2018年03月31日

事業9年目最後の日の報告は、『石井の発想法が、他の書籍に載りました』

3月31日。アイデアプラントの創業から丸9年目が、今日で終わります。

さて、献本していただいた本を紹介します。


書籍名:『アイデア発想法16 どんなとき、どの方法を使うか』
著者:矢野経済研究所 未来企画室
出版社:CCCメディアハウス

アイデア発想法を、手堅い企業さんが使う場合に、コンパクトで明快、かつ、手堅い組織風土にもなじむような、適度なバランスで、多様なアイデア発想法が記されています。

技法としては、オーソドックスなものが多く、それらを吸収しやすいように、ライトなテイストに編集されています。

私がお付き合いのある企業・機関の中で言えば、行政系や、手堅いパブリックサービスを行う組織、に相性がよさそうに思います。

さて、このブログは、石井の活動報告であり、その点から、この本については報告したいことがあります。

それは、石井の作った技法(の一つ)が、初めて、他の書籍に引用された、という点です。

書籍の文中で言及していただいたことは、ありますが、今回は、技法集の中に1技法として、採録されています。

【はちのすノート】

アイデア発想法16_03.jpg


拙著『アイデア・スイッチ』のデザインとはまた違ったテイストです。デザインが変わると、思考の促されも変わるなぁと、思いまして、それもまた私にとって興味深いです。

アイデア発想法16_02.jpg


この本の中で、「はちのすノート」だけ、挿絵のトーンが、ぴょーん、とした感じです。多くの挿絵は、抑えの利いた手堅いトーンです。

アイデア発想法16_01.jpg

他の書籍に採録された記念すべき一号です。


アイデア発想法16_00.JPG

この本のタイトルの「どんなとき、どの方法を使うか」は、他のアイデア発想法の本があいまいにしているところで、この本の特徴といえます。

かなり、読者の利用シーンが明確にあって、この時はこれ、と解いてくれていますので、ターゲット層の読者さんには「おお、これは助かる」となるでしょう。

そうでない読者にも、一定の示唆はあるかもしれません。


最後に、はちのすノートを離れて、もう一枚。
このページは、矢野経済研究所の水越社長によるあとがきです。

アイデア発想法16_a.JPG

引用「成果を生むためには真に創造的なビジョンが必要です」
引用「2つのギャップを埋めることがまさにビジョンであり、ビジョンを実現するための創造的な戦略となります。」

この言葉に力を借りて、すこし、つづります。

石井は思うのです。

堅実性と創造性。この2つが車の両輪だ、と。
この二つはともに必要、社会的価値を生み(貨幣価値も副産物として生み出す)ために。

手堅さの中でも、創造がいつもいる。
それは、クライアントを全国訪問して歩いていて、何度も目にする課題です。

創造的資質は、日本人はもともと高いのだと思うのですが、現代の大企業の中ではそれを日々発露させにくい。そういう状況を乗り越えてイノベーションの軌道を力強く駆け上がっていくには、時には手堅い組織にすっと受け入れられやすい書籍や、時には思いっきり創造的相互刺激を与えあうようなワークをしたりして、今背負っている組織と折り合いをつけながら、愚直に進み続けることが、日本式イノベーションに大事だと感じます。


石井が作り出すものには、『技法』『本』『ツール』『ワークショップ』などがあります。

9年目の最後に手にしたこの本を見ながら、思いました。

『本』は、時間を越えて、次の人たちへ届き、創造への礎となりうる。

本を書くのは苦手だ、といって書籍執筆には、目を背けていたのですが、創業10年で、人々から育ててもらった知見と経験を、そろそろ、本という形で、この時代に置いていくようにしたいと、思い始めました。


posted by 石井力重 at 23:58 | アイデアプラント 4th(2015-2017)

2018年03月30日

京都精華大学「アイデアスイッチのつくりかた」2018

京都精華大学での授業を今年も行います。「アイデアスイッチのつくりかた」。

今年は、座組がスペシャルで、「ストーリーマンガコース」と「アニメ」の合同授業として、実施します。

スライドを掲載します。


補足:

