業能力を活かしたアルバイト事業としてクライアントと院生のハブとなって、学生に付加価値の高いアルバイト事業として提供できれば、とも思います。
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2006年03月19日

開催報告(3月18日、14名)

仙台・東北を中心とした若手の情報交換会(MMJ)の第18回を、3月18日、アエル28階にて開催しましたのでご報告します。

参加者総数、14名。内訳は以下の通り。

MMJ18.gif

今回は比較的若い学生の方が多く、マスピー(学生団体)や冷やし中華のプロジェクトなどに取り組む方など面白いことに取り組んでいる学生さんがたくさんいらっしゃいました。

ゲストの工藤様(工藤電機株式会社 社長)からは、パワーポイントを用いてご自身の事業をお話頂きました。

MMJ18p.jpg

今後の社会・産業に対する洞察やそれに対するお考えなど、大変勉強になるお話しをお伺いしました。一部抜粋します。
・多様なNo.1が増える時代
・お客さんからよろこんでお金を払ってもらう、そういうモノづくり
・いつまでも大事に使ってもらえるものを、いかにつくるか。
・新聞にのってからでは遅い、”交流”に発火する情報をえていく。
・欧米社会・哲学の限界。西洋哲学と東洋哲学の衝突へ。日本としての道。
・子孫のために何を残してやれるのか。孫に保障をつくるためには。その視点に未来がある。

後半交流会では、参加者同士で、わいわいと話がすすみました。有難うございました。私は考えていたアイデアにいろんな方から面白いアドバイスをもらいすごくアイデアの幅が広がりました。

次回は、4月中旬の土曜日の予定です。確定し次第、本ブログからもご案内いたします。(案内をメールでほしい、という方がいらしたら、石井までメールをお送りください。rikie_ishii@yahoo.co.jpです。)MMJに関するお問い合わせがあれば、私石井までお気軽にご連絡ください。

※その他※ 参加されたの学生さんたちが書かれたブログ Y氏 H氏
posted by 石井力重 at 23:18| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会活動/MMJ

2006年03月18日

少年少女発明クラブを訪問してきました。

太白小学校で開催されている仙台市太白少年少女発明クラブを見学してきました。本日は今年度の最終日で、手作りのソーラーカーの競争、紙飛行機の滞空時間の競争、閉校式などが行われました。

会場には、太白小学校のほか八木山や長町の小学生5,6年生及び中学生1年生が20名ほどとその親御さんが数名。太白小の校長先生、クラブの事務局と指導員の方々が合わせて10名程度。小学校の工作室を使って本日の工作と競技が行われます。

手を上げて先生の問いかけに答える少年少女.jpg

はじめに各自製作してきたソーラーカーの製作状況について指導者の先生から確認。クラブの生徒さんたちは自分の製作状況に応じて先生の問いかけに答えます。コンデンサーの取り付けなど、難易度の高そうな作業の出来ている生徒さんも結構いました。

工作には指導員が親身にサポート.jpg

競技に向けて最後の工作の時間です。生徒さんたちは自分のソーラーカーなどのうまく行かないところを先生にたずねていきます。指導者の先生が比較的多いので生徒さんの質問に十分に応じられるのがこのクラブの魅力の一つとなっているように感じられました。中には先生たちが頭をひねるような問題を抱えるソーラーカーもありベテランの先生たちも熱心に対応しています。

ソーラーカーで順位を競う.jpg

そして競技開始の時間となり、生徒さんたちは廊下に設けられたコースに自分のつくったソーラーカーをセットしてスタートを待ちます。結論からいうと、数メートル先のゴールラインを超えるのはかなり難題だったようです。それでも優勝した機体などはかなりのものでした。

次は大人も参加して紙飛行機の滞空時間の競争。生徒さんたちは先生の言うことを真剣に聞いています。

説明を真剣にきく子供たち.jpg

紙一枚だけでつくる紙ヒコーキにお父さんお母さんがたもかなり夢中でテスト飛行をさせていました。計測係りを務める大人たちも、遊びとはいえ真剣な表情で滞空時間を計測します。教室の中で飛ばすので滞空時間は平均で2秒程度です。勝負は0.1秒オーダーを競うことになります。

この競技は昔取った杵柄、かつての腕白坊主たちが腕をふるって自慢の飛行機を作ります。

大人も童心に帰って.jpg

この写真↑は大人たちの番のもの。おのおのの自信作を一斉に飛ばします。一番奥の方の飛行は芸術的な飛行姿勢を保って飛んでいきました。後でおり方を教えてもらったのですが複雑な構造の紙飛行機でした。息子に尊敬されるお父さん、というなんとも幸せな光景がそこにはありました。

