2008年01月31日

創造的思考を創る

某大手企業の創造性コンテンツの開発の支援の仕事をしています。

彼らはとても良い製品を創り、世界中に名前が知られている企業です。コンテンツにのぞむ要件をヒアリングから定義し、対象者の属性を鑑みて、コンテンツを「創造的思考」にしました。ブレスターを用いて、ブレインストーミング体験なども盛り込みます。ブレスターが出来てからは、こうしたコンテンツの効果がとても良くなりました。創造性コンテンツについて、いつでも一定水準を必ずクリアできる、というのはとても難しいのですが、その辺をがっちり支えてくれます。

最近、同様の相談・依頼が増えています。30年のときを経て、日本社会には、創造性の重要性が増している、ときどきそう思います。(30年前、私は4歳だったのでリアルタイムでは知りませんが。)効率的につくることから、新しいモノを創ることへ、社会の構造の変化は、人材にもとめるものを変えてきたと思います。そうした中で「現代的なテイストの創造工学」が必要とされています。そうした声に丁寧に答えてゆきたいと思います。



追記:

仙台にはクリエイティビティーに造詣の深い機関、ネットワーク、人材、が実は結構集積しています。ブレスターの開発チームが「たまたま近くにいた人同士でのプロジェクト」ではなく「創造分野、それぞれの専門性を持っている人材同士によるプロジェクト」です。

ブレスターの開発に関連して時折、なぜ仙台に創造性のチームが?という声は、多いですが、実は仙台には知的な風土を醸成する背景があります。演劇、音楽、学都(市民100人当りの学生人数は8人!と多い。)、コンパクトシティ、真夏日と真冬日の総和がもっともすくない政令指定都市であり、高いQOLが存在すること。そして、仙台に外から来て定着するクリエイティブ・クラスが実は多いこと。そんな背景があります。

2008年01月30日

研修を受ける時は、真剣な気迫で臨んでいます。

専門的な仕事をする日々ですが、そのスキルアップのために設計された特別な研修、というものがあります。年間に数日間ほど、東京に滞在し、その研修を受講しています。

その研修で、東京に来るたびに心底思います。

この数日間という時間を投資するからにはおもいっきり学びたい!
骨の髄まで、というくらいの気迫で。

数日間の時間は、未来のための時間。
どれだけの価値創造をするのか、それを意識して
研修にのぞんでいます。

2008年01月29日

ITmedia訪問

1月28日、ITmedia社を訪問してきました。

itmedia_houmon.jpg

別件で東京に来ていたので、以前から知り合いであった方を訪ねて。簡単なご挨拶の予定でいましたが、夕方から2時間ほど、お話をさせていただきました。

創造工学、というものを私は大学院の研究テーマにして、、しっかり枠組みをつくろうとしています。現場でイノベーションに取り組むリーダたちに届けたいと考えています。その意味では、今回の訪問も、そうした大志へむけって小さく歩を進めるための1つになりそうです。時期がきたら、あたらめて、このブログよりご報告します。

2008年01月28日

自作幸感仮説

自作幸感仮説.jpg


「人間は自分が生産した、手作りした
ものが多いと幸せを感じる生き物のようだ。」

と友人のメールにありました。彼は政治家を本気で目指して現在修行中。このメールをもらったのは随分昔なのですが、それ以来、ずっと気になっています。

拡がるつながりがありそうです。それについて、友人たちとの会話が広がりました。

「まちを楽しくすることが、
 まちを楽しむ一番の方法。」

「自分で主体となって作用する要素を持つ」

「社会を楽しくすることが、社会を楽しむ一番の方法」

「楽しませられるよりも、楽しませたほうが、もっと楽しい」

「自分の子供は他の家の子供より、断然かわいい」

「ベテランの人の中には、特に報酬がなくても
 若い世代を育てていくことに喜びを感じる人々がいる」

「最高の学びの場は、自分の体験に基づいて他の人に教えること」

「真剣度が違ってくる。すると全身の神経が研ぎ澄まされ、頭もフル回転する。
 すると今まで見えなかったものが見えてきて、今までわからなかった難問が解ける。
 すごい満足感や達成感・充実感を得ることができる」

「かけがえのない”リアル”な体験」

「主体的に取り組んだほうが、面白い」

「失敗するとその分痛いけど、それもすごい勉強になって次につながります」

「自分の作品の一番のファンでいたい」





自分でしなくていいことは人に任せる。そんなことをしらりといいきってしまうことは多いわけですが、それは何でもかんでも、では幸せになるための知性に欠いているようです。自分でやろうとしがちな人々というのはいます。私も割りとそうです。幸せにいきるのに重要なこと、というのは、どうやら、効率とは別のところにも沢山あるようです。

2008年01月27日

リーガル、お店の空気が心地よい。

仙台の街中、南町通りと東二番町通りの交差するところに、リーガルシューズのお店があります。私は10年ぶりにそこにいきました。当時、なんどもそのお店にいっていました。理由は買った靴が痛かったからです。私のかつてのバイク転倒事故が原因なので、私だけの痛みなのですが、なんども見てくれました。残念ながら結局はかないままになってしまったのですが、そのときのことを今日、10年ぶりにお店にいって思い出しました。

店員さんはすっかり変わっています。お店のムードというか空気感はかわっていませんでした。私は手短に持参した靴の中敷が欲しい、と説明すると笑顔で快く中敷を選んでくれました。リーガルのような良い靴ではなくSCで購入するような靴でしたが、丁寧にみてくれました。10年前の事故で痛めた足の影響で、左右の足の大きさが違います。靴底サイズは同じですが、足の窮屈さが違う、というべきでしょうか。なので、普通の中敷では右がすかすかでした。そこで、中敷に更に厚みをつけるパーツを取り出して、何度も調整してくれました。最後には、丁寧に磨いてくれました。

明日からの出張で、この靴を履きたかったので、これにはとても助かりました。前にこの靴で出張にいったのですが、ぶかぶかの方の足をかばう余り、反対の足に大きな豆が出来てしまいました。そして歩くことをなるべく避けるような行動をしていたと思います。この中敷をつけてもらったおかげで、靴がぴったりになって、とても歩きやすくなりました。

明日から出張なんです。どちらまでですか。東京です。あら、そうですか。そんなたわいも無い会話。距離感がちょうどいいんですね、親しすぎず、冷たすぎず。中敷の料金は1000円に満たないものでした。普通に中敷だけをSCで買うのと大差ありません。私は、その靴を磨いてもらっている間、随分、お店の靴を手にとってみていました。今日は持ち合わせが無いので、買いませんでしたが欲しい靴がいくつかありました。そして、またこのお店に行きたいと思いました。

もしかしたら、すぐには行かないかもしれないし、欲しかった靴は無くなるかもしれません。ただ、10年前に感じたのと同じ空気がありました。そして10年前にも「欲しいモノが数点ある(今回の欲しいと思ったものとは違います)」と感じていました。私が次にちょっと良い靴をほしい、とおもったら、ここのお店に足が向くだろうなと思いました。そしてその心地よい空気の中で、たのしく買い物している自分を容易に想像できます。

仙台にオススメのものはいくつもあります。この街中のリーガルのお店も、仙台で靴を買うなら、オススメです。心地よいきもちをふくめて、よいお買い物が出来ます。

2008年01月26日

事前シュミレーションの重要性を再認識した日。

今日は、仙台の起業家たちによるパネルディスカッションがありました。私もコーディネータとして参加させていただいて、進行させていただきました。

とても貴重な意見や情報があったと思います。私自身、質問したいこともいっぱいありました、コーディネータの立場なので質問が限定的になりましたが。

毎回、かなり事前準備には力を入れます。今回もそうでした。しかし直前に急に身内にアクシデントがあり、当日の直前練習を充分にして望めませんでした。

最終的にとてもよい場になっと思います。しかし、パネラーの方をもっと引き出せる余地があったと思います。極簡単なことですが、事前シュミレーションをしていると、緊張して手や口が動きます、今日は緊張の中で、事前シュミレーションを出来なかった自分が「メタ認識をしていない」で進めていることに気がつきました。

自分やパネラーの意見がどう見えているのか、そのうえでどういう流れにするのか、そういった流れを感じる余裕がありませんでした。

事前シュミレーションが組まれすぎていると、自然な流れにならない、と自分に小さく言い訳をして、その場に立ちました。やはり、自分自身の緊張が大きくなり、受け答えはできるけれども、メタ認識をするまでの余裕がなくなりました。メタ認識には、一人称と三人称の立場が必要ですが、一人称でいっぱい。

気持ちの持ち方、というのもありますが、素振り(知的な仕事における事前シュミレーション)をしておくことがいかに重要かと、痛感しました。

近頃の自分のエリを正すべきこととしても今日のことは深く覚えておきたい、と思いまいた。


教訓:
日々の素振りは、緊張した自分の思考能力の負荷を減らす。


それから、アクシデントがあっても、事前練習が必ずできるように、リスクに備えた準備をしていく。そういう構造をつくっておくことが大事だと思いました。(それは何か、すこし考えてみたいと思います。)