さそうあきら先生の授業枠(マンガ)、数井浩子先生の授業枠(アニメ)を、この時だけくっつけ、90人規模でのワークショップ型授業。

アニメとマンガは、一般の人から見れば似た業界に見えるかもしれませんが、仕事は大きく違います。
当然、学習する内容も違います。
学生さんの雰囲気も、マンガとアニメでかなり違います。「孤独な営み」と「組織でしていく仕事」の違い、といいますか。


Infomation

場所:

日時:
4月10日 13:00〜14:50 および 15:00〜16:10 
(3時限の終了時刻が特殊です)

授業名:
アイデアスイッチのつくりかた
(ストリーマンガコース)
(アニメーション演出論)


((すごく私的な、余話))

この授業は、ゲスト講師としては、異例なほど長く続いてきました。

昨年の授業の際に、さそうさんが「この授業も、もう10年以上、」と発言されていて、どうだったかな、と僕は思ってあいまいな返答をしました。

実は僕は、2011年の大震災で、PCデータをバックアップも含めて大幅に失っていまして、震災を乗り切る強烈な体験はそれ以前の記憶をぼんやりとさせていて、2011以前の情報は、かなり薄くなっていました。

そこで、ググってみると、今から10年前、ITmediaの記事がありました。
この授業を取り上げてくれていました。

本質はそのままですが、コンテンツはほとんど原型をとどめていませんね。

10年、同じ講義を、内容を変えながら伝えてきて、学生さんたちの創造的な能力の発露に、少しでも貢献できたならば幸甚です。−−という思いは、今も変わりません。

良い読後感を残す。−−それだけが、良いマンガじゃないことは今はもう重々承知していますが、それでも、マンガで育ってきた世代としては思うんです。

マンガが描き出すものにある時触れて、人生に影響をうけた。
苦しい時に主人公の言葉に背中を押してもらった。

そういうことができる力が、マンガにはある。

漫画家でもない僕が、マンガの学生さんたちに語れるのは、創造技法の漫画領域への適用、それだけです。

でも、マンガの持つ力を信じる一人として、未来の偉大な漫画家さんに、それを全力で提供したい。

毎年、そうおもって、授業に臨んでいます。

2018年03月29日

【ワークショップ】技術者向けの未来製品の構想ワーク【スライド】

技術者向けの未来製品の構想ワーク.png技術者向けの未来製品の構想ワーク.png


エンジニア向けのアイデア発想法は、企画者向けのものにくらべてかなり少ないのですが、少し存在します。それもかなりパワフルな技法です。TRIZ、という知見の中に、それはあります。

それをフルに使って、エンジニアが、10年後を構想するためのアイデア創出ワークショップを設計しました。5時間バージョン。

掲載します。


追記:

3月16日に、このワークショップにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。ご参加いただいた方は、社内で使う分にはスライドはご自由にお使いください。

こういうことが得意な方であれば、たぶん、来年入ってくる新しいメンバーに、同等の教育をすることもできるでしょう。
さらに言えば、慣れてくれば自部門に合うように、アレンジして使っていく。それが、アイデア創出技術の正しい利用法だと思います。アイデア発想法は、人工的な思考プロセスです。相性があります。自分に相性が良い技法を見つけて使い倒す、あるいは、合わないものは再構築して使っていく。そういうスタンスが良いでしょう。

皆さんが創造的に生み出す製品が、世界をよりもっと楽しく、快適にされることを、心から応援しています。

2018年03月28日

技術者向けのアイデア創出ツールを。

世のアイデア発想法をたくさん見ていく中で、技術者向けのアイデア創出の手法はどうして少ないのだろう、と思っていました。

全くないわけじゃありません。
有望なところとしては、技術者の発想に役立つコンテンツとして
開発工学の範疇にTRIZとVEがあります。

でも、開発工学を独学で理解するのは骨が折れます。
ちょっと手を出しにくい。


私は、どういう分野のアイデア創出支援の仕事も
引き受けますので、領域は多様です。
まんが、精密機器、自動車、医療、様々。

企画者向けのアイデア創出も、
技術者向けのアイデア創出も、担当します。

なのでうちの発想ツールの適応領域を広く設定しています。

ですが、偏りはやはりあります。
12個の発想ツール中、3つだけが、開発工学の領域の知見から作られています。
かなり、少ない。


2018年は、技術者向けのアイデア創出ツールを、世に出してみようと思います。

開発工学の知見や知識構造から、有用な要素をたくさん切り出して。

posted by 石井力重 at 16:22 | アイデアプラントの試作の目線

2018年03月26日

【ワークショップ】多部門で新事業アイデア創出【スライド】

IDEA2018.png

部門を越えていろんな人材が集まり、アイデア創出の活動をする最初の段階に向くように設計したワークショップです。

実施した企業さんの固有性をすべて消去したバージョンのスライドを掲載します。



汐留でのアイデアワークショップにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
ご参加いただいた方は、社内や仕事で使う分には、このスライドはご自由にお使いください。

