2006年05月31日

「ツナグ」仕事

今日はある起業家さんを、ある支援機関に紹介してきました。どちらも以前からのよく知る知り合いです。コーディネータでなかったとしても、多分今日のこの「ツナグ」仕事をしていただろうと思います。その意味では現在の仕事は、特別に違うことをはじめたわけではなく、私の基本的な生き方の一部に仕事という名前を付与したような感じが正直なところです。

私はこの仕事は「仁術」のようなものだと考えています。医者が算術ではなく仁術であれ、といわれるあの仁術です。薬代が払えない人の中にも薬が必要な人はいます。薬代が払えなくてもその人が必要とするならば提供する、そういう仕事なのではないか、と。

コーディネータの仕事を将来的には採算ベースに持ってゆくことが大事だと思います。事業として継続できなければ、その仕事はある日終わってしまいますから。ただ、採算ベースを意識しながらも、仁術としてのノーブレスオブリージュを、バランスとして持っていた方が、最終的にはいい仕事が提供できるのではないか、と感じています。

2006年05月30日

私たちの2つの提供価値

産学連携のコーディネータをしています。今日はこのことについて、少しご紹介したいと思います。既存のコーディネータとの違う点は、「創造性」と「起業家精神」の2つの特徴がある、ということです。名刺にもその2つの言葉が実は印刷されています。

■創造性
・技術の用途アイデアやビジネスプランニングを一緒に行うだけのアイデア出しのスキルがありそれを活用して、創造的な部分にも貢献しています。
・特殊なコンサルティングの手法を活用して「定性的なものを可視化する・形にする」ということにも貢献しています。

■起業家精神
・グループのメンバー全員が、ある種の起業家教育を受けており、広い意味での起業活動を展開してきており、支援対象となる起業家と同じ温度の情熱で、支援を行っています。
・起業家支援組織の東北地域の幹事会社であり、実務からメンタルなサポートまで、起業家を支援する材料があります。

これは、2つの特徴です。私たちの支援を受ける方(顧客)はどういったメリットを享受するか、という視点でいうと以下のようになります。

「2つの提供価値」
●もっと、思いをカタチにできます。
●起業活動を、もっと速く推進できます。


思いは大きいけれど、それをプランにしにくかったり、既存の市場にはないようなものを実現しうる技術などをもった起業家の方の、思いをカタチに描き出す段階を強力にサポートします。また、起業家チームの一員として起業に必要なすべてのことについて、一緒になって取り組みます。必要な分析や調査なども行います。起業家に必要なことのすべて、を、起業家と同じ速度感で動いていきます。(ただし、この支援は対象数限定で、同時に一チームまでとしています。)

これをPPTファイルにまとめました。2つの提供価値.ppt

こういうタイプの支援では、起業家と人間的な付き合いもできることが大切です。一緒になってリスクをとることまではできないのですが、まさに自分の会社のつもりで一緒になって夢も語る。そういう一風変わったコーディネータでありたいと思っています。

2006年05月29日

杜の都、仙台。八木山からの眺望。

5月27日。今日は天気のいい休日だったので、家族で八木山のてっぺんに近いあたりに散歩に行きました。

杜の都、仙台.JPG

仙台の市街地の西側には、広瀬側をこえるとその先には自然豊かな青葉山が広がります。その麓と中腹に東北大のキャンパスがあるので歩いて見学に来る人は途中で困り果てたという話も聞きます。その南側にあるのが八木山です。(ちなみに、八木山にはかつて球場があり、なんとかのベーブルースがきて試合をしたそうです。)写真は、八木山から南東方面(名取とその先の太平洋)を写したものです。

この時期の仙台は新緑がいっせいに芽吹き、気候もさわやかで、肌で植物の生命力を感じます。大好きな仙台で心豊かに仕事ができ、日々の生活を送れていることに、いつもありがたいなぁと思います。(仙台生まれの人には、この仙台の魅力を口で言ってもわかってもらえないのですが。)

2006年05月28日

上位3課題を解決すると、残りも同時に解決する。

シネクティクスの中で、興味深いもののひとつに首記の言葉があります。これは一般には自明なことではありません。まず、一部の課題を解決したら山済みの課題はすべて解消する、といわれたら、とてもモチベーションがあがるというよい効果があると思います。しかしそうしたこととは異なる次元で、この言葉には含蓄があるように思います。

そもそも考えられる課題というのは千差万別のようでいて、実はある数の分類に分けることができるのかもしれません。上位三つを解決するということは、その多くの部分の要素を解決する方法を見出しているであり、後の課題はその転用で十分対処できる、ということなのかもしれません。(私のこの発想の根底には、TRIZがあります。)

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2006年05月27日

実現性ではなく直感・魅力・好奇心で選ぶ。

シネクティクスでは、アイデアを絞る過程に入るときに、クライアントがアイデアを選択する際に、首記のようなことを選択基準にするそうです。ここも大変興味深い視点だと思います。この前段階で、アイデアを出すだけ出して山となったアイデアを、さあ、しぼろう、とするときに、クライアントが実現性の斧でばさばさばさと絞らずに、直感・可能性の視点でセレクションする。ここにアイデアの収束過程を設計する当たっての重要な要素がありそうです。

アイデアをいかにして絞るか。という話は、アイデアを如何にして生み出すか、という話の次に来る重要なものです。通常、まずアイデアを生み出すことに取り組んだチームは、絞る過程にはいり、ここではたと困ります。(もちろん、そうしたことを含む創造技法は多くありますが、実際には、ユーザーレベルのハウツーとしてはあまり説明が出回わっていません。)ここで、普通のチームだと、じゃあ、できそうなものはどれか、という非常に高いハードルで、アイデアを絞る作業に取り掛かりがちです。そうすると、往々にして、アイデアがたくさん出たけれど、使えるものはほとんどなかった。という状態になります。(アイデアプラントを運営していても、マネジメントが効果的でないときには、この局面を経験しています。)

そこで、アイデアを実現性ではなく直感・魅力・好奇心で選ぶ、ということがひとつのヒントとなりそうです。(他の技法を否定するものではなくあくまでも、一つのスタイル、です。)これはある意味、「実現可能性軸」と「斬新度軸」の平面で、実現可能性軸が低かろうとも、斬新度軸を、生き残らせる手法としてのエッセンスがあると思います。ここにこのシネクティクスのひとつの特徴があると感じます。

