アイデア創出。
これが、今後ますます人間には重要になりそうです。
まず最初に、未来の産業・仕事について、少し綴ります。
<<人が未来にする仕事>>
時代が進むと、繰り返せる行為は、AIやコンピューターが学習し、人間の手を離れるようになります。
昨日やったことのうち、単純なものから機械に譲渡し、人間は再現性のない複雑なことへと進むでしょう。
そうすると、人は3つの仕事領域が発展するでしょう。
〇インフラ・デザイナー (AIロボットに人間の複雑怪奇な感情や快適さをインストールする仕事。ヒューマンエラーも教え続ける。) |
〇人間が人間の接遇をする仕事 (サービス業の先の姿=感情労働) |
〇不定形な創造的な営み (ホワイトカラーの先の姿=創造労働) |
逆に、現在の仕事のうち、人間がしなくなるものは以下のものでしょう。
〇ロボットを製造する仕事 (ロボット自体が次のロボットを作るので)(生産部門) |
〇数字を分析する仕事、書類を作る仕事(事務職) |
〇家事(掃除洗濯調理。ただし調理は部分的) |
補足:
ロボットを作る仕事というのは、この先の何十年かの大きな産業です。
ただその産業は、労働市場として最短の寿命となるかもしれません。
作り出したロボットが労働を代替えします。
企業や経営者は残るとしても、労働市場としては小さくなるでしょう。
一方、ハードウエアの組み立ては、人間の手を離れて行くものの、
ロボットが自分で製造し進化していく中で、新しい便利な性能を持っていくたびに、
人間がその伴走者として「人間の感じ方」を教えていく職業が増えるでしょう。
人間の愚かさを教える、というとどこか中二病的ですが、
ヒューマンエラーは必ず起こりますので、
そういう人間側の認知や心理を提供し続ける職業が増えるでしょう。
話を冒頭に戻します。
長期的に未来を見て言えば、
今後、アイデア創出は、今よりも多くの社会人が行う仕事になります。
デザインをする作業を「デザイン・ワーク」というように、
アイデア創出の作業を「アイデア・ワーク」というような言葉が一般的になっているでしょう。
「今週の前半の仕事、アイデア・ワークが2件と、あとAIとのディスカッションが3件。」という感じに。
楽しくも苦しくもある試行錯誤(すなわち、創造活動)が
仕事の中心になるときに、
「どうして、創造という行為は、もっと生産的になれないのだ」と
多くの人が感じることになるでしょう。
創造的な営みの中にも、定型的に落とし込めるものはあります。
そこはある程度、機械がサポートして効率的になるはずです。
一方で、不定形な創造の営み、があり、それは、
人間の脳というブラックボックスに頼むしかないでしょう。
それでもなお、人の頭がもつ「創造」は、
未踏の闇が深い領域だと感じます。
それがいつの日か、全部解明されるのかどうかは、
私はなんとも言えません。
創造というのは、脳の統合的な営みであり
多様な機能の複雑な発現のようなので。
アイデアの仕事の観点から、すこし未来の時代を考えてみました。
話が、ここから、大きく変わります。
<<アイデアプラントの姿勢>>
私は、事業として、アイデア創出の支援をし、
アイデアソンのファシリテータも、
アイデア創出ツールのデザインもします。
研究者としても、創造力のことを長年考え、
隣接領域からも学び、少しずつ知見をもらっています。
そういう領域に対して、
「アイデア創出ツールを作る」
「アイデア創出のプロセスをデザインして、実施する」
というのは、迷いの日々です。
これが絶対に正解。
と、言い切れることが、ほとんどない。
そういう、ふわっとしたものの上に、建物を建てるような感じです。
創造のための道具を創造する、というのは
出来上がるものの単純さの水面下に、膨大な試作と失敗があります。
それでも、作ります。
イノベーションの現場で、あるいは、組織的な変革に取り組む現場で、
クリエイティブ・リーダーたちは、チームを率いて日々奮闘しています。
そういう彼らにしてみれば、
ほんの少しでも、創造的な活動の助けになるものがあれば、
ぎりぎりのところで、うまくいくこともあるでしょう。
アイデアプラントの「発想ツールを作る仕事」は、
そういう世界中のクリエイティブ・リーダーたち向けて、
可能性を増やすものを作り届けることだ、と思っています。
縁あって石井の作ったものを使ってくれる人たちに
一つでも多くの可能性が増えるように、
日々愚直に作っています。
『チームが育てば、単純な創造ツールというのは、窮屈になる。
それを脱ぎ捨てて先に進む。
それでいい。
そういう、「いずれ打ち捨てられる道着を道の初めに置いておく」ことが大事。』
という姿勢で、製品を作っています。
発想の道具が、窮屈に感じるほどに先に進んだならば、
やりやすい独自のやり方に発展させて
創造と発展の軌道を駆け上がってもらえたら幸いです。
・・・。
この連休は、ひたすら書斎にこもり、新しい「アイデア創出ツール(仮称:if60)」の試作と、テスト利用。そして、大規模アンケート調査の分析を行っていました。
この開発と分析の結果は、今年の日本創造学会で研究発表もするべく、机に向かっていました。
アイデア創出ツールを、何らかの形で、世に出していきたいと思います。
この記事の前半に記したような未来の時代においては、きっと人々はもう、この手のツールを必要としていないかもしれません。
でも、そこに至るまでの数十年には、やはり、なにか必要であり、これもその一つになれれば、と切に願っています。
(今日は、昔のブログ調に、一人語りを書きました。)
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