8月27日、ディズニーランドホテルでの面白いイベントを体験してきました。

舞浜駅で降りて、ランドに行かず、左へデッキを進んでホテルへ。子ども時代は千葉市民でしたがディズニーランドは数えるほどしか入ったことが無く、ホテルははじめて入りました。
何と言う建築様式なんだろう、ヨーロッパのような、夢の世界のような、あえて言うなら、ディズニー様式の建築、なんでしょうかね。外側もきれいなブルーで中に入ると、こういう良いソファーセットがあちこちに。都内のホテルでこのエリアがあったら、用でもない人がたくさん座ってあかないところですが、ここの利用者は皆、夢の国を目の前にきもそぞろで、座ったとおもったらエレベータで降りてきた人と連れ立ってみな、ワクワクとした雰囲気で出て行きます。
ホテルまでのデッキも音楽が流れていて、ここはひたすら魔法をかけ続けるディズニーの世界なんだなぁと、強く思いました。年甲斐も無く、ワクワクしていくのを自分でも感じました。こういう感覚は久々でした。
さて、参加してきたイベントについて
ディズニー・ダイニング・ウィズ・ザ・センス (〜ディズニー映画『アラジン』より〜)
簡単に言うと、魔法のシェフが、魔法の力で出現させる料理を食べさせてくれる、という趣向のものです。その魔法の料理をキャッチするための条件が一つだけ。それは、魔法のアイマスクをつけること。・・・ということで、2時間の間、目隠しをしたまま、知らない人と同じテーブルでディナーを楽しむ、と言ったものです。
この中身をあまり書いてしまうのは無粋かと思います。たぶん、来年もあるんじゃないかと思いますので。(ちなみに、今年は二年目で、アラジンがテーマでした。去年は美女と野獣だったそうです。)
この食事、ただ、目かくしてして食べるだけ、じゃなく、いろんな面白い仕掛け(石井的には、いろんな学び)がありました。
まず、この体験の楽しさの中心軸になるのは、マジカルシェフ。

(写真は、会場に入る前の待機ルームでだけ撮影が許されています。この写真はそのときのその様子です。)
魔法のクロッシュ(銀の半球のあれ)を厳かに開くと中から大量の煙と、青い光。しゃべりも、演劇の方のような、彩り豊かでよく通る魅力的な声。身のこなしも、絶対的に、世界観の雰囲気を演出する、洗練さえたものです。特に最初のトークの後のお辞儀では、皆が拍手をするかまようところで、自分のお辞儀で肩に当てた手で、自分の方をたたくことで拍手をさそい、皆がすっと、闊達な対応をするムードに導きました。これは素敵だなぁと。
トークもとてもうまく、お客さんのコメントや質問にも、すべて素敵な返しをしていきます。
一般的に、口が立つだけだけの人は、語調がどこかいやな棘みたいなものを含んでしまったり、自己陶酔的な臭みが裏側に見えたりするわけですが、マジカルシェフは、声の伸び、響き、間の取り方、どれもメリハリが利いていて、それでいて、顧客へのホスピタリティーが基礎にある、という感じが全体のムードを、さわやかで暖かいものにしています。
さて、その後は、魔法の目隠しをつけて、バラバラに会場に入ります。
目隠しは、公式ブログにあるような、青を貴重にたデザインで、ウエットスーツの薄手のような、プルブルした素材で心地よくフィットします。眼球のところが余計目に出っ張っているのは何でだろう、目を圧迫しないためか、メガネをつけてもかけれるのか、と、ひとしきりいじってみて、女性の意見を聞いて納得。つけてもマスカラが取れないアイマスク、なのだと。なるほどー。(ちなみにメガネをかけてこのアイマスクをつけるのは無理でした。)
会場へは、目隠し状態で誘導されます。知り合いともバラバラになって、知らない人と着座します。係りの方がすでに人がいることを教えてくれて会話を楽しんでくださいー。ということで、お互い、目隠ししたまま自己紹介を。最初は、もどかしく思っているのですが、最後には、見えている状態よりも、相手がよく見えるような、そんな不思議な気持ちがしました。
(ちなみに、私のテーブルでは、看護師さん、パティシエさん、学校事務の方、&、石井、という構成で、それぞれの職業が異なる中での会話は興味深いものでした。多くの方が、気分転換にこれに参加した、と言うのをきいて、へー、と感心していました。そして、今振り返って思うと、この演出を楽しむには、あまり相手の現実世界のことを聞いてしまうのは、無粋なことなんだろうとも、思いました。すみません。。)
ディナーが始まると、どうなるか、と言うあたりからは、詳しく書くのをやめておきますが、マジカルシェフのトークとテーブルの中での会話と、おいしく不思議な食事の3つであっという間に2時間が過ぎてしまいます。お酒を結構飲んだのですが、かなり最後までしゃきっとしたまま、お酒を楽しめたように思います。(目が開いているときには使っている視覚からのインプットがない分、処理がラクなのかもしれませんが、これは正確にはどうなのかわかりません。)
