2018年04月24日

【ご案内】関西のイノベータと共に学ぶ機会があります【夏に登壇します】

近畿地方の方にご案内があります。2件。一つは大阪。もう一つは京都。

Osaka_Kyoto_ishiirikie2018.png

石井が講師として参画するプロジェクトです。
どちらも、教育プログラム内容が良く、創造的努力をする人には自信を持ってお勧めできます。

詳しく書きます。



OIH(大阪イノベーションハブ。グランフロントの中)の講座

名称:OIH大企業イントルプレナーミートアップ 2018

<<ざっくり言うと>>

経済産業省が「始動」というプログラムを展開しています。
その一期のメンバーは新事業立ち上げのサポートを自主的に行い、
皆でさらにイノベーションをなしていく活動をされています。
それが、これです。
サポートは、講義とメンターによる指導です。
学びも企画のたたき上げもできる、というかなり本格的なものです。

メンターも受講者も、大企業の若手中堅のクリエイティブなリーダたちです。

メンター筆頭に名前のある坪井さんは、ミスター始動、と呼ばれ、
八面六臂の大活躍のビジネスパーソンです。
彼の新製品プロジェクトの製品は世界的なデザイン賞を受賞したり、
異業種分野の国プロの研究員に企業人として選ばれたり。

この講座は、かなり本気の学びをする人、与える人で構成されていて
しかも無料。企業内の挑戦者だけれど学べる機会がない、という人は
ぜひトライしてみてください。
優しくないですよ、きっと、始動は。
でもそれは、ためになる。

このプロジェクトは、審査があるようですので、
希望者全員が聴講できるわけじゃないようですが、
石井の担当回(7月7日)だけは、
一般の聴講者も可能なオープン講座にしてもらえるかもしれません。

もちろん、お薦めは、正規受講者になって、メンターについて学ぶことです。

石井の講義では、様々なアイデア発想法をやります。
イノベータとして新しい着想をえることを、いろんな角度から助けるメソッドを。

本気で、イノベーションに向かっていく人たち共に過ごす一年間は、
きっと代えがたいものを得る一年になるでしょう。



ASTEM(アステム:京都高度技術研究所)の講座

名称:KBDS(京都ビジネスデザインスクール)2018

<<ざっくりいうと>>

公的機関のビジネススクール、というと、各地にありますが、たぶん、京都のこれはもっとも中身がリッチです。まず、行政の助成金無しで受講料だけで運営されています。企画されているプログラムは年々改良され、常に新しいので、ほしいものを抑えつつも新しく台頭してくるビジネスフレームワークも学べます。

ここもまた、一人のリーダが作り出してきた場です。ASTEMの更田さん。肩書は何になるのかはわかりませんが、機能的には、プロデューサです。彼が講座を描き、講師を口説き落とし、各領域の一流の人を講師としてアサインしています。

日本でBtoCのマーケティングで小阪裕司(こさかゆうじ)先生はあまりに有名ですが、小阪先生も講師の一人です。実験経営学の大江建(おおえたける)先生のビジネス評価。スタンフォードの研究機関(旧SRI、現SBI)の未来洞察手法の高内章(たかうちあきら)先生、デザインは革新的な家電を大手メーカで創造されてきた先生、ビジネスモデルキャンバスやバリュープロポジションマップの先生、最近急速に台頭してきた概念である「エフェクチュエーション(起業家的意思決定)」の先生といった、豪華な布陣です。私石井は、(新事業の)アイデア創出の技法の講義を担当します。

共に学ぶ参加者は、関西の有力企業の社員さんです。企業会員はかなり高額ですので、そこに受講者を送り込む企業さんとしては、社内のエースを投入してきます。チーム単位でディスカッションを繰り返しながら進めていく一年間の受講は、刺激も学びも多く得られます。

個人会員もあり、個人で参加されている方もいます。
公的機関のスクールなれど、かなりの高額。それをクリアしてくる個人の方というのは、あるいみ”相当な人”です。

出会う人たちが、財産である。
これは、世界的なビジネススクールに留学する人が良く言う言葉ですが、この京都に通う一年間もまた、そういうものになるでしょう。

石井担当回は、8月18日。京都の五山(山で大文字焼きをする風習)のすぐ後です。
オープンイベントではないのですが、もし自社のどこかの部門が企業会員になっていれば、参加できるかもしれません。