創造的資質の高い人は、こういうワークを一度体験してみると、自社に馴染みやすいように再デザインし、自分でファシリテーションできたりします。


((余談))

”アイデア創出”の活動が、必要だ。
収益性の高い企業さんの中には、そういうニーズがよく見られます。

Creativeとは、「あたらしい有用性」。
これは、CPSという創造性の技法体系の一つにおける創造性の定義なのです。

あたらしい有用性があるものを生み出せたときに、製品が市場から歓迎され、社会からこの会社がなかったら困る、と評価されるようになります。
社会に貢献し長く発展の軌道を上り続ける企業さんにとって、こういうワークショップがほんの少しでもお役に立てば幸甚です。


2018年03月22日

ブレインストーミングを邪魔する4つの要因とは

ブレインストーミングを邪魔する4つの要因.png


ブレインストーミングを効果的にしたい。そう願うリーダは「邪魔する要因がある」ということを知っておく。それだけでも、だいぶ利益があります。阻害要因があるとわかっていれば回避するように、準備やかじ取りができます。


ブレインストーミングの4つの阻害要因

1.評価懸念

変なことを言ったら、馬鹿な人だと思われるんじゃないか。この評価を心配してしまう気持ちが、創造的な思い付きの表出化のブレーキになります。

取り払うには:

チームの中で、ばかばかしいことを言ってもいいんだという関係性を作ってやること。あるいは、この場は馬鹿なことをいっても何も問題はない(むしろ、多様性の担保という意味では良い面がある)という共通視座をリーダが提示すること。

ばかばかしいことを言える関係性づくりには、5分ぐらいのちょっとした創造的な内容のアイスブレイクをする。あるいは、皆でランチを取って雑談して、気軽に話せる関係性を作ってから、ブレストにはいる、なども。

共通視座づくりとしては、「二段階ブレスト」のように、「今は、How(実現方法)は気にしないで、What(こうだったらいいのに、という理想案)だけ出せばOK。Howは後半のブレストで考えますから。」といった感じに、ブレストを構造化して進行します。


2.発言量の同調

他の参加者の発言量にあわせ、場を乱さないでおこう。人の集団には、そういう同調圧力が生まれます。その抑制的心理が、たくさんの選択肢を生み出すことへのブレーキになります。

取り払うには:

最初の数人の発言は、闊達な雰囲気や、意見提示を触発してくれるような人に喋ってもらう。そうすると、同調性圧力は良い方向に効きます。最初の1~2人が、緊張感を作り出してしまうのを避けておく。

あるいは、「ブレイン・ライティング」のような、皆が強制的にアイデア量産するブレスト技法を使います。


3.社会的サボタージュ(あるいは、フリーライド)

参加者の中に優秀案を次々出す人がいる。そうすると他の人は、自分はしゃべらないでおこう、と怠ける。そんなつもりはなくても、精力的精神を働かせることにブレーキをかけてしまいます。結果、発言をわずかな人だけがしてしまう。

(これは難しいです。あなたがクリエイティブ・リーダなら、発言をする側でしょう。そして部下たちは黙る。さりとて難しいのは「じゃあ、今日は俺は黙っておこう」と態度を一変させると、皆は「あれ、いつも闊達な彼が黙ってる。誰も発言しないし、空気が重いなぁ」と。つまり発言量の同調、が効いてしまいます。)

取り払うには:

集団のサイズを小さくして萌芽させる。収穫するときに集団サイズを元のサイズにもどす。つまり、ブレストを6人といった大きな集団でする状態を一度、断ち切って、ペア・ブレストをしてもらい、そのあとペアをシャッフルし、更にペアブレストをしてもらい、最後に元の集団に戻し、場全体でブレストをします。(6分、6分、15分、ぐらい。出典「PPGブレスト」)


