2016年02月29日

【スライド】文科省 地域イノベーション戦略支援プログラム「発想を豊かにするアイデア創出の技術」(2月29日、 一関高専 )

今月は、地元(東北)での仕事が多くある特異月でした。2月末は、文科省系の事業で一関高専での講義&ワークショップを行います。

スライドと、ワークシート類を掲載します。


配布用のハンドアウト は こちら ⇒ Handout.pdf
(配布に向くように大幅にスリムにしたものです。)

ワークシート類 は こちら ⇒ worksheets_A4.pdf  worksheet_A3.pdf

(上記資料は、受講された方は、社内での利用に関してはどうぞご自由にお使いください。)




案内詳細


〔リード〕
TRIZ は多様な技術領域から抽出されたブレイク・スルーのエッセンス群を用いて、効率的に発想を行うための手法です。今までの閉塞感を打ち破り、新しい可能性を作っていきたい場面で役立ちます。職場で実際に使用する為に、新しい思考支援ツールとして活用する手段としてご説明頂きます。        
日々の小さい改良、新製品開発、生産設備開発に役立つ知見です。是非ご参加ください。

〔日時・場所〕
平成28年2月29日(月) 13:00〜17:00
一関高専 メディアセンター 1F 会議室

〔主催〕
一関工業高等専門学校

〔テーマ〕
「発想を豊かにするアイデア創出の技術」

〔テーマ 概要〕
  • 「ここの改良、思いつきそうなんだけど、あと一歩のところで出てこないなぁ…」という時、“何か役立つ知識ってないのだろうか”と考えたことはありませんか?開発工学の中には、技術者の創造的な思考作業を後押ししてくれるアイデア発想の手法もあります。TRIZ(トゥリーズ)です。「開発時のアイデア発想の手がかり集」としてすぐに使うこともできますし、本格的学習とトレーニングをへて強力な開発力の武器にすることもできます。
  • 今回は、小さな改良方法を考えている場面で、次々思いつくことを可能にする手法を学ぶ講座を企画しました。手を動かし、発想作業を実際に体験しながら、アイデア創出スキルを習得してゆきます。
  • 仕事においてアイデアが求められていて悩んでしまっていることや改良課題を持ってご参加ください。スキル獲得に加え、自分の仕事で使える新しいアイデアも獲得できます。
  • また、講義後半では、自社で新開発を構想する際に役立つ手法にもトライします。従来製品から次世代製品へと、進化させていくための具体的な思考手順を一緒に体験していきましょう。

〔講師略歴〕
アイデアプラント 代表    石井 力重(いしい りきえ)氏
  • アイデア創出支援の専門家。東北大学大学院・理学研究科 修士課程卒業。
  • 商社勤務、独立行政法人のフェロー、ベンチャー企業駐在を経て、2009年、アイデアプラントを創業。ブレインストーミングや創造技法の実践と理論の両面に強い興味を持ち、創造工学(Creative Problem Solving、TRIZ)を研究中。全国各地の企業、大学、公的機関等で、多様なアイデアワークショップを実施。2014年4月より、早稲田大学にて、非常勤講師も勤める。 
  • 著書に『アイデア・スイッチ 次々と発想を生み出す装置』(日本実業出版、2009年) HP: http://ideaplant.jp/

〔講師からのメッセージ〕
  • 東北の企業はイノベーションへの大きな潜在力があります。まじめで品質の良い仕事を、きちんと期日までに仕上げていく基礎力があります。産業構造的に企画構想部分は手薄でした。従来の構造が変化していく中で、良い自社製品を生み出し、新しい可能性を開くことを意識している経営者が多くいます。そうしたなかで“中堅社員たちは、基本の仕事は身に着いた。そろそろ創造的な仕事をさせたい。”というニーズが上層部に出てきます。このような人材観にマッチするように講義を組みました。
  • 退屈な学びだけでは創造性の発露はうまくいきませんので、この4時間は、発想のカードやワークシートを使い、発想力を発揮していくことを楽しく実践できるワークショップ講座にしてあります。知識前提は何もなしに学べるようにしていますので、どなたでもお気軽にご参加ください。職種、職歴、年齢は不問です。(基本的な日本語が分かれば、外国人でもOKです。)
  • アイデアを考えるのが苦手だ(=でももっとできるようになりたい)、という方であれば、きっと多くのモノを持って帰れるでしょう。アイデアを出すことが得意な方にも、資質をより発揮するための知見が得られるでしょう。TRIZを独習し始めたい方にとっても、そのよい先鞭をつけることができます。
  • 参加にあたり事前の学習は何も必要ありませんが、次の3点だけご準備ください。
    (1)睡眠をしっかりとった頭(楽しく学べますが、相当に頭が疲れます)、
    (2)発想の題材を2〜3個(自分の仕事において工夫・改良のもとめられていること。もしなければ、日常課題でも結構です)、
    (3)筆記用具(紙とペン)