企業会員さんもしくは、個人会員としてぜひ、参加してみてください。




<<補足>>

アイデアプラントは、「アイデアプラントのお手伝い係」という名の無料オブザーバ制度をもうけています。

簡単に言うと、一般参加が不可能なイベントに、石井の身内として会場に入ってもらい、ちょこっと紙を配ったりカメラマンをしてもらったりして、後は自由に見学してもらえる、という形式です。人数が足りない時は数合わせに入っていただくこともありますので、見るだけでなく受講者とともにワークをすることも時々あります。

学習したいけれど定員がいっぱいだった、という時などは、あきらめる前にご一報ください。
一人でも多くの方に、知見を提供できれば幸いです。

(なお、聴講中に喋り続ける迷惑行為を行った方がいて、その方には三度の注意の後、退席を言い渡したことが、過去に一度だけあります。正規の受講者さんが学ぶことが優先である、ということに賛同いただいたうえで、お越しください。)


posted by 石井力重 at 17:50 | アイデアプラント 5th(2018-2020)

2018年04月20日

【GetNaviwave】”これぞブレスト! 名案も迷案も臆さず発案できるアイデア持ち寄りツール”

レビュー&ニュースのwebメディア「GetNaviwave」(学研プラス)の「毎日、文房具。」さんが、【ブレイン・ライティング・シート2】を紹介してくださいました。

これぞブレスト! 名案も迷案も臆さず発案できるアイデア持ち寄りツール


BWS_GNW.png



記事内の見出しタイトルが、端的で本質的な効能を表現されています。

【ポイント1】制限時間があるから絞り出せる

【ポイント2】突拍子もないアイデアもためらわずに出せる

【ポイント3】全員から同じ数のアイデアをピックアップできる

記事では、それぞれに簡潔な説明と、実際のシーンの写真があります。

ブレインライティング技法の本質を突いた内容です。

良い記事を書いてくださってありがとうございます。


((ここから、記事の話を離れまして、創造工学の知見からシェアしたいことを書きます。))


アイデア発想技法としてみたブレイン・ライティングは、

◎5分で回すので、締め切り効果(締め切りの直前で想像性の発露がなされやすい)を何度も使えます。
◎アイデアを書き物で場に提示し、それを次の人ひとりが見るだけなので、未成熟な案も出しやすくなります。
◎全員からアイデアをたくさん(18個ずつ)引き出せます。(誰かの独演会状態を回避することにもつながります。)

そして、

◎アイデアというのは100個を超えて出すと、魅力度の高いものがだいたい4%ぐらい出てくる、という構造が使えます。
(石井が大学院博士課程で研究していた際にみえた傾向です。正確言えば、1~9%ぐらいの揺れはあります。)
ブレインライティングは、6人で30分やると108個のアイデアが出ます。
その中には、いいものが5~6個は含まれるようになります。

◎リーダも、必ず100個のアイデアが手に入ることが保証されているのは心強いです。
(なお、平均して、45%が魅力度の全くないアイデアが出ます。それでいいのです。泥吐きも大事な創造的努力ですから。)


((話をGetNaviwaveに戻します。))


筆者の「毎日、文房具。」さんについて、すこし綴ります。

この筆者さんの筆の力には、文具好き界隈で定評があります。ブレイン・ライティング・シートに限らず、レビューする文具の本質までかなりの深度で見抜いて書かれていると思います。

中でも、石井のお薦めは「ふせんのごみ箱」と「HINGE(ヒンジ)」です。

文具好きなら「へー、いいなこれ(ぽちっ)」と行ってしまいそうないい文具(を教えてくれる)記事です。

ぜひ、サイトで「毎日、文房具。」さんの執筆記事をご覧になってみてください。 → 一覧 

posted by 石井力重 at 15:09 | プレスリリース&メディア掲載

2018年04月17日

アニメとマンガの学生さん向けのワークショップ授業をしました(京都精華大 2018)