4.生産性ロス(あるいは、発話のブロッキング)

ブレスト中、ひとは「聞く、考え出す、言う」の3つの状態を行き来する。誰かが話すとき、メンバーは強制的に「聞く」状態になる。人数が多いほど「聞く」時間が長くなる。アイデアを考え出す行為は、一人でしているときに比べかなり少なくなる。これが、アイデア創出のブレーキになります。

取り払うには:

全員が思考する時間を時々はさむ。誰にも意見を促されることもなく沈思黙考できる。それを発言しあい、互いに、いろんな観点を得て、また再び、皆が沈思黙考。そして発言しあう。これを繰りかえすことで、集団浅慮の状態から、熟慮されたアイデアと相互刺激のいいところを使えます。(沈黙2分、ブレスト5分、沈黙8分、ブレスト11分、ぐらい。出典「Zebraブレスト」)


この記事は、以上です。

ブレストが効果的か否か、というのは、ブレストを引っ張るコツや技法を使ってみると、だいぶ変わってきます。

思考系の技法に振り回されるのはナンセンスです。

ですが、アイデア創出の仕事は、さっさと終えて、その先の仕事へ進もうとしたら、ブレストのステージをなんども失敗して森に迷い込む前に、ブレストの座組をいちど整えて、やってみると、結構違うもんだなぁと、思うでしょう。

アイデアプラント代表として、各地各社を訪問して歩いて、昼の雑談にそういう話をすると、こういう短いヒントからでも、ブレストのやり方を改良させて創造的企画を生み出していくチームは結構、あります。

posted by 石井力重 at 17:39 | アイデアの技法

2018年03月11日

ブレインストーミングのルールとガイド

大震災から此の方、3月11日は、創造ツールを公開・配布しています。

【ブレインストーミングの4つのルール、および、ガイド】を一枚のシートにしたものを、公開します。

ブレストのルール.jpg

(上記は、WEB用で粗いので、以下に、PDFファイルを置いておきます)







<<シートの説明>>

【ブレインストーミングの4つのルール】

これは日本ではいろんな人により、いろんな表現がなされています。
その中でも、原典であるA.オズボーンの文献に近い表現を上記では採用しています。

なお、オズボーン系の技法の中核の一つに「プレイズ・ファースト(先に褒めよ)」という概念があります。
一歩踏み込んで、その概念を用いるならば、「赤のルール」は「判断遅延≒批判禁止」より「良点発見」(リョウテンハッケン)となります。
それを端的に表現しています。
ブレストの根底にあるものをよく知っている人だと、このルールのほうがしっくりくるでしょう。


【創造的アイデア創出のガイド】

「ブレストのルールって、結局なんなの?」という声を、よく聞きます。

オズボーンの考えていたブレストの”ルール”というのは、「縛るもの」というよりも「ガイドするもの」、つまり、ガイドライン、という方が、概念をより正確に捉えられます。

平たく言えば「あなたの創造性を引き出す時に、すると良いこと、4つ」みたいなものです。

そのガイドっぽさをより強めて、表現したものが、この「ガイド」です。

(挿絵とフレーズは、アイデアプラントが作り出した「ブレインストーミング・カード」のエッセンスで表現しています。)


【使い方】

ブレストをする際に、ホワイトボードの端っこに掲示しておきます。

「ブレストのルールは何だっけ?」という時に、上段をみると思い出せます。

「ブレスト中に推奨される行動って、どんなもんだろう」というと時には、下段を見ると良いでしょう。

実際は、上段と下段は、同じ本質を、異なる表現でつづったものなので、どちらかだけで充分です。
私は、(手前味噌で恐縮ですが)下段(ガイド)の方を推奨しています。

その理由は、

  • ワーク中に「批判禁止」といった禁止事項を提示されても人は「じゃあ、何をすればいいのか」となります。
  • そうじゃなくて、「他の人のアイデアの良いところを見いだそう」という積極的に推奨される行動を提示される方が、人は動きやすい。
  • (※これは、アイデアプラントの仕事として、大企業のイノベーション部門を訪問し続ける日々の中で強く感じた経験則です。完全に、どの国でも、どの時代でも成り立つ、というわけでなく、21世紀初頭の、日本では、こうだ、というだけのことです。厳密に言えば。)



