2014年09月12日

9月は嵐のように、仕事の月

tabishigoto.jpg

最近は、近況をFBに書くので、活動報告のブログのアップ量が減っていますが、9月は年間に2度ぐらいある、無茶苦茶仕事が入っている月で、全国をぐるぐる回っております。

昨日一昨日は、田町で、某企画系の企業さんの新事業アイデア創出&コンセプト練成のワークのファシリテーションをしていました。この仕事は珍しくクライアント直ではなく、間に企画全体を展開される企業さんがいて、彼らの作ったプロセスをベースにワークをする、という、いつもの自分流にこだわる石井としては珍しいタイプの仕事をしています。

こういう仕事の場合には、ただそのまま引き受けずに、自分なりにそれをベースにゼロから設計していって、そのプロセスを最大限尊重しつつ、調整を入れたいところを再度ワークをデザインしていきます。この企業さんのプロセスは独自性が強く、しかし、根底にある哲学がしっかりしているので、分解して再構築するときもとても面白く、勉強させてもらっています。結果的には、当初のワークプロセスをほぼそのまま実施している案件となりました。

他には、東京で光学機器のメーカーさんでの創造研修を二度にわたって実施、電機メーカーさんでの創造研修を関西にしにいったり、と大手企業さんでの終日研修の対応が続きます。

他には、NPOでのファシリテータ要請講座を連続二日間、(家庭教師の)アップルさんでの新しい教具開発ワークショップ、トヨタ系工場でのTRIZ研修(間に岩手県庁さんが支援スキーム的にたって)、名取の新図書館建設に向けた市民アイデアワークショップ、岐阜商(高校)での商品開発の授業、といった、非・大企業の場での仕事もしています。

ちなみに先ほどようやく終わったのですが、早稲田大学での授業150名強の成績付けも、相当な作業負荷があってこれは正直こたえました。先生業っていうのも気軽に引き受けすぎてはいけないなと。

そんな調子で、今月はどれか一つか二つ、案件を飛ばしてしまうんじゃないだろうか、と二週間先のスケジュールをいつもにらみながら、寝るまで仕事、起きたらすぐ仕事、という生活をしています。

9月は、場所の移動もめまぐるしく、案件の業界、領域も日替わりでくるくる変わり、仙台の自宅には、帰れたかと思うと3泊としないで次の旅仕事へ、という日々を送っています。

仕事の嵐の後には、豊穣な実りがあります。多くの人との活動的な接触、案件から得る新しい学びや情報、あと、旅仕事の副産物としての、旅先でのいろんな景色を見て、アイテムを手に入れて、感性の仕入れもあります。嵐のように忙しい時ほど、よいインプットを実は日々している感じがあります。無理してでも、ちょっと足を伸ばして見ておく、食べておく、会いにいっておく、そんな日々を、送っています。

posted by 石井力重 at 23:55 | アイデアプラント 3rd(2012-2014)

2014年09月01日

久々に、アイテムレビューを。「超極細のボードマーカー付きのホワイトボードノート」

今日は、知的生産系の文具の話です。

ヌーボード、といえば、ファシリテータやアイデア発想の人達、特に文具ずきの人たちには、有名な「ノート型ホワイトボード」ですが、それに、Fine Marker Editionが登場しました。紙面サイズも手ごろな大きさで、ミニマインドマップを書いたりするのに便利です。なにより、ペンが無茶苦茶、ファインになりました。ホワイトボードマーカーの細いの、とは、違うもののようにすら思えます。

まずは写真から。

NuBoard_FineMarkerEdition_00.JPG

紙面の右に置いたカードは、5mm方眼の罫線のカードです。

細い線の性能は、タブレットでも良くレビューしますが、僕が良くやるのは、ランダムドットを打って、それを線でつないでいく作業です。ペン先を一度紙面から話してしまうと、狙ったところにペン先が行かないもので、これがどれだけ狙ったところにおけるかで、快適さは全く違います。

細目のホワイトボードマーカーでも、まあ細いけれど無理は言えないかな、と言う感じだったのですが、このファインマーカーは、普通に紙に向かって使う極細の文具と遜色ありません。

紙面に、石井、というサインをいくつも書いていますが、隣の5mmの罫線から分かるとおり、大きさ3ミリぐらいのサイズで石井と書いていますが、なんとか、可読、です。これは、文具でも結構厳しく、ペン先と紙のにじまなさ、の両方があって実現できるレベルですが、このアイテムセットはそれができています。

紙面上の渦巻きも、線に触れないようにして出来るだけおおく渦を書いていく、という作業なのですが、普通の文具と同じです。ペン先のすべりが言い分、いくらかこちらのほうが快適かもしれません。

