8月4日から7日までの4日間、早稲田大学・人間科学科 (所沢キャンパス) にて、夏季集中講義をしてきました。
その様子を写真と動画で紹介します。

所沢キャンパス。人間科学とスポーツ科学などがあります。広々。アクセスは、所沢からすぐの「小手指(こてさし)」駅まで出て、学校のバスに乗ります。タクシーの場合は、もう一つすすんだ「狭山ヶ丘」駅。
正門から入ると、ペガサスの像。
DAY1

学生さんは1年生が中心で4年生まで。150名ぐらいで、ワークショップ型授業を進行します。

ワークショップ、ということで、倍のサイズの300名用の教室を使いました。演台もでかい。
最初は、「Brainstorming Card」。ブレストのルールをロールにしたカードで遊びつつアイスブレイク。楽しんで使ってくれたようです。

お題を皆から抽出して、それに対して、ブレストをしました。5分交代のペアブレスト。

スピードストーミング。ラウンドが進むとだんだん、活発に。
このペアブレスとは、5分後とに一人ずれます。去年の早稲田のゲスト講師では、このワークだけは260名で実践したことがあり、実績があったので、予定通りスムーズに。

次はアイデアスケッチ。ブレスト中に思いついたことなどを、さっと書きます。タイトル+詳細3行まで。
書き尽くしてももっと出してー、と言った後、時間いっぱいまで、ペンが止まらないあたりは、さすが。
次は、スケッチを机に並べ、面白い・もっと広がる可能性を感じるアイデアに、☆をつけて回ります。ハイライト法。このワークを150名全員でやるにしては条件が悪かった(机が固定式)のですが、やれば意外と出来てしまいました。
アイデアワークショップの人数上限や会場制限などの固定観念を打ち破る一つの経験になりました。(ただし、全員が全部のスケッチを見る、という従来の方式から、10分間で出来る限りたくさんのスケッチを見る、という行動にデザインしなおしています。)
※なお、この後は、上位アイデアのレビューをして、トップアイデア群に対して、各自の好きなアイデアに集まってもらうチームビルディングをするところですが、そこもワークデザインを変更しています。その2つのプロセスは紹介し、トップアイデア群のレビューもしましたが、その後は 【 もともとの4人組になって、自分達の書き出したスケッチのうち、もっとも魅力的なものを、この後のワークの題材にしてください 】 という形にしました。
その後は、PPCO[ アイデアの良いところを引き出す(黄Postit)→アイデアの懸念点を抽出(緑Postit)→対策案立案(青Postit) ]を実践しこの日は終わりました。
5コマ連続講義、ということで、講師も受講者もへとへと。初日が一番長い構成でした。
DAY2
この日は、4コマ。
イマジネーションの促進要因、創造的環境要因のレクチャー、それから、各種のブレスト技法を実践しました。
DAY3
この日も4コマ。
今度は一転して、多様な、一人ブレストの技法を実践しました。

SCAMPERシートを用いたワーク。SCAMPERは最もつぶしのきくアイデア発想技法です。(講義で使った、最新版SCAMPERシート は、そのうち、ブログのワークショップシート集のあたりに掲載します。)

何でもかんでも、講義に入れると、わけが分からなくなるので、今回は、マンダラートは、皆さんに別の発想技法をやってもらっているうちに、即興でホワイトボードに書いておき、休憩前に、かいつまんで説明する方式にしました。

文系学科には厳しいかなと思った、TRIZ系の発想ワーク「智慧カード」も実践しました。意外なほどに、発想をたくさん出してきてくれました。TRIZは開発工学系の発想技法だから、文系や企画系のひとにはきびしいかも、といつも思っていたのですが、思い込みだと思わされました。本人達が、アイデア発想ワークに取り組む意欲があれば、出来てしまうものだなぁと。