なお、その後、「斬新度の高いアイデア」を、次の工程を経て、「実現可能性の高いアイデア」へと引っ張っていきます。それも異分野の頭脳によるアイデアだしというスタイルをとっています。(ここについては、シネクティクスのノウハウに近いと考えられますので、学術研究以外においては、その言及(ブログへの掲載)を差し控えたいと思います。)

私がコーディネートする研究テーマ創出の会議(あるいは商品企画会議)では、こうした「高度にデザインされたアイデア出しの発散・収束の手法」を活用して、効果的な会議を提供できれば、と思います。

(追記)クライアントは、「選択」過程では次のことをする
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2006年05月26日

相手を救い上げるには、一緒に穴に落ちないこと。

アイデア出しの技法、のうち精神状態のマネジメントに近い部分のお話ですが、シネクティクスの考え方の中に「情報過多(too much information)」という言葉があります。アイデアを出すチームは、アイデアに煮詰まってこまってやってきたクライアントから、必要最低限の情報だけを端的に説明してもらったら、それ以上に情報をクライアントからもらわないようにします。クライアントは穴の中に落ちている人であり、アイデアチームは穴の外にいます。クライアントを穴の外に引き上げるのが仕事なのですが、あまりに多くの情報を得ていくとしまいにはクライアントと一緒になって「それは難しい問題ですね」と発言するようになってしまい、そうなるとこれはアイデアチームも一緒に穴の中に落ちてしまった状態であり、引き上げることはなかなか困難です。

日本人は特に質問が多く出るそうです。また質問のスタイルをとった「提案」や「批判」も多く出るそうです。私もアイデア出しの対象物のことをよく知ろうとじっくり観察する手法をよくとります。技術者の方にはいろいろと質問をしてよくわかった対象物を自分の中に再構築してそこからアイデアの発想力を広げていきます。しかし、これはシネクティクスの考え方ではまったく逆です。関係のないものを結合して斬新な発想をうみだすシネクティクスはこの辺にひとつ独特の特徴があるような気がします。

相手を救い上げるには、一緒に穴に落ちないこと。

人の相談に乗るときには、時には一緒に穴の中でひざを抱えることも大切なことだと思います。アイデア出しのときにも大事なことだと思います。しかし、それによってたどり着く結果とはまったく違ったものも生まれえるかもしれないとおもうと、時には「あんまり知らない状態」の持つ価値を認めて活用してみるのもいいかもしれません。

(追記)クライアントに質問していいこと
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2006年05月25日

アイデアの技法 シネクティクス(Synectics)

シネクティクス、というこの聞きなれない言葉は、「多様性の統合」あるいは「異なった一見関係のないものを結びつける」といった意味のギリシャ語からの造語だそうです。

1950年代に、アーサー・D・リトル社が開発。・研究開発チームが革新的技術を発想するための手法について研究。・創造的な問題解決プロセスへと結実。
  ▼
1960年に技法の開発者退社。シネクティクス社(コンサルティング会社)を設立。
  ▼
以降、事業発展や企業戦略、R&D、マーケティング、新商品開発などの領域で、イノベーション創造発想手法として活用。

海外や日本の一部の企業で活用されているにもかかわらず、2006年現在、日本における創造性技法としてのシネクティクスは、2つの理由からあまり広く認知されていないようです。ひとつはシネクティクスの使い手は”広く”よりも”深く”の展開方針を採っているため普及活動があまり行われていないため。もうひとつは、創造性技法に関係する業界が、古い時代の複雑なシネクティクスを認識したままで、今日的な洗練されたシネクティクスの評価が適切になされていないため。今回、研究プロデューサ養成講座に参加して、今日的なシネクティクスの使い勝手、仕組みが大変優れていたと感じました。

さて、本題のシネクティクスですが、学会のサイトに手順がありますのでご興味があれば見てみてください。(現在のシネクティクスとは構成が多少違います)
シネクティクスのポイントを3つあげるとしたら以下だと思います。

1)何をするか、と同時に、どのくらいするか、も明確にデザインされていること。
アイデア出しテーマに対して発散・収束の明確なプロセスを定義しており、プロセスごとに明確な指標を持っている。

2)高度に役割分担されたアイデアチーム構成。
ファシリテータ(プロセスに責任を持つ)、クライアント(テーマ知識とアイデア評価に責任を持つ)、スプリングボード(複数分野の専門家が交わってアイデア出し)

3)役割分担とデザインされたプロセスにより「門外漢」を効果的に活用すること。
発想者に情報が少ないこと、知らない人の自由な発案、が商品開発を効果的なものにする仕組みがある。(Too Much Information(情報過多になると、援助者が穴に落ちてしまう)状態を避ける。4つのiを常に意識する。)

とても興味深い手法だと思います。アイデアプラントで行ってきたアイデア出しのマネジメントで試行錯誤で開発中だったスキームに対して大きなヒントが得られました。今後、このエッセンスを活用してみたいと思います。
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2006年05月24日

KGC。研究プロデューサ養成講座。

茶室0.JPG

5月24日。京都国立博物館の茶室にて、KGCの主催する研究プロデューサ養成講座に参加してきました。この講座は、KGCが優秀な研究プロデューサーたちをインタビューして、”異質なものを結びつけ生み出す”という特徴に着目し、そのエッセンスを講座にしたものです。異質なものを結びつける、という知的活動を促進するのに適した創造手法(※)を基調にした、ワークショップ形式の講座でした。(※シネクティクス:翌日のブログにて紹介します。)

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京都のおもむきある茶室で、先端技術シーズの保有者、創造手法の専門家、起業家支援者が、円座になって、巨大ポストイット(イーゼルパッド)を用いて発想をする、というシチュエーションがなんとも粋な講座設計だなぁ、と感心しました。非常に発想力が開放されるいい環境でした。

このKGCさんは、京大の研究者コミュニティーが発展しNPO法人として独特のシンクタンクとして活躍されています。いわく、未来社会の多様性を高めるシンクタンク、とのこと。オフィスにもお邪魔してみたのですが、何かが生み出される雰囲気が満ちた独特のオフィスでした。場所も京都大学のすぐ目の前で、非常にいい立地です。京都の文化と未来が同居する素敵な組織、だと思いました。