2008年01月25日

物事への心構え、2つのスタイル

最近までの長い間、心のありようがシンとしていました。武道で言えば、「静」。ものやことが表現していること、発するシグナル、人や社会の微妙な機微、そんなことに、心をしずめて耳を傾けている、そんな感じ、とでも言うべきでしょうか。

私の長い人生では、それは久々の経験だったと思います。小学生のころは、(これでも)文学少年で一日に本を何冊も読む子供でした。そのころはそういう「行間にあるモノを感じる心の繊細さ」をもっていた気がしますが、それ以降は、割とラジカルな日々を送ることになります。競争社会で競争を楽しんでいるふしさえあったかもしれません。

30代の前半をすぎて、デザインやアート、という私のこれまでの思考フレームワークで捕らえられないものを取り込む経験がありました。それは私の好きな創造やアイデア、が橋となり、私の中に、広がった世界です。そこでは、私は自然体であるがままを感じてみよう、と思いました。出張先で、夜に、国立美術館の国宝を見たり、絵画カードを購入してみたり、デザインについての価値感を素直に自分の中で感じ取っていく時間をすごしました。

そこの中では私は、創作というものに向き合うために、自分の内省的な部分にも、つよく意識を持って、いました。

ここに来て有る出来事があって、ぱっとその状態が切り替わりました。従来の心構え、武道で言えば「動」に近いもの、でしょうか。

この「静」と「動」の2つのスタイル(物事への心構え)を簡単に簡単に絵にして見ました。

2つの心構え.jpg

AとBで大きく違うのは、エネルギー状態です。Aは最少のエネルギーで、静。しかし、必要なエネルギー(生命活動や、他とのコミュニケーション、ある種のアウトプット)のラインを時々は作る必要がある。なので、時々、パルスのように上がる。

このスタイルではエネルギーは少なくてすみます。しかし、難しいのは、単発のパルスを短い時間で立ち上げることです。時には必要なレベルに達せられないことも。

Bは、エネルギーを使って生きること。いわば、動。必要なエネルギーをずっと上回っているので、課題やイベント(出来事)は当然余裕でクリアします。エネルギー不足でしくじることは無い。波があったとしても、レベルを超えた領域であれば、失敗はありません。

このスタイルではエネルギーが非常に要ります。積算するとAよりはるかに多くのエネルギーを必要とします。

このAとB、どちらが、いい、というわけではないと思います。両方ありだし、局面ごとにそれを使い分けるくらいでいいとおもいます。力の抜きどころが必要。というのも、昔水球をしていてよく経験しました。常に動き続け続けると、ダッシュのスタミナが温存できなくなります。

なので、AとBをいったりきたり、がいいんでしょうね。ただ、最初の異なるスタイルの経験時期には、そちらにどっぷり身を浸すことが本質理解に必要だと思います。

イメージにしたら、右にあるモノが、大きく左にふれて、そして左も充分体験したら、左右をうまくあわせて使っていく。そんな感じであると思います。

私は、先日、Aである自分を感じました。感じたのはBのスタイルに戻るきっかけがあったからです。

興味深い発見としては、もどってみて初めて、BじゃなくてAのスタイルであることにきがついた、ということです。これは、Aになるぞ、と意識したわけじゃないので、自然とそうなっていった、それを自分ではあまり意識していなかった、ということですね。

物事への心構えには、こういう2つのスタイルがあるのだと思いました。多分、別の視点でそういうことはこれからも経験があるのだと思います。そのときに、今回のことをよく思い出したいと思います。きっと、このB→A→Bの経験は、Aになっている自分、を認識するのに役に立つでしょう。

2008年01月24日

経済学研究科でのディスカッション第一回。

今日は休暇を取って東北大にいっていました。創造工学についてまとめてみよう、と思っていたので博士課程での研究テーマに出来る可能性を模索しています。それにふさわしい先生がいらっしゃったので、今日はその第一回ディスカッション。

私が想定していたよりもアカデミアの視点は専門的先端さがいるとわかりました。しかし手が届かないレベルではないようです。

『創造のプロセスの博士、石井力重』
と称されるのが大学における研究のゴール。

しばらくは、複数の活動に加えて、研究活動も本格的に行うことになりそうです。面白くなってきました。

ただ、そのために、その前の晩は徹夜で仕事を仕上げて、研究ディスカッション資料をつくり、という作業。ここは覚悟していくしかないかもしれません。楽しければ苦ではありませんから。
posted by 石井力重 at 23:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究活動/検討メモ&資料

2008年01月23日

秀でている人の共通の能力

秀でた一握りの人の洞察力の共通点は「シンプルモデル化」力にあるようだ、そんなことをメールを書きながら自然と気がつきました。仮説の域を出ませんが、直感的に、そう感じています。メールの内容を掲載します。


送信メール(一部修正)


戦略、マーケティングにしても、技術開発、研究者にしても共通した「秀でた人と評価されやすい目印」がありますね。メールを読んで、その意を深めました。

それは、「シンプルモデル化」力、とでも言うべきものがあること。

複雑で曖昧な社会現象や条件や影響要素の多い自然・物理現象。
その中で
1『要素を抽出する』
2『関係性(〜構造)を見出す』
という2段階を能力の高い人はしています。

ただ、ここまではと、割と存在するのですが、
それを「ごっそり削ぎ落とす」ことができる人は稀です。

前半は『モデル化能力』、後半までできると「シンプルモデル化能力」。

シンプルモデルは、秀逸な思考のオモチャ。見る人の興味を引いて、それを手にとって弄り回したくなる魅力があります。

削ぎ落としていくと、モデルは魅力的になります。ただ、「これがないと、それじゃなくなる」というところは確実に残す。それは、センスであり、能力であり、アートなのかもしれません。

ブレスターの開発チームには、優れたデザイナーがいて、センス面を醸成してくれています。その影響もあって、最近は私は、デザインを学んだり、「絵を描く」「芸術」にも自然と興味が出てきました。

多くの優れた経営者が、アートや茶道に造詣が深い理由が、うっすら分かる気がします。

2008年01月22日

等価変換理論

いま、ずっと読んでいる本があります。『図解でわかる 等価変換理論 技術開発に役立つ70のポイント』という本です。

等価変換理論を学びたいと思い、この本をじっくり読んでいました。まえまえから発想支援関係者のスライドに見ていた「等価方程式」に苦手意識があったのですが、表現はとっつきにくいですが、表現するところは分かりやすいものでした。そして私が最近気づきつつあるあることに大きな示唆を与えてくれました。




  等価方程式
  
     Σa
     ↑  cε  
  Aο     =    Bτ
vi→         ↑
            Σb


これだけ見ると、なにやら難しい分けですが、意味はとてもシンプルです。

Aοから特有の条件群Σaを取り去ると、本質cεが抽出され、これに特殊な条件群Σbを加えるとBτが出来上がる。

つまり、
Aο−Σa=cε
cε+Σb=Bτ

(viは、観点(ものを見るときの角度や立場、考え方の方向性:開発目的にあった観点を1つ選ぶ))



なるほど…。
ある観点で、事象をみると、本質と副次的なものにわかれます。
その副次的なものを取り去り、こんどは、別の副次的な衣を本質に組み込みます。そうすることで、別のある事象になる、と。ここが基本ですね。

なお、それはある観点で、という部分がとても重要だと思います。ある観点で事象をみたときに、その事象の「要素」となるものが見出されます。そしてそれらの関係性がついで見出されます。つまり「構造」ですね。この用途と構造が本質となり、新しい衣を着せればまた別の事象になる。

しかし、別の観点で見れば、最初に抽出された「要素」は必ずしも要素化されはしません。観点が変われば要素となるべきモノが変わって然りです。そうすると構造も変わります。つまり抽出される本質が変わる、ということですね。どの観点で見るのか、あるいは見れるのか、が大切ですね。
posted by 石井力重 at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究活動/検討メモ&資料

2008年01月21日

tangible+ソフトウエア、仮想世界との橋に注目。

初めて目にしたもの。人間の認知の特性上、それが何であるのか、どういう意味を持つのか、を理解するまでに、それを手でもてあそんでみたり、いじり回してみたりして、基本的な要素や意味性・構造を理解します。

手にとって触れること−tangible(タンジブル)−は、新しいアイテムの理解にとって非常に重要なようです。

ところでソフトウエア、あるいはPCやネットの中の世界について。これは人はごく初期の段階で、とまどいます。右上のところを押して、とか、○○キーをおしてこうして、といったことを「物理的な認知」をとおして、PC内の仮想世界を、擬似的な物理世界へと再構築しているようです。

その階段をのぼっていると、ソフトウエアの新しいのに触れたときにも、その「擬似タンジブル」ができているので、比較的早く慣れます。

PC初心者が高度なソフトの中の概念についていけないのは、そうした、PCと物理的な実際の世界をつなぐ最初の端がないため、擬似タンジブルが出来ないため、では無いでしょうか。

