2018年06月21日

「おおさき起業者勉強会(6月22日開催)」にて、お話しします。

明日、6月22日に、宮城県の大崎市(昔、古川、と呼ばれていた地域)の勉強会で、お話をさせてもらいます。

そして、nekonote(ねこのーと)の実物を使って、実際に、頭の中にある沢山の意見を、引き出すワークを、楽しく、短くやってみます。

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posted by 石井力重 at 16:20 | アイデアプラント 5th(2018-2020)

2018年06月19日

Piotr Grzywaczさんと、伊藤羊一さんの講演を聞いてきました(石井メモ)

グーグル人事で活躍されたピョートルさんと、ヤフー大学学長の伊藤羊一さんの講演会がありました。6月18日、仙台のenspaceにて。

メモを必死に書き留めた3時間でした。
それを、タイピングしつつ、当時思ったことや、関連情報を調べたことを附した石井メモを作りました。ブログに載せておきます。
(ピョートルさん、伊藤さん、主催者さん、もしまずければ、すぐに修正・削除しますので、ご指摘ください。)

なお、文中の(★〜〜〜)というのは、石井の心の声だったり、のちの調べものだったりで、現地で話されたこととは違いますので明記してきます。)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ピョートルさんの講演から、メモしたこと(正確でなく、石井の理解・再言語化が入ったもの)






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posted by 石井力重 at 17:36 | アイデアプラント 5th(2018-2020)

2018年06月15日

SDGs(持続可能な開発目標)とは(+読んでおきたい国連の資料)

「SDGs(エス・ディー・ジー・ズ)」という言葉が、よく見られるようになりました。

SDGsとは、何か?

そのまま、訳すならば、こうです。

S:サスティナブル(Sustainable)(持続可能な)
D:デベロップメント(Devepolement)(開発)
Gs:ゴールズ(Goals)(目標


多くの方も目にしたことがあると思われますが、17個のカラフルでシンプルなアイコンが並ぶ、国連の取り組みです。

1. NO POVERTY

6人の人。杖の人。大人・子供。男女。

2. ZERO HUNGER

(ドンブリから湯気が立ち上る。

3. GOOD HEALTH AND WELL-BEING

(心電図のようなジグザグ、ハートマーク。

4. QUALITY EDUCATION

(ノートとペン。

5. GENDER EQUALITY

(女性の記号の丸の中に、イコール。丸から右上に矢印が伸びる。

6. CLEAN WATER AND SANITATION

(水の入ったコップ。大きな水滴が1つ。コップの底から下に向かう矢印。

7. AFFORDABLE AND CLEAN ENERGY

(太陽。その中央が、電源ボタンマーク。

8. DECENT WORK AND ECONOMIC GROWTH

(右肩上がりのグラフ。下の面は工場のよう。

9. INDUSTRY, INNOVATION AND INFRASTRUCTURE

(三つの立方体。不規則に一部が塗ってあったり、透過だったり。

10. REDUCE INEQUALITY

(中央にイコール。上下左右に外向きの三角形、

11. SUSTAINABLE CITIES AND COMMUNITIES

(家やビルが4棟。

12. RESPONSIBLE CONSUMPTION AND PRODUCTION

(無限の図。一部が循環的矢印。

13. CLIMATE ACTION

(大きな瞳、その黒目が地球。

14. LIFE BELOW WATER

(波の下に魚。

15. LIFE ON LAND

(大地の上に大きな木と飛ぶ鳥。

16. PEACE, JUSTICE AND STRONG INSTITUTIONS

(はっぱを咥えた鳥が木槌に泊まっている。

17. PARTNERSHIPS FOR THE GOALS

(重なる五つの輪。


※( )はアイコンの説明です。アイコンの解釈は、石井によるものです。
※( )の色はアイコン色を石井の色覚で赤〜青の4色に分類したものです。実際のアイコン17個すべて異なる色です。

日本語では、以下のように記されています。

1.貧困をなくそう

2.飢餓をゼロに

3.すべての人に健康と福祉を

4.質の高い教育をみんなに

5.ジェンダー平等を実現しよう

6.安全な水とトイレを世界中に

7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに

8.働きがいも経済成長も

9.産業と技術革新の基盤をつくろう

10.人や国の不平等をなくそう

11.住み続けられる まちづくりを

12.つくる責任つかう責任

13.気候変動に具体的な対策を

14.海の豊かさを守ろう

15.陸の豊かさも守ろう

16.平和と公正をすべての人に

17.パートナーシップで目標を達成しよう


初見では、「英語の方が分かりやすいかな?」と思われましたが、日本語の方がより中身を端的に示しているものもあります。ぜひ両方ご覧になってみてください。

(余談)