食事も、目隠しでたべるので、カレー皿が出現したときには、おそるおそる指で中を探り、あ、あれ?これって、、、みたいな感じに徐々に料理に慣れていきます。テーブル内でびみょうに違う順番で出てくるものがあって、会話しているとおかしいな、という感じがあってあとで、それにきがついたり、空を飛んでくるパンを手で受け止める趣向のものは、水をすくうように手を前に出して、といわれていると、突然結構な勢いで手にぶつかってきたりして、視覚を覗いた五感(嗅覚=香り、味覚=多様な味、聴覚=トーク、触覚=サワリ心地や突然の出現、熱々の中に冷たいがあるなど)、どれも良く使われています。
特に、視覚がとぎれると、聴覚にたよるわけですが、面白いことに、いつ料理が出現してるのかを、耳で測っている世界ではまったく感じ取れません。隣の席の人との会話はリアルに聞こえるのですが、料理は音も無く出現し、食べ終わるといつの間にか器が消えている。お酒も楽しくのでいると、また満たされていて、飲んでも減らない、そのうえ、あるときから、ワインの種類が突然変わり、びっくりしたり。
(ちなみに、一度だけ、テーブルの上に、不意に出した私の手の指先に、何か生き物があたって、ぴゅっと逃げたような感じがありました。マジカルシェフの料理なので、何か魔法の生き物がいたのかもしれません。笑。。いや、あるいは、それもこういう演出だったのか。)
シェフがランダムに合間にマイクを向けにきます。100人いて、25のテーブルと思われるのですが、イベントの途中で、うちのテーブルにも感想を聞きにきてくれて、うちのところにも来ました。私の名前を聞かれて、マジカルシェフの良い声のトーンに影響さえて、いつものワークショップ時の発生で『イシイリキエともうします』と答えたところ、すかさず「それは、本名ですか!?」という返しをしてくださって、僕が苦笑してその後の答えはやわらかくなりました。相手の姿勢がかたいなというときに、相好を崩させるあたりのやり取りも、素敵だなぁと思いました。
(ちなみに、そのマイクを向けられる10分前ぐらいのタイミングにも、シェフはきてくれて、短く会話をしました。彼が離れたその後、テーブルメンバーで「ああ、シェフって本当にいるんですね。録音かと思っていましたよ〜」といったら、シェフは数秒で戻ってきて「”え?録音?録音じゃない?”って声が聞こえましたが!」と突っ込まれて、「いやー、ほんとにいる人なんだねーって話していたところです」と苦笑して答えました。こういうちょっとした関係作りをした上で、イベント中のマイクをふっておられる点もふくめてなるほどなーと。
ちなみに、イベントの終わった後も、マジカルシェフはすべてのテーブルを回っているようで、ちょっとした雑談をしてまわります。特に接点の無い相手ともこれができるのはすごいなぁと。かつ、ディズニーのどんなことにも精通していて回答をくれました。アナは最後なんで解けたの?愛でございます!などなど。
料理の中身(触感でいろんな刺激を作る)、スタッフの繊細な魔法的サーブ(こちらが触れているうちは絶対に皿が消えない。手を離すとわずかの間に消える。)、マジカルシェフの演出力、どれもすばらしく、これは、代金に見合う以上の内容だなぁと思いました。(ちなみに、最後にオリジナルグラスも貰いました。)
ちなみに、この日は、この夏の Dining with the Sense の最終日でした。
追記:
暗い中での体験、というと、ドイツ発のDialog in the Dark (DID) がまず思い浮かびます。震災の後、友人に誘ってもらって参加してことがあります。そこでも、暗闇の中でお菓子を食べて、ゆで卵をたべられる時間があるのですが、まっくらのなか、仲間達と行動していくなかで、口だけで味わう食事は不思議なものでした。目をつぶって食べると意外と、味覚が視覚によって補正されていることが分かります。_余談の余談ですが、ビジネスホテルの無料朝食のスクランブルエッグを目をつぶって食べると、「これって何を食べているのかささっぱり分からない」ということに気がつきます。たぶん、マナタマゴじゃないものからつくられたスクランブルエッグであることがわかります。_閉眼での行為(食事、会話)というのは、いろんな可能性があるなぁと思います。
ただ、さすがにディズニー。暗闇での行動から得る体験を、ケーキの土台(スポンジ)に位置づけるなら、間においしいフルーツも、美しいデコレーションも、洗練されていて、気持ちを幸せなものにしてくれる「総体」としてのデザインになっています。いろんな素敵な要素のつまった要素でした。
ちなみに、最後までアイマスクは取らずにテーブルメンバーと解散となります。これは個人的に、にくい演出だなと。声だけなので、自分が何者であるかを、その場限りの魔法の空間で演出することも出来ます。普段しゃべらない人とも本音でしゃべれるよい仕掛けだと思いました。次回、同じ場にいったなら、もっと、思い切りトークを楽しむことも出来るだろうと思います。