PCをずっと触っていると持ちはじめるある種の感性、感覚。対象ソフトをぐりぐりと動かしている感じ。(多分マウスやタッチパッドの物理的動作も寄与していると思います)。

PCになれた人でも操作感がおおきくことなるソフトでは随分とまどいます。極端な例としては、数年前におばがかった「ワープロ専用機」というもの。それは独自のOSがあり、キーボードと専用ボタンがいくつも。一見PC風ですが、操作がことごとくPCと違うので、ずいぶんとまどいました。慣れるまでが大変だなぁとおもいました。自分のPCなら直ぐに出来る作業も、それでは2時間かけても出来ませんでした。

これが、タンジブルなものだと大分違うようです。異なる道具でも触っていると「ああ、なるほど」といった感じに比較的早く理解がヒットします。

そこで、tangibleとソフトウエアの橋、という考え方です。本来タンジブルなはずのモノがタンジブルでないケースが増えています。その逆もあって良いとおもいます。玩具、とは本来、tangibleとfunとtoolの3要素がありますが、最近はこのタンジブルがない玩具が増えつつある。デジタルな玩具です。仮想世界でぐりぐりとうごかす感覚が育っているんですね。さて、ではその逆、にヒントを得ると次の可能性が考えられます。

「ソフトウエア修得専用アイテム」

ソフトウエアの世界でぐりぐりと動かす感覚。それをPCに慣れていない人の中に育てるために、ソフトウエアの世界観に近い動きをもったアイテムをソフトウエアに同梱する、というスタイル。具体的にどういう形をしているといいのか、わかりませんが、ある種の基本動作が実際にそのアイテムでアナログの上で行えて、それをもとに、仮想世界内の理解を深める。というアイテムが考えれます。

例えばセカンドライフ。仮想世界の中の操作に疎い人に。操作パネルをプラスチックでつくり、ボタンを押したりダイヤルをひねったりする何か構造をもつ。実際には、それがコントロールする必要は無くて、ただもモックアップでいいのではないかと思います。

先にあげたワープロ専用機ならば、特殊な操作メニュフォルダーの形状を、真似した展開ファイルフォルダーを、実際に紙やビニールでつくって同封しておく、それだけかなり理解が進むと思います。

これからは高度なソフトウエアには、プラスチックで出来たら、「擬似tangible促進アイテム」が入っている時代になるのではないか、ふとそんなことを思いました。
posted by 石井力重 at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究活動/検討メモ&資料

2008年01月20日

娘とおはなし創作カード

コクヨの「はじめてのかるた あいうえお」という正方形のカード数十枚からなる商品があります。たまたま見つけたので娘と使ってみました。

人や行為や動物やモノや環境などを表すカードがあります。それからシールもあります。そのカードの場面に登場するだろうものです。たとえばお皿カードにはケーキシール。ただ林檎ものるかもしれません。

娘はシールが好きなので、直ぐに張り始めました。線路には電車、スクーターにはヘルメット、といった対となる概念をよく理解していることがわかりました。なるほど、思ったよりもわかっている。普段、ことばでそれを促しても答えられないけれど、絵であればかなりできるのだと。

貼っていくと、多少、食い違いが出ます。お皿に、ケーキと林檎をはってしまったので、林檎の木にはるシールが無い。お空のカードにロケットを張ってしまったので、宇宙のカードに張るものが無い。手のカードに指輪をはってしまったので、宝石箱のカードがあまり、腕時計のカードも余った。みていると、宝石箱に腕時計を、ということになった。なおロケットは下向きに張ったので、それでは逆かな?ときいたら娘いわく、これは帰り。とのこと。なるほど。

ひとしきり遊ぶと今度は、簡単な遊びをしました。犬小屋に行くとあるものがいました。さて何でしょう?え、犬?そう正解。線路をがたんごとんがたんごとん、何がやってきた?でんしゃだよ。そうだね。といった感じです。

そして今度は良くきってめくっていきます。最初の三枚は私が適当にお話を作りました。お皿に乗っているケーキを食べてから、海でヨットにのりに行きました。帰り際には、植木鉢にお花が。といって娘に振ります。一枚引いて答えて、といったらそれをスムーズに10枚以上お話が続きました。次女が来てお話しが終わってしまいましたが、意外と、おはなしの創作がこのカードで簡単にできるもんだ、と感心していました。

kodomo_ga_sousaku.jpg


その夜、寝る前のお話を「カードを思い出してやってみよう」といったらかなり思い出して適当にお話を創って話してくれました。たのしかったようです。自分で作る(シールを張る)というこういは、愛着を高め記憶を強くするにはとても良いようです。ぱっとめくって出たカードで即座にお話を考える。そのときにモチーフが2つくらいしかない(犬と犬小屋、線路と電車など)から考える自由度がおおきくよさそうです。

2008年01月19日

芸術を感じる心

ある先生のお話で聞いたことです。抽象性の高いある絵を被験者に見せてその視線移動をみると、初めは絵の中にある「目」に視線が行くそうです。人間は目に視線をおきやすいのだそうです。そしてしばらくしてから、その複数の目と目の間を視線が行ったりきたりします。そしてその作業が終わるくらいになると、その絵画の意味が汲み取れる、何を意味しているかを感じ取る、そうです。

先生いわくこれを
「要素の抽出」
「関係性の理解」
という2段階だと。

これは、以前書いたモデル化の基本とよくあっています。人間が意味性を理解することとそのシステムの構造やメカニズムの理解には近いものがあるようです。

感じる心、とは不思議なものですね。誰にでもあるけれど、捉えようとするとたちどころに雲のように消えてしまうもの。しかし、その本質には上記のようなモノがあるようです。



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posted by 石井力重 at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究活動/検討メモ&資料

2008年01月18日

カード化の効用

あるコンソーシアムに参加したときのことです。興味深い事例が次々出されたのですが、ブレスター開発者の視点で注目した話がありました。

ある講演者の方が、組織の構成員メンバーとともに発想を拡げるゲームをされているお話をされました。初めにカード(そこには予測された先端技術が書かれている)を引かせて自分の戦略の材料にさせている、という点です。

それから足りないカードは、自分で生成してもいい、という点がさらに面白い点でした。

このカード化されたケースは私に様々なヒントを与えてくれました。


ヒント1

たとえば、未来予測の資料として、技術版であれば経済産業省のロードマップがあります。社会全般についてであれば、生活総研の未来年表があります。これらはどれも優れていてそこには未来を見越した戦略を立案するためにヒントとなる情報があふれています。それは誰もがアクセスできるWEBに公開されています。しかし一部の人が利用するにとどまっています。ロードマップについては冊子も発行されています。WEBにアクセスすることなく情報が閲覧できます。しかし、それが有効に活用されているのは一部のようです。私も内部でアイデア出しをする際に利用しています。参加者に、印刷した参考資料を発想の材料として閲覧してもらうことがあるのですが、余り有効には効果を発揮していません。これらが、カードであったらどうだろう、と思いました。

 2013年
 ○○が
 □□に
 なる。

あるいは

 2018年
 ○○技術が
 実用化され
 □□な課題に
 対応できる。

といったシンプルなカードがあってそれらをさささとめくるならば、大分違うでしょう。


ヒント2

ブレスターの母艦となるアイデアボードを開発していたとき(一年前)のことです。ブレスターの発想トリガーカードであるTOIカードには、もともと英語の48の問いかけリストが存在していました。初めはそれを翻訳し、リストにしました。そしてそれを使って発想していました。しかし、どうも全部を試すのは時間がかかるし集中力が保てない。なにせ48もありますから。それから、どこまで見たか分からなくなります、途中で発想作業が深まり始めると。そこでカード型にしたいとおもいました。なぜそう感じたのかは正確には思い出せません。しかし、カードにしてみました。極簡単なものです。ラベルにその問いかけフレーズを印刷して、それを100円ショップのトランプに張りました。たったそれだけ。そしてそれを使って発想をしてみました。するとハッとしました。「出会い頭の発想トリガー効果」とでもいうべきか、あるいは、「視界に入るものが単一な状態の印象効果」とでもいうべきものがありました。

簡単に言えば、「本のページに書き連ねられた文章」を変えて「一ページに一行しか書かない本」にしたような感覚です。本をめくって、ぱっと開いて、たった一行”○○がただ好きだった”と書いてあったら、ハッとしませんか。たまに本の一ページ目に、そういう表現をみかけます。あれです。

カードに戻りますが、一カードに2文ずつ乗せてみたものもあるのですが、格段に「発想トリガー効果」が無いんですね。まず読み取り2つの文があることを理解する。それから一つずつ、発想にヒントとなるか考えてみる。そんな作業になります。これが一文だと、見た瞬間に「発想のヒント」として目に飛び込んできます。このちょっとした差はインスピレーションにとってとても重要のようだ、と感じました。