この後、図書室に移動し、閉校式を行いました。何十年ぶりに拝聴する校長先生のお話は、感じるところの多いものでした。

さて生徒さんたちが帰ってようやく一息、とおもいきや、指導員の方々で今後の進め方などをミーティング。生徒さんたちに楽しんでもらうために大人の方たちが一生懸命に努力さている姿は生徒さんたちには見えていません。彼らが将来このクラブを思い出したときにはじめて、指導員の方々のこうした苦労が分かるのだろうと思いました。

指導員たちのミーティング.jpg


仙台にはいくつかの発明クラブがあります。来年度の募集が始まる時期ですので、お子さんを通わせたいという方がいらしたら、全国の少年少女発明クラブのサイトなどをご覧になってもよりのクラブを検討してみてはいかがでしょうか。
posted by 石井力重 at 23:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会活動/全般

2006年03月17日

「みちのく花むすび(有地和子さん)」を訪問してきました。

今日は、コミュニティービジネス分野の起業事例である「みちのく花むすび」(店主・有地和子さん)を訪問してきました。

有地さんは、仙台ビジネスグランプリ2004の奨励賞を受賞された方で、先般の2005の授賞式ではじめてお会いしました。みちのく花むすびさんの紹介サイトとしては、事業団の訪問報告が一番詳しいようです。

場所は、仙台の中心部に程近いCATVのあたりに斜めに走る太い道路に面しています。 地図
みちのく花むすび(青葉区本町1-10-14) 雨の日の写真なのでうまく取れていませんが。

店内に入ると手作りのおにぎりをメインにお惣菜やお弁当などが並びます。店内には少人数用のテーブルがいくつかあり店内で食べたりお店の方と話したりとゆっくりできるようになっています。私はこの日は「春一番」という菜の花をまぜたほろ苦いおにぎりをいただきました。自然の季節感の感じられるしっかりしたおにぎりです。
おにぎり.jpg

このほかにも、まじめに食物づくりをしている生産者の方のかたの商品が並んでいます。
農薬を極力おさえたお米.jpg

一番の印象的だったのはお店の雰囲気がとてもいいことでした。店主の有地さんはこのビルのオーナーでもありますが、気さくで社会貢献的な雰囲気の方であり、お店で提供するものもいいものをつかっていて、ほとんど持ち出しのような(非営利的な)事業のように感じられます。レジ係の看板娘さんは店主有地の姪御さんとのことでやわらかい雰囲気がかもされています。
お店の看板娘さん.jpg

ちなみにこちらのお店は、お昼の時間帯のみ(平日の11:00〜14:00のみ)の営業です。それ以外の時間帯はやっていません。

店舗の活用などを雑談しているときに、このビルの上のほうにいくつか開いたばかりのオフィスがあること、若い起業家さんで入居希望があれば大歓迎であること、入居者専用駐車場をあけておいてあること、などのことを伺いました(2006年3月17日現在)。実際に部屋を見せていただいたのですが、歴史を感じる味わいのあるいいビルでした。私の周りでも街中にオフィスをもとう・増設しよう・という若い起業家の方が増えましたので、紹介したいとおもいます。ご興味ある方は私までご連絡ください。いろんなご相談ができそうです。
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2006年03月16日

提案が通りました!皆さん有難うございました。

先日面接を受けていた提案がとおりました!とてもうれしい夜をすごしました。4月から仙台で新技術の事業化を行うことを機軸に仕事を展開します。今回採択されたのは、助けていただいた皆様のおかげだと思います。有難うございました。この一週間は、採択の可否待ちで久々に「早く○○日になったらいいのに」という感覚ですごしていました。

今日がスタート。採択通知で、達成した気持ちになってしまいましたが、スタート地点にたっただけです。いつもここから。初心と感謝を忘れずに千里の道を毎日毎日あきることなく進んでゆきたいと思います。

2006年03月15日

会話・スピーチにおいて相手がもっとも興味をもつ話題。

企業勤務時代に話し方教室に通っていました。東京話し方教室、というところです。特急列車的な素敵さをもつ先生のユニークな教室です。そのときに学んだコトの一つに、会話・スピーチにおいて相手がもっても興味をもつ話題は何か?ということがあります。

この問いを先生が出されて、みんなそれぞれ考えて「異性の話」「子供の話し」「食べ物の話し」「成功の話し」「健康の話し」「ダイエットの話し」「お金の話」などいろいろ推測しました。決して悪くないわけですが、各テーマは老若男女にとって共通の興味といえるかというと少し違う部分もあります。では、それはなにか。

「正解は”***”です。」とおっしゃられて一同納得。確かにその話題は老若男女を問わず興味を引かれることでした。私も確かにそれについての話題に関心があるなぁ、とおもいました。商売の本質の一部を構成する視点でもある、とそのときに感じました。

この***が何なのかは、多分教室や話し方の本などによって異なるかもしれません。教室のノウハウなのかもしれませんので明確な言及は避けておきます。『私の目の前にいる話し相手が、何に興味を持つのだろうか。』ということを幾度も考えること。このことが正解を知ることよりも大切な気がします。