2006年05月23日

大阪学院大学、中川教授を訪問しました。

(今日はご本人の許しを頂戴して内容の一部と写真を掲載しています。)
5月23日。本日は大阪学院大学(大阪府吹田市)を訪問してきました。以前からずっとお会いしたかった中川先生にお会いすることができました。

nakagawakyouju02.JPG

中川先生は、TRIZ(トゥリーズ:発明的問題解決理論)の日本におけるオーソリティーで、先生の運営されるTRIZホームページは、TRIZに関する理論、論文、セミナーなどの情報が集積する一大サイトです。すべて先生ご自身の手で作成・更新されているそうです。90年代後半に日本にTRIZが紹介されて以来、日経系の雑誌やインターラボなどの専門誌にTRIZの連載や各地に出向いてセミナーを行われたりと、その理論の普及に大きく貢献されています。

現在、私はTRIZを活用した地域企業の独自支援スキームを開発するために準備を進めています。同時に地域で情報交換や普及のための研究会活動を展開しようとしています。こうした経緯もあり、本日は先生の貴重なお時間をいただいて訪問したものです。

日本のTRIZの大家である先生にお伺いするのにはまだまだ私の知識が少なすぎるとためらっていたのですが、勇気を出して先生をたずねて、私の現在の取り組みや構想をお話しさせていただきました。先生からは多くのアドバイスをいただきました。さらに私の理解があいまいであったUSIT(ユーシット:やさしくしたTRIZ、ともいわれています。)について教えていただき、その考え方の土台がよく理解できました。先生にご教授いただいたことをいかして、今後、長期的な視野で、TRIZを用いた地域企業の革新の支援活動を行ってゆきたいと思います。

なお、とらせていただいた先生の写真は私の腕の問題で非常に硬い感じの雰囲気になってしまいましたが、ちょうどかばんから出したときにシャッターが下りて自然な先生の様子を収めたカットがありますので最後に掲載します。

中川徹先生

知名度の高さに比べてあまり人物像の知られていない中川先生ですが、お話を直接お伺いして、先生の気さくなお人柄、高い社会性が強く印象に残りました。このカットにその雰囲気を感じてもらえたら幸いです。

ちなみに、私がTRIZに出会った経緯について。
posted by 石井力重 at 21:40| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会活動/TRIZ

2006年05月22日

二泊三日の京都・大阪出張。

明日から、大阪と京都へ行ってきます。発明的問題解決理論(TRIZ)の日本での大家の先生にお会いしてきます。また、京都では研究プロデューサ養成講座を受講してきます。これはKGCさんという組織の行う独創的な講座です。どちらも貴重な機会です。今後につながるものを少しでも得られるようにがんばりたいとおもいます。

2006年05月21日

マインドマップが持つ特徴の一部。

マインドマップ、という放射状に伸びる思考方法をそのまま紙に転写していくような面白い方法があります。以前にもこのブログに書きました。『ザ・マインドマップ』(トニー・ブザン)を読み返してみて、面白い記述を見つけました。以下、引用します。(P208)

○プレゼンテーションと執筆作業のマインドマップの有効性
1、整理不足、失敗を恐れる気持ち、「執筆の行き詰まり」によるストレスや不安を取り除く。
2、新しい情報やアイデアを取り入れることで、連想のための「ひっかかり」を作り、創造性や独創性を高める。
3、プレゼンテーションや執筆の作業における、準備、構成、完成までにかかる時間を大幅に短縮する。
4、分析と創造のプロセスを常に管理できる。
5、プレゼンテーション、論文、研究発表、レポートなどの焦点が明確になり、高度に整理・統合されたものを作ることができる。


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2006年05月20日

アイデア出しの技法ワークショップ(in 東北大)を行いました。

5月20日。今日は東北大/経済で行われているインターンシップの事前講習の一こまに呼ばれて、アイデア出しの技法ワークショップを行いました。参加者は経済学部の学生さんたちが数十名。資料は、5月18日のブログに掲載したものです。

アイデアセミナー1.JPG

内容は60分構成で、個人で行うアイデア出しの技法(マンダラート、マインドマップ)と集団で行うアイデア出しの技法(ブレーンストーミング)を中心に、実際に活用・運営するときのコツやチーム意識のもっていきかたをお話しました。全体の2/3は実際に手と頭を動かしてもらい、アイデアだしを少しだけ体験してもらいました。

アイデアセミナー2.JPG

各チームを回ってみたのですがなかなかいいアイデアが出ていました。今日のセミナーはあくまでアイデアを引き出すためのスキルです。同じ技法を使っても本人の知識や創造性が異なれば出てくる答えも違います。たとえどんなに小さなものでもあらゆる発想には価値がある。そう、どんな時も自分に言い聞かせてほしい、とおもいます。創造性を大切にしてぜひインターン先で活躍してもらえたら幸いです。

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2006年05月19日

光通信発祥の地。

5月19日。コーディネータの仕事で、東北大/通研(片平)を訪問しました。ある先生の事業化研究に関する打ち合わせです。建物の脇には「光通信発祥の地」という石碑がありました。そういえば古くから実学と評価される東北大では磁気材料の産業創出に大きな貢献をしてきていたことを思い出しました。

打ち合わせを終えて建物を出ようとして、出入り口の脇のガラス張りの部屋を見ると記念的な装置が。閲覧自由、ということなので入ってみました。

hagane.JPG

鋼帯式の磁気録音機、だそうです。昭和一桁当時の最先端装置、ですね。

アンテナ装置.JPG

木製のアンテナ装置(広く世界に認められた八木アンテナ)です。仙台〜大鷹森(奥松島)の20kmの距離で電波を送る実験がなされたそうです(1929年)。ダイヤルなども含め全体的に素敵なデザインで、今見るとかっこいい感じすらします。八木・宇田アンテナ

仙台から世界へ。大きな産業がここから創出されたとおもうと感慨ひとしおです。

2006年05月18日

アイデアセミナー(in 東北大)のプレゼン・スライド

本日は週末(5月20日)に東北大で行われるイベント用に、アイデアセミナーのプレゼンを作りました。以下のリンクをクリックするとスライドが見れます。

アイデア出しの技法、ワークショップ(in 東北大 5月20日)

通常は2時間行うのですが、今回は1時間の構成にあわせるために内容を絞ってアイデア出しの基本的なものにしてあります。このほか、会場で配布資料としてマンダラートやマインドマップなどのフォーマットを配布しました。以下のリンクに保存しておきます。