ヒント3

情報に、感触の記憶を持たせる。ということ。情報を得たときに、それを体感記憶として残せるとそれが右脳的(図形的、イメージ的)なものとして残る気がします。例です。あるブロックをかってみた。すごくかどのアールがきれいにでている。さわるとつるつるで、手の暖かさが直ぐに伝わる。写り込む蛍光灯の光の列。そんなものを体感したときに覚えている記憶。一方それがない記憶、例えばビデオで見せられたもの、写真や文字説明など。それらの間には大きな認知上の差がありそうです。カード化した情報には「感触」があります。カードの角を無意識のうちにしごき、ぴちぴちはじいたりして、手の持つぬくもりや紙の曲げなどを手になじませます。そうした手でもって触れること(タンジブル)なことは、情報をより馴染み深い記憶にとどめる、野ではないかと思います。


ヒント4

『アイデア会議』にでてくることに「アイデアを紙に書く」ということがあります。発言者とアイデアを切り離し客観的に評価、選択できやすくする効果があると。これはとても重要だと思います。それでそれは、カード化の効用と一部関係がありそうです。



カード化がもたらす効能は、昔から人々が気がついていたものがあるだろうとおもいます。発想トリガーとして私なりに気付きを書いてみました。これについてはもう少し掘り下げて考えてみたいと思います。
posted by 石井力重 at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究活動/検討メモ&資料

2008年01月17日

感性価値という未来

感性、というキーワードを軸にした産業の新しい展開可能性が見えつつあります。

感性とは、まず何か?そこからはじめると長くなりますので、人がモノやコトを感じること、といったくらいのアバウトに捕らえておきます。(辞書を意訳すると、外部からのインプットを得て心が感じることをさしているようです。なお、外部の刺激を認知することと同一に考えられがちだけれども、認知してそれから、感じる、という作業になるようです。ある種の障害をおった人の事例では、見て存在を理解するけれども感性的な感情変化がない、ということがあるそうです。)

経済産業省が、第四の価値軸の提案を行う『感性価値創造イニシアチブ』を策定しています。


METIサイトから引用します。

『検討内容を「感性価値創造イニシアティブ」として取りまとめ、2010年度までを「感性価値創造イヤー」と定め、感性価値創造の実現に向けた施策を重点的に行います。』

とのことです。

第四の価値軸とは、感性価値、と表現されています。それについて引用します。『我が国が引き続き、暮らしぶりを向上させ、活力のある発展を遂げるためには、従来のものづくりの価値軸(性能、信頼性、価格)に加え、新たな着眼点からの価値創造』『生活者の感性に働きかけ共感・感動を得ることで顕在化する商品・サービスの価値を高める重要な要素を、「感性価値」』

具体的な取り組みの方向性としてはいかが示されています。

「感性価値創造活動の支援・事業環境の整備」
「感性価値実現のための経営学的方法論・人間工学的研究の推進」
「感性価値を生み出す人材の育成・発掘」
「感性を育む感性教育の強化」


感性価値創造イニシアティブのページには各種の資料があります。

上記のプレスリリース、
それから概要が直ぐに分かる資料(ここにはなぜ感知価値か、や、感性価値に優れた企業の共通点、中小企業の取るべき方策、などが示されています。)
事例集(ここには47の事例が載っています。見るだけでも楽しい資料です。この事例リストは示唆に富みます。)


注目される産業動向において、従来の強くて大きくて中央局在方の構造から、小さくて繊細で偏在する感性の活動へ、駆動力やトレンドが生まれる可能性がありそうです。

追記
posted by 石井力重 at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会活動/全般

2008年01月16日

机しがみ虫。

「机しがみつき状態」にあると感じたときの処方箋を発見しました。

”疲れたら休憩したほうがいい”と分かっていながらも、どうも調子が乗らず、用でもないことをしていることってありますね。「机しがみつき状態」とは、そういう”仕事をしないで机にいる状態”です。 これをシンボリックに「机しがみ虫」と命名しました。

さて、その「机しがみ虫」の処方箋ですがまとめると以下です。


■処方箋

机しがみつき状態かな?とおもったら

「すぐ着手する」か

「すぐ休憩する」かの

どちらかを即実行する。



(発見の背景)
 先日、机しがみ虫になっていることに気がつきました。そんなときに、ちょっと、視点をかえるために、体を動かす用事をしました。簡単なことで、300メートル先のポストに郵便物を投函する作業です。普段は「効率が悪いから、帰りがけに」とおもって、机の脇においています。
しかし、その日は「(机しがみ虫になっている時に)意識して休憩したらどうなるか?」と考えて、夕暮れのさむい中、ポストまで歩いてきました。外に出ると夕暮れの空を見て、いろいろ季節や日々の生活のことが頭にうかびました。

 席にもどるとリフレッシュしていました。そして、気がつきました。
(気付きその1)調子が乗らない時には、「とにかく着手する」か「すぐに休憩する」かをしたほうがいい。
(気付きその2)中間的な「机しがみつき付き状態」が実は一番もったいない。机しがみ虫になっているくらいなら、すぱっと休憩してしまった方がいい。
(気付きその3)休憩してもどったら「仕事に即着手する(ファイルをクリックする、資料を机に持ってくる)」だけをする。後は少し先の自分に判断を委ねる。

これだけで、いいんだと。

仕事は「まず着手せよ」という考え方があります。なかなか手が出ないでいた仕事もやり始めてしまえばそれほどでもない。はじめるまでが、長い。そんなオフィスワーカーの特徴をとらえて「まず着手せよ」と。

なので、一連の動作のように訓練をしてすりこんだらいいんだ、と。

「机しがみ虫」になっていることに気がつく。
 ↓
「すぐ着手」か「すぐ休憩」
 ↓
「休憩して戻ったら、とにかく、着手だけ、する。」

処方箋としては、長いので「すぐ着手」か「すぐ休憩」だけを切り出しました。

机しがみ虫になっているな、と感じたら、直ぐ休憩して、もどったら、資料を机に集めファイルを開く、ことだけを試してみてください。オフィスワーカーにとって、シンプルで当たり前だけれども効く処方箋になるとおもいます。
posted by 石井力重 at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー

2008年01月15日

アイデアを言う時の7つの状態

アイデアを言う、という機会は誰にでもあります。自分からは言わない人でも、話している相手がアイデアを言うのを聞くことは必ずあります。

私はアイデア出しに関係する仕事をしている関係上、どちもよくあります。特に起業家コミュニティーにいると、頻繁に「アイデア」を耳にします。

さて、アイデアを言われたとき、あるいは言うときに、どういう対応をしていいか、判断に迷う事はよくあります。アイデアが未成熟過ぎる場合に、まずは伸ばすべき対応がいるのか、それとも懸念事項を指摘してアイデアの強化材料をだすべきなのか。

これは、言う側が意識してる必要があります。聞く側が意識しているのも効果的です。

まず、大きく分けて、アイデアに関する作業には4つのフェーズがあります。それらのどのフェーズにあるのかを、意識することが最初です。

4つのフェーズ。
0「問題を明確にする、分析する」
1「アイデアを出す(広げる)」
2「アイデアを絞る(評価する)」
3「具体化して、アクションプランにする」


まず、フェーズ0について。
この段階では、次の3つの行為がありえます。

・情報獲得(インプットを増やそうとする)
・基本的な方向性を褒めてもらう(着想の感触を確かめる)
・観点だし(見えていない部分を知ろうとする)

あることを思いついた。でももっと場合の数を増やしたい。そこで、ある種の情報をもっていないか、とたずねて回る。そんな情報獲得の作業があります。
それから、思いついたことの方向性が社会的におもしろいとおもわれるか、ざっくりしたアイデアでも話して拾遺の反応をみる、という作業があります。
それから、自分の見えていない部分があるはずで、そうした部分を見るために、いろんな人の観点を聞き、取り込もうとする作業があります。

この時には「問題を明確にしたい」ということを両者が共有していないと、相談されたとおもった相手が問題解決を提案してきたり、構想の未成熟さをしてきしたりします。これは、フェーズが違います。

フェーズ1について。
アイデアを出します。自分一人でもするでしょうし、誰かをたのんでアイデア出しに付き合ってもらうこともあります。アイデアを一緒に出して欲しい、ということを相手に適切に伝えてからはじめる必要があります。ブレインストーミングに付き合ってもらう感じです。

それを両者が意識していないと、「絞る」作業をはじめられてしまうことがあります。あるいは、「具体化、アクションプラン化」を。

なお、ブレインストーミングは他の人の観点・情報が発想を広げます。

フェーズ2について。
ここでは大きく分けて2つあります。
・評価要素を列挙する
・懸念事項を洗い出す
アイデアを評価するために、この手のテーマは、どういった要素が大事なのか、評価軸の候補となるものを集めようとします。その分野のベテランの人に「ご意見をいただきたい」といったトーンで相談するような形です。あるいは多くの人に選ぶ指針をきいて、そこから得ようとします。

このときに、相手にその旨を相談しないと、「広げる」作業をはじめられてしまいます。もっといいアイデアがある、と。

なお、懸念点をリストアップする、というときにその分野に詳しい人やひろい知識を持った人にアドバイスをもらうことがあります。その懸念点の洗い出し。そして対策案を考える、というときにも、誰かに相手になってもらうこともあるでしょう。対策案を考える、という作業はまたブレストです。大抵は懸念点を出してくれた人と重なります。