営業マンだったころ話し方が下手といわれて自覚もしていましたが、スキルの改善よりも、心構え・考え方を改善することを指導する先生に出会えたことは幸運であったと思います。続きを読む
posted by 石井力重 at 06:12| Comment(1) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー

2006年03月14日

NHKの記者さんにお会いしてきました。

NHK仙台放送局

今日は愛宕上杉通りにあるNHK仙台放送局にお伺いし、とある記者さんにお会いしてきました。今日、私の研究室のほうにその方からご連絡を頂いたのですが、そのことを私が聞いたときちょうど仙台放送局の近くにおり、せっかくだからご挨拶だけでもしておこうと、局に立ち寄りました。

入り口の受付の近くでは大きな何かを作っているところで、受付の方に「スタジオです。近く完成するんですよ。」と教えてもらったりしました。名前を名乗り、その記者さんを待ちました。ほどなくいらして、ご挨拶のつもりが局の中へ案内していただき、あるテーマについて30分位お話をさせてもらいました。その話自体が進むかどうかはこれからのことだとおもいますが、その記者さんと面識がもてたことが一番の収穫でした。

今後そのお話が進むならば、それを通じて私がお世話になった方になんらかのお返しが出来るような形がとれればと思います。いつか恩返ししたいなぁ、と思っている第一号のお客さんに。

2006年03月13日

『アイデア出しのワークショップ』の模擬版をおこないました。

本日は、東北大のサークル「マスピー」の皆さんに時間を頂き「アイデア出しのワークショップ」を試させてもらいました。会場は、ちょうど一年前の「100プロ」を行った金研(東北大・片平)の講堂です。はじまったのは何と夜8時半、終わりが夜11時でした。この日は久々の雪で冷える夜でしたが実りの多い時間となりました。

「アイデア出しのワークショップ」とは、私たちが運営しているアイデア出しの代行サービス・アイデアプラントの日々の活動を通じて得られてきたアイデア出しのノウハウを、無料の公開市民セミナーとして地域の方々にご提供するものです。参加者は、シンプルで応用範囲の広いアイデア出しの技法を、グループワークで実際に体験しながら、使い方を習得してゆきます。各グループのアイデアを発表し「会場の支持率」を一つの指標と捕らえアイデアを競います。

この日は、参加者が6人でしたので、3人2チーム構成にしました。

アイデアの定義・既存のものの新しい組み合わせ、という考え方の紹介。
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アイデアの技法「連想」「マンダラート」「マインドマップ」の紹介
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ブレストの準備体操「しりとらず」の紹介。
実施:一人30秒*2周。
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ラウンドワン
技法:連想(3分)
テーマ:深さ3Mの穴から脱出(5分)
アイデア出しのワークショップ風景1
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発表・会場の支持率でアイデア内容を評価
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ラウンドツー
技法:マンダラート
テーマ:新商品開発(10+10分)
(今回は、実際にアイデアを公募をしている文具メーカのもの)
アイデア出しのワークショップ風景2
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発表・会場の支持率でアイデア内容を評価
※アイデアから4案ほど、実際に応募してみることに。※
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ラウンドスリー
技法:マインドマップ・ブレンストーミング(10+10+10分)
▽ブレストの4つルールを紹介。
▽ブレストをマインドマップでメモする方法を紹介。
テーマ:新サービス・イベント提案
アイデア出しのワークショップ風景3
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発表・会場からの支持率でアイデア内容を評価
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座学にもどり、「オズボーンの7つの問い」「限定は創造性を高める」を紹介
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インプット系の技法「カラーバス」「フォトリーディング(※)」を紹介
詳細情報はブログから閲覧できます、と紹介。
 
という構成でした。全体的に、参加者の理解が早いのでスムーズに進みましたがはじめのうちは主催者がチームを回ってみるほうが効果的なので、参加者は3人*4チームぐらいがまずは適量だろう、と感じました。それ以上の人数で行うと満足度が急速に落ちる懸念がありそうです。本日は結局2時間以上にわたり時間を割いて楽しんでやってくれたマスピーの皆さんに感謝!有難うございました。本日をふまえ「初級編」コンテンツを仕上げて、4月中には公開セミナーを行いたいと思います。ブログ上で別途ご報告いたします。

追記:ちなみにこんなアイデアと感想がありました。⇒ 文具のアイデア、参加者感想メモ.txt

2006年03月12日

おなかイッパイ幸せです。

週末に病気で寝込んでいました。二歳になる娘が一週間くらい前に急性腸炎になったのですが、どうもそれと同じ症状。娘はもう直って元気ですが私は週末寝込んでいました。

娘が食べたいという食べ物を、車で買いにつれて行き、うちにもどって妻と娘がそれらを美味しそうに食べました。私はほとんどスポーツ飲料のみの食事です。美味しそう、食べたいなぁ、と思いつつも、娘がほおばって美味しそうに食べているのをみると、おなかが満たされるような気がします。かつて私が小さかったころに父と外食し、父が美味しいものを私にくれました。そのときに「お父さんは食べないの?」ときいたら「親というものは、子供がおなか一杯食べたら、腹がふくれるものじゃ」と父は答えました。そのときには、よく分かりませんでしたが、今は分かるようになりました。娘が食べたら、自分がそれを食べたのと同じくらい満足。おなかイッパイ幸せです。