配布資料(マンダラートほか)

アイデア出しの組織運営で得られたノウハウを、こうしたセミナーを通じて社会に還元できれば幸いです。アイデアセミナーは不定期ですが要望があれば開催しています。私の業務(コーディネータの仕事)時間外に行うため平日9-17を除いた時間帯です。セミナーに関するお問い合わせは、rikie_ishii@yahoo.co.jpまでご連絡ください。

2006年05月17日

(6)「経営革新」段階

・この段階に入ると、すでにベンチャーマネジメントの領域を越えてきている。「ある1事業」の成長力は鈍化。新たな事業を立ち上げることが求められる。言い換えると、次々に新しい事業を立ち上げることができるマネジメント環境を整備する段階。
・この段階の最大の競争相手は「マーケット」そのもの。
・2つ目、3つ目の事業では、経営者自らがその事業に関われるという点で、企業の中で行うのが有利であることが多い。ただそれ以上の数になってきたときには、どうか。仕組みとして企業の中で新規事業を行うメリットを提供し続けることができる企業になることが、「経営革新」段階に入るための条件。
・企業参加者が共感できる理念・ビジョンの共有化が必要であるし、それに基づいた先見力のある事業ドメインの設定とコアスキルの先行的蓄積などが必要。そのためのインフラとしての事業システムはさらに強化されなければならないが、ただ、その一方で環境変化に対して柔軟でなければならない。また管理システムについても、参加者が納得できるシステム作りが必要。
・特に経営者には、これらの参加者の方向付けができるビジョンの提示とリーダーシップが求められる。
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2006年05月16日

(5)「事業拡大」段階

・この段階は、急速な成長を実現する時期。前段階で高レベルの事業運営の仕組みを作り上げれば、急成長を実現することも可能。ただこの時期には企業参入が激しくなるうえ、顧客からもさまざまな要求が突きつけられる。これらに対して、企業としても常に新しい製品・サービスを開発して、顧客の信頼を高めることが求められる。
・そのためには、コアスキルやそれに基づいたシステムを、より一層強化するための研究開発投資を持続的に実践していく必要がある。
・人材面でも、多彩な才能を持った人材を採用する必要がある。そのためには、常にやりがいのある仕事を創造できる環境を整備し、成果に対するインセンティブを高める制度の導入が不可欠。
・企業としてのリスクが相当低下するため、資金提供者は増えてくる。事業が順調であれば、株式公開が視野に入ってくるため、資金が必要な場合はそれまでの間のブリッジファイナンスを行うことになる。また最近ではマザーズなどの開設で、この段階での株式公募による調達も可能に。ただ、現在の問題は、株価がオーバーバリューになりがちなこと。短期的に企業は潤うが、その結果、従業員に対するストックオプションの行使価格が上がったり、株主もその後損失を蒙ることになるなど、中期的にはデメリットが大きい。適正なディスクロージャーと株価政策が求められる。
・経営者の資質としては、事業の推進力に加えて、ステークホルダー全体のメリットを考慮するバランスのある経営力が求められてくる。
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2006年05月15日

(4)「事業開始」段階

・この段階は、本格的に事業を立ち上げるための極めて短い期間。ただ、どのようなスタンスで事業を立ち上げるかが、その企業の将来のポテンシャルを決める重要な時期でもある。
・ある1事業について、「試行」段階でのトライアンドエラーを繰り返して構築してきた事業システム、管理システム両面の「システム化」を受けて、事業を一気に立ち上げる。これまで同企業がネットワーク化してきたすべての人材、取引先などとの関係をフォーマル化して、本格的に動き出す。ただ、さまざまな問題が発生してくるため、それらへの修正を逐次かけながら動かしていく。極めて緊張感に満ちた時期。
・人材的にも、各業務経験者を要所に配置しておき、その連携についてもスムーズにいくような手はずを取る必要がある。
・「事業開始」のためには、相当の資金が必要。建物・装置などの設置設備、サンプル品や在庫、売掛金などの運転資金に加え、先行的な採用による人件費などが発生。顧客からのクレームや検収待ちによる追加資金など、当初予定以上の資金が必要となるため、余裕資金の用意が不可欠。
・したがって、本格的なVCからの資金調達が必要で、事業計画書を基にしたVCとの信頼の中で進めることが肝要。また、事業展開を一気に拡大させるために、戦略的に事業投資家からの出資をあおぐことも視野に入ってくる。
・クリティカルな時期であるため、管理体制については、タイムリーな運用体制が求められる。業務、資金繰りなどの状況をリアルタイムに把握するとともに、迅速な意思決定が出来るシステムの構築が求められる。その一方で外部からの支援を得るために、オープンな体制を構築することが必要。
・経営者には、このような状況をリードできるリーダーシップと、冷静な判断力、体力が求められる。
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2006年05月14日

(3)「試行」段階

・この段階に入ると、事業色が一気に強まってくるため、この段階で企業を設立するケースが多い。まだ事業会社ではないが、一歩手前の事業開発会社とでも言える段階。事業の進行状況で見ると、
  ・製造業であれば試作開発、
  ・ソフト会社であればベータ版開発・配布を行うまでになる。
  ・流通業であればモデル店による営業活動がスタートし
  ・サービス業であれば一定の地域や顧客層にテスト的にサービスが開始される。
・コアスキルについても、すでに開発・獲得は終わっており、特に知的財産権については、出願を済ませている。
・この段階では、事業システムが60%程度まで固まっている状態。ただ、最終的にどの事業者と正式に関係を結んで取り組んで行くかについて選択の可能性を残している。
・人材面については、数人以上が正社員として参加するようになり、事業化にむけて一丸となって推進している。したがって企業として進む方向についても、しっかりした理念・ビジョンの確立が欠かせない。
・試行開発のためには相当の資金が必要になるため、資金調達は極めて重要になる。自己資金の豊富な経営者以外は、外部からの調達に頼ることになる。ただ、まだ試作ができていない中での資金調達となるため一般的なベンチャーキャピタル(VC)からの調達には苦戦することが多い。したがってエンジェル的な投資家、あるいは、シード専門のVCからの調達が中心とならざるをえない。
・この段階から必要になるのが管理業務。まず組織管理で重要なことは全員周知の意思決定。形式的なフォーマル化も必要。また、実績管理についても、まずは資金繰り中心ではあるが、予算実績管理をスタートさせるとともに、個別業務処理についての管理をスタートさせる必要がある。規定類についても最小限のものを揃えて運用することが求められる。
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2006年05月13日