サステナブル(あるいは、サスティナブル)、という言葉を私が始めて聞いたのは、今から14年前です。2004年に、大学院の博士課程に戻ったときです。そのころに受けた、原山優子先生の授業でした。

正直に言いますと、当時は「サスティナブル、大事なことだよなぁ。」というぐらいの感じで、学習知識の一つの位置づけでした。

東北大のMOSTの教授陣が教えてくれたことは非常に先進的で世界と未来を俯瞰して先取りするような知見をたくさんくれていました。今になって、原山先生の「サスティナブル」という言葉がよく、思い出されます。

(余談ここまで。本題に戻ります)


より、詳しく、書きます。

国連のSDGsのWEBサイトから、SDGsについて、引用します。

「20159月、ニューヨーク国連本部において、「国連持続可能な開発サミット」が開催され、150を超える加盟国首脳の参加のもと、その成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択」

 「アジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標をかかげ」た。「この目標が」「17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」



このSDGsが、どういうものなのかが分かるパワーポイントがそのページにあります。
スライドは32枚で、さらっと見ることができます。
投影状態ではなく、スライドのノートを一緒にみると、説明をうけているような感じに学ぶことができます。

さて、この辺でもう、一杯いっぱいになるところですが、もう一つ、ぜひ読んでおくのをお薦めしたい資料があります。

国連のページの下の方に、外部組織へのリンクがあります。

そこへ進んでいくと
【SDG Industry Matrix日本語版】のページがあります。

そこには、多くの企業事例がのったPDFがあります、しかも分野別です。
【食品・飲料・消費財産業】【製造業】を、一読すると、イメージが格段にできるようになるでしょう。

以上、SDGsに関して、石井なりの紹介をしてみました。


追記:

全部読むのは時間がかかるので、一人で黙々と読むより、大学時代のゼミのような感じで、みんなであれこれ議論しながら読み進めるような学び方の方が、良いかもしれません。そこに書かれていることを解釈する時に、何人かの観点や知見があると、格段に、意味がくみ取れるのではないかと思います。

現在、思ったよりも多くの企業が、SDGsに対する取り組みをしています。ネットで「SDGs 宣言 企業」で検索してみると、色んな企業さんの姿勢が見えます。

追記2:(2018年8月4日)

ダイワハウスさんの「サスティナブル・ジャーニー」のこのページに、分かりやすい全体像が、優しい言葉で記されています。

posted by 石井力重 at 17:25 | アイデアプラント 5th(2018-2020)

2018年06月14日

研修で〔ブレスト中に、ちょっとコメント〕するとよいこと(2)

ブレストをしているときに、アイデアの観点が狭い、ということがありませんか?

そういう時には、「6観点リスト」を投入すると、観点が広がります。

具体と使い方を背景をお話しします。

6観点リスト

ひと自分、相手、他の人、顧客、ユーザ、取り巻く他の人たち、人の集合、市場、組織
ものアイテム、道具、素材、什器、乗り物、形や質量のあるもの、人以外の生物(動物、植物、虫)
プロセス・繋がり一連の動き、なにかの手順、進んでいくものごと、人と人の間のつながり、人がものに及ぼすこと、物が人に及ぼすこと、物と物間のつながり
環境人間サイズよりずっと大きなもの、部屋・壁・建物・道、対象を取り巻いているもの、長い時間スパン
意味・価値手に取って触れないもの(インタンジブルなもの)。意味・目的・価値・金額。
五感で感じるもの
視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚で感じるものごと(※そこから思い至ることは、上記のどれかに帰結するがそれでよい)

使い方

ブレストの際に、発想の観点が狭いなと思ったら、「人という観点では、何か発想を広げられないか」「物という観点では、何か発想を広げられないか」と、皆に問いかけます。

大抵は、「ひと」「もの」「プロセス」辺りまでは、自然と考えているので、新しいことが出てこないことが多いですが、いくつかは出ます。

そして、後半の「環境」「意味・価値」「五感で感じるもの」は、発想の観点としては前半のものほどは使われないので、ここからは、新しい発想がよく広がります。

(もちろん、発想の主題によっては、この傾向は崩れることもありますので、6つともトライしてみるのがおすすめです)