フェーズ3について。
アイデアを具体化して、アクションプランにします。そのために、社会の各種の情報を得る必要があります。それは具体的になったときに、どう表現されるべきか。まったく実現性の無いことは具体化する過程で淘汰されるべきです。またアクションプランを立てるには、必要な全てのリソースが利用可能なことを確認する必要があります。

これらをうまく伝えないと、相手は混乱します。アイデアを持ってきた割にはがっしり基本骨子がある。なにを私はすればいいのか、といったトーンです。

以上が、アイデアを人が言うときの状態7つです。相談を受ける人は自然とその受け止め方を調整していますが、本質的にはこういうことをしていることになります。それを意識しているだけでも、随分コミュニケーションがスムーズになるのではないでしょうか。




まとめ:『人がアイデアを言う時の7つの状態』


フェーズ0(問題の明確化、分析)
  ・情報獲得(インプットを増やそうとする)
  ・基本的な方向性を褒めてもらう(着想の感触を確かめる)
  ・観点だし(見えていない部分を知ろうとする)

フェーズ1(アイデアを広げる)
  ・アイデア出し(ブレスト)

フェーズ2(アイデアを絞る)
  ・評価要素を列挙する
  ・懸念事項を洗い出す(+対策案をブレスト)

フェーズ3(具体化、アクションプラン化)
  ・リソースの利用可能性を調べる

2008年01月14日

アイデアを焦点付ける

アイデアの質を高めようとしたら「焦点付けることがアイデア会議の終盤に必要」と意識してみるだけで大分違います。

そこで、ざっと、アイデアを焦点付ける、という概念を絵にしてみました。

idea_focus.jpg

説明:

アイデアは、思いついたばかりの時は”思いつき”です。そういうアイデアを重要だと考えて沢山だすわけですが、見落とされがちな大事なことがあります。それは「未成熟なアイデア」はそのままでは現実の解決には遠い、ということです。

沢山のアイデアからスターアイデアを取り出していくわけですが、終盤ではアイデアを焦点付けるがあります。これがアイデアの品質を高める重要な作業です。通常は意識しないで「じゃあ、具体的にはどういう風にしようか」といった話し合いをへて焦点付けられています。

手にさわれず見えもしないもの(概念のようなものや制度のようなもの)は、おうおうにしてその焦点付けるフェーズが不十分だったりします。メンバーの創造への知性がばらばらだとこの手の作業は難しかったりします。


絞って具体化する。実はそれだけでなく、全体性をもったシェイプになります。つまり具体化していくときに整合性が自然と担保されます。もちろん、ただたんに具体スペックを書いただけではいびつなもののままです。それを見直し調整するから、そうなります。
posted by 石井力重 at 06:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 事業活動/アイデアの技法

2008年01月13日

ビデオレターの効用

最近、ある取材を受けました。割と自由な友人だったので、「取材の電話の変わりに、動画で質問している姿をとってそれをアップしてもらったら何か違ったものがありそう。試してみませんか?」と提案したところ、じゃあ、ということでやってみることになりました。

向こうのしゃべっている姿を聞いて、問いごとに再生を一時停止してこちらもしゃべりながらビデオをとり、回答を吹き込んでいきます。そして全部の答えをいって、アップして相手に報告。

この作業は、文字や電話の取材より、たのしかったです。こちらの自由な時間で対応できること、相手の表情がみえるので意味合いを直感的に汲み取りやすいこと。それから、カメラが回っている間は、相手がいるのと同じで、できるだけ早く回答しないと、という緊張感も働きます。

結果、ぱっと聞かれてその場でぱっとこたえると、かなり深いところまで回答がでました。これは文字で来た時にはなかなかない、おもしろい感覚です。

ビデオレターというのもいいかもしれない。
posted by 石井力重 at 06:18| Comment(0) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー

2008年01月12日

ブレスターの使い方ビデオ



試行的に、ブレスターの使い方ビデオを録画・アップしてみました。今後、きちんとしたものを取って、オンラインショップなどのサイトからユーザの方へ情報を発信していきたいと思います。

今回まずは、テストケースとして。

2008年01月11日

人生で初めての商標登録。

朝、オフィスに出てみると、特許庁から封筒が。あけてみると、商標登録証。ブレスターの商標が正式に取得できました。

shohyo.jpg

今回は、インキュベータの支援機能を利用して弁理士の先生にアドバイスを頂いたり、発明協会の出願支援を活用して、商標の出願から登録の手続きまで全てを体験しました。

起業家支援の仕事の一つには、戦略的な知財マネジメントもあります。単に出願するだけ、取るだけ、ではなく事業戦略をかんがみて、商標を出願し取得することが重要だということを、実地で経験しました。

MOTの大学院時代にも知財マネジメントは学んでいましたが、実際におこなうというのは、かなり違いました。具体的にしか行動というのは起こせない、という簡単で重要なことを体で感じました。商標一つとるにも、いろんな作業が必要で随分、あちこちに行っていたことを思い出します。

この辺を経験を私の支援する起業家さんにも、実体験を踏まえてアドバイスをしていきたいと思います。

2008年01月10日

仕事のはじめに、よいフィナーレを明確に描いて貼っておく。

大きなボードに達成したいことの写真、絵、フレーズを貼り付けるという手法があります。思いを具現化するには、困難や長時間から来る情熱の劣化を乗り越える必要があります。その意味では、このビジュアルを活用した手法には様々な示唆が含まれています。

最近は『○○地図』という概念をビジュアルか、MAP化する手法の本をつぶさに読んでいました。表現は平易な事例と言葉で、簡単に書かれていますが、心理学的なものよく考慮されています。また、過去の優れたケース(偉人)のエッセンス(思考様式)に近いものも感じとれます。

そこで、そうした手法にアレンジを加えて、小さな仕事ごとに、そのエッセンスを3分で設計できるようなカードを試作してみました。

good_finale_card.jpg



運用の仕方はこうです。

0.上記の図を12センチサイズに印刷しておく。(3〜10枚)

1.仕事の依頼が来る

2.次の状態を想像する。
  『その仕事をやりきって、最高の成果物が出来上がって
   みんながとても満足。
   みんな=顧客・自分・ビジネスパートナー
       ・顧客にとってのお客さん(”顧客の顧客”)
       ・社会のあるカテゴリー等』

3.そのゴールの状態を書き込む。(「絵」と「フレーズ」)

それでもなお、初めの一歩がなかなか踏み出せない人は、

4.「まず、なすべき事は、________です。」の枠に
  10分で終えられる簡単な作業を書き込む。


これを書くだけで仕事は随分うまくいのではないか、と仮説を持ちました。なお、4.については、思いつきで結構です。本当にPM的に仕事を俯瞰して初めに必要な作業をする、となると荷が重い。大事なことは「まず着手せよ」ということ。それを促進するためにあります。


補足
posted by 石井力重 at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | メソッド&ハウツー

2008年01月09日

志を酌み交わす

酒を酌み交わすことから、志を酌み交わすへ

お酒と時間のない中で、見つけたい人を見つけるには
「志しを酌み交わす」ことが、良い方法だと私は思います。



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2008年01月08日

『門 人太郎』に年賀状が届きました。

携帯を使ったアイデア出しのツール「ポケディア」で、アイデア出しを毎回行う連載『門 人太郎(かど にんたろう)』に年賀状が届きました。

nengajo_to_nintaro.jpg

「粋(いき)」ですね。差出人は良く知っている方です。こういうちょっとしたことで、相手をよろこばせるような行為をよく覚えておきたいと思います。

追記:

この「粋」な行為のヒントを考えてみました。列挙します。

・誰でもがもっとも興味を示すもの、それは「自分(その人)」に関すること。
 粋を狙うには、「その人」あるいは「関連する周辺のこと」に目を向けるべし。
・作品やストーリーを創っている場合は、その創造物もその範疇にはいる傾向にある。
・しかしその作品をもじりすぎてもいけない。あっさりとしたもの。
 さりげなく、その世界観にたって、興を楽しむテイスト。
・あるいはその人が大事にしているもの、大事に育てているものの世界、その世界観を楽しむテイスト。
(たとえば商品やブランドのマスコットキャラクターがあればそのキャラクターをあて先にして年賀状を送る、など)


粋なことをするための工夫のパターン、なんて集めたら面白いでしょうね。知識社会において感性的な工夫パターンは重要だと思います。

2008年01月07日

アイデアの技法、一般化と具体化を繰り返す

アイデアを得たら、紙に書き付けます。その他のアイデア(アイデアの周辺には必ずアイデアがあります。(→アイデア探索ツール5viewpointモデル。)

しかし、そのツールがなじまないような専門的な分野もあります。あるいは、それらの内容を思い出せないときもあります。そんなときに、簡単なステップで周辺に存在するアイデアを見つける方法があります。「一般化と具体化を繰り返す」です。