「子供を育てる」というのは非常に貴重な贅沢な経験だ、と時々感じます。

2006年03月11日

志を高くして我が道を究める

「経営理念」がもつ意義はいくつかありますが、その一つは首記の言葉が意味するところではないか、と感じます。この言葉を分解してみると「志しを高く保つ」ことと「我が道を究める」ことの2つの要素が含まれています。

「我が道を究める」という言葉が、事業ドメインの適切な絞込み・ニッチトップを目指す戦略と深い関係がありそうですが、ビジネスに限定しない部分もありそうです。尊敬される起業家に感じられる一種の哲学感や「筋の通った」感なども関係するのではないかと思われます。

またかわり行く経営環境の中で変わらないでいるということは、環境に柔軟に合わせて対応してそのポジションを維持するための不断の努力がいると思います。その道にあり続けることの難しさを乗り越える技量と覚悟が必要なのだろうと思います。気概、とも。

「志しを高く保つ」ということは持続可能な競争優位の確立に必要な要素だと思われます。短期的な収益や利得の獲得なら人間社会のさまざまな欲望やギャンブル的な要素を含みながら獲得することもありえるかもしれませんが、長期的に反映を続けるにはそれでは難しい。長期的な高収益事業を達成するには苦しくても志しを高く保っていくことが重要なのかもしれません。

時折、「社会性」や「志し」や「理念」といったことがネガティブなイメージを伴っていることがあります。たくさんのサイトなどで、理念などがかなり立派に語られていますが、そのうち怪しいサイトは数ヶ月でなくなってしまいます。それを見た人はきっとそういう理念などの言葉を述べることをネガティブなものに関係づけてるのかもしれません。こうしたことを払拭し相手が自ら信頼したくなって信頼するというレベルに達するには、継続してその事業を行いその評判が自然に人々の知るところになる、ということが重要だと思います。この意味でも、「志し」にくわえてずっとそれを継続し「我が道を極める」くらいのタイムスケールが必要なのだと思います。

以上、「志しを高くして我が道を究める」に、互いに支えあう2つの重要な経営の要素が含まれている、という私見でした。

2006年03月10日

拡大するエンターテイメント分野に関する考察

近年、川島教授の、「脳を鍛えるシリーズ」のゲームが大きな人気となっています。ゲーム機に触ることのなかった方が、こうしたゲームをエンターテイメントの一種として楽しむようになってきたなぁ、と社会のトレンドを感じます。TV番組では、「世界で一番受けたい授業」のような素晴らしい内容のもの、あるいは、お笑い芸人さんを主軸に、断片的な知的刺激・クイズのテイストをベースにしたような番組も多くなってきました。

こうした新しいトレンドをどう整理されるのか、図にまとめて見ました。(拡大します)
拡大するエンターテイメント分野.gif

グラフは、縦軸を「知的⇔アクティブ」、横軸を「遊戯性⇔刹那的/個人的な娯楽」ととりました。遊戯とは単に遊ぶだけではなく、遊びを通じて集団や社会性の習得を行うものです。茶色い丸は、古くからあるもの、緑色の丸は、近年登場し始めたものです。

エンターテイメント、という分野が社会の熟成とともに、より多様性を見せています。これまでの「運動的なもの」「刹那的・個人的・消費型のもの」から、「知的なもの」や「関係性・社会性のあるもの」へ広がりつつあるようです。(これは、2006年3月現在での感覚です。10年後の人がこのブログを見てどう感じるのか興味深いところです。主流になっているか、消えているか、はたまた、広い分野での融合が起きこれほどシンプルではなくなっているかもしれません)

なお、表の「知的」「遊戯性」というカテゴリーに『起業道(PSP)』と書いたものは、PSPの新しいソフトで、独立・業界ナンバーワンを目指す若者のビジネスストーリです。ゲームの中で経営判断となる選択しがいくつもあったり、用語やフレームワークの解説などもあるようです。

面白いことに、このソフトは文具の老舗である「コクヨ」です。今は随分と企業もかわったなぁ、とおもいます。事業ドメインは「文具」ではなく「ひらめき支援」などのような「知的創造活動を支援する企業」になっているようです。

こうした、きたる社会のトレンドに合わせて、事業ドメインを再定義することで、思いもかけない企業が面白い事業を展開してゆくと思われます。

2006年03月09日

面接を受けてきました。

エレベータにて

今日は東京・神奈川へ行って来ました。普段はスーツを着ない方針の私ですが、今日はスーツを着て久々にビジネスモード。今、ある種の提案を行っており、その面接試験を受けました。

