2019年01月28日

正六角形のオートシェープ(パワポの図形)_早稲田大学・奈良女子大学の受講者の学生さんへ【資料置き場】

石井が非常勤講師として担当している授業「デザイン論」(早稲田大学)・「創造学」(奈良女子大学)の受講者の皆さんへ

私の講義の最終コマで「自分だけのCreative Thinking Toolを作ろう」という所で、六角形の図形を用いています。

ですが、パワポでは「正六角形」を描くのが手間です。
いざ、自分で作ろうとなった時、きれいにかくのに30秒ぐらいかかります。

そこで、その時間を削減してもらえるように
正六角形の高精度な図形を、ここに置いておきます。
(Norton Securityにてウイルスチェック済み)




蛇足:

自分で正六角形を作りたい、という人のために、その方法をパワポの二枚目に入れてあります。

星12、という図形から、「頂点の削除」を行って作っています。(正三角形を6つ並べる、という方法も、数学的には自然で美しいのですが、パワポのもつ図形配置誤差のせいで、どうも綺麗にならないので、こうした方法をとっています。)
posted by 石井力重 at 17:30 | アイデアプラント 5th(2018-2020)

2019年01月25日

【ご案内】着想を3次元CADを使って実体化する研修【2月26日、27日:宮城】

「アイデアモデリング研修」という先進的な研修が、宮城の公的機関で開かれます。2日間研修です。
私は、DAY1「アイデア発想術」の講義を担当します。ご興味あれば、ぜひご検討ください。


2月1日追記
スライドを動画化したものを公開しました。

3月15日追記
デジタルエンジニア育成研修「アイデアモデリングコース」開催報告、が宮城県のサイトにアップされました。


<<講座のポイント>>

普及してきた3Dプリンターで、きれいな造形物を作ることが容易になり、
「頭の中の閃き」から「手に取って触れる造形物の実現」までの距離はかなり短くなっています。

しかし、3Dプリンターを使っても、思いのほか難しいステップがあります。
頭の中にアイデアを「出力するための3Dデータにすること」です。

この点は、企業内や地域のラボ等での3Dプリンター教育でも悩ましい所でしょう。

そこでこの点について、アイデア創出の講師の私と、デザイン&3DP担当の講師の方々と検討を重ね、アイデアとデジタル空間の壁を低くするメソッドを開発しました。「ネンド・ダイアローグ」という『アイデアの表現手法(粘土,写真を使ったユニークなデジタル化手法を実施)』です。

このやり方は、今後の「アイデア創出 ⇒ 3Dプリンター造形」活動を、大幅に容易にするものになるでしょう。

クリエーターとして、アイデアを形にしたいのだけれど、具体的にどうすればいいのかよくわからない、という方には、うってつけでしょう。
また、企業内で、3Dプリンターの利用者教育を推進している方にも、利用者の最大のギャップを下げる方法に、具体的なヒントとなるメソッドを持って帰ってもらえると思います。

<<講座の概要>>

日時 2019年2月26日(火)〜2月27日(水)(2日間コース)各日10:00〜17:00
場所 宮城県産業技術総合センター ものづくりIT融合化研修室
定員 8名
受講料 26,200円
対象 プロダクトデザイナー(または目指す方),3Dプリンターを活用した製品開発を行っている方(または目指す方),グラフィックデザイナー,IT関連技術者,商品企画立案従事者,経営者,エンジニア

詳細情報、リーフレット(チラシ)、申し込みは、主催者さんのサイト

アイデアモデリング研修Website.jpg


最後に:

公的機関の研修ですが、黙って聞くスタイルの座学講座ではありません。大半の時間は受講者が自分の作品を作ってみる、専門家とディスカッションしながら、想像を形にしていく、そんな実践中心の講座です。

公的機関での開催ですが、内容にご興味があれば、どなたも歓迎ですので、ぜひご検討ください。

posted by 石井力重 at 22:36 | アイデアプラント 5th(2018-2020)

2019年01月22日

出し尽くしの先に光るものがある(文献memo)

川喜田二郎先生の文献をつぶさに読んでいます。

(故・川喜田先生は、KJ法の考案者です。初代学会長として、日本創造学会を作った先生でもあります。KJ法は、団塊の世代ジュニアぐらいまでは、鉄板の企業研修技法でした。現代は、世界中の知識にアクセスするようになり、発想法・創造技法が多種多様に存在して「KJ法って、カードまとめるやつでしょう」という小さな認識でろくに学ばれていません。アイデア発想法の研究者としての石井としては、KJ法は、今なお古びていない宝が沢山詰まっていると感じています。)