あるアイデアがあったらそれは、一般化したらどう表現されるだろう、と考えて見ます。あるいは、エッセンスにしたらどうなるだろう、と考えて見ます。そしてそれを書き出します。すると、その一般したセンテンスは、先ほど見つけたアイデア以外のアイデアを思いつかせることがあります。それも書き出します。

そうしたら今度は、書き出せるだけ書き出したら、それらをまた一般化します。異なるセンテンスは別の一般化になることもあります。たとえ単なる言い換えることだけでも、観点がことなり、異なる観点から発想を引き出すことが出来ます。大まかに言えば、観点は5カテゴリにーに分かれています。延々と繰り返せるわけではないですが主要なアイデアを引き出すころにはアイデアは数十と見つかります。

このアイデアの一般化と具体化は、紙に書く、ということが特に重要です。書き留める方法はマインドマップなどが有効です。構造をうまく受け止めることが出来ます。書かないと、次第に迷い込みます。書くことの重要性は観点を変えるような作業をするときには特に重要です。
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2008年01月06日

TRIZとブレインストーミングの違いを考察

TRIZとブレインストーミング(及びCPS)の創造プロセスの両方を使っていると共通点と違いが見えてきます。その比較からいくつか考察を行ってみます。

まず、TRIZは創造のプロセスとして以下のような構成を持っています。(おもにUSITをプロセスの代表格として。)
・問題の定義
・問題の分析
・アイデアの生成
・実現(←TRIZの外)

問題の分析におおくの労力を使っていることが特徴的です。その分析をしていくと、それだけかなりアイデアが浮かんできます。それくらい、良い分析ワークを行います。
なお、この全体を抽象化→具体化と構造付けています。

ブレインストーミング及びCPSはこうです。(主にシネクティクスのプロセスを代表格として)
・問題の定義
・アイデアの生成
・アイデアの収束
・行動計画

大きな構造としては似ています。しかし項目ごとにみると違いがあります。特に興味深いのは、問題分析と発散(アイデア生成)のフェーズです。

問題分析:

TRIZでは、問題分析を行うために非常にパワフルな思考ツールがあります。その問題分析をじっくり行っていくだけでかなりの量のアイデアが発想できます。一方CPSのほうは、その点はかなり定性的。これは、TRIZが技術システムを対象にしているために、具体的に分析ツールをデザインできているのに対し、CPSは広くアイデア一般を扱います。主にビジネスアイデアが多いと思いますが、それだけに限定しません。なので、いろいろな対象で使えるように広くて、ややゆるめの問題定義手法が用意されています。

発散(アイデア生成)

ブレインストーミングでは、目標を見定めてはいるものの、非常に広い方向へアイデアは発散していきます。突飛な発想を歓迎する(普通でないアイデアを歓迎する)などが多様性を促進するために入っています。三人寄れば文殊の知恵。三人の異なる観点で広げれば非常に広いアイデアが獲得できる、といったシンプルなルールだけをもったアイデア会議の方法です。一方TRIZは「コンテンツ(技術的ブレークスルーの40パターン)」を持っています。またどの解が適するのかを、問題の構造を分析することで示唆してくれます。そのため、40のうちの4つ程度のブレークスルータイプが今回の問題に適している可能性が高い、というヒントを得て、集中的にその方向についてのアイデアを出します。TRIZはそのため、使ってみるまでに多くの時間とテキストのような情報が必要である点が重たいと感じられることが多いようです。

以上です。

TRIZとブレストでは大きく違うのは解決策空間を埋めつくす選択肢(アイデア)をどのように担保するか、という点だと思います。TRIZは、優れた膨大な事例を調べて分類してブレークスルーの発想を引き出すパターンリストをつくった。CPSは、複数人の多面的な思考を利用して充分に解空間を埋め尽くすためのアイデア会議ルールをつくった。そういうことではないか、と思います。

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2008年01月05日

2007年最大の出会い。中村俊郎さん(中村ブレイス訪問記3)

午後3時ごろから中村ブレイスの別館、メディカルアート研究所を見学しました。中村俊郎さんのご夫人にご案内していただきました。

写真を掲載するのは差し控えたいと思いますが、その製品の質感は素晴らしいものがありました。触ってみて、皮膚の弾力、張り、表面の皮膚感まで、よく出来ています。乳がんで乳房を無くなった方のための乳房もあります。どれも非常に良くできていいました。

この企業が無かったら困る。そう顧客が心底思うだろうモノづくりをしています。(本当はここが一番書きたいところです。仲間内で訪問記を報告する時にはここを焦点を当てて話しています。同社のモノづくりは、涙がでるほど人が感動するクオリティーです。)研究所の内部のことなので配慮して、WEB上には出さずに起きます。ただ、義肢(義手・義足・人工の乳房など)がどのくらいの品質でつくれているのかどうしても知りたい、という方がいらしたらご連絡下さい。多分、同社の製品についてよく知りたいと思っておられる方はずっといるでしょうから。お気軽にご連絡下さい。rikie.ishiiあっとyahoo.co.jp)

その後は、別館の一部である松江銀行本館を移築した建物を見学させてもらいました。詳細は差し控えたいと思いますが、歴史や文化資産を大切にする中村さんの姿勢が形になったようなスペースです。それは思いがけない見学内容でしたが、それもとても興味深く見学しました。

その後、本館に車で戻ると、なんと驚いたことに、中村俊郎さんが社の前でたって待っていてくださいました。これには本当に恐縮し、そして飛び切りうれしかったです。実るほど頭をたれる稲穂かな。中村さんのお人柄だなぁ・・・と深くそのときの光景は焼きついてます。超多忙な社長が縁もゆかりも無い訪問者である私を快く向かえてくださり、午前中一杯お話につきあってくださり、午後は帰り際に見送るために建物の外で待っていてくださる。私はそのときに、圧倒的な何かを感じるのでした。経営学の教科書にあるような大事なマネジメント要素には、ほとんど現れてこないとても大事なものを。

その後、電車の時間が少しあったので、応接にもどり、夫人と同社で働かれている中村さんのご子息のお二人とお話をさせてもらいました。

その中で、私はとても深く感心したモノがありました。同社の社外秘のレポートです。社是とおなじタイトルのその冊子を特別に閲覧させてもらいました。これについては言及を差し控えたいとおもいます。ただ一つ思ったのは、この優れたものを創る優れた企業は、組織全員が知的活動を行なうことに一つの要因がある、ということ。そしてその組織を作ることは非常に難しいことであるが、同社がそれを実現しているのは、志企業であるがゆえ、だと直感しました。

それから駅まで、社員の方に送っていただいたのですが、道すがら、今日も社内に何人か義足の方がいて多分その人を見ていると聞いて驚きました。私は1人だけわずかに、もしかしたらそうかな、とおもったのですが、それ以外の方ではまったく検討がつきませんでした。同社の製品力のすごさ、その真価をしったのは、この一日の訪問の最後の最後でした。

送ってくださった方に御礼をいい、大田市駅で単線の小さな電車を待つ間、私は全てのことをくりかえし思い出していました。同社のことをしっかし頭に入れて帰り、仙台にもどったら仲間たちや私が応援したい企業さんに、今日のことを踏まえて話したいとおもい。


追記:

この訪問記を書くまでに2ヶ月以上の時間がかかりました。忙しかったからではなく、感じ取ったことが多すぎて、どこから書いていいか分からなかった、というのが実情です。今でもまだ、書き出すには早いのかもしれません。

同社のことをお正月に、毎晩寝る前に考えていました。
同社のことを短い言葉で切り取って表現するなら、それは何だろうと。

「THINK、品格、末永く」

知的なクラフトマンの組織、強い組織、その根底は「THINK」
丁寧に手間のかかる工程を重る、ぬくもりの伝わる手作業が生み出す、その優しい製品の根底は同社の風土に感じられた「品格」
顧客の体の一部を創る、分身は非常に長期間使われる、その眼差しは「末永く」未来と顧客を見つめる

そんなことを思いました
2番目の品格は、「優しさ」や「暖かく」と表現しようかとおもったのですが、それよりも一段高いもの=知性、品性を組織風土として感じたので、品格としました。

(ちなみに、シンク・ヒンカク・スエナガク、と韻を踏んでみました)
posted by 石井力重 at 06:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会活動/全般

2008年01月04日

2007年最大の出会い。中村俊郎さん(中村ブレイス訪問記2)

2007年の秋、中村ブレイスを訪問するために島根まで行きました。その朝は気持ちのいい快晴。仙台は寒い時期でしたが島根はまだ秋。コートも要らないくらいの気温でした。

タクシーは大田市駅から大森に向かって走ります。途中、歴史ある建物がぽつぽつ見えてきます。運転手の方の話が道中、「ここも中村ブレイスの建物ですよ」と教えてくれました。後でそこに行って分かるのですが、そこは中村ブレイスのメディカルアート研究所。本当にその人の分身と思えるような義手をつくるところです。