これが通るかどうかでだいぶこの先の展開が大きく変わります。今月下旬の結果発表が待ち遠しいです。もし提案が通らなかったとしても、いずれ実行する内容なので、今回はそれらを考え直すいい機会になりました。

この提案を作るのに多くの方に助けてもらいながらでしたので、早速帰りがけに面接の感触などをメールで報告して、夕方には仙台にもどりました。

2006年03月08日

インキュベーション・マネジャーの仕事

「インキュベーション・マネジャーは、実際のところ、何をしているのだろう?」という疑問に答えるべく、インターン生として参与観察したことがあります。それらを中心にここで、インキュベータについて整理してみたいと思います。

※インキュベーターとは「創業して間もないベンチャー企業が、独力でも十分に事業を展開していける段階になるまで、経営を多面的にサポートして施設」を言います。直訳としては、「孵化器」です。卵をかえすための装置。インキュベーターといってもそのサポート範囲はさまざまです。安い賃料で起業家に部屋を貸す「部屋貸し業」といったタイプや研究開発の装置などの安価な利用を提供するタイプ(ハード・サービス)、経営コンサルタントや弁理士や会計の専門家などのサポートも提供するたタイプ(ソフト・サービス)までを含めた本格的なものまであります。

2004年の夏に、宮城にある老舗のインキュベータでインキュベーション・マネージャー(以下、IMと表記)の下にインターン生として1週間体験させてもったときの報告を再掲します。このインターンでは守秘義務がなかったので、ブログで報告が出来ました。固有名詞については私の判断で記号化などの処理をしています。

0日目(これからはじまります) 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目

体験を私なりに整理してみました。ミンツバーグ、マネジャーの10の仕事をベースに考察。

まとめ(地域全体をクライアントとしたインキュベーション)

経営者としてのマネジャーのフレームワークなので、意思決定についてはIMにはあまりウエイトがありませんが、「対人」「情報」については、その特徴がよく現れたと思います。

花巻(岩手県)に、有名なIMがおられます。以前そちらを視察訪問できるチャンスがあってお話を聞いてきたのですが、やはり開放系の組織といういみでの「地域企業全体をインキュベート」していたことが印象に残ります。こちら

その他:I社訪問 A社訪問 A社訪問2

※参考サイト※ 今回、整理にあたって関連情報を調べてみたところ、面白い話が各種の専門サイトにありましたのでご紹介します。

未来人NHKのサイト。
インキュベーション・マネージャーの活動を分かりやすく紹介しています。ざっくりとこんなことをしているのか、という感触がつかめます。ただ、属人的な要素がたぶんに含まれていることには注意が必要です。

産業立地日経のサイト。
海外の複数のインキュベータを訪問・分析した報告を分かりやすく紹介しています。

ビジネス・インキュベータ経済産業省のサイト。
日本におけるインキュベータの現状データなどの概要が示されています。特にサイトの下のほうの「ビジネス・インキュベータの効果的な起業支援および効率的な運営のためのガイドライン2005 (PDFファイル 2,031KB)」は、起業支援などを勉強するためのよい資料になりそうです。

インキュベーション・マネージャーとは経済産業省のサイト。
IMと支援ネットワーク環境などについて俯瞰的な説明が端的になされています。

インキュベーション・マネージャーとはJANBOのサイト。
JANBOとは「日本新事業支援機関協議会」の略称。実質的なIMのオーソリティーです。サイトの下のほうにあるIMミニレクチャーでは用語集など、情報サイトとして充実しています。

インキュベーション・マネージャー概論JANBOのサイト。
JANBOの研修がシリーズで掲載されていますが、このページは特に、IMがどういう仕事をするのか、についてしっかりした説明がなされています。
posted by 石井力重 at 06:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究活動/検討メモ&資料

2006年03月07日

複数の志しが交差し結晶化しはじめる。(共有・活動拠点の構想)

仙台での新しいことに挑戦する人々の活動を参与観察してきましたが、これが世代を超えた活動になりつつあると感じます。これまでのYさんの活動で他の世代にもそういう方がいることを感じていたのですが、本日はある活動拠点の誕生を共通テーマに世代を超えてそうした人々が集まりました。

共有・活動拠点を検討中

以前からビズカフェを提唱されていた方や、若い起業家さんに机貸しをしようとする社長さん、街中に交流スペースを作ろうとされる社長さん、ベンチャー企業の経営者や、将来ハイテクベンチャーを起業しようとする院生さん、などなど。

社会性の高いマインドを持った、とある会長さんの所有するビルに、あいている一角があります。そこを活動拠点としてシェア・共有しながら、情報と人の集積・発信の拠点、ができれば、という構想をベースにこれから本格検討に入ります。あいている部屋を見せていただいたのですが、場所もなかなか素敵な立地です。適度な街までの距離。手ごろな広さ。使い勝手もなかなかよさそうな規模のビルです。