4月10日。京都の北にある芸術系の大学、京都精華大学にて、アイデアの講義をしました。

その様子が、アニメション学科の公式ブログに紹介されています。




kyoto_seika_Univ_idea_2018.png

kyoto_seika_Univ_idea_2018_.png



内容を引用させてもらいます。

石井力重 様はIDEA PLANT(アイデアプラント)の代表であり、「アイデア発想を支援するツール」の作家として多様なアイデア発想ツールを開発されています。

また、全国各地の企業、大学、公的機関等で、多様なアイデアワークショップを実施されています。海外でも実施されており、大変幅広く活躍されています。

【IDEA PLANT】 http://ideaplant.jp/

【石井力重 様 プロフィール】http://ishiirikie.blogspot.jp/


前を向いて話を聞く時間とグループワークの時間との切り替えが素晴らしく、学生たちも集中しながら講義を受けていました。
また、グループワーク中には必ず音楽がかかっており、話しやすい環境のつくりかたも勉強になったのではないかと思います。
制作だけに限らず日常生活にも取り入れたい発想力をぐんぐん伸ばしていきましょう!

石井様、今回ゲスト講師としてご来校いただき、誠にありがとうございました!

助手 R


(引用ここまで)

この講義の資料は、ブログの少し前のところに、あります。こちら



<<長い余談。創造をめぐる談義の夜>>

京都精華大学での授業、11年目になりました。(多分。あるいはもう少し長いかもしれません。)

漫画の学生さん向けを長く続きました。
昨年から、アニメの学生さんに向けた授業も展開。
今年は、アニメとマンガの授業を合同授業という形式でやりました。
実習を伴う授業としては、これはかなり珍しい形式だそうです。

そしてこの授業には、
一回目から恒例の夜、があります。

ゲスト講師の私を招待してくださるプロパーの先生方(現役の漫画家、プロのアニメーター、アニメ監督、芸術家)との、創造をめぐる談義の宴席です。

anime_manga_creator_night.jpg
(四条烏丸の居酒屋にて。フラッシュがまぶしいの図)

ここにいる人たちが手がけた作品。

らんま1/2、アシベ、ケロロ軍曹、Zガンダム、ボトムズ、この世界の片隅に、神童、マエストロ、など。(記憶しているものだけですが)

ーーー

今年の聞いた話では、「若くして売れた場合、引き出しが作れない」問題が、興味深く。

では、引き出しはどうやって増やすのか。

酔っ払いつつ、話はあちこち行くのでどういう結論でもないわけですが、狭い体験だけをしていてはダメだ、というのは、やはり確かなようで。

あと興味深く聞いたのが、アシスタントを長くやると自分の絵が消える現象。

先生の線を描く。それに熟達して行くと、自分の作風に混ざるんだろうとおもいますが、混ざる色が強ければ、その色になるんかなと。

創造する人々とのこの宴席も今年で11年目。11回目。それが次の年の”漫画のアイデア”の授業づくりのヒントになります。

漫画、アニメを生み出していく人たちに、創造工学的なエッセンスを、いろんな形で提供できるように、来年も、全力で取り組みます。

posted by 石井力重 at 00:01 | アイデアプラント 5th(2018-2020)

2018年04月16日

【ワークショップ】地域課題解決する事業アイデアを創出する【スライド】

地域課題解決する事業アイデアを創出するアイデアワークショップを実施しました。4時間。大阪某社にて。

スライドを公開します。


<<主な構成>>

はじめは、創造性ベーシックで、ブレストの本質と、アイデアをPivotする話をしています。

後半は、ワークショップ形式で、良質なインプットを入れ、それをネタにブレストし、アイデアをビジネスモデルに発展させる、という流れになっています。


<<ワークショップの設計の狙い>>

「課題を共有しアイデアを発想させる。アイデアをビジネスモデルに昇華させる。そういうことをワークショップでやりたいなぁ」ということに最適なように設計してあります。




 
さて、いつもは、感想を掲載することはないのですが、たまには、感想を紹介してみます。(講師の自己満足のブログ、みたいになるのを避けたいので、できるだけ、感想を載せないでいます、通常は。)


<<参加者の声>>

このワークショップの参加者の皆さんから、声(感想)をいただきました。
了解をいただき、ここに掲載します。(個人情報や企業情報は、処理してあります)