さて、一つの文章を、川喜田先生の文献から紹介します。


ブレーンストーミングにおいてもそうであるが、
最初のうちは月並みな意見がたくさんつながって出てくる。
タネが尽きたかと思われるころからあとで出る意見の数は少なくない。
時間はややかかるかわり、
絞り出された意見は、しばしば光り輝くものである。

『続・発想法 KJ法の展開と応用』川喜田二郎(中公新書)



私が、講義・講演でよく言う言葉に「はじめに出すものは誰もが思いつくようなものが出る。出し尽くしの先に、あなたしか思いつかないアイデアが出る」というものがあります。
フレドリック・ヘーレンや、A.オズボーンの文献にも、同種の言葉があります、と添えつつ。
ブレインストーミング実験の上でも、同種の事は頻繁にみられる現象です。

川喜田先生の文献で上記の一文に出会い、時代を越えて発想法の達人たちが発見していく一つの「創造性の特性」だなぁと、感じていました。

文献memoでした。
posted by 石井力重 at 16:20 | 研究(創造工学)/検討メモ&資料

iPhoneの”スピーチ”機能で、耳で書籍を読む(+一本指で操作する方法)

没頭の気質と多動の気質、両面のある私には、読書について昔から悩みがあります。


0.余談から


文献を深く熟考しながら読む行為はできます。

冊子のエッセイのような短く単独の文読みもできます。


ですが、普通の人がするような読書の数時間、ということが難しいのです。


いつの間にか遅々として進まない読み方(記述から想起することに促されて深く思考の深きに入っていくので)をしています。あるいはそれを避けようと、素早く読み進むとそのうち他の事がしたくなります。


ですが、人が喋ることを聞いて学ぶ、いわゆる座学、のようなものは、何時間でも、学び続けられます。


こういう脳の特徴の人は、その大小の差はあれども、結構いると思うのです。

そんな私が、本を「聴く」という方法を、模索して見つけた方法を、記しておきます。



1.Audible(いわゆるオーディオブック)


Amazon系の音声本のサービス「Audible(オーディブル)」で、本を買ってアプリで再生する方法が、もっとも、良い「聴き読書」体験です。(この記事の本題は、2、からです。ここは、その前の余談です。)


良い点:プロのナレーターによる高クオリティーの読み上げ

    小説などは、人物の違い、抑揚などが素晴らしいので、分かりやすい。

    長文の多い著者の場合は、うまいところで文章を切っていて、分かりやすい。

    操作のストレスがないアプリ

弱い点:本の数が少ない(オーディオブック他社に比べて品ぞろえが良い方ですが)

    値段が高い(紙の本が10としたら、音声の本は20〜30、ぐらい)

    ナレーターによっては、中身がつまらなく感じる


Audibleのヘビーユーザでした。ウォーキングのお供はいつもこれ、というぐらいに。

しかし、品ぞろえの中の聞きたいと思ったものを読み切ってしまいました。


そして、記しておきたいと思った本命の話を次に、書きます。



2.iPhoneの「スピーチ」機能、「画面を読み上げる」機能


iPhoneの「設定」アイコン(ギヤのアイコン)に入っていくと、

「一般」−「アクセシビリティ」−「スピーチ」と開いていきます。

そこに「画面の読み上げ」というボタンがありますので、振れてオン(緑色)にします。


(なお、これで最小限は設定できたのですが、より聞くに堪えるためにもう一つ説明を)


その画面の下の方「声」を開きます。

各言語が並び、「日本語」を開きます。

そして

Kyoko

Otoya

Siri(女性)

Siri(男性)