備考:

2008年、シリコンバレーに本社のあるIDEOを訪問して、ブレインストーミングの実際についてインタビュー調査したことがあります。
会議室には、7つのルールが掲示してありました。

そのルールを、昔のこのブログに掲載しています。こちら

IDEOですら、ブレストのルールを会議室に掲示している。

その事実に、われわれ日本人も、創造的な話し合いの環境を整えるということを、もっと、してもいいのではないか、と感じたことは、今も心に残っています。


 

後記:

最後に、なぜ、こういうコンテンツを公開するか、について、語らせてください。

我々は、仙台に拠点がある会社です。
311では多くの人が被害を受け、かつ、たくさんの仲間を失いました。
一方で、日本中、世界の各地から、暖かい支援を受けました。
本当に、ありがとうございました。

震災前も今も、変わらぬ、アイデアプラントの志しがあります。

創造的な人や組織が次々生まれてくる社会を作りたい。

こういうコンテンツを公開することで、創造的な可能性をもった個人や企業さんが、創造的な産物を生み出していくことに、ほんの少しでも貢献できたならば、幸甚です。


posted by 石井力重 at 11:52 | 311special

2018年03月08日

66日仮説

今日は、このブログには珍しいタイプの「報告」をつづります。

イギリスの論文

ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンの研究者による習慣形成に関する論文があります。
「How are habits formed: Modelling habit formation in the real world」

要約しますと、

・多くの被験者に参加してもらい習慣形成までの日数を調べた。
・平均66日であった。最短18日、最長254日
・ただし、習慣化の課題は「飲むこと」あるいは「食べること」あるいは「運動」など

というものです。


66日仮説

こういう興味深い論文は、“又聞き”した人による「何の習慣化においても、同じく成り立つ。66日で習慣が形成できる」という【原典無視の拡大&断言】に変化しがちです。

しかし、有益な実践を導くかもしれない他領域への援用、として解釈するなら、一定の意味はあるでしょう。

私なりに仮説として、ここに言葉を定義しておきます。

『66日仮説』=『多くの物事において、取り組みを66日続けると習慣になる』

((補足))

実験と“66日仮説”を前提に話していることを文章ごとに逐一明記するならば、「実験で取り組まれた習慣化の課題は「飲むこと」あるいは「食べること」あるいは「運動」などでした。それを、「知的作業の習慣化」についても、援用できるならば、という仮説を前提にして、以下述べます。もしかしたらその仮説は正しくない可能性があることもあらかじめ申し上げておきます。」という趣旨の一文をつけるべきでしょう。ただカジュアル・コミュニケーションにおいて、140文字近く入れるのは、読みにくい・言いにくいので、『66日仮説』という一言に集約して、以降、石井は用います。


身をもって66日試してみた

さて、66日仮説。これが実際、どの程度成り立つのか?そして、66日も習慣化に取り組みを続けると、どういう変化が起こるのか、を知りたいと思い、トライしてみました。

取り組んだ習慣は「毎日1アイデアスケッチをかく」です。(実際のもの

「1月1日」にスタートしました。
さてその66日目は「3月7日」、つまり昨日でした。

習慣化したか?という中心的な命題に答えますと、「やや、はい。」です。

すこし細かい議論をつづります。

論文の中で「習慣化した」状態をどう調査しているのか。
それは、2003年ごろの論文に登場するものに準拠した方法とのこと。

習慣に関し12項目について被験者に回答をしてもらっています。7リッカートスケールで。

そこから、「習慣スコア」を算出します。

それが十分にさちった状態(時間遷移グラフが漸近的になる)をもって、習慣化をみています。

で、具体的にどんな項目か。

それは“‘I do automatically’, ‘I do without thinking’ and ‘I would find hard not to do’.”などであると記されています。
(・自動的にやった。・考えることなしにやった。・しないでおくのは困難だと気付いた。)

さて、その辺にあたるか?