板書の一こま。大教室なので広く使えるのですが、最後の4コマ目に入る前に「発表したい人は、前の中央エリア(階段になっていない平たいエリア)に座ってください」というコメントをしました。4コマ目は上記の智慧カードで発想、というコマだったのですが、矛盾マトリックスまで含めてミニレクチャーし、ワークをしてもらい、希望者に発表してもらいました。全部で30人ぐらい、いやもっとかもしれません、多様な発想テーマに対して、発想したアイデアを発表してもらえました。
この日、もろもろの一人ブレスト技法を紹介し実践してもらいましたが、人気が高かったのは、「エクスカージョン」「智慧カード」「ゲーム要素」「ストーリー要素カード」でした。「SCAMPER」「6観点リスト」「カラーバス」といった汎用性がより高い技法よりも。
特に、「ストーリー要素カード」では、手錠の二人形式のプロットを、ランダムに要素チョイスして発想してもらったのですが、なかなか、おもしろいプロットが出ていました。・・・「主人公Aは、子悪党でたいしたことは出来ないのだけれど、どこに入っても彼のせいで、その組織の悪事が社会に露呈してしまうという無意識の破壊者。主人公Bは、身体能力に非常に長けた理事長の息子で、その学校方針でスポーツは冷遇されているのだけれど、運動部をウラから助けている。この二人の出会いは、愚かしい状況、さて、それは、それが面白くなるのはどんな場面でしょう。」みたいな感じで、二人の学生さんとともに、即興でストーリーを作りました。運よく、というか、白いシャツの学生さんと、黒いシャツ(JUNYA MAFIAを来ていた)だったので、主人公のビジュアル的な対比よろしく、おもしろく即興作話ができました。
(すごーく、余談なんですが、毎年先生をしにいっている京都精華大学の漫画学部の学生さんと、ここ早稲田大学の人間科学の学生さんで、二人で漫画つくったら、刺激しあえて面白いかなぁ、なんてふと思いました。大量に小説や本を読んでいる個々の学生さんの考えることは面白いものがあって、ばくまん、の二人の主人公みたいなベストマッチがあればなぁ、なんて。) ・・・余談終わり。
DAY4
最終日は、Creative Thinkig Toolのプロトタイピングを2コマでしました。
はじめは、連想の4法則カード「ASOPICA」で、楽しく創造性を育む発想ツールのサンプルとして楽しんでもらいました。

その後は、制作工房です。自分の発想のプロセスを自己認識してもらい、それをプロセス図にしてもらったり、発想トリガーの中で自分に特にアピールするものを抜き出して自分だけの発想カードセットを作ったりしました。

ここで作ったものは、将来、忙しい中でも創造的に考えなくちゃいけないときに、クリエータとしてスランプに陥った時に、あなたを助けてくれる道具になるでしょう。

最後は、今回の課題レポートのやり方について、有地くんの事例をサンプルにして紹介しました。この課題レポートの学習効果は、創造的な思考の基本ステップセットを回してもらい、日々使えるようになることです。なので、レポートの中で展開して欲しいプロセスを、二人で前で展開して、最後の学びとしてもらいました。
この4日間は、がんばってついて来てくれた学生さんはもちろんのこと、授業運営をサポートしてくださった尾澤研の院生・学生の皆さんや不慣れな私の授業準備をサポートしてくださった尾澤先生、そして、オブザーバ兼アドバイザーとして来て下さった池田さんに感謝を申し上げて筆をおきたいと思います。
(写真は、院生の森さん、池田さんにいただいたものも一部使わせていただきました。)
課題レポート
なお、講義後1週間で、課題レポートの提出締め切りです。教員用システムから提出状況と個別の中身を見ているのですが、なかなかの面白いレポートがあり、ぐっと体温が上がりながらみています。中には、絶妙なものもあって、「おおっ、それ、面白い。商品化の可能性のあるアイデアだよ。」と思わず一人つぶやいてしまうようなものもあり、100通を越えるレポートを、仕事の休憩の合間に拝見していました。
ごく小さい課題だとしても、そこに差し込む知性の楔しだいでは、なかなか面白い解決アイデアがでるものです。まだ未提出の学生さんが締め切り直前でどんな発想をしてくるのかも、楽しみなところです。(このブログを書いている現時点では、締め切りまで、あと少し。そろそろ、想像性が締め切り効果で発露する時期です。まだの学生さんは、机に向かってみましょう。)