の音声を選べます。

お薦めは、「Otoya」の(拡張)版です。

Otoyaを開くと、Otoya(拡張)というところを触り、ダウンロードします。

この拡張Otoyaは、「モヤモヤさまぁ〜ず」のナレーションに似た感じでしゃべります。

人間のイントネーションとしておかしいこともありますが、ビジネス書を読ませる用途であれば、かなりうまい読み上げをします。


さて、そうして、「声」の設定を終えます。


あとはギアのアイコンを閉じてしまってOKです。

Kindleや論文PDFWEB小説などを表示して、読ませるコンテンツを表示します。


さて、次に「操作」が、一つの壁です。が、対処法もあります。


問題なことに、読ませる操作が、成功率が低い操作方法なのです。


二本指で画面上部から下に向けてなぞります。4,5センチぐらい。

二本指の振れ方がよくないと、「通知の画面」が降りてきてしまいます。一本指で下になぞった時にでるあの画面です。


落ち着いて、画面を左手で持ち、右手の指二本で、平行に同時に、そっとなぞる・・・。

と、成功率は9割なのですが、短時間でさっと、確実にやりたいときには成功率が1/3ぐらいでイライラします。


ここで、二本指操作の試行錯誤から「変な、でも、確実にできるなぞり方」を見つけました。


まず、右手の指をきつねにします。(人差し指と小指を立てる)

そして、画面の上部から、下に向かって、4センチぐらい下げます。


できるだけ長さが近い指を二本立てるためです。

人差し指と中指だと長さが違うので、一本の指が先に画面を降りてしまい、先の操作ミスになりがちなんです。


そうすると、12秒で画面中央に、横長の「領域」が出現します。


スピーチ(画面を読み上げる)機能を操作する横長の領域で、中にはボタンがいくつかあります。

・左の亀、右のウサギ・・・音声が遅く・早くなります。

・再生・ストップボタン・・・音声が再生・止まります。

・右送り、左送り・・・見ている画面上のコンテンツを1画面分進ませ・戻らせます。


これで、表示されている文章を耳で聞くことができます。


ただし時々エラーがあります。

それは画面を閉じていることに起因する(ことが多い)ようです。


Kindle を読み上げている時、画面を閉じてしまうと現在表示されているコンテンツを読み切るとそこで止まってしまいます。あるいはもう1度そのページ内を読み上げてそれから止まります。


対処はあります。

Kindle を読み上げさせる時はずっと Kindle を表示したまま画面を開いておくことです。


ウォーキングの際に、画面を出したままポケットに入れておくとふいに画面に触って別の操作をしてしまいそうで、ちょっと気になりますが。また、画面を出しておくことでバッテリーがそれなりに減るのですが。


Web 小説のようなページめくりの概念がない長い文章は閉じておいても最後まで読み上げます。画面に現在表示していない部分が膨大にあっても最後まで読み切ります。ついでに、広告とかも全部読み上げますが。)(論文PDFのような数ページのファイルの場合は、中途半端に数ページ読んで、止まったりします。)



2-2.スピーチ機能の起動を、 一本指で行う方法


今から説明することは設定が少し面倒くさいですが、設定してしまえば便利になります。


先に述べたことを頻繁に使うようになってくると2本指操作は成功率が高くても、面倒に感じます。特に冬場はスマホ対応グローブでも2本指には対応していませんので。


一本指だけでビーチを移動する方法は以下の通りです。


「設定」−「一般」−「アクセシビリティ」− 「AssistiveTouch」−「最上位メニューをカスタマイズ」

と開いていきます。

なおこうした階層構造は iOSバージョン が変わると変わってしまったりするのでうまくいかない時には近しいものを探してください。


開くとアシストティブタッチのボタン群が現れます。その画面を試行錯誤して色々触ってみてください。

そしてカスタマイズのボタン)だけを残すしてください。

そしてカスタマイズスピーチあるいは画面の読み上げという機能を割り当てます。


ここの説明は読むよりも、5分ほど何度もボタンを触って発見してみる方がいいでしょう。


そしてアシスティブタッチをオンにしておくと iPhone の画面の上に半透明の動かせるアイコンが出現します。これをタッチするとスピーチ機能が立ち上がります。つまり上で説明したような2本指でのスワイプをした後の状態になります 。


後は先に説明したスピーチ機能の操作と同じです。

ただしこのアシスティブタッチのボタンで動かしている時には画面の他の部分に触れても操作が効きにくくなるという利点あるいは使いにくさがあります。ポケットの中で画面を開いていても、意図せず触ってしまう、ということがなく、良いでしょう。(ですが、この状態に慣れていないと画面が反応しないと思って焦るかもしれません。)