備考:(このブログだけに置いておくエクストラ情報です。)



講義に参加し、本格的にTRIZ手法を学び、現場で活用したいと考え始めたときに、良質な情報へたどるための道しるべをここに置いておきます。

TRIZの本格的教科書
TRIZ実践と効用(1) ・・・の改訂版(日本のTRIZ草創期から長らく販売されていた同著を、2015年に中川博士が自ら編集長となって復刊に近い形で出された最新版です。)

活用の実際事例や学術的な発展の情報が集まり発表される学会相当の場
私も、草創期から、震災あたりまで、協会会員であり幾度か発表もさせてもらいました。
(補足:私はここを退会していますが、理由は志しによるものです。震災以降、メインの学会1つのを除き、すべての会員費のある学術団体への参加を退会したためです。それらの総額は結構なもので、それを長くかかる東北の地の復興に回そうと意思決定したからです。)

TRIZの本格的な指導のできる専門家集団(コンサル企業)
同社の方の知人とは、教育系NPO活動などでもご一緒したりして、コミュニケーションをとっていますが、コンサルの方々の能力がとても高く、本格度の支援が受けられるだろうと思います。名古屋に拠点があります。
(他にも、TRIZのコンサルをする企業さんはあり、石井が直接知らないだけで何とも言えませんが、他にも国内にいくつかあります。東北に立地しているところはないかもしれません、私の知る範囲では。)

posted by 石井力重 at 05:27 | アイデアプラント 4th(2015-2017)

2016年02月27日

アイデアソンのパターン(α、β、γ)

アイデアソンのファシリテータが友人知人に沢山います。

彼らの活動を見聞きしていく中で、いくつかのパターンと時間変化があることに気が付きました。整理してみます。
(2016年現在の分け方です。時間がたつと、更に分化・発展しているでしょう。)


1)アイデアソン(パターンα)
  1. インプット
  2. アイデア醸成
  3. アイデア表出
  4. 良案抽出
  5. アイデア発展(ディテールやデザイン)
  6. 発表
  • 目的:「創造的に話し合う共通体験の獲得」「創造的組織風土の涵養」「個々人の創造的資質の発露」「大量の初期段階のアイデアの獲得」
  • 参加者属性:完全にオープンで地域の公的な立ち位置の場が主催だったり、企業主催でも社内外のだれでも参加できる座組みです。
  • 創出したアイデアの扱い:社会の共有財、という位置づけです。
  • 時期:企業や組織がアイデアソンへの取り組み始めの1~3年。
  • アイデアの活用:アウトプット(アイデア群)が、小規模ですぐに実行できる「営み」であれば、それは使われますが、「投資の大きい開発」であれば、使われません。(それらは、一つ上の段階に行かせるための踏み台(着想材料)として役目を果たし終えます。※)

    ※その場合、次のステージからは、守秘プロジェクトとして開発できる体制にします。オープンtoクローズド型のイノベーションモデルです。


2)アイデアソン(パターンβ)

  1. インプット
  2. アイデア醸成
  3. アイデア表出
  4. 良案抽出
  5. 価値洗い出し(ユーザと問題を深く掘り下げ)
  6. アイデア発展(実現PIVOT、PPCO)
  7. 模用衆感(クイック・ヒアリング、ユーザテスト)
  8. 洞察(そして5を再び)
  9. アイデア改良
  • 目的:「実際の開発ネタを作る」「クリエイティブ・エキスパートの育成」
  • 参加者属性:社内の人材のみ。あるいは、守秘契約のあるプロジェクトに参画する人々。
  • 創出したアイデアの扱い:企業やプロジェクトによる占有。
  • 時期:企業や組織がアウトプットを事業や社会価値へ発展させはじめるころ。2〜5年。
  • アイデアの活用:チームがアイデアを鍛えて練って、開発フェーズに進みます。