(2)「企画・開発」段階

・この段階になると、ビジネスモデルが明らかになってくる。ビジネスモデルとは、「事業構想」から一歩進んで、
  @具体的な対象顧客と製品・サービス内容ならびにそのメリットを明確にするとともに
  Aそれを実現する仕入れ、製造、開発、物流、回収といった事業システムを明らかにしたもの。
  Bまた、事業システムの運営コストと収入の発生パターンを明確にし、
  Cその結果、当事業に関わる全てのステークホルダーがメリットを受けるようにシステムを構築していることが必要条件である。
・資源調達面についてみると、
  ・人材では、経営者に加えて、企画あるいは開発人材の採用も視野に入ってくる。
  ・資金面では、この段階では事業リスクが読めないため、主に自己資金で手当てすることになるが、公的助成金などを活用した資金調達も可能。
・この時期の経営者の資質としては、企画・開発力に優れていることが最も重要であるが、幾人かの社員が加わる可能性もあることを考えると、この事業を起こす必然性、すなわち理念やビジョンを明らかにしていくことが求められる。
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2006年05月12日

(1)「事業構想」段階

私が起業家支援を行っているときに参考にしている書物にベンチャー企業の成長段階別事業立ち上げプロセスというベンチャー6つの段階ごとの立ち上げ内容をまとめたものがあります。今日から6日間にわたり紹介します。

・まだ企業になるかどうかわからない事業の構想を自由に発想し、まとめていく段階。
・この段階で必要とされるもの、3つ。
  ・卓抜な事業構想
  ・それを実現するためのコアスキル獲得の可能性
  ・センスの良い構想者の存在
・『事業構想』は、単なるアイデアや発想ではなく、それを一歩進めて、事業の中核部分(誰のどのようなニーズに対して、どのようなソリューションを、いかなる方法で提供するか)が明確になっていることが必要。
・さらに、それが時代の潮流をリードするものであることに加え、他社の参入がそれほど用意でないものであることが重要。
・『コアスキル』(たとえば、超精密加工力、特殊材料の調達力、強力な営業力、特別な顧客との関係、特殊な業界での人脈、知的財産権、システム構造全体など)を他社に比べて優位に開発あるいは獲得することが可能でなければならない
・『構想者』の資質。単に新しいことを考え出す能力だけではなく、それがどの程度深い問題意識から生み出されているのかが重要。また、それを現実のものにする実行力も求められる。
・これらの条件がそろってはじめて、その事業構想は次の企画・開発段階に入っていくことが出来る。

本内容の出展はこちら
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2006年05月11日

ノーブレス・オブリージュ(noblesse oblige)

誰しも人の中には未だに言葉に出来ないでいる価値観やコンセプトというものがあるとおもいます。私もそうしたものがたくさんあります。それをジャスト言い表している言葉に出会ったときに人は「おお、まさにそういうことを言わんとしていたんだよ」という感触を受けるでしょう。

私が最近であった言葉の一つに「ノーブレス・オブリージュ(noblesse oblige)」という言葉があります。辞書によると、これはフランス語であり「高い身分には(道徳上の)義務が伴うこと」とありました。さらにグーグルで検索してみました。http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rls=GGLG,GGLG:2005-31,GGLG:ja&q=noblesse+oblige パソナの南部社長がサイトでコメントしていることなどがとても分かりやすいです。

今の日本社会に高貴な身分という概念はシンプルな指標では述べることが出来ないかもしれません。地位や年収や学歴は高貴な身分と直接的にはかかわりが無いと考えておくべきかもしれません。では、高貴さとは何か。私が思うに現代社会における「高貴さ」とは「品格」と言い換えることが出来るのではないかと思います。前にも書きましたが決してお上品になることではなく、「長期的な社会観をもち、目の前の浮き沈みに踊ることないこと」「志を高くして我が道を究めること」といったことだと思います。こういった人を『プロフェッショナル』と表現するならば、ノーブレス・オブリージュは「プロは社会的であれ」と言い換えられるかもしれません。

プロは社会的であれ。

厳しいビジネス社会でその世界のプロになる。営業のプロ。経理のプロ。研究のプロ。生産のプロ。コンサルのプロ。本当に突き抜けたプロになるには、ノーブレス・オブリージュの言葉を時折振り返ってみたいものです。

2006年05月10日

ブレスト、4つのルール

アイデア出しの組織(アイデアプラント)を運営している時に、ブレストをよく行います。ブレストとは、ブレーンストーミングの略称で集団で行う発想技法です。4つのルールがあります。ブレストの原典的表現はリンク先をご覧ください。以下は、私たちがやってみて経験したことを踏まえて、ルールをご紹介します。(通常、4つルールとして上げられる順番、表現、とは異なっています。説明についても、一歩踏み込み、意訳したものとなっています。)

1、質より量
たくさん出すと、いいのも出てくる。人の創造性にはそういう特性がある、らしい。

2、自由奔放・突飛な発想を歓迎
ばかげたアイデア、と思うなかれ。スケールのでっかいアイデア、未来のアイデアだ、と思おう。

3、ほかの人のアイデアに便乗
ブレストの参加者の意識として、その場で出されるアイデアは「私たちのアイデア」だ、と意識するようにします。「あなたの」「私の」という意識を捨ててください。ブレストの場でみんなが囲むテーブルの上に出されるアイデアは、いわば共有財産。私たちの手によってさらに、面白くしちゃいましょう。Aさんの意見に、BさんCさんがアイデアを発展させます。Dさんは戻ってもいいです。Aさんのアイデアついて、別の視点からDさんが便乗してもOK!もちろん、Aさんもさらに便乗OK!結合してもかまいません。Bさんが出したアイデアとDさんが出したアイデアをくっつけて、新しいアイデアを出してみてもよいです。

4、批判禁止
アイデア出しでは、批判者がいると場は急速に冷えます。脳みそがなぜか硬くなります。「それってお金がかかるよ」とか「誰もそんなのほしくない」とか「無理じゃね?」といいたくなったときには、それさえも活用しましょう。建設的な文章に言い換えます。「小さいお金だったらどういうアイデアになるか」「(もしそれをほしい人がいたとして)極めてまれなほしい人がもっと喜びそうな製品仕様は?」「成功確立が低ければ(たとえば1%だとしたら)、1000回同時にやると、10回成功します。だったら、いっぺんに1000回やるアイデアは」と、自問してみる。あるいは、チームの中でつぶやいてみる。