そこから数分、街中に入ると直ぐに中村ブレイスはあります。古い歴史ある町並みにまっちした趣きある建物です。中に入ると上がったり下がったり、増築を重ねたであろう建物の全体像はかなり広いのですが、外から見るとそれほどの大きさには見えません。

歴史的な趣のある概観のためか、石見銀山の観光客の方が時折、同社を観光スポットだと思って入ってこられるようですが、分かる気がします。

タクシーが少し早くついてしまったのでしばらく建屋の前の駐車場で写真を撮ったりしてすごしました。そこには大きな石碑があります。後でしったのでですが、それは松本清張さんから同社に送られた言葉が刻まれているそうです。

「空想の翼で駈け現実の山野を征かん」

この言葉は、中村氏がもつある種の特徴を表現しているとおもいました。壮大な視野と夢があり、暖かなキモチ、情熱、緻密なモノづくり。

午前10時ちょっと前。中に入ると直ぐに応接室に通していただき、午前中から昼食の終わるまで、3時間あまり、中村俊郎さんにお話をじっくり伺いました。

私はWEB上の動画や写真で見た中村俊郎さんが目の前にいることで随分緊張しましたが、飾らない暖かな語り口に、直ぐに緊張をといてもらって、お話を真剣に聞いていました。途中でお茶やお饅頭をだしてくださる事務の女性の方にも、中村さんは丁寧に「ありがとう」とおっしゃりました。その姿を見て、”この人は本当に人が好きなんだなぁ”というのがよく分かりました。(同社の社員の多くの方も、そういっています。)

お聞きした貴重なお話。いくつも書きたいことがあるのですが、それは別の機会に譲ります。お話の後、同社の中にある工場を見学させてもらいました。一つ一つの職場を回り、働く方に声をかけていかれる様子をみて、こうした製品をキモチを込めてつくる職場を育てることの片鱗を見た気がしました。作業中のある方に声をかけて「ここの電気を替えたら明るくなりましたね。うん、随分明るくなって良くなった」と声をかけています。私は義肢装具には詳しくありませんが、そのものづくりをしている方々の眼差し、手の細かい動き、面取り作業の丁寧さ、熟練度は感じ取れました。

強い志によって進み、育った、同社には、暖かさとひたむきさがありました。


どうしてもお聞きしたかったことがあり、近くの食事どころで一緒に昼食を取りながらお伺いしました。

実は、その訪問をする日の朝、私は宿泊していたひなびた宿の小さな机に向かって、”これだけは、どうしても仙台に持ち帰りたいもの。”をカードに書き留めていました。何年もお会いしたい方だったので、山のように聞きたいことがあります、しかし、これだけは、どうしても、というものを「3つだけ」あげるとしたら、何だろう。とじっと考えてまとめたものです。

それは、20年というタイムスケールで、私が私の生き方を続けていく日々で、なんども記憶の中のこの方の後姿に聞きたくなること、だと思いました。そして次のようにまとめました。

1、ディレクション(ぶれない):

   進み続ける方向を指し示し続けるものは何か?

2、困難を越える:

   長く挑戦していれば必ず、壁、障害に出会う。
   のりこえられてきたのは、何があったからか?

3、予測する:

   事業、社会がどう変わるのか、変化にさらされるか、を、
   どう予見している?

これらの質問に対して、中村さんは、どれも、まっすぐに正道で、明快な言葉で、お答えをいただきました。このメモを含めて、この日の訪問では取ったメモは40枚。この40枚のメモを私は、多分、長く長く、懐に入れてもっているだろうともいます。



「ディレクション(ぶれない)。進み続ける方向を指し示し続けるものは何ですか?」

「壮大な夢があり、それは終わることが無い。」と。そして、続けて「世界中の人に、よろこばれることをしないといけん。」とおっしゃいました。

その言葉の意図を深く、正確に知りたいとおもった私は続けてたずねます。

「その”人”とは、どういう人ですか。」

「ある種のものをかかえた人。そしてその人の家族。メディカルアートのようなものはその本人と家族も気持ちが明るくなるもの」

「よろこばれること、とはどうことですか。」

「人がやれないニッチ産業。誰もが必要ではない。しかし深い想いがある。」

中村さんは、義肢装具の仕事に出会ったときに「ああ、これは一生のテーマをもらった。」とお感じになったそうです。


「困難を越える。長く挑戦していれば必ず、壁、障害に出会うとおもいます。のりこえられてきたのは、何があったからかですか?」

「一つずつやれば、必ず出来る。」中村さんは、まっすぐな眼差しで、はっきりと力強くおっしゃいました。その声には、わずかの迷いありません。それは紛れも無い事実なのだと私は感じました。続けておっしゃったのが、「3年5年でやろうとしない。10年20年かければ必ず出来る。」と。

この言葉は、それ以来、いつも胸の中にあります。


「予測する:事業、社会がどう変わるのか、変化にさらされるか、を、どう予見しているのですか?」

これについては”うまい方法やコツ”といったお答えはありませんでした。しいて言えば、”先天的な才能”に近いものがあるというのがお答えになったことに一番近いかも知れません。もう少し詳しく言うと、未来を考えることが好きだったそうです。それから幅広くいろんなことに興味を持っているともおっしゃいました。芸術、文化。いろんなこと。また、私がその他のお話で感じたのが、義足というのは、その人に10年単位で使われる道具です。その人がこの先の10年でどういうライフスタイルをするのか、社会は動変わっていくのか、その中で義足はどう対応するべきか、といった長い視野で考える必要があります。義足義手といった製品を創ることは常に繊細な未来予想が必要なので、経営感覚にはそれは自然と備わっているのかもしれない、とも思いました。

以上が、私がどうしても聞きたかったことへのお答えでした。この時の40枚のメモ。いつも大事に持っていて、それを開くと情景が鮮明によみがえります。気持ちよく晴れた秋の大森で、和風の食事どころで中村さんと一緒に食事をしながら、私は必死にメモを取っていたその情景が。長く私はこの日のことを思い出すだろうと思います。

ご多忙の中、忙しいそぶりを全く見せずに3時間ゆっくりとお話をしてくださいました。とても恐縮をしながらも、心から感謝し、ありがたくお時間を頂戴しました。

この後、一度同社を出て、中村さんのススメで石見銀山を見学しに2時間ほど山へ一人で行きました。(石見銀山の世界遺産の登録の巻き返しの影にも中村さんのご活躍がありました。しかしそれはまたの機会に譲ります。)夕方前に同社に戻ると、本社から車で数分のところにあるメディカルアート研究所に、奥様がご案内してくださるとのこと。私はさらに恐縮しながらも、是非お願いしますと、いって、見学に連れて行ってもらいます。

− 続く −
posted by 石井力重 at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会活動/全般

2008年01月03日

2007年最大の出会い。中村俊郎さん(中村ブレイス訪問記1)

2007年には、私がずっとお会いしたかった方にお会いできました。島根の中村ブレイス(義肢装具メーカ)の創業社長、中村俊郎さんです。

中村ブレイスのことを知ったのは、かつて、私が社会人大学院生をしていたときでした。経営学の文献で同社のこと読みました。経営戦略のその本の中に、同社について書かれたページがありました。それをみて私は、はっとします。当時の私のメモにはこうあります。


非常に感銘を受けた一文。
2005年8月14日


ベンチャーを対象にした研究をしている中で、起業家のマインドに、はっとすることがある。研究対象として読んでいる文献なのだが、人生感・事業感に、感銘をうけた。遅い昼飯を食べながら読んでいたその文章に、しばし時間を忘れて感じ入る。

『ベンチャー企業の成果は、事業の成長性や収益性、株式公開の有無などだけで評価されるものではない。社会の中でさまざまな人から、その企業あるいは事業がないと困ると、その存在が望まれ歓迎されるような事業を創造したときに、その起業家の業績は高く評価される。中村ブレイスはそのような社会的に高い評価を受けている企業である。』

 角田隆太郎『ベンチャー企業経営論』の第2章「起業家とベンチャー企業」54ページ。

そうかもしれない。評価の幅にはもっと深みが必要かもしれない。


そして、そのときのことをその後もずっと考えています。


非常に感銘を受けた一文。
2006年2月26日


ベンチャーを対象にした研究をしている中で、起業家のマインドに、はっとすることがあります。以下の文献は、昨年の夏に、研究対象として読んだものなのですが、人生感・事業感に、感銘をうけました。当時、食堂で遅い昼飯を食べながらその文章に、しばし時間を忘れて感じ入っていたのを覚えています。

『ベンチャー企業の成果は、事業の成長性や収益性、株式公開の有無などだけで評価されるものではない。社会の中でさまざまな人から、その企業あるいは事業がないと困ると、その存在が望まれ歓迎されるような事業を創造したときに、その起業家の業績は高く評価される。中村ブレイスはそのような社会的に高い評価を受けている企業である。』
角田隆太郎『ベンチャー企業経営論』の第2章「起業家とベンチャー企業」54ページ。

(以上、当時のブログ内容を元に、改訂し掲載しました。)
(以下は、今回新たに書き加えたものです。)