    備考:人材の多様性が限定的になります。打開するには、守秘を結んだ外部人材をプロジェクト参画させます。


模用衆感とは: 模擬物を用いてもらい人々(衆)に感想をもらう作業。クイックヒアリング。本格版は、ユーザテスト。(石井造語)


3)アイデアソン(パターンγ)

  1. インプット
  2. アイデア醸成
  3. アイデア表出
  4. 良案抽出
  5. 価値洗い出し(ユーザと問題を深く掘り下げ)
  6. 素機即形(機能をシンプルに、ラフな形状での、模型)
  7. 模用衆感(ブラッシュアップツアー、エキスパートフィードバック)
  8. 洞察(ダウンロードと選択)
  9. プロト改良
  • 目的:「実際にチームでごく短期間で開発するネタを作る」
  • 参加者属性:一般に募集をかけ、スキル前提や構成バランスを踏まえ、事務局が選定・チームを指定された人々。
  • 創出したアイデアの扱い:チーム内の共有材、あるいは、イベントごとの規約により様々。
  • 時期:初めから(αと同様のγ1~4を実施し、それ以降の作業はハッカソンで吸収という形式も時にはありえますが)
  • アイデアの活用:チームがごく短期間で開発し具現化します。その後、参加者による製造販売や、何らかの形で製造の可能な別のグループや企業に知財(おもに著作権として)の利用許諾をへて製造。※
  • 備考:ごく短期間での開発なので、着想の中から、いかにシンプルな訴求効果を切り出し、自チームの保有技術で具現化するか、が勝負になります。集まる人材の幅広さが具現化能力に強く影響します。

    ※知財としては、公知性の観点で特許がほぼ取得できませんので、作る過程で得た評判や知名度、ネーミング、意匠など、を、譲渡や利用許諾の対象として扱います。
    ※ケースによっては参加者全員に守秘義務を書面で締結することで優秀案で起業しようとするチームの特許取得の可能性を残してあげようとする運営方法もあります。

素機即形とは: シンプルな機能を搭載した、即興での造形物。(石井造語)


(注)以上のパターンは、石井がオリジンに何らかの形でかかわっているものについて整理したものであり、これ以外も、世の中にはアイデアソンのプロセスがあります。それらを踏まえると、それほど単純なパターン化はできず「今は、いろんなものがありますね」という無難さに回帰してしまうので、避けました。

この整理には、友人の矢吹さんから示唆を多くもらっています。ありがとうございます。
posted by 石井力重 at 14:20 | アイデアプラント 4th(2015-2017)

2016年02月25日

近所の大学で打合せ

University.jpg

自宅に近い大学のクリエイティブ系学科を訪れ、打合せをしていました。

また一つ、大学で授業を持つかもしれません。
優秀なデザインの先生方とチームで通年コースを担当する、というもので
その一部にピンポイントで、という参画の仕方です。

ご縁があって、生徒さんたちにお話しできる機会があるならば、いつも通り、全力でワークやレクチャーを提供してこようと思います。
再来年度の計画ということで、早くてもまだ一年ちょっと先ですが。

頭を高速で巡らせながら2時間半ほど打ち合わせたので、帰ってきたら1時間ほど寝落ちしていました。


posted by 石井力重 at 17:32 | アイデアプラント 4th(2015-2017)

2016年02月20日

【ご案内】「スマホと接続機器で楽しむ」女性限定のハッカソン(3月、東京)

女性だけのハッカソン(実際にワーキングプロトタイプまで作るハッカソン)が、3月にあります。

石井は、アイデア創出部分のパートを担当します。

テーマは『あなたが欲しいモノ、サービス』です。

欲しいもの、という起点から考えられるので発想しやすいお題です。
(製品領域を○○に限定する、という縛りはなにもありません。)

魅力的な製品アイデアを、次々発想できるようなアイデアワークを目下デザイン中です。

このハッカソンには、特徴が2つあります。

1つ目。参加者は女性だけです。従来の「男性ばかりのハッカソンで、力を発揮しにくかった」「男性ばかりで、興味はあっても参加しにくかった」という方は、ぜひ!