::石井の補足コメント::

この企業のメンバーは、能力が高い方が多く、創造という不定形な営みに対しても、初見ですぐに理解し実践されました。
客観的に見て、かなり対応力が高い集団だと思います。

感想が非常に好評ばかりです。それは彼らが優秀人材集団である、ということも関係しているでしょう。
(もともと無記名の感想でしたが、それでもなお、リップサービスもあるでしょう。)

そういうことを差っ引いて、彼らが純粋に感じ取った部分を、ご覧ください。

 

<<最後に、余話>> 

Whiteboard_ CoffeBreak.jpg
(休憩をビジュアルで。ホワイトボード板書)

全国を、アイデアワークショップをして、回って思います。

日本中、いろんな場所で、明るい未来の可能性を可能性を紡ぎだそうとしている人たちがいる。旅して、そういう人たちとブレスをしてゆく日々です。

「アイデア一杯の人は悩まない」

これは、昔読んだ何かの本に出てきたフレーズです。研究の文献となる書籍だったか、雑誌だったかも思い出せませんが、実際にその通りだと思います。

心配したり悩んだりする精神力で、新しいことを初めて、なしてしまえばいいのだ。

今回も、いい人たちと一緒にアイデアワーク(アイデア創出する活動)ができました。

大阪のこの某社は、全国企業です。知名度は社名自体は知らない人が多いと思いますが、彼らが事業の手法を通じて生み出したものは実に多くの人の生活を便利にしています。

創造的信念をもって、私も、全力で進もう。
もっともっと、やろう。

そう、思いました。

2018年04月04日

3つの大学の非常勤講師を拝命しました。

新年度になり、各大学さんからの書類が出そろいましたので、非常勤講師の拝命について報告します。

今年は3つの非常勤.jpg
(書類に配慮して、画像を一部を修正しています。)

今年は、新たに国立大学「奈良女子大学」の非常勤講師も、拝命しました。
全部で3つになりました。
以下の通りです。

  • 「奈良女子大学」(授業名:創造学)
  • 「東北工業大学」(授業名:アイデア基礎および同演習T)(〃U)
  • 「早稲田大学」(授業名:デザイン論)

(着任の新しい順に記しています。)


奈良女子大学は、日本に2つしかない、国立の女子大の一つです。

かつて、NEDOフェロー時代の同僚や、奈良にある世界的企業さんの社員さんに、同大学の卒業生がいて、優秀な方たちでした。私ができることはわずかですが、未来の人材がより自身の創造的資質を活用して発展していかれるように、私の持っている知見を全力でお伝えしようと思います。
授業は冬。2月です。(集中講義)


東北工業大学は、仙台です。私の自宅の近所にあります。

クリエイティブ系の学科の、一年生向けに、入学して間もない5月から年末まで間欠的に授業をします。


早稲田大学は、所沢キャンパスです。

早稲田にある本キャンパスとはちがって、自然豊かな所沢の森に隣接したのびのびしたキャンパスで、人間科学部の学生さん向けに講義をします。授業は夏。8月です。(集中講義)


どの授業も、全力でお話しします。

大企業やベンチャーで行っている創造研修・アイデア創出ワークショップと同等のものを、学生さん向けに設計しなおした授業です。ワークショップ中心の授業です。「知識として分かった」ではなく「自身の創造的資質を使い切る原体験を作る」を目指します。生徒さんたちには、かなりハードな授業となるでしょう。

甘くするのは簡単です。でも、そうはしません。

あの大学を出た人材なら欲しい。
そう、言われる学びを提供することを、毎コマ、心に誓って登壇しています。

将来社会に出たときに、創造的仕事をするうえで役立つものを、今年も全力で提供します。
(学生さんにとっては、きついでしょうけれど、ぜひ最後までついてきてください。)


posted by 石井力重 at 13:33 | アイデアプラント 5th(2018-2020)

2018年04月02日

アイデアプラントの講演費用[2018年度]

アイデアプラントの講演費用は毎年4月1日に改訂しています。

本年も例年通り改定しました。

〇3時間パック 36万円(+消費税)
〇8時間パック 60万円(+消費税)