左に書いている、メモリのようなものも同じです。二等分、四等分、と入れていく線をどこまで書けるか、とやったもの。実に細かいところまでいけます。

ということで、ためしが気はそこまでにして、強化腹始まる旅シトゴにおいて、文具カバンに入れておいて、旅先で使ってみることにしました。

ちょうど今日は市谷で脳計測技術の応用シンポジウムがあり、聴講時のメモを、紙のノートでもなくPCへのタイピングでもなく、これをつかってみることにしました。時間は2時間。

NuBoard_FineMarkerEdition_01.JPG

充分使えます。つかえます、というのは消極的な表現ですが、積極的に言えば「かなり良い」です。惜しむらくは、ノールックで囲うとするときに、リングノートゆえ、ページによっては紙面がぽわぽわと浮いているため、文字がゆれることですが、これは左手で押さえれば充分ですし、紙のノートでも、紙面が浮いていれば同じことが起こりますので、これはたいしたことじゃありません。

NuBoard_FineMarkerEdition_02.JPG

ペン先を出したまま、冷房がんがん当たる場所で、しばらく使わないでおくとペン先が乾いて書き出しがうまく出ないので、書き終わるたびにキャップをしました。そうすると指が汚れます。これは、水性ペンで書いていたって同じように汚れます。毎回私の指先はこんな風です。ただ、ボードマーカーなので洗面所で一度手を洗えばきれいになるのは、他のマーカーに無い良い点です。

2時間で取ったメモを、ざざざっと公開します。(一部、伏字にしたりしています。)

NuBoard_FineMarkerEdition_11.JPG

縦長に書き始めてから、マインドマップで取ろうと思って、横長にしたところ。

NuBoard_FineMarkerEdition_12.JPG

かなり速記しても大丈夫。ペン先の走りがいいのは、ホワイトボードならでは。

紙面の中ごろに、べたっとしているところがありますが、これは、書き間違えたのですぐに消したらこうなりました。乾く前に消すとこうなるようです。この後は、消さずに、書き損じはガシャガシャッと書いておくことにしました。速記メモなので、乾くのを待って消すわけにはゆかないため。

NuBoard_FineMarkerEdition_13.JPG

このページは縦書きにしたところ。これも書きやすい。幅がない分、心理的な圧力からか、文字が幾分小さめになった気がします。

私は紙面を左手で押さえて書くので、この向きで速記メモをするのは、ちょっと(押さえるところが少なくなって)使いにくかったです。縦長なのは、ゆっくりかける時とか、Todoメモを書くときに、いいかと思います。(それと、マインドマップ系の言葉なのですが、創造的な思考状態は紙面を横長にして。という方針があります。アイデアをつらつらと書くときも横長がいいでしょうね。)

NuBoard_FineMarkerEdition_14.JPG

最後のメモ。

これらの写真は、ホテルに帰ってからデジカメで取りました。私の場合は、打ち合わせメモや、何らかのメモは、電子かできてしまえばその原紙は廃棄してしまうのですが、旅先だと守秘要素のある打ち合わせの後、ノートを電子化して捨てるのもまずそうなので、旅の間中ずっともっています。なので、電子化のメリットがないので、電子化せずに紙のまま扱っているのですが、このメモパッドなら、一日の終わりに、撮影して消せば、この辺も解消できそうです。

ちなみに、4枚(8面)中、2枚がいっぱいになりました。一日のメモ量としては、8面が上限と言うのは、なかなかいい感じだとおもいます。

このペンがこすれに強い、という点がまた、ポイントが高いです。外でメモをして帰ってくると、普通のマーカーだと紙面同士がこすれてかなり情報がロスし始めているのですが、このパッドに書いたことはほとんど損失がありません。わずかに消えているところがありましたがそれは、後ろのほうの紙面を書いているときに手で押さえてこすれたから、のようです。ですが、それでもわずかにしか消えていません。上記の4枚は、宿に帰ってからの撮影ですがほとんどかすれがないことがわかるかと思います。

欧文印刷さんの汲田さん、という、洒脱なひげのおじさまがこの製品を作っています。アイデア帳を時々拝見するのですが、興味深いメモがいっぱいあります。そういうご自身でも、アイデアやクラフトに造詣が深いからこそ、使い勝手の良い製品へと舵を切って新製品を作っていかれているのが良く分かります。