2つ目。外部機器とスマフォの連携を簡単にするプラットフォームとして、Linkingを使うことができます。それがなんであるのか、を見ていくだけでも、モノづくりのアイデアを刺激するとおもますので、ご興味ある方は、ぜひ、覗いてみてください。
(おすすめの見方:開いたトップ動画像を2分ぐらいぼーっとみてみてください。ああ、そういう生活をくれるものか、というのがすぐわかります。)

主催は、Engadget日本版、共催は、NTTドコモです。

(ちなみにLinkingはNTTドコモのシーズです。会場にドコモの方もきっといらっしゃると思いますので、作りながら、シーズについてその場であれこれ聞いてみちゃうことも、できるかもしれません。)

座組みとしては、2週間の制作日程を挟んだ土曜日2回、です。

  • DAY1は、アイデア出し、ハードウエアモックを即興で作る、発表、懇親会。
  • DAY2は、二週間で作ってきたプロトタイプを仕上げて、ワーキングの状態にしてプレゼン、懇親会。

Engadget日本版は、ITmediaでの連載時からの友人である鷹木氏が編集長をしていまして、彼の作りだす仕掛けはいつも、おもしろいので、今回もまた、参加者はきっと面白い体験が出来ると思います。

申し込み方法や、参加の条件など、きちんと明記がなされていますので、ご興味ある方は、ぜひ案内ページをご覧ください。


posted by 石井力重 at 01:00 | アイデアプラント 4th(2015-2017)

2016年02月19日

原稿を書く

8000文字の依頼原稿を、1か月間かけて、なんども推敲してきました。
そして、今、ようやく仕上げて提出できました。

丁寧に文章を書くこと。

それを私はずいぶん長い間忘れていました。

丁寧に書くことを思い出して書き始めては、頻繁に生じる旅仕事による執筆の中断。
戻ってくると、軽く忘れていて、しばらく向き合ってまた思い出す。
そんなことを幾度も繰り返しました。

作業振り返ると、以下のような展開をしてきました。

作業プロセス

  • 自分の中にある輝く概念を、光を消さないようにして
    そのまま外に引きずり出すこと。

  • あちこちの欠損を補うこと。

  • 欠けのない完全情報になったうえで、折り返し地点。

  • 全体として見たときの構成チェック。
  • 文章の大規模リフォーム。
  • 無くても成り立つ冗長要素のそぎ落とし。

  • 削りにくい、エゴや保身からくる
    文章速度を下げる箇所の発見。
  • そして、覚悟。
  • 覚悟をもって、表現を簡潔にしていく。

  • 慣用句や例示内容の見直し。
  • 誤字脱字、エラーチェック。

この過程中、何度も何度も、紙に出力しました。
ペンとマーカーをつかったアナログでの推敲作業をちくちく、ちくちく、と。

いろんな認知上の理由があるようですが、とにかく、推敲するときには、紙とペンにした方が、ぐっと意識が深くそこにはいれるようです。
PC画面上だと「ああ、これでOK!」と早い段階から感じてしまいますが、紙に刷られた文字だとそうはなりません。

「ここは冗長。トル、と。」
「ここは、句読点までを文頭にもってきいく、と。」

とぶつぶつ言いながらペンで、矢印や囲いや修正文を書いていきました。



<<<執筆余話>>>

大量の時間を投資して、その成果物(書いたもの)をどれほどの人に役立ててもらえるか、と時々考えていました。

たぶん、一瞬で消えていくタイプ読み物4ページなので、千人ぐらいの人が十分間、読んで終わり。

そのうち10人ぐらいは実際に書かれていることを、実践してみるかもしれません。
そのうち一人ぐらいは、いずれ人生のどこかでお会いできる日が来るかもしれません。
それで、十分じゃないか、と。

残りの999人は、一瞬見て、そういう考え方がある、と感じて抽象化し、具体的なことは忘却するでしょう。深層の意識の中に非言語的に残るものが、将来、分岐点でわずかに創造的なほうを選択するかもしれない。それがもたらすものが社会をもっと創造的なものに、ほんのりしてくれる。私はきっと知る由もない。
それで、いいのだ、と思います。

通常、書いた本人が思うほど、原稿に価値はない、という構造も分かっています。

ただ、創造性は賞賛と自己激励を必要とします。
その特性に基づいていえば、自分がした仕事の「貨幣的価値の外にある部分を想像してみる」ことは、自身のクリエイティビティにとっての栄養になるはずで、大事な事だと思います。