背景

私は、社会人博士課程で創造工学を研究していた時代に、様々な発想トリガー(発想法の一種)を収集し、その中に含まれている「観点」を抽出し、分類しました。小分類を集約していき大分類にしたものが、この「6観点」となりました。

これらは、その由来から言って、汎用性の高い発想の引き金として機能するでしょう。

文献としては、拙著『アイデア・スイッチ』の中で紹介しています。他、その後の「アイデア」「発想」「創造」系の書籍の中に、この6観点リスト、そのままもしくは類似形で、記載されています。(引用を明記しての転載は歓迎です。)

ブレストをされる方へ

発想の観点を如何に広げるか。これが、重要です。その際に、発想のお題ごとの重要な観点があれば、それを示して、皆に広く考えてもらうとよいでしょう。しかし、それを使ってもまだ広がらない、という場合には、汎用性が高いこの6観点リストを、試してみてください。

観点を変える。そのことは、問題の解決策を見いだすにあたり、驚くほどシンプルなアイデアを見つけることに役立ちます。

posted by 石井力重 at 16:13 | アイデアの技法

2018年06月13日

研修で〔ブレスト中に、ちょっとコメント〕するとよいこと

(ファシリテータや研修担当者の方に、ちょっと知見をシェアします。)

ブレストがカジュアルにできる手法だと言っても、
普通は、いきなりアイデア出しをしたりしません。
はじめに、洞察、の時間が長く要るのです。

”ユーザはどんなことをしているのだろう。”
”なにが、ユーザのめんどくささの要因なんだろう。”
そういうことを、よく見ていきます。

そして、ブレストに入ります。

一方で、企業研修などで時間尺が短いワークショップにおいては、
その洞察過程が無しでも実施できるように、
各自がもともとその課題を持っている、ーーというテーマを
選定しているでしょう。

そうした状況でちょっと、議論が止まってしまって、
こまるチームが出てくることがあります。

『うちのチームは全員その課題を持っていない』となっている状態です。

そういう時には、ブレスト中にコメントをします。

「ちょっと、もどって、
 なにが、何が課題なんだろう、
 なにが、めんどくささの要因なだろう、
 と、話し合ってみてください。
 そうしていくと、出せるアイデアが深まります。」

と。

以上、ブレストを促進するワン・テクニックでした。
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posted by 石井力重 at 12:29 | アイデアの技法

2018年06月12日

(半年前のことですが)学会のニューズレターに、受賞とワークショップの様子が掲載されました

半年前の学会のニューズレターに、2つのトピックで載りました。

3ページ目に、学会の各賞の受賞者。

発表賞の石井の論文タイトルの「猫の手」が、のちの、nekonote(ねこのーと)になりました。

日本創造学会_ニューズレター_2017年11月_02.png

ちなみに、論文賞と著作賞を受賞した西浦先生は、ブレスターを開発したプロジェクトメンバーとも交流が深く、仙台にある大学で教授をされています。発表賞を石井がいただいたことで、この年はどの賞も、宮城ゆかりのメンバーが受賞した年となりました。

4ページ目に、クリエイティブサロンにおけるアイデアソンの様子。

日本創造学会_ニューズレター_2017年11月_03.png

アクティブ・ラーニング、というキーワードが教育界に一気に広がった年でした。何かをしようとしたときにヒントになるよう、先進的事例を、下町先生からお話しいただきました。そして、それをうけて、石井のワークショップでは、各人が工夫して、アクティブ・ラーニングのアイデアを考案する、ということを行いました。そして、國藤先生の創造性のお話を皆で聞きました。

以上、半年遅れの報告ですが、学会の定期会報紙に掲載されました、という報告でした。

なお、この号は、一ページ目は、顔触れが豪華でした。

日本創造学会_ニューズレター_2017年11月_01.png

学会の幹事校の前野先生。基調講演者の濱口秀司氏、紺野先生、と。

この号のPDFは、こちらに。



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posted by 石井力重 at 17:01 | プレスリリース&メディア掲載

2018年06月11日

ミッション/ビジョン/バリュー/行動指針

最近、ビジョンやコアバリューについて、考える企業さんが増えました。

経営戦略の上位に当たる部分で、私も社会人博士課程時代に、経営戦略の授業の中で、その重要性を学びました。
その辺を、専門用語でなく、子どもにわかるような表現で、すこし綴ってみようと思います。