アイデアスケッチを描く、というのは、非常に考える要素の多い作業であり、この定義だとやや当てはめにくいのですが、「しないでおくのは困難だと気付いた。」あたりは、ありかもしれません。

そのいみで、「やや、はい」です。

しないと、気持ち悪いというか、落ち着かない。そんな感じです。
(ただ、三日連続やらないでいたら、それも消えてしまうかもしれない感触です)


起こったこと

さて、この66日の間で、

・内面で起こったこと
・周囲に起こったこと
・物理的に起こったこと
・行動で起こったこと

の4側面から書いてみます。(この分類は、「内」「外」で分けてみて、もう少し、分解してみて、この観点があるな、として組んだ程度です。大きな理屈があるわけではありません。)

【内面で起こったこと】

  1. ・寝るまでの数時間になると、ノルマ実践のタイムリミットを感じる
  2. ・はじめて10日も過ぎると、アイデアが出なくて出なくて本当に苦しい日が連続した
  3. ・出なくて朝4時まで起きてしまったことがあった(特に、出張先で深酒した日は、その傾向が強い)
  4. ・詳細と素描は明日の自分に任せて、一行アイデアメモを書いて終わりでもよい、というルールに変更した
  5. ・新しい体験をした日はアイデアが思い付きやすい、という傾向を長期間の継続からかなり強く感じた
  6. ・日々の中に潜む「困りごと」「不快なこと」を発見できることがうれしいことになった
  7. ・困りごとに対してこんなものがあったらいいな、と安直に浮かぶものは大抵アマゾンか楽天に類似するものがあった。(それでも差異が大事な部分であれば、廃案にせず、採用した)
  8. ・寝不足の時には、インプットはできても、アウトプット(特に創造的なこと)はパフォーマンスが下がる、ということを実感した
  9. ・どんな思いつきでも、具体的な実現方法まで考えるようになった

【周囲に起こったこと】

  1. ・毎日、一アイデアスケッチを描き出す、という行為を認識し理解してくれるようになり、その作業中はほおっておいてもらえるようになった。娘たちが。
  2. ・毎日のノルマなので、やらないと、「やらないの?いいの?」と言われるようになった。娘たちに。

【物理的に起こったこと】

  1. ・(まずは、その辺にあるA5用紙と、0.7mm2Bシャーペンだけではじめたが)紙は、アイデアスケッチ最適化した用紙(Roku)になった。消せるカラーシャーペンを導入。消しゴムを導入(それまでは、シャーペンの消しゴム)。製図用の極細のシャーペン&極細消しゴム&カラー筆ペンを導入
  2. ・描き上げたものを(最初は、クリアファイルに入れていただけだったが)、スポンジケースに入れるようになり、Dリングファイルに入れるようになった
  3. ・居間の本棚に、アイデアスケッチのストック空間を作った(勝手に)

【行動で起こったこと】

  1. ・毎日、ほんの少しでもいいから、新しいものに触れよう、新しいことをしよう、という癖が形成された。
  2. ・お風呂の中で、何を考えるかは以前はその日次第であったが、アイデア醸成タイムになった
  3. ・夕飯が終わると、茶の間にペンと紙をもって座るようになった。
  4. ・旅先でも、なるべく毎日同じ時間帯に、ペンを握るようになった。
  5. ・(出先のカフェで、思いついたがアイデアスケッチ用紙がない時には、箸袋の裏にアイデアスケッチを描くことをしてからは、その張替え作業が面倒だと気付き)出先では用紙を折りたたんでポケットに入れておくようになった。
  6. ・絵でのアイデア図示がうまくなった
  7. ・文字を丁寧に書くようになり、うまくなった
  8. ・手書き時代(90年代のPCがなかったころ)のように漢字が書けるようになった
  9. ・落書きをするようになった。
  10. ・ネット上の絵を描くこつを閲覧したり、練習ソフト(DSの新・絵心教室)で、表現力を折に触れて学ぶようになった。
  11. ・発想したものがすでに存在していないか、ネットをつかって毎回調べるようになった。
  12. ・ネットを使って類似品があった場合、それを後で購入して、アイデアの参考にしてみるようになった。(最近は、ミトン型の掃除不繊維、というものを買った。)
  13. ・SNSに大きな目的ができた。毎日、長く閲覧していることがなくなった。(アイデアが出ない時は、SNSやスマートニュースを見て刺激を得る。回遊しアイデアがわいたら、そこでSNSを終えて作業に入る。描き上げ後にSNSに投稿して、その日は終了。)
  14. ・どうしても、望むレベルのアイデアにならない(駄案)時でも、ノルマの閉め切りがくるので、描き上げるようになった。(そういうアイデアが、SNSの反応がよかったりする。意外なもので。)
  15. ・直近24時間前を、つぶさに思い出してみる、という作業をするようになった。(やってみると、昼に外出したはずなのに夜にはすっかり忘れていることもある、と気づいた。)
  16. ・毎日、よく観察するようになった。気づきを増やそうとし。