一本指しか使わないでスピーチをオンにできるというのは、何度も使う人にとっては、あるいはウォーキングをしながら聞いているという人には便利でしょう。



3.蛇足と、改善方法を探索中のこと


以上の操作でキンドルに存在している本あるいは電子データのとなっている文章はほとんど耳で聞くことができるようになります。


入眠時にスマホの画面を見ると眠たいはずなのに眠れなくなることはもはや自明のようですが難しい文献を耳で聞きながら目を閉じて理解しようとしていると眠たい時には確実に眠っています。


このスピーチ機能で多くの本を読んでいて一つ不満があります。

それは Kindle の画面一画面を費やすような図表が出るとスピーチを止めてしまうことです。

これについては多くの人が工夫を試みしかし現在の使用ではどうしようもないとなっているようです。

図表を飛ばして読むということを選択できるようになるといいのですが。


(ウォーキング中に立ち止まって画面を12回とめくってそこからまたスピーチ機能を再生、というのは結構煩わしいです。入浴中の読書においても、然り。)


posted by 石井力重 at 15:20 | アイデアの技法

2019年01月20日

【公開資料】7時間・社内アイデアソン(+イノベーションの着眼点 講義付き)

大手企業の社内において、新事業アイデアを生み出す活動のために作った、7時間アイデアソンのスライドを公開します。

ワークショップの最後の方で、「イノベーションの着眼点として、次のようなものがあります」というミニレクチャーも行っています。イノベーション系の資料から、石井が編纂したものです。コンテンツとしては、一枚の資料なので1秒ほどしか動画に出てきません。


(アイデアソン:7時間version:2018年12月版)

2019年01月13日

未来会議(仙台)のファシリテーションをしてきました。

仙台で開かれた「せんだい未来会議」のファシリテーターをしました。

せんだい未来会議.png


流れとしては、

インプットパート(先駆者によるパネル討論)
アイスブレイク兼回想(仙台の良点、悪点を掘り起こす)
ビジョン(10年後のあるべき姿を描く)
政策(どうやって実現するか、を描く)
発表
批判と深堀(先駆者による講評)

です。

学生さん中心の場になると思いきや意外と私と同世代やその上の世代の方も参加されて、5チームかなりよくディスカッションしていました。アウトプットの質については、もっと高める余地はありますが、まずは、この場の目的として代表の佐藤さんが見据えていたものは達成できたようですし、次へと活動を進めていく道も開いたのではないかと思います。

市民活動として、政策を考える。

これは、企業的アイデアソンとは、大きく違うゴールであり、プロセスやテイストもかなり違います。
今回の実施での気づきやノウハウは、また別の場での実践においてもシェアしていきます。

miraikaigi.JPG

最後に:

15年前、私たちの世代が地域の大人の力を借りて実施した企画がいっぱいありました。
今度は、自分たちが当時の大人側として、借りを返す時なんだなぁと、この日の朝思っていました。
おもえば、それだけの期間にわたって、仙台では定期的にこうした挑戦する若者が出てくる街だったなぁとも。

posted by 石井力重 at 21:52 | アイデアプラント 5th(2018-2020)

2019年01月10日

都道府県カード「篆書」「隷書」

47都道府県の「文字」を、遊びのコンテンツにできないだろうか、と考えていました。

※アイデアプラントでは、アイデア発想ツールを大量に試作します。その際に、副産物として、発想ツールではない遊びコンテンツが、出てくることもあります。これも、その一つです。

都道府県カード(篆書、隷書)
※篆書体は、「白川フォント 篆文」を活用させてもらいました。

篆書、隷書、都道府県.png


都道府県の全文字を、隷書フォントで表現すると、全部そのまま表現できるのですが、古代文字(の一つ、篆書体)で、表現すると、出てこない文字があります。4つ。
やむなく、それらは、文字の由来や漢字分解から、古代文字に相当する文字があるものに置き換えています。

それぞれ、置き換えた文字は以下の通りです。

新潟の「がた」⇒新潟で古く使われていたガタの略字「サンズイ+写」(さらにサンズイを水に)
栃木の「とち」⇒元の文字である橡(さらに、キヘンを木に)
埼玉の「さい」⇒ツチヘン+奇(さらに、ツチヘンを土に)
佐賀の「さ」⇒ニンベン+左(さらに、ニンベンを人に)

アイスブレイク的に遊ぶとしたら、こんな遊び方です。以下。


(((遊び方のアイデア1)))

このカードをプリントします。
右側(篆書の方)を、文字単位にばらばらに切り離します。
(ただし、上記4つの文字は、カギかっこ付きで1文字として扱う)
そして、どれがどの県の文字かを、皆で推測しながら完成させていきます。
特には競技性はなく、推測を楽しむ感じで遊びます。