<<石井版の説明>>

カンパニーってのは、「船」みたいなものなのだ。

昔は、海をわたり、物資か貴金属を運び、貴重な物品を持ち帰る航海は、大きな冒険だった。

一度の航海にでるのに、資金を募り、船を建造し、生活物資を買い入れ、船員を集め、現地で得たものを持って帰り、港に戻り、貴重な物品を売却し、販売金額から経費を抜いたら、利益が確定した。

こういう一度のプロジェクト単位で、会計、というのもできていた。「売り上げ」「経費」「利益」という管理の仕方ができていった。

さて。

船には、目指す場所がある。

ひとたび大海原に出れば、北極星の位置を頼りに、進む。
北極星の位置は、どれだけ長い時間たっても変わらない。

不明な場所も多いけれど、海図、という海の地図をもって、自分たちがどれだけの距離を進んだかを書き入れて、船を運航していた。

この「北極星」「海図」「目的地」というのが大事。

例えば、自分の港から、ひたすら北極星の方向に進んだ先に、目指す大陸があったとして、船は北極星を目指してゆく。

そうすると、別の陸地があって進めない場所もあるので、いったん北極星の方角を離れて、方向を変えたり、運河を進んだり。
それで、北極星の方角に進めるとこに来たら、ずれた分を戻して、北極星に進み続ける。

海図というのも、遠いとこは間違っていたりする。
そういう時には、書き替えて、正しい地図を作りながら行かねばならない。

時には、予想していなかった大きな陸地にぶつかり、情報がなくて、どちらに回り込むかを迷うときもある。
そういう時には、船長の判断が、必要になる。

吹きすさぶ厳冬の中、港の中で春を待たねばならない時もある。

困難や飽きの中で、乗組員の中には、辞めて船を降りていくものもある。途中で人を補充することもある。
この船は、どこを目指しているか。乗組員には何をしてほしいと要請するか。
そういうこの船のルール・ブックがあり、それに納得できない人は、採用できないし、航海中に事情が変わって、目的地や働き方が変わってしまうこともあり、その時点の改定ルール・ブックに合わなくなった人は、辞めていく。実際は逃げたんだけど。

食料や、それを買う資金も有限であり、長い航海になると、寄港した先で充分な食料を買えないこともある。食料、だけでなく、時間、お金、が大事な資源になる。

こういう色んなものを、背負って船は走っていく。


さて、本題。

まず、ミッション。使命。

この船が、危険を冒して、向こうの大陸の穀物のタネを取りに行くのはなぜか。

やせた大地でも育つ種があれば、この国の人々が、いつでもおなかいっぱい食べられる世の中なる。そういう世界にするんだ。

これがミッション。社会的で、尊敬できる志し。


次に、ビジョン。なりたい姿。

強く豊かな実りをもたらす種もみを、国中の農家に販売できるほど持ち帰り、出資者や乗組員の報酬に足る十分な収益を得る。豊かになった国で、人々から国を豊かにしたと尊敬される。

ビジョンは、ミッションの実現した像、という性格も持つ。


(ミッション、ビジョンは、明確に分けないで、その両方を混ぜた形で捉えられていることも多い。それも良い。)
(嵐の夜の甲板で、星の光も、灯台の光もみえない。冷えて、疲れて、じっくり考える時間もない。そういう中で、行動していく人たちにとって、ヨリドコロとなるもの。単純明快であり、唱えれば力が湧いてくる。志しとは、そういうものなんだ。)

 
そして、バリュー。価値観。

バリューは「価値」ではなく「価値観」。ミッション・ビジョンを実現するために自分たちの中に持つ原則、のようなもの。メンバーとして、あるべき姿を明文化したもの。

乗組員(メンバー)は、通常は上司の指示に従うが、危急の際には、自分で判断し行動しなければならない。バリューは、選択できる力を与えてくれる。行動原理、プリンシパル、がある状態になるので、それにのっとった各自の判断は、総体としては、組織を前進させるものになる。


それから、行動指針。ガイドライン。

行動指針は、バリューを実現するために、具体的な解釈「価値観を具体的にどう受け止めればいいのか」、詳細な行動「何をするべきなのか」、詳細な成果「出すべきアウトプットは何か」を明示したもの。など。