この活動がどうなるか、今後も楽しみに報告して行きたいと思います。
posted by 石井力重 at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会活動/Five Bridge

2006年03月06日

卒業メンバーの進路のお手伝い

アイデアプラントのメンバーのうち5名が大学・大学院を卒業します。それにともなってアイデアプラントも卒業となります。これは、アイデアの取り扱いに関して個人の範囲内で処理できる身分に限定する、という事業ポリシーのためです。

卒業生のうち、2人がベンチャー企業に入りました。現在の進路事情からすると多い割合です。そういう志向性のメンバーがおおい、ということなのかもしれません。

今日は卒業生の何人かにこれまでの報酬を渡しながら、近況などを雑談しました。昨今の就職事情は厳しいようで、いい人材なのになかなか決まらない人もいました。それで職種をきいて、とてもいい会社に人材募集があったなぁとおもいそこの社長さんに相談してみました。夜のうちに返事が来て採用担当者を紹介してもらいました。

彼はアイデアプラントの中でもいい仕事をしていたのできっといい人材として活躍しそうです。アイデアプラントとしては手放したくない人材だったのでぜひ知人の社長さんのところで活躍してもらえたら、と思います。 ・・・その後の話

2006年03月05日

ブランドの形成に関する一考察。(2)

…昨日のブログからの続き。…

グローブ・トロッターの「鞄」は、手にとってクラフトマンシップを感じることのできる「モノ」ですが、手に取ったり、眺めたり出来ない「サービス」について、ブランドの形成はどうでしょうか。

「サービス」のブランド形成について、先日興味深いお話を聞きました。雇用能力開発機構の提供する創業支援セミナー(アントレプレナーDoIt)でアニコムの小森社長が講演されたお話からご紹介します。速記メモ 060223.txt ペットの保険を提供する同社では、電話を受けたときに、「ハイ、○○社、お客様係担当の○○です!」というセリフを毎回同じトーンでいえるように、そして全員が同じトーンでいえるように、訓練をするそうです。(冗談かもしれませんが、『ハイ、が半音高いぞ』というレベルまで指導する、そうです。)お客さんは保障のことをたずねるために二回目、三回目と、電話をすると、その度に毎回同じトーンで電話に出るこの企業に対し、「おお、しっかりしとるやないか」と感じるようになるそうです。人間には、1個、2個、3個と点が直線上に並んでいたらそれを線で引いてみたくなる性質があるそうです。そうして電話の声が毎回きっちり同じこの企業の対応のよさに、その線上にお客さんが勝手にベクトルを引くようになってくる、そうです。(これを、ベクトリング、と呼んでいました。)そして、このベクトリングは予想するよりも早く行われるそうです。電話の声の奥で別の担当者が全く同じトーンで「ハイ、○○社、…」と発することがお客さんの耳に入ることがベクトリングのための、「点」を増やすからではないか、と。

このような、「高いレベルにあり」「その状況がとても安定して推移していく」ということを顧客が心の中で確信できたときに、ブランドというものが出来ていくのかもしれません。

3月3日の私のブログ、「品格とアンテナ。…」という内容のなかで、社会の中のローフリークエンシー成分(激しく変化の起きる現代社会でも、非常に長期的なタイムスケールでようやく変化をしていくような部分)に言及しましたが、ブランドを形成するというのは、ある意味、激しく変化していく社会においても、信念と努力によって非常にローフリークエンシーなものを築いていくことなのかもしれません。

ブランドとはその起源は、牛の所有者をあらわす焼印を牛につけたことだといいますが、単に企業のマークを全ての製品につけていくことがブランド作りではなく、顧客が自然と認知していく全てのものが良くも悪くもその商品・その企業のブランドを形成していくということを前提にして、かっこいい・気持ちのよい「高いレベル」のモノ・サービスが「ずっと将来まで継続して」提供されるだろうことを顧客が勝手に認識することを全力でつくり出すことが、『ブランドの形成』なのではないか、と思います。

まちのパン屋さんが何十年と美味しいパンをつくればブランドです。ですが、スタートアップの企業が早晩ブランドをつくったり、海外の良質な品の輸入販売者がそのブランドを自国で十分に醸成しようとしたら、長い年月にたどり着くまでに、初期の良質なブランド形成を図る必要があります。そのときに、どうも上記のようなことが重要な要素の一つであるのかもしれません。
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2006年03月04日

ブランドの形成に関する一考察。(1)

高級品や高い評価を受ける組織・専門家など、「高くても長く使えるいい品」「あそこの仕事なら間違いない」という評価をうける域に達してくると、そこには「ブランド」というインタンジブル(手に触ることができない)なものが生まれてくることが多いようです。