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posted by 石井力重 at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 事業活動/アイデアの技法

2006年05月09日

60億人の意思で運営される社会。

人の世は、どんなに広く見ても、地球上の住人である60億人の人間によって構成される社会でしかありません。”世界はゆるぎなくて・大前提的なもので・あらゆるモノゴトは英知の光で明らかにされている”、そんな風に世界を感じることは標準的な人間の意識であるとおもいますが、実は経済や文明や私たちの暮らす社会システムは、高々60億人の人間の意志によってデザインされゆるい合意のようなイメージの社会の総意思で運営されています。(もちろん厳密に言えば必ずしもそうではありませんが。)

いきなり脱線ですが、もし将来世界人口が減って世界に人間が100人くらいしかいなくなったとしたら、世界経済というものは非常に足りていないことや未充足ニーズにあふれているでしょう。社会制度もきっと懸命で完全なもの、と頭から信じるものではなく、むしろ改善がされうるべき程度もの、と感じることになるでしょう。人口100人といえば、一世帯5人としたらせいぜい20世帯しかないわけですから。このくらいの人々が制度改革をすれば考慮不足だった法律でも検討されつくすことなく成立する可能性がある、と想像することは難しくありません。

さて、本題に戻ります。60億人の世界。というのは、どれだけの人がいると捕らえるべきでしょうか。無限に近いくらい多い人がいる。と私は感じていたのですが、60億のイメージがそもそも実感としてわかないことがどうもその原因だとおもい、『60億』のもつ量感を可視化をしてみようと思います。

60億=6,000,000,000=6,000×1000×1000

まず、「1単位」に相当するものとして1ccの水を考えて見ます。1cm×1cm×1cmのさいころサイズの容器に入っている水。これが1ccです。一グラム。でもあります。このさいころのような「1単位」が1000個あるとどれくらいの量になるでしょうか。

さいころを縦・横・高さ方向に10個ずつ積み上げていくと、1000個になります。10センチ立方の箱の中に入っている「1単位」が1000個、ということになります。これはちょうど牛乳1パック(1リットル)に相当しています。

ではさらに×1000を考えます。同様に、10センチ立方の箱を、縦・横・高さ方向に10個ずつ積み上げていけば、1メートル立方の箱になります。この中には、「1単位」×1000が1000個入っています。すなわち1,000,000個です。一メートル立方の水、というのはお風呂の水よりは大きいですが、規模感としてはそれくらいのサイズの水の量になります。

では、残る6000ですが。まず、6000のうち300使って考えます。300個の1メートル立方の箱を、25個ずつにわけます。すると全部で12セットできます。これを25メートルのプール(幅12メートル)につめていきます。するとちょうど300個です。プールの深さが2メートルあればさらに同じ300を上に入れていくとちょうどプールの深さは一杯になります。これが1メートル立方の箱600個分の規模感です。6000個は、このようなプール10個分に相当します。

以上を要約すると、1センチ立方のさいころの様なサイズの水を「1単位」とすると「60億」というのはプール10杯分の水容積に相当します。確かに多いですね。でも、60億、というのは決して無限に多いわけではなく、せいぜいそんなもんだ、といった感覚にもなります。

人間の脳は5%しか使っていないといいます。人間の脳みその容積のおよそ5%というのは、1センチ立方(よりはもう少し大きいと思いますが、せいぜい10倍くらいでしょうか)としたら、世界中の人間の有効活動している脳みそを集約したらそれはおよそプール10杯程度、ということになります。(もちろん、活用している5%というのは局所的ではないとおもいますが)

人類の英知で成り立っている今日の社会は果たして賢明でしょうか、完全でしょうか、十分に熟成した社会でしょうか。答えは簡単ではないと思います。ただ、人間が感じるほどには人間社会は十分な完成度にはなく、まだまだ新しい発見や発展というものは、ごまんと生まれてくるだろう、という前向きな社会観がごく当たり前に思えませんか。この世の中はいろんな取組みチャンスに満ち満ちた世界であることはきっと間違いではない、そんな気がします。

2006年05月08日

「一年の1%」は「2.5日」

ビジネスの観点で見ると、一年という時間はどれくらいになるか。このことをはっきりと意識することで時間の有効活用が促進される気がします。

一年間は、52週で構成されています。年末年始の1週間と、お盆の一週間は是非とりたいもの。そう考えると、一年間の営業できる期間は、『50週』です。一週間は、月曜日から金曜日までの5日で構成されていますので、一年間は、50週*5日=『250日』です。

一年間の1%というのは、その1/100、すなわち『2.5日』です。

『2.5日』というのは半端な気がします。でもよく考えるとこれは、『月曜+火曜+水曜(午前)』という時間です。あるいは『水曜(午後)+木曜+金曜』という時間です。

この2.5日の時間感覚があると、一年が過ぎていく感覚がよくわかります。続きを読む
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2006年05月07日

「東北の起業家の地域に対する意識」(産学連携学会2006 発表要旨)

6月に東京で産学連携学会があります。一般講演で首記のタイトルの内容で発表します。サブタイトルは「起業家にとっての地方の魅力・メリット」。これまでの東北地域の起業家・ベンチャー経営者のインタビュー記録から、試みとして起業家の意識に見られる「地方で起業することの魅力・メリット」を抽出して分析してみよう、というものです。

これまでの相関関係を計算することで定量的な関係性を分析する研究スタイルから脱皮して、これまでは捉え切れていなかった「定性的な要因」について光を当ててみようという試み的な発表です。方法論としては、調査記録(データベース)から、起業家の地域への意識という情報を抽出し、その情報要素を、KJ法などによって分類・構造化したものです。

東北の起業家の地域に対する意識 (要旨)

抽出できた情報は全部で30です。これを小グループに集約して、7つの要因(+α)に整理できました。さらに、大グループに集約して、3つの要因(+α)に整理できました。地方ならではの特性を意識した起業家支援スキームを開発するために、そうした要因が検討の一材料になれば幸いです。ちなみに3つに集約したその要因は以下のものです。

1)リスク・コストが低いこと。
2)活用度のひくい良いリソースがあること。
3)豊かな生活環境があること。


詳しいことは発表時に述べるのですが、高度な知財戦略と人の問題。ベンチャー経営者のストレスマネジメントの問題。など、従業員・パートナー・起業家本人・グローバルな顧客層といったいずれも「人」に関する部分から面白いヒントが得られそうな気がします。私自身も結論を出せる段階にあるわけではなく、発表によって参加者とのディスカッションからフィードバックを得て行きたい題材です。学会が楽しみ!