このノートパッド&ファインマーカーをもって旅仕事に行く、というのは、私のほかにはあまり無いニーズ化と思いますが、レジ横とかにちょっとしたメモパッドがいつもあるとか、ブギーボードがちょっとおいてあると便利、と言った場所には、これはそのままぴったり行くでしょう。

でも紙でいいじゃないの?と自分に問いかけてみると、一番心に浮かぶのは、「ホワイトボードのつるるっとすべるペン先の軽さ」「くっきりかけるのに、書いたことがすぐにけせて確定感が無い、という、ホワイトボードと特有の「仮置きテイスト」があること」が、この道具がノートに勝る部分でしょう。劣る部分もきちんと書けば、消せば消しカスがわずかに出る(でも細いので極微量)、という点です。インク系のペンはアルコールくささが気になって新幹線とかでは使いにくい、というというのがありますが、これにはそれがありません。後は、一見ホワイトボードノート&ペンには見えないので、使う場所に制限が少ない、という点も良い点かもしれません。

ということで、このファインな先端のペンさえたくさん持っていれば、ノートよりタブレットよりも、何かを書き付ける楽しさを、かもしてくれる、そんな文具だと思います。

最後に。

このペン先で筆圧高くかくとどうなるか。ペン先がつぶれるのか?答えはNoです。ペン先は結構細いまま維持できます。ただ、紙面のほうが、へこみます。書いたことがへこみで残りますので、これは、何十回と使っていくうちに、今日のレビューとはまた違った「損耗した後の道具の姿」が見えるかもしれません。いまのところ、上書きしていて、凹みが気になることはありません。

(追記:ちなみに、この速記メモを書いているときに、ふと、別のアイデアが浮かんで、メモカードにさっとメモを書きました。このペンで。すると、思いのほか、普通のペンのように、うまくかけました。ホワイトボードマーカーで紙に文字を書くと、食いつくような感触と妙な出すぎとかすれがおこり、かき心地が悪いものです、しかしこのファインマーカーは、普通の水性ペンのように、ささっとかけました。)
posted by 石井力重 at 22:37 | 道具考/ALL

属性分析(あるいは、特性列挙法、とも)を、アイデア発想法の切り口で、手短に説明してみます

ごちゃごちゃに混乱して、何か考えてよいのか分からないけれど、何か改善ができるはずだ、という時には、アイデアを思いつく常套手段として、「属性分析」が便利です。分析的に発想していくので、いきなり新規なことを考えるのが苦手、という人にも向きます。

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(クリックで少し大きくなります)

ごちゃごちゃの対象(これを私は「系(けい)」と呼称します。理論物理の世界の表現です。ちなみに英語ではSystemの意味です。いずれにしても、考えている対象全体を呼ぶ名称です。)があったとします。

たとえば、非効率なオフィスワーカーの机の上、もありますし、オフィスワーカーの一日で行動に登場するすべての空間を対象にすることもできますし、研究室で素材生成に影響を与える可能性のある空間内全体を対称にすることもできます。いずれにしても、系、があったとします。

その系の中に存在する「属性」をまず列挙します。で、「属性」というのは、なに? 一言で言えば、これは、対象に含まれる、物理的なパラメーター、です。例えば、室温、とか、部屋の明るさ、という、物理単位(℃、ルクス)であらわされるもの。あるいは、「ペンの本数」のようなものも、属性です。床のすべりぐあい(摩擦係数ミュー)もあります。

人間を含んで系を扱っているならば、すこし、物理的パラメーターから離れますが、「他の人の話し声」とか「電話のかかってくる頻度」とか「会議中の上司の発言量」とか「一度にする指示内容の多さ」など、も発想法のときには含めてかまいません。(この辺、どこまで、パラメータを拾えるかが勝負です。変な量でもいいので、とにかく拾いあげてください。)

こうして、その系を記述する属性を列挙します。

(なお、特性列挙法も、本質はほぼ同じです。特性列挙法のほうは、すこし面白くて、名詞的な属性、形容詞的な属性、動詞的な属性、を上げよ、と項目をたてて積極的に広くから拾わせています。(ちなみにそれぞれ、材料/性質/機能、にあたる属性を拾わせていることなのです。)

さて、次は、2つの大きなカゴと1つの小さいかごを用意します。具体的にかカードに書かれた属性をカゴにぽこぽこ、投げ入れていきます。

赤いカゴは「増大関係」。これは、その量(=属性の数値)が増えれば増えるほど、困りごとが増大する、というものを入れていきます。たとえば、デスク上の不要な空き缶(の本数)、という属性。これは、増えるほど、オフィスワーカーの生産性の阻害要因になります。なので、机の上の空き缶の本数は、赤いカゴ。