創造的挑戦をする企業や組織に向けて、
来年度も全力で、ワークショップ・講演を提供してまいります。

よろしくお願いします。



追記1:上記にない時間の場合

最近、「午前2時間、午後3時間の合計5時間でやりたい」というご要望がありました。

「5時間」など、上記のパックにない時間尺の場合は、
【3時間パック+(8時間パック/8)×2時間】といった算出方法で承っています。

通常のパックがない時間尺の場合も、お気軽にご相談ください。



追記2:WSじゃなく、ブレストに来てほしい、の場合

前から個別に相談をいただいていました。
「石井さんをファシリテータじゃなくて、自チームの企画段階に何度か開くブレストに入ってもらえないか」と。
それもお受けしています。
毎回、価格はいくらにしましょう、と、お互いに迷うのですが、ある時から、明朗な費用を設定しました。
それは、『WSの価格の半分』です。

例)3時間のアイデア出しの参加=36万円/2+消費税
例)一日かけて、合宿所でびっちりやる(8時間)=60万円/2+消費税

(+東京駅起算の交通費と宿泊費(当日移動ができない場合のみ))
(+特殊なアイデア道具を使うときはそのその費用)

といった具合です。


石井が出せるアイデアが、その価値があるかどうかはわかりませんが、そこで私が出したアイデアを知財や商品にするのはご自由になさってください。
私が入ることで、提供できるものは、「アイデアそのもの」と、「アイデアを出す雰囲気を醸成すること」の、2つの面があります。
石井が、場をよくするような、楽しいタイプか、というと自分では懐疑的です。ですが、ある程度、役に立つ知見はあります。創造的組織風土やブレストの阻害要因、多様なブレストの経験、から、アイデア創出のための泥臭い努力や、創造力の使い方を、折に触れてコメントしつつ、共に、アイデア創出していきます。
ブレストの進行役(ファシリテータ)には、事前のプロセス設計が重要で、そうしたことへの相談もお気軽に。



これらの金額は、2018年4月1日〜翌年3月末、まで有効です。

posted by 石井力重 at 15:17 | アイデアプラント 5th(2018-2020)

2018年04月01日

創業記念日です(下手なエッセイみたいなものを綴ります)

本日は創業記念日です。創業10年目になりました。


居酒屋で友人に話すように、すこし内省をつづろうと思います。

下手なエッセイみたいなものですので、(このブログを、知識を求めて読んでくださっている奇特な読者さんは)読み飛ばしてください。

日中のオフィスで時間を使って読む価値は無さそうです。
石井の行動原理が、よくわからない、という方には、もしかしたら、合点がいくかもしれない話です。


【創業時代の志し】

今をさかのぼること、9年前の今日、
2009年4月1日に、仙台南税務署に開業届を出し、
この事業(アイデアプラント)を開始しました。

創業日のブログに書いていたことと、現在の私で、志しは何ら変わりません。

志していることの中で、人前では、言わなくなった部分もあります。

「世界中から尊敬される企業が次々と生まれてくるような社会にしたい」

当時は「社会」ではなく「地域」と表現していました。
仙台圏を指していましたが、
創業してすぐに各地に、地縁ができ、
日本中がそうなってほしい、と思うように。
そして現在では、日本だけが、ではなく、近隣アジア諸国にも縁ができ
なので、世界のいろんな場所が、そうなってほしい、と思うようになりました。
なので「社会」と広い範囲を指す言葉にしています。

登壇するときに、この部分を言わなくなったのは、
メッセージをいう尺が短いことが一因です。
すこしでもおおく、聴講される方に役立つ情報に時間を取りたい、と。

もう一つは、伝わるメッセージがぼやけることです。

尊敬される会社が次々と」を究極目標にしています。
そのために私ができることは、私の専門性をフルに活かすこと。
なので「創造的な人や組織が次々生まれてくる、そのお手伝いを全力でしよう」と。

そう考えています。

2つのことを伝えると、メッセージの明快さに欠ける。
そう判断したことが、もう一つの要因です。

【やはり、伝えよう】

究極目標を、他の人に言わなくなったことは、誤りであった、と思います。

夜の飲み会で、そういう話を隣に座っている人とする。
それはそれで、「石井はそういうフィロソフィーで動いているのか」と知ってもらえたりしますが、
酒の席で気が大きくなって語る戯言、と捉えられたりもしているでしょう。
なにより、私自身が、お酒が好きで飲むと飲みすぎてしまうので。