2006年05月06日

失敗さえもきちんと蓄積すれば知的財産

あるナノテクの社長さんが昔大変興味深いことをおっしゃっていました。「実験装置を一日かけて運転して、予想通りのものが出来なかったときに、その運転記録を失敗だぁ!といって捨てたりしない。全て紙に出力して台紙に張り込んで、きちんとファイルしておく。」「『うまくいかなかった』というこの経験は、こういう条件でやるとうまくいかない、という知識が得られたことだ。これもきちんと形式を決めて蓄積していくことで知的財産となるし、実際に、そうした知財を外部が評価してくれる。失敗も含めたデータ群をストックファイルという”カタチ”にしておいたおかげでそれを担保にして資金調達できたこともある。」と。

私はこの話しを伺った時のことを今も鮮明に覚えています。大きな実験装置を運転することのコストはかなりのものです。人件費、材料費、エネルギー代。それから実用化実験への開発競争における時間ロス。これらをかんがみると実験の失敗をなるべく減らそういうことはあるとしても、失敗それ自体も知的財産だとして、手間をかけてそれを保存していくという姿勢が素晴らしいと感じました。さらに、それを蓄積したことでそれ自体に資金調達能力、すなわち担保価値が出てきた、という事実を聞いて大変感心しました。単に「失敗も経験」といった精神論ではなく、実際に会計帳簿上の価値になる。そういう事実にはっとしました。

このとき以来、自分の「創り出す」行為を失敗しても必ずオープンもしくはクローズに記録しておくことを無意識に行うようになりました。眠い日もありますが、それでも明日には忘れるような定性的な事柄などを眠気をこらえて記録してから寝ています。そのようなやわらかい情報は記録していかなければ、かなり早い段階で「単純化した記憶」に成り下がってしまうことにも気が付きました。相手のニュアンスや言葉の機微に含まれている暗喩。などなど。

今では、ある種のスキームを開発することが多くなりましたが、こうした各フェーズで経験する仕事を汎用化して記録して、将来再構成することで、ハンドブックを作れるようになったらいいなぁと思いながら、各種の作業を推進するようになりました。
posted by 石井力重 at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー

2006年05月05日

KJ法(大量で多様な情報の整理分類の手法)

昔、営業マンだったころにシステムアドミニストレータの勉強をする機会があって、その時に役に立つ知識をいくつか学びました。特にプロジェクトマネジメントの基礎的な考え方と、KJ法などをつかってシステム化要件をまとめていく手法がとても勉強になりました。

今日は学会の発表論文を執筆するために、このKJ法を活用して、ある情報群から新しい発見を試みていました。(コーディネータとしての仕事をしつつも、MOT研究者としての活動は継続していますので)。東北地域の起業家・経営者の方に私がインタビューしてきた記録データがあります。それを活用してそこから、当初の想定とは異なるものを引き出してみよう、という作業をしています。

通常、社会科学で行うインタビューでは十分に準備をしてインタビューがなされます。十分に設計されたインタビューでは、構造化された質問項目により定量的な分析ができるようにしてあります。しかしそれ以外にも雑談やインタビュイー(=インタビューを受ける人)による積極的な語りにとても重要なコメントが含まれたいたりします。今回は、そうしたインタビュー会話を文字にした資料から、『地方で起業することの魅力・メリット』を抽出しようと試みています。

この発表にはそれ以前の研究での仮説「特定のビジネス環境要因が地域の大学発ベンチャー創出を促進している」に対する自己批判というか、次の段階への発展の材料、といった意味あいが多分に含まれています。これまでは、主に大学や企業の数、といった定量的な要因をメインにしてそこで十分に説明できるだろうという前提条件で分析をしていたのですが、どうも地方に立地する企業にはその枠組みではあまり説明が出来ません。つまり『なぜビジネス環境要因の比較的乏しい東北を起業の地として選んだのか』という問いに対して、『そういうものとは違ったものがここにはある』というものが複数見られてきました。それを今回は、荒削りながらも、分かったことを分析して発表してゆこうというものです。

さて、KJ法。これは3つのステップからなっている作業です。

1)得られた情報を小さなカードに書き込みます。一枚のカードにはなるべく一つの情報だけを入れるようにします。複数の情報はなるべく分割します。

2)似た内容のカード同士をグルーピングします。グループにはそのグループの構成情報を代表するタイトルをつけてそれを新しいカード(グループ・テーマ・カード)に書きます。全てのカードをグルーピングします。中には他のどれともグループにならないカードもありますが、それは一つのグループとみなします。

3)グループ同士を似たものでまとめて、さらに大きなグループを作ります。同様にその大グループにも新しいテーマ・カードをつけます。この大グループ化を繰り返して、最終的に、2〜3グループになるところまでこの作業を繰り返します。

こうすると当初はばらばらで関係・構成を持たなかった情報の集まりが、ツリー構造になってある文脈で語ることが出来る情報群になります。これが情報から知識を引き出す作業としてのKJ法です。

この手法は情報整理だけではなく、大規模な文章を執筆することにも使えます。執筆しようとする細切れの情報やアイデアの断片をカード化して再構成することで大規模な文章を自然な構造の文章に昇華していくことができます。


これをインタビュー記録を相手に、こつこつをカードを作り、やってみています。最初は手間が面倒だと思ったりもしたのですが、全部をカード化してそれらを分類・統合していくと、予想よりもはるかに多くの思考ステップがすすめられるのを実感します。これまで漠然と記録を読み返していたころよりも、気が付くことの量・質が向上するのが分かります。さて、これを後はどう意味解釈するか。この辺が研究者の資質の一つでもあります。同じデータを見てもその意味付けは必ずしもユニークではないからです。面白い作業、でもあります。
posted by 石井力重 at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 事業活動/アイデアの技法