そして、【継続のミソ】もあります。
上記にもそれは含まれていましたが、含まれないものを以下に記しておきます。

【継続のミソ】

  1. ・アイデアスケッチを、Instagramに上げてアイデアの中身に関連するハッシュタグつけて投稿。外国のクリエータがフィードバックをくれるたりするのでちょっとうれしい。
  2. ・Facebookに、アイデアへのセルフ・コメントをつけて投稿。おもに、実現上の懸念点とか。Facebookはこういうものに反応がかなり少ないけれど、コメントがあった時は、有益なものが多い。

以上、自己観察から起こったことを記しました。


67日目の今、思うこと

66日仮説は、ある程度有効な知見、いわゆる目安、としてとらえるならば、かなり良い知見であろうと思いました。

まずは66日続けてみる。

66日というのは、おおざっぱに言えば「2カ月+5日間」です。

  • 0.5カ月では、まだ全然、手ごたえ無し。
  • 1カ月を過ぎると、リズムがでてくる。でも、すぐに消えそう。
  • 1.5か月を過ぎると、かなり、その行為に自然に向き合うようになる。
  • 2カ月を過ぎると、自分の内面や周囲の環境や道具立てや行動が、確立してくる。
  • 66日で、「やめると、気持ち悪いというか、そわそわする」感じになる。

「アイデアスケッチを描く」は、かなり思考と手作業のハードルが高めのものですが、こんな感じです。取り組んでよかったなぁと純粋に思います。


挫折した取り組みも

同時にはじめて習慣にならなかったものもあります。

それはDSの『新・絵心教室』で絵を描く行為です。
1月1日から、毎日30分継続していたのですが、私の仕事スタイルは「仙台の書斎で、ワークショップの制作や、新製品開発」時期と、「カバンひとつで街から街へ旅仕事」時期があり、旅仕事時期はミニマル道具ゆえ、DSをもっていきません。

一週間ちょっとたって、仙台の自宅に戻ると、もうすっかり、取り組みのリズムが消えてしまっています。
そこから頑張るものの、最初の転がりだしの大変さ再び、という感じで、二度ほど旅仕事をしたら、すっかり、手に取ることもなくなりました。

ペンと紙だけあればすぐにできる。
「アイデアスケッチ」が続いたのは、そういう、アナログの即実行できる軽さがあったからかもしれません。


期間に関して、思ったこと

この66日の間、18とか66とかってちょっとした特性時間が存在しそうだな、と感じていました。“期間の固有値”みたいなものが。

まず。習慣化の特徴的な日数。
18日、66日、254日。

これらは、66日をベースにして、約1/4倍、約4倍、だなぁと。

間に、1/2と、2を補ってみると、
1/4倍、1/2倍、1倍、2倍、4倍は、
16.5日、33日、66日、132日、264日。

なんだか、この期間が、何かをシフトアップしていく、特性時間なんじゃないだろうか、と。

あるいは。

単純に
66日目は「3月7日」
132日目(2倍)は、「5月10日」
198日目(3倍)は、「7月17日」
264日目(4倍)は、「9月21日」
(すべて1月1日起点)
という区切りも、ありかと。


ちなみに、収納の面では、100日ずつでスケッチを束ねるので、
100日目、「4月10日」
200日目、「7月19日」
300日目、「10月27日」
あたりも、実践者には区切りの日になりそうです。


この先のこと

できる限り、続けます。

上記のいずれかのタイミングで、あるいは、意図して辞めたタイミングで、振り返りをまた記してみます。

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posted by 石井力重 at 21:03 | 研究(創造工学)/検討メモ&資料



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