ただ、普通はそういうことを口にはせずに、「原稿に書いたことで、考えが整理できたよ」とスマートな表現におさめておくものなのでしょう。

(謝辞:今回、文章執筆に深く向き合うことができたのはのは、今一緒に別の文章(3月に出る書籍)を作っている渡部忠氏の見せてくださる優れた執筆作業からの影響だと思います。ありがとうございます。)
posted by 石井力重 at 22:55 | アイデアプラント 4th(2015-2017)

2016年02月18日

アイデア創出のステップ(2016版)

アイデア創出のプロセスを、古今東西の発想技法・創造技法から集めて、切り刻んで、体系的ステップにしたてると、こうなります。

Ideation_steps_2016_IDEAPLANT.jpg

これは、博士課程に在籍した時代に作り、これまでに何度か更新・公開しています。

数年ぶりに更新しましたので、掲載しておきます。

導入のお話(スライド)を含めて説明するときは、こうなります。以下。


従来からの変更点:

◎ 【収束】と【強化】の間、(具体化)の次の所に、(研磨)を加えています。

2016年02月17日

経済産業省(東北局)のシンポジウムでパネラーをしてきました

いつもと毛色の違う登壇として、シンポジウムのパネラーとして、UIJターンのサンプルとして自身の話をする、ということをしてきました。

UIJ_turns.jpg

地方に暮らし全国(や少し海外)で仕事をすることが、東京に住んで仕事をしていた頃よりも、だいぶ豊かな日々だと私は感じます。
そういうところに至るまでの経緯や取り組み方、今後の話をしてきました。


言おうと思って思い出していたことうち、初期の苦労話が抜けていましたので、恥ずかしい過去ですが、つまびらかに書きます。

大学院生にもどった初期の苦労話

30歳の頃、東京の会社を辞め、妻子を連れて東北大の大学院生になりました。
大学院の費用をある程度事前に貯金していましたが、新生児を抱えた家庭では費用が掛かります。

今だから言えますが、そうとうな切り詰めた節約生活をしました。

その頃の私は、いつも坊主頭でしたが、これは、床屋代を節約するためです。自分でやるにはバリカンで丸坊主にするしかありませんでした。

また、研究室にもっていく飲みものは、ペットボトルのお茶でしたが、妻がわかしてくれた麦茶を入れて詰めていたものでした。一つのペットボトルを何度もつかっていました。ペットボトルというのは10回も洗って使うと表面が白くなります。
(この逸話を話して、そうそう、と頷く人は、人生のどこかの時期で生活費を切り詰めた経験のある苦労人だろうと思います。)

隙間風の吹き込む、暗い、築年数の不明のぼろぼろの小さい平屋の借家を借りていました。ブレーカーのワット数もひくく、熱源のある家電をいっぺんに2つ以上使うとブレーカーが落ちる始末。それでも赤ん坊を抱えて鳴き声がしょっちゅうする生活状況なので、集合住宅に住むのは避けたかったので、仙台でも破格のやすい物件を見つけて住んだのでした。

当時はそれがつらいとは、ほとんど思いませんでした。
狭い家ではいつも家族がすぐそこにいて、自分が夢に向かって大学院で学んでいる日々はとても充実したものでした。

それから12年たちました。

今では、生活は一変して、陽当たりの良い家に住み、家族一人一人が自室をもっています。

しかし気が付くと、家族が狭いところにギュッと集まって、本を読んだりお茶を飲んだりして過ごしています。
「あの狭い家に住んでいた時と、変わらないね」と笑っています。

・・・そんな話もしようと思っていましたが、そんなタイミングや流れは無かったのでやめました。

私が登壇中に言及したような「大学に戻る形のUターン」つまり、”U”niversity ターン、をする場合、妻子を抱えている状況ならば、そういう生活も実際にはするかもしれません。

でも、夢に向かっている人なら苦じゃないでしょうし、将来的には、悪くない経験だと思います。

また、生活の質を落としたくない、という「心の贅肉」がついている人も、苦境時代でスマートになれるとおもいます。
心のぜい肉がついていると、何を見ても感動があまりありませんが、それは豊かとは遠い暮らしなんじゃないか、と私は思います。
posted by 石井力重 at 12:06 | アイデアプラント 4th(2015-2017)



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