高い鞄などを買う場合に、そこにモノとしてのかっこよさも重要ですが、見えないところのつくりが丈夫・10年先も素敵なデザイン足りえる、という意味での「長く使える」だろうこと。さらに「長く使うことでよさが増していく」「将来壊れても、そのときにお店がきっとあるし、気持ちよく修理に答えてくれる」という信頼感が、かなり高い価格に対する妥当感の醸成につながると思えます。

私が企業に勤めていたときに購入しようかどうかかなり迷った鞄があります。グローブ・トロッターの鞄。青山にあるヴァルカナイズに見に行ったりしました。紙を特殊な素材で固めたいわば「紙」の鞄です。その鞄は散弾銃が貫通しないし人が乗ってもつぶれない、という触れ込みでしたが、そこには実際に散弾銃でうたれた鞄があって貫通していませんでした。カギやヒンジの部分がガタガタするぞ、と触ってみて感じたのですが、理由が分かりました。お店の方に”本当につぶれない?”とたずねると鞄の上にのって飛び跳ねて見せました。鞄はある程度ゆがむけれど、割れたり折れたりしません。この鞄、ヒンジが精巧に出来ていないことで、本体の柔軟さと整合性があるわけです。その当時から数年立ちましたが、デザインも未だに素敵だと思います。長い伝統もあるそうです。結局、当時の私は、書類の頻繁な出し入れが必要だったこと、固めのお客さんをもつ営業マンがもつにはすこしはやいと感じたこと、などから購入をあきらめましたが、もっと余裕のあるクリエイティブな職業をしていたら5万円前後のその鞄を買っただろうとおもいます。(ちなみに、私の住む仙台では、一番町のシップスにあるようです。)


[明日のブログへ続く]
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2006年03月03日

品格とアンテナ。古くならない秀逸なデザインを生む、ということ。

先日、宮城県庁の主催するデザインセミナーに参加して、プロダクトデザイナーの喜多俊之氏の講演を聴いてきました。喜多氏は、世界的に評価され国内外で多くの賞を受賞しています。講演では氏のデザインの事例(30年近く売れ続けているイタリアの家具の事例や、伝統工芸をデザインの力で世界的な商品にした事例など)を、多くの作品をスライドと動画で紹介されながらそのモノづくりの思想に及ぶところまで、とても貴重なお話を聞くことが出来ました。

カッシーナ(イタリア)のWinkやDodo、洗練された腕時計MIZなど、所有者が長く愛して使いこむモノづくりにとても感銘をうけました。その講演の中で特に印象に残るのが、喜多氏が「品格」をとても大切にされていることでした。

私の研究領域は「テクノロジーマネジメント」です。製品開発マネジメントやモノづくりは主要なテーマの一つです。そうした分野の研究者の発表で「品格」という言葉が登場することは稀ですが、喜多氏の「品格」という視点には重要な要素の分析につながるヒントがあると感じました。この喜多氏の言葉が意味するもの本質はなんだろう、とセミナーのあとずっと考えています。

また、講演の後、喜多氏に製品開発の視点で質問しました。「8年に及ぶ商品製作の過程で、どのように、市場の反応をみていくのでしょうか」と。氏のご回答は、”市場調査は行わない(市場データからは**を得られない)”ということでした。私が「?」と不思議に思っていると、氏は続けて「ただアンテナはいつも高く張っておく。」とおっしゃられました。

デザインというものは、設計・開発・製造としての側面と、アート・文化としての側面があるようです。将来的には、こうしたものをもう少し真剣に勉強してみたいなぁ、とも思います。

品格のあるデザイン。30年たっても売れ続けるデザイン。市場データではなく高いアンテナをもつこと。

これを統合的に考えるに、人間社会の発展というダイナミクスを、フーリエ分解し高周波数から低周波数までに分けた場合に、低周波成分にフォーカスすることの重要さが示唆されてのかもしれません。

※楽天日記、2005年9月1日の日記、「ものの本質をみるには、「分解してみる」という手法もある。」にフーリエ分解の話を書きました。この辺のことは今後もう少し、考えを深めて行きたいと思います。
posted by 石井力重 at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究活動/検討メモ&資料

2006年03月02日

大学発ベンチャー、6つのスタイル

2004年の4月から、社会人ドクターとして東北大学のMOTコースに在籍し、大学発ベンチャーの創出に関する研究を行ってきました。その研究活動を整理する意味で、ここに一部掲載したいと思います。

大学発ベンチャーというのは、「大学等の研究成果・技術シーズ」を元に「事業化」し社会に大きな価値を創造してゆく存在です。社会発展・経済成長の担い手として重要な役割を持っています。一方で、ベンチャー企業としての性格をもたない起業スタイルも「大学発ベンチャー」に含まれます。