この文献によると「中村ブレイス」社は、義手義足の企業で、島根県の石見銀山にあります。単になくなった身体の一部を機能的に補うという視点だけではなく、人工乳房などのメディカルアート、といった分野を展開しています。文献によると、世界中からこの島根の石見銀山まで、お客さんが来て、依頼されるそうです。決して、短期間で大規模な事業収益をあげる事業ではありませんが、ある分野では世界中から尊敬される企業です。

今思うと「ハイテクスタートアップスばかりがベンチャーではない。」と、このあたりの事例に触れるようになってから、ベンチャービジネスに対する私の中の価値観の幅が広がり始めたのだと思います。ライフワークとして、今後もベンチャービジネスを研究してゆきたいと思います。


そして去年の夏に、ようやく詳しい文献が手に入ります。


『よみがえるおっぱい 義肢装具士・中村俊郎の挑戦』
2007年8月14日


アマゾンでは新品が手に入らない本をようやくセブンアンドワイで入手しました。千葉望さんの書かれた『よみがえるおっぱい 義肢装具士・中村俊郎の挑戦』という本です。2000年に海拓社から出ています。

本を開いて表紙の裏を見るとこう一言。

身体の欠損を補うことによって、欠損した心まで補いたい。


この本は、きわめて真摯に会社を経営し、社会に本当に喜ばれるようなものをつくる企業「中村ブレイス」を取材し経営者の意志を十分につむぎだした、とてもよい本です。

(中略)

中に出てくる写真が「メディカルアート」というレベルの本当に良く出来た義手でした。鼻も指も乳房もあります。これが本当につくりものなのか、とおもうくらい良く出来ています。本人の皮膚間をよく調べて、肌の色、質感を再現しています。指にはえる毛も一本一本植えていくそうです。先天的にあるいは後天的に身体の一部を失うことがどういうことなのか、そしてそれを補うとはどういうことを提供するものなのか、深く深く、感じ入りながら読みました。思わず、ため息が出ます。周りの人に「ほら、これみてよ」と私が普段しないような行動も。それほど、この本には、中村ブレイスの仕事と、社長である中村俊郎氏の「意志・思想」というべきものが詰まっています。

(中略)

この会社は、使う側にして見れば「この会社があってくれて、本当によかった!」という会社でしょう。ある日、事故や病気で腕や顔の一部が欠損したら、相当な心身の負担です。仮に、生命に支障が無いほど回復しても、「社会性を生きる人間」という動物としては・・・。

私は思うのですが、


「この会社があって、本当によかった」
そういってくれる人が、世界中にいる。


そんな事業を創り出すことは、起業家の重要な役割の一つではないか、と強く思います。

(中略)

一人一品の繊細な対応というのは、往々にしてコスト高であり、収益性の意味では、相当な知恵と情熱が必要とされます。

(中略)

私は中村ブレイスのような、(ある種の業界では)世界中から尊敬される企業、をこの仙台から次々と輩出されるような地域にしたい、20年かけてそういう面白い土地にしたいと、本気で思っています。覚悟、気概、人への愛情、情熱、創造性。それが全面に出てばかりではうまくないかもしれませんが、そういうものを内に秘め、これまでも、これからも、進んでいきたい。


以上、過去のメモを引用しました。三年間、ずっと中村氏にお会いできる機会が無いか探していたのですが、なかなかありませんでした。著名な方なので講演などもされていたのですが、ちょうどタイミングのあうときがありませんでした。

そこで、意を決して手紙を書きます。
世界中から尊敬される企業を次々と輩出する地域に仙台をしたいと考えて活動をしていること。
その理想のモデル企業は、中村ブレイスであること。
お会いして直接お話をお伺いしたい、ということ。

私は普段、こうした手紙を書くことはほとんどありません。本当にお会いしたいと思ったときだけです。なので、ビジネス文書ではうまく熱意をつたえられそうにない、とおもい口語体で本当の思いを手紙で書きました。

その結果、非常に気さくに快くお返事をいただきました。ご多忙の中でも日程を取っていただけて、数ヵ月後、訪問する運びとなりました。


中村ブレイスは島根の石見銀山にあります。仙台から、西日本へ所用と兼ねて移動したので、静岡や京都を経由して、電車でゆきました。大きな荷物をかかえて、訪問の前夜、最寄り駅(大田市駅)についたのは夜10時を過ぎていました。駅の近くの古い旅館は空調設備が良くないようで、匂いが鼻につきますがそれもひなびた味わい。この日は道中の長旅でかなり疲れていましたが、翌日のことを思うとなかなか寝付けませんでした。

翌朝、駅前からタクシーで20分ほど、山の中へ移動します。そこに”大森”とよばれるまちがあります。石見銀山のふもとの町で人口数百人、歴史あるふるい街並みののんびりしたまちです。そのまちが中ほどに中村ブレイスはあります。

― 続く ―
posted by 石井力重 at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会活動/全般

2008年01月02日

2007年の活動総括。

■受賞
新商品「ブレスター」が優秀賞を受賞(みやぎものづくり大賞)

■研究
ブレインストーミングカードゲーム(ブレスター)の開発に関する事例を学会発表(日本創造学会)

■講演
同志社大学(京都)でアイデアの出し方(ブレインストーミングとTRIZ)に関する講演を実施。ブレスター・ワークショップを実施。

■メディア
河北新報に新商品の記事が掲載される(ブレスター)
ITmediaに新商品の記事が掲載される(ブレスター)
ITmediaに新商品の記事が掲載される(智慧カード)
ミヤギテレビで、受賞式他が報じられる。(みやぎものづくり大賞)

■コーディネータの仕事、多様性が出てくる。
産学連携・起業家支援の支援
 →地域の産業団体の産業育成施策の委員会に参加。支援イベントなどに協力。
 →起業家、起業家検討者の方の相談にのり、事業構想の明確化作業をサポート。
 →大学からの起業家チームが、大企業との連携フェーズに。
事業化の支援
 →大学のシーズをベースにした事業化案件において、事業化リーダとして活動。
 →大手企業の新事業サポートが増えはじめる。
 →事業構想を行う社員向けに創造手法の社内研修の依頼が増える。
事業アイデア創造の支援
 →新規事業を検討する層に対し幅広く、ビジネスプランの種となる事業アイデアの着想に関する手法をアドバイス。

事業化リーダとして商品化したブレスターが、発売初年度で、第三版まで増刷。沖縄から北海道まで、広く受注。ごく少量ではあるが、アメリカへの出荷も果たす。

■アイデアプラント
企画したアイデア出しのカードゲームがデュナミスから事業化(ブレスター)
オータムセミナー(市民による市民のための授業イベント)にてお話をする。

■宮城TRIZ研究会
宮城県産業技術総合センターのTRIZセミナー(講師:中川徹先生)について、開催の協力。
地域企業の技術課題、技術トレンドを分析する独自調査事業を実施。(大規模アンケートの配布と回収が完了。現在分析中)
毎月、勉強会を開催(合計12回)
初心者向けのTRIZ活用カードツール「智慧(ちえ)カード」を開発

■創造工学に関する研究
各種の創造手法について知識・経験を元に、体系的理解と、理系手法と文系的手法の共通点についての考察を行う。(現在、研究本格化に向けて構想づくり中)


□家族
長女が幼稚園に入園。
posted by 石井力重 at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会活動/全般

2008年01月01日

見つけたアイデアの周辺に存在するアイデアを探索する問いかけ

ビジネスアイデアの構想作業や、技術アイデアの理論をみていくと、分野ごとに、使いやすいアイデアの問いかけリストがあります。

分類整理をしていくうちに、粒度の大きいものと小さいものがあることに気がつきました。「(A)大きく観点を変えるタイプの問いかけ」と「(B)見つけたアイデアの周辺に存在するアイデアを探索する問いかけ」です。

(A)について:
「観点」という意味では昨日のブログのとおり、五観点モデル、というべき視点があります。それらはものの見方のレイヤー(層)が異なります。5つのカテゴリーに整理されます。

(B)について:
各観点において、アイデアを広げる役目を果たす「アイデア探索ツール」となるものです。オズボーンのチェックリスト(=アイデアのチェックリスト、SCAMPERメソッド)をベースに、現代の発想の切り口に合うように再構成したものです。上記の五観点を超えない範囲でアイデアを探索するもので、10〜12個に整理されます。

idea_search_tool.jpg



通常、人は、アイデアを考える時には、詳細と俯瞰の両方を行ったり来たりしながらアイデアは広げています。

  アイデアを人の考えている頭の中:
  五観点モデル(俯瞰)⇔アイデア探索ツール(詳細)

大抵、その過程で、有望なアイデアを発見します。するとその周辺を深く探索していきます。詳細の方を考えていくと、当初の俯瞰―詳細、の思考には戻らなくなります。

アイデア出しのグループワークを見ていても、次第に深化具体化したチームが、その後、別のアイデアを探索するときにも、当初の広い思考には戻らないことが観察されます。

具体の方が強い、のかもしれません。


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posted by 石井力重 at 20:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究活動/検討メモ&資料
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