行動指針=バリューだ、というケースもある。


バリュー、行動指針は、「船員心得」「業務日誌(目標明示と実績)」にあたる。





以上、推敲なしですが、「カンパニーの原点である、冒険船」の時代に戻して、4つの要素の説明を試みました。

スマートな説明が、書籍やWEBにたくさんあります。
ここでは、できるだけ、子どもに話して聞かせることを意識して、ざっくり説明を試みてみました。



posted by 石井力重 at 18:10 | 研究(創造工学)/検討メモ&資料

2018年06月10日

親密さの重要性

創造的な成果物を得るのに重要な「発想のお題との親密さ」という話を書きます。


(1)お題との親密さを高めよ

創造的認知の学術的な文献においては

◎対象との親密さを増すこと
◎現実の世界といったん離れ、その世界に入ること
が重要である。

とされています。

(実際の文献では、説明はもう少し難解な感じに表現されていますが。)

親密さをあげることしないで、アイデアワークに入っても、
多くの人は、創造的資質をフルには使えない。

主題に対する親密さを上げるために、何ができるか。』

アイデアワークのファシリテータは、そこにもっと、心を砕かなければいけません。


(2)しかし、情報過多は避けよ

一方の効能を示すと、それだけをやりすぎて間違うので、カウンターパートとなるものも説明しておきます。

主題の関する説明が、長すぎてもいけません。

◎Too Much Informationに注意せよ。

これもまた、重要なのです。

発想を助けたいと思って、テーマの説明、ならびに、技術や情報提供を非常に長く行ってしまいがちです。しかし、知識のインストールをしすぎると、創造的心理を阻害します。心理的惰性とも表現されるものがあり、知りすぎると、「その問題は難しい」という心理になり、創造的な羽ばたきが少なくなります。


(3)なので、バランスが大事

親密さを上げつつも、情報過多に陥らせない、いい塩梅が大事、です。

具体的にどうすればいいでしょう。

この先は、確度がまた十分ではない、石井の経験則的な知見になります。一応、述べます。

◎アイデアの創出をする前に、主題に対する親密度を上げるために、そのお題の世界に対して充分に「入る」ための時間を取る。
具体的には、複数人でそのお題について洞察的に話し合ってもらったり、各自が自分一人でそのお題について洞察的について考えを巡らてもらったり、など。

洞察的に話し合う、洞察的に考える、とは具体的に何を指すか、ですが、洞察というのは、見えないものを見えるものや情報から”見通す”行為です、〔その主題から立ち上がってくるものを目を凝らしてよく見る〕といった感じです。
そんなに難しい精神活動は、ふつうは要求しておらず〔お題に関連する情報を、知っている限り、書き出してみる。お題から連想される物事を、想起して、話し合ってみる。何がそのお題の本質なのだろうか、を推測してみる〕というぐらいで結構です。

◎お題の情報過多を防ぐには、必要十分な適切な情報提供が要る。お題の説明に、盛り込む要素は次の7つ。

「なぜ問題なのか。(あるいは、企画系テーマなら)なぜチャンスなのか」
「簡単な背景説明(内側、外側)」
「そのお題の実現にあたっての制約」
「既に試みたこと、思いついていたこと」
「解決策を実施する権限の度合い」
「(詳細やHowは不明でいいので)理想的な解決状態」
「プロジェクトから得たい結果」

いつも、フルセットが必要な場合ばかりじゃありません。必要に応じて、減らしたり、付け加えたりしてください。

お題の説明者がよくする誤りは「制限を先に言うと、考えを狭くしてしまう」という考え。しかし、「制限」は創造的な頭の働きを引き出す要素であり、適切な制限の提示は、プラスになります。(考える余地がなくなるほどの制限は、マイナスですが。)

これらを端的に紹介し、次に、発想者たちに、お題に対しては「入る」時間を与える、といいでしょう。

お題に入る際に、上記の7つの要素は、自然と想起される質問です。先に与えておくことで、同じ時間で、より親密さを上げることができるでしょう。

以上が、本日紹介したい話でした。

補足)

なお、中途半端にこの「お題に入る」という概念を説明しようとすると「なんか、怪しげなことを言い出した」感が醸されてしまいます。さりとて、学術的な難しい表現を覚えて使っても、心が離れるでしょう。【お題に対する親密さを上げる】という表現をする方が、フォーマルな場ではふさわしいでしょう。アーティスティックなメンバーやメンタリティーが若い人が多いならば、端的に「お題に入る」と言ってもいいでしょう。



まとめ:


お題に入る時間を作れ



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posted by 石井力重 at 16:01 | 研究(創造工学)/検討メモ&資料



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