この大学発ベンチャーについて、経済産業省や日本経済新聞社などが、調査を行って資料を整備しています。そのうちのいくつかは一般の研究者でも利用することができ、そうしたものを利用させてもらって研究をしています。この二年間、そうした企業群に関する統計的な分析や企業WEBサイトから情報・訪問調査を通じて大学発ベンチャー企業を観察してきました。

観察された事例を分類・整理すると、以下のような6つのスタイルに分けることができます。

「大学発の起業」
個人事業主やSOHO的な事業形態、あるいはNPOなど。大学の人材・ノウハウに絡んだ小規模事業の創業という特徴があります。経営資源をあまり必要としないコンサルティング事業や小規模受託分析事業などが多く見られます。

「大学発の事業化支援事業」
技術移転機関やインキュベータなど。技術事業化などを支援する公的支援機関的な性格と、大学付属サービスのような形態をもつことが多いです。

「中小企業の社外ベンチャー」
大学のシーズを用いて、既存企業が第二創業的な事業を子会社として進めるケース。既存の母体があり経営資源が獲得しやすい傾向があります。技術シーズに求められる要件が、高い専門性や特許などの権利化された知的財産が十分にある(見込まれる)という傾向が強いようです。

「大企業の産学連携用研究所」
大学がもつ技術を用いて製品開発を行い自社の競争力をつける目的で大企業が産学連携の一スキームとして大学と自社の間に事業体を作るものです。国立大学が法人化したとはいえ民間企業のようなレベルまではなかなかむずかしいものです。そうした中である意味、大学と企業の間の研究開発連携の緩衝材(あるいは、経営資源のプール)的役割を担います。

「ベンチャー企業の産学連携」
独立ベンチャーが創業後に、事業展開を通じて自社製品に求められる付加価値を認識し、その実現を図る目的で大学等と産学連携を行うケース。(経済産業省の定義では「創業後5年以内に産学連携」をした企業を大学発ベンチャーに含めています。)技術シーズに求められる要件は、新しい産業を拓きえる潜在可能性の大きい技術であること、あるいは、科学とビジネスの距離の短いサイエンス型産業であることなどの特徴があります。顧客が大学等であるケースもあります。この場合は、ベンチャー企業にとっての大学の位置づけは顧客参加型(共創的)製品開発としての側面も持ちます。

「研究成果の事業化(コアの大学発ベンチャー)」
主に大学(教授・研究者・院生・学生)が主導権をもって研究室の研究成果を事業化していくケースです。当初は大学人が創業社長をつとめていたのですが、最近ではビジネス経験のある産業人を社長にして、大学人はCTOになるケースが主流になりつつあります。(中には社長業と教授職の兼務ができるパワフルな大学人もいますのでこの限りではありませんが。)


こうした分類は”これが絶対”というものはありませんが、ベンチャーの成長の軌道に大きな影響をもたらす特徴の一つが、この「6つのスタイル」になるだろう、と見ています。


大学発ベンチャー 6つの分類.gif
(図:事業内容のベンチャー性と収益化までの期間で6スタイルをポジショニング)
posted by 石井力重 at 06:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究活動/検討メモ&資料

2006年03月01日

SNSの成功要因に関する私見。

日刊工業新聞社のてくてくjp( http://techtech.jp/jdl/weblog/portal )がスタートしました。ブログとSNSを組み合わせた技術者のための情報交流サイトとのことです。「知識」「技術」「人」の循環を基本コンセプトにしています。

事務局からIDを頂いていたので早速ログインしてみました。他のサービスとの違い、スタート時点からすごくサイトの「活用方法」がデザインされていること、理工系の方が違和感なく使えるような言葉遣いと知的な雰囲気のデザインであること、などの印象を受けました。

日刊工業新聞社の読者層が利用するサイトになればおもしろい技術と知識のトピックスが展開されるかもしません。社内情報を無制限には公開できないとは思いますが、一方でやはり、近年の「共創」を通じた製品開発・サービス開発の取り組みは、今後の社会では一層重要性を増していくと思われます。そうした中で、オープンイノベーションのプラットフォームとしてこの『てくてくjp』のようなサービスは何かを生み出していくのかもしれません。

もちろん、新しいものが生まれる一方で、古いものが閉鎖もされています。つながれば何でもできる、というわけではないという事実があります。たとえば、起業支援機関の提供したSNSは、その役目を終えてサービスを終了しています。

「SNSの吸引力は、人そのものが持つコンテンツとしての魅力」とかつて友人が教えてくれましたが、SNSのトップランナーがすでに二周年をむかえ巨大なものになっている現在、新しく登場して活発に使われるようになってゆくSNSにはどんなものがその吸引力となってゆくのか、興味あるところです。私なりに強いてあげるとすれば、

”社会の大きな変化によって、誕生し急成長するような”属性の人々を一定数以上、同じ空間に集めること。

が、成功要因の一つになるかもしない、と思います。
posted by 石井力重 at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究活動/検討メモ&資料
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