青いカゴはその逆です。「減少関係」。それが増えるほど困り事が減る、というものです。たとえば「じゃまされずに集中して作業できる時間(の長さ)」です。これは増えるほど、オフィスワーカーの生産性は上がります。青いかごに入れます。ただ、どこまでもそうであるかは、若干わからないな、とおもえても、発想の刺激としてつかうときには、ざっくり進めてしまって結構です。

たまに、どちらになるのかは、良く分からない、自明ではない、数値の帯域によって増減は変わる、という、不確定なものがあります。それは、黄色のかごに入れておきます。たとえば、隣席の人が振ってくる雑談(の回数)、とかはどうでしょう。相手次第だったりしますし、頻度が少ないうちは、気分転換によさそうなので、減少関係、といえそうですが、頻度がある一定以上になると純粋に邪魔になりますので、増大関係です。こいういう、単純な比例関係、あるいは、反比例関係、とはならないものは、黄色に入れておきます。

つぎがいよいよ発想です。やり方は単純。

赤いカゴの中のカード(属性)の量は、出来るだけ減らせないか、と工夫を考えてみます。そうすると、いくつか具体的なアイデアが浮かんできます。増大関係の因子なので、減れば減るほど、うまくいくわけです。

青いカゴは、その逆です。それが増えるほどうまくいくわけなので、できるだけその属性の量を増やせないか、と考えて、具体的なアイデアを思い浮かべていきます。

どちらかといえば、赤いカゴのアプローチは普段も無意識にやっています。やっていないのは、青いカゴのほうです。助けとなるものをより使う、というのは、(特に日本人の思考傾向だと)発露しにくいようです。ですので、赤の時には、あったりまえ、というのもがでますが、気楽人どんどん発想して、青に入ったら、ちょっと面白いアイデアが出そうだなと言う期待感を持って進めていきます。

そして、最後が、黄色。黄色のカゴの中のカードは、一般には、どちらとも言い切れないものなんですが、条件をくぎったり、一連のプロセスの中の期間を区切ることで、有益な示唆が浮かんできます。なので、そういう、ちぎり、をいれてみて、新しい発想をうめないかと、考えてみます。

たとえば、先の例では、隣席の人の雑談の頻度、でしたが、頻度が8時間に5回ぐらいまでなら、円滑でストレスレスな空気を醸成でき、生産性が上がりそうです。5には根拠がありませんが、仮に、5がひとつの区切り位だと見立ててを立てて考えていきます。5回/DAY以下の領域では、この属性は減少関係になる。なので、少しアイデアとして飛ばしますが、「90分に一度、休憩アワーがやってくるオフィス運営。夏場の公営プールのように、一度、強制的に、その場からひきあげさせる。」というアイデアにもなりそうです。90分に一度、というのは、ざっくりめのこでいっていますので実施の際にはもうすこしチューニングがいるという補足付きですが、とりあえず、ざっと線を引いてみます。

また、5回を越えていくと今度は増大関係になる、とするならば、雑談が気にならない人同士で固まらせて座ってもらうという処置もありでしょう。

黄色の属性は、どこかで、極大値(あるいは、極小地)があります。そのあたりに値を動かしていくことで、ひとつのアイデアになります。この例でもなんとなくそれがわかるかと思います。

ただ、一般には、それほど、単純な増大関係→減少関係(またはその逆)という形のものばかりではなく、もっと、値と困り事の量の関数がふんわりしていてよく分からないものもあります。こういうものは、発想の材料から、はじいておきます。

このようにして、発想をするのが属性分析です。

まとめますと、この発想の方法の、基本戦略は2つ。

困り事を増やす量はなるべく使わないようにする。困り事を減らしてくれる量はなるべく増やす。(複雑な因子は条件で分けてどちらかの戦略に帰着させる。)

この発想技法は、系が複雑で単純な着眼点ではすぐに解決が思いつけないような場合に、分析的に見ていき、徐々に具体的な発想寒天を得ることができます。こまったらぜひ使ってみてください。

なお。

この技法の最もハードルの高いところは「属性を拾い上げる」ところです。温度ー、とか、明るさー、のような分かりやすいものはたちどころに誰でも上げるのですが、そのほか特に人間を含む系では、感性的な要素をどれだけたくさんひろってこれるかが勝負になります。先にコメントしましたが、変な量を拾い上げていたってかまわないんです。とにかく、属性を列挙していく。そこに専念して、対象の系をつぶさに観察したり、イマジネーションの力でそこに浮かび上がる属性を、たくさん、見出してください。


posted by 石井力重 at 10:22 | アイデアの技法



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