10年目の今年は、私が究極的にかなえたいと思っている志も、
折に触れて、やはりしゃべろうと思います。

しかし、講演中の30秒を使うのは、貴重な時間を割いて参加してくださっているお客さんがたへの不義理だと思いますので、
こういう、活動報告の場(ブログ)で、やろうと思います。


【石井の中の原風景】

「世界中から尊敬される企業」

とは、なにか。

ですが、私はこう思っています。

「その製品がなかったら本当に困っていた。その会社があって本当に助かった」ーーそう社会から求められ、感謝される会社。それが、石井にとっての『尊敬される企業』です。

それを求める人が万人でなくてもいい。
ニッチだけれど、世界中の、そのニーズを持った人たちにとっては、なくてはならない物を、生み出し、提供する。
そういう会社。

私の中に、そのモデルとなる企業があります。
島根の山奥、石見銀山の町に、身体の欠損を補う製品を作る会社があります。中村ブレイスさん。

10年以上前に、経営学の文献で同社を知り、アポと取って訪問させてもらったのですが、その日のことは、今も記憶に、強い感情とともに、鮮明に残っています。

私は、創業者の中村さんに社内の制作現場をつれて回ってもらっている最中、涙がこぼれそうで、下を向けずにいました。

彼らのしている仕事は、尊いものでした。
顧客への圧倒的な愛があり、それが製品のフォルムに宿る。−−そんな仕事。

同社を知ったのは経営戦略の文献でした(当時、社会人博士課程に在籍していたので文献をよく読んだのです)。
訪問するまでに、同社のことをルポライターの方が出された本も読みまして、そこにはこう、ありました。

「欠けてしまった体の一部を補うことで、心まで補いたい」

そのルポがつづった営みは、同社そのままを、表現しているものでした。


そんな中村さんに”絶対に聞いて帰りたい、そして、未来の自分や私の接するものに残したい”こと、として3つほど、質問させてもらいました。その時のメモは、大事に書斎に取ってあります。(内容は、また折に触れて。今は割愛して先に進みます。)

私が時々、口にする「顧客への圧倒的な愛が製品のフォルムに宿る、そういう仕事をしよう。今日も、明日も、これからも。」という言葉。

これは、そういう原風景があって、口にしていました。

【次々生まれるための、今】

尊敬される企業が、将来、1社できる。、、、だけじゃなく、毎年、毎年、そういう企業が生まれてくる。そういう社会にしたい、のです。

私が、できることは専門である創造工学をフルに生かし、可能性のある人に、たくさん、創造的発展のための知見を提供すること。

年間で2000人ぐらいの方に、講演やワークショップをして、その中の1%(20人)でもいいので、10年、20年かけて、創造的な事業を生み育ててほしい。
彼・彼女らの作り出すものが、世界をもっともっと明るいものにしてくれる。
中には、尊敬される企業にたどり着く会社もきっとある。

そして、20年後、毎年毎年、そういう可能性が芽生えるように、今年も、来年も、毎年、2000人、ぐらいの方に、全力で、クリエイティブ・メソッドや、ブレスト道具を、提供してゆこう。

そう考えています。

【石井の、私欲。】

そして、いまよりもっともっと明るい社会で、人々は、幸せに暮らせている。そういう未来が実現してほしいとおもうのです。

石井が仮に、何らかの形で未来の尊敬される企業の起業家の若いころに、仮に、貢献できていたとしても、その起業家も、世界も、そのことは知らないでしょう。しかし、それでいい。