2006年05月04日

家族の休日。流木で創作。

5月4日。今日は家族でユリアゲ海岸にいっていました。娘が砂遊びをするのに付き合うことにあきてしまい、その辺に打ち上げられている漂流物(流木と切れたロープ)を砂浜から集めてきて組み合わせたりロープをくくりつけたりしながら、戯れに創作物を作ってみました。

ちょうど、竜の尻尾のような流麗なフォルムの長い流木と、咆哮する竜の口のような流木があったので、それを主題に、竜の首の突起をロープで表現してみました。(ちなみにフレームの端っこに娘が一心不乱に遊んでいる姿が映っています。)

Ryu 全景.jpg

これを逆光で撮影すると下のようになりました。

Ryu.jpg

最後は娘よりも自分のほうが遊びに夢中になっていました。たまには時間を忘れて青い空の下でゆっくりとこういう一日を過ごすのもいいですね。仙台ライフの素晴らしいところは、少し行けばすぐに山・森林・河原・海岸があって、豊かな自然の中を満喫できるところだと思います。知的生産活動や創造的な仕事をするには申し分ない住環境に感謝!

2006年05月03日

セグメンテーション&ターゲッティング

ある保有技術を生かして新事業を立ち上げる際にどの市場を狙うことにするか、ということを考えるときに、対象市場を詳しく分析して、「この市場セグメントに狙いを定めて事業化しよう」と意思決定することになるわけですが、これをセグメンテーション(市場の細分化)とターゲッティングといいます。とても参考になるのがレオナルド・ローディッシュ『アントレプレヌーリアル・マーケティング』です。以下、引用します。

セグメンテーション:対象となる市場をいくつかに分割すること(市場細分化)。
セグメント:そのように分割されたグループ。
『セグメンテーションの狙いは、自社の商品・サービスやマーケティング活動に関心を示す顧客を明らかにすることにある。そしてセグメント内のニーズが同質のものとなり、なおかつ他のセグメントのニーズとは異質のものになるように作業を進めていけば、セグメンテーションの目的は達成されたことになる。』
『ベンチャー企業の場合は対象セグメントは一つか二つ』


さらに加えて、市場のセグメントを選ぶときに、解決しなければならない3つの問題がある、と続けています。

1(最重要)「自社が提供しようとする価値を、ターゲットとするセグメントは、他のセグメント以上に求めているか」という問題。この場合の「価値」とは、商品の物理的な特徴ではなく、消費者によって知覚された「効用」。

2(最重要)「セグメントに迅速に到達するにはどのような方法があるか」という問題。流通チャネル・メディアの利用は?自社で展開?セグメントに到達するための手段は、費用対効果からみて割りにあう?競争相手より早くセグメントに到達し、そのセグメントのリーダになれる?

3「セグメントはどのくらいの規模のものか」という問題。その規模が、セグメントの開拓コストに見合うだけの収益が得られる大きさでなければ自社は損失をこうむることになる。


この後に続いて、”タンデム・イースト社の「ターゲティング」”という明快なケーススタディーがあり理解が促進されます。セグメンテーションをどういう属性の2軸で表現するかは、逆に上述の問題をクリアするために、起業家により「発見」されなければならいのだと思います。
posted by 石井力重 at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー

2006年05月02日

ポジショニング

ポジショニング、について、私自身はセグメンテーションと曖昧に考えていたことだったと思います。市場の何処に陣取りたいのか、ということは、実はセグメンテーションです。ポジショニングは、提供価値1、2という2軸であらわされるMAP上で、他社とは違う価値を抜群に提供するというまさにその構図がポジショニングです。以下、引用をしたいと思います。

『「自社はここを狙おう!」と決めたターゲット市場で、自社の商品・サービスが提供する価値を、競合他社の商品・サービスが提供する価値に対して、どのように位置づけるかを考えること、それがポジショニングである。つまり「どうすれば、他社のものではなく、自社のものを購入してもらえるか。そのためにはどのような価値を提供すればいいか」を考えるのがポジショニングだ』(出展:『アントレプレヌーリアル・マーケティング』)

私見:ここでいうターゲット市場は、次に述べるセグメンテーションをする前の、広い市場である、と解釈されます。おおくくりに、○○の市場、という感じで選定した市場をここでの「ターゲット市場」と解釈。そして実際には、ポジショニングとセグメンテーション&ターゲッティングはスパイラルのように行きつ戻りつしながら実現性の高いものに収束させていくものでもあると思われます。なので、ターゲット市場は、必ずしも□□レベルの規模感でなくてはならないといったものではないでしょう。
posted by 石井力重 at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー

2006年05月01日

Entrepreneurial Marketing

レオナルド・ローディッシュ他(訳:笠原英一氏)がベンチャーに特化したマーケティングの本を書かれています。『アントレプレヌーリアル・マーケティング』(つまり、起業家的マーケティング)日本語訳ではすこし砕けたタイトルで『成功した起業家が毎日考えていること』という名前で中経出版ンから出版されています。

この中には、どの章にも学びになることが多いのですが、現在の私の支援業務で特に役に立った部分が以下のものでした。おのおのは他の教科書などでも書かれていますが、それを端的にまとめている点でとても良い本だと思います。(そのまとめているのは原著には無い、訳者笠原氏によるものです。)

会社を起こす前にまず考えること

[独自能力]
自分の会社ならではの強み
 ↓
[ポジショニング]
提供価値(1軸・2軸)のポジショニングマップ上で
自社の位置を決めることで顧客に提供する価値を明確にする。
 ↓
[セグメンテーション・ターゲッティング]
顧客市場を属性によってグループに分け、
自社が狙うグループを決める
 ↓
[事業コンセプト]
「誰に」「どのような価値を」提供するのか


(出展:同書p15、一部抜粋・加工)

本には、図も2つ付いていてそれが理解を促進します。私がMOTの大学院生をしていたある時期に「アントレプレヌーリアル・マーケティング」に興味を持ってそれについて書かれた本を探したのですが、和書では数えるほどしかありませんでした。ベンチャーが”初期の顧客獲得”にとても苦しむというのは前職での経験でも、あるいは研究者として日々接する生の声・書物からもよく見聞きしていてその辺をどうクリアするか、という問題意識があったためです。このレオナルド・ローディッシュ氏の本には、すぐに利用しやすい考え方がとてもよくつまっています。『コンセプトテスト』についてのくだりも、とても勉強になりました。
posted by 石井力重 at 06:09| Comment(0) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー
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