暖かく豊かな世界の中で、自分も幸せに暮らしていたい。
それが私(の)欲です。


私が、よく作ったものをどんどんネットにあげて公開するので、人から言われることがあります。「コンテンツを保護しないのですか」と。

私は答えます。

「アイデア発想法や、Creative Thinkingというのは、本来人が持つ自然な営みを、明確な手順化したものであり、固有のコンテンツというよりは、共有材、に近いと思っています。
もちろん、他の著者が作られたものを無考慮に配布するような行為は、ダメですが、石井が作ったものについては、守って秘匿するより、広く社会に使ってもらうほうが、いいと思うんです。
それで、コンテンツがコモディティー化したら、石井はさらに次を作り、出し続けます。
一応、博士課程にいたときには、MOTと知財の研究室にもいたので、知財マネージメントを理解しています。
ただ、それはそれとして。
発想法のスライドに、不要なインフォメーションが乗っていることは学習の妨げになる。
なので、できる限り、スライドは白く。それは、石井なりの顧客(学習者)への愛なんです。」

と。

相手は「はぁ、、、」という感じで、困った表情をしますが。

この”顧客への愛”というのが、長い話を圧縮したものなんです。

スライドを見て、やってみて、その人が創造的発展の端緒をうまいこと滑り出した。
きっとその人と将来のどこかで、人生の軌道が交差する時が来ても、お互いに分からないでしょう。

それでいいんです。
彼もしくは彼女が、創造的な何かを生み出して、世界がもっと、豊かになれば。

”みんなで幸せになろうよ”、というやつです。
(私の世代の漫画作品(パトレイバー)の有名なセリフ)


【10年目の気持ち】

10年目に入り、原点をふりかえり、進んできた方角はずれていないか、と確認。
10年スパンで経営して、ずれていないので、この先も変わらない志しだろうと思います。

10年目の今日、今一度、記します。

アイデアプラントの志、あるいは言い換えると、石井力重の志しは、こうです。

創造的な人や組織が次々と生まれてくる社会を作りたい。

3年5年でやろうとせず、10年20年と、続けよう。

究極的には、世界中から尊敬される企業が次々生まれてくる社会を作りたい。


【志しと持続のバランスも】

多分、20年目に入った時にこれを目にするでしょう。

普段は、表に書かない、ドライな判断も、鈍ることのないように、ここには記しておきます。

何でもかんでも、やった方がいいこと、をやって、持続可能な事業運営をおろそかにするのは、未来の顧客への不義理である。
この事業を必要とする人は、この時代だけではない。
今まだ見ぬ未来の顧客に誠実であれ。
持続可能な経営には、適切な収支を案件ごとに、厳しく管理せよ。
時には、その判断は、冷たい人と思われたり、縁が切れてしまうこともあるが、もとより覚悟の上である。

基本的には事業の手法を通じて社会に価値を提供していくこと。

それに収まらないこと(大学の非常勤講師や、社会貢献的なもの)も、一定数引き受けられるように、年間で一定日数、時間と予算を確保し、その中で全力で行うこと。
それを超える分は、持続可能性を損なう。一年の初めに決めた日数以上は、せぬこと。

「世界中の人を救おうだなんて思わないこと。縁があった目の前の人に全力を注ぐ」(私が尊敬する経営者の方が、かつて、話された言葉。いいことをやろうとすると、あれも、これも、と依頼が来る。全部を救おうとすると、何もできなくなる。そういうんじゃだめだ。と。)

この10年で、いくつかの社会貢献的な活動の理事長や理事を引き受けて、ひとつずつ、時期が来たら、スパッと退任してきました。その空いた日数分で、次のことをする。それの繰り返しでした。それは、自分の有限の時間資源を、社会に最適に提供したと思います。
人間関係があるので辛いけれど、自分の役目が終わったところからは身を引くのは、自分の志への義務なのだ。
自分しかできない依頼に、いつも、全力を注げるように。


以上、10年目を迎え、進んできた航路を振り返り、北極星の方角を見定めなおしました。


 ideaplant_10nenme.png

━━━━━━━ ━ ━ ━

さあ、節目となる10年目。

  1. 技量をさらに磨いて、多くのクリエイティブ・リーダたちと、創造的アイデアを生み出していくことに、心を込めて全力で取り組もう。
  2. 直接は合うことができない一桁多くの人たちにも、知見をとどけられるよう『発想ツール』『書物』を、もっと作りだそう。
  3. 外国の方々にも提供できるように、『英語でのファシリテーション』ができるように、英語の訓練を仕事ととらえて、本格的に取り組んでみよう。
posted by 石井力重 at 13:59 | アイデアプラント 5th(2018-2020)



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