(((遊び方のアイデア2)))

このカードをプリントします。
右側(篆書の方)を、文字単位にばらばらに切り離します。
(ただし、上記4つの文字は、カギかっこ付きで1文字として扱う)
トランプのような扱いやすいカードに、それを張ります。
一人6枚の手札を持ちます。
順に番が時計回りに回ります。
山札を1枚引いて、手札の中で、県名が1つでも完成したら、場に出します。
引いても、完成しない時は、手札から一枚場に捨てます。
それ以降の人は、山札を引くか、あれば捨て札(だれの、どの順の捨て札でもOK)を引いて、県名を完成させます。
(なお、北海道、東京都、京都府、大阪府、だけは、都道府を込みで完成させる)

ゲーム終了は、皆が手札を全部使いきるか、山札がなくなったら終了。
早く終わった人は、順に3点、2点、1点。
作った県が、隣接していれば、2点加算。(3つ作って、それぞれ隣接していれば、6点の加算)
県名に間違った文字が1つ入っていたらマイナス1点(3県作って、間違いが4文字あれば、4点の減点)

ーーー

この遊びは、篆書に馴染んでいる書家や歴史家には簡単すぎですが、多くの普通の人には等しい難しさでしょう。
元の参照文字の「隷書」の雰囲気を見ることで、何となく推測が立つ人も出てくるでしょう。
元の文字を想像するあたりに、面白さが生まれそうです。

続きを読む
posted by 石井力重 at 15:58 | アイデアプラントの試作の目線

2019年01月05日

創造的社会の礎となろう(年賀状に替えて)

(年賀状を311の震災から廃止しています。いただくばかりで不義理しておりますがどうかお許しください。年賀状の近況報告に替えて、年始のブログを綴ります。)

20190102_sendai.JPG

あけましておめでとうございます。


【1.振り返り】


昨年は、4つのことがありました。

◎アイデアプラント製品の海外販売が予想以上に展開しました。

北米、ヨーロッパ、アジアの多様な国へ、私たちが作ったものが届けられました。これは製品製造・輸出対応を一手に引き受けてくれている仙台のパートナー企業(マグネットデザインさん)のおかげです。
販売データから貴重な示唆が得られました。これまでは、漠然と「海外の、創造的な人の多い都市」と思っていたのですが、それは各国の首都ばかりでなく、(私には)意外な都市が分かってきました。よく調べてみると、それら都市には、先端技術機関があったり、萌芽的な取り組みがあったりしました。

◎NHKのおはよう日本にて、アイデアプラント製品を取り上げてもらいました。

5年ぶり・3度目の、おはよう日本での製品紹介がありました。日本中の多くの人に知ってもらうことが出来ました。製品はnekonote(ネコノート)です。ありがたいことに増刷していく製品となりました。

◎200枚以上のアイデア(スケッチ)を書きました。

昨年の目標「一日一クリエイション」は、毎日アイデアスケッチを描く、というものでした。習慣化の科学論文を見つけて、それを自分の能力修練において実践してみようとしたものです。毎日アイデアスケッチを描く、という行為は、かなり面白い体験でした。それがもたらしたものは、また別の場で報告してみたいと思います。

◎新コンテンツ(ワークショップのワーク・コンテンツ)をたくさん作りました。

アイデアプラントの守備範囲の隣接領域であり、よく相談をもらっていた「洞察」について、他のワークと同品質のワークショップ・コンテンツを作りました。アイデア創出のメインである「拡げる(発散)」行為の前段階には「見る(洞察・観察)」行為があります。以前は、そこについては「対象をよく見て、課題を定めることが大事です」と、言葉がけだけしていましたが、今はそこ(洞察の具体的な思考ステップ)も学習してもらえるようになりました。


また、発想ツールも開発しました。秋の学会で発表した、新発想ツール「if60」です、これはTRIZ&VEの両方の知識セットから創り出した、理想機能発想ツールです。まだ、世の中に簡単に使ってもらえる状態にできていませんが、もうじき出します。



一方で、3つの「中断したこと」があります。

□創業以来、はじめて、新製品リリースをしない年でした。

2017年は年間に45個の新製品をリリースするということに取り組んでいました。2018年は、その大量リリース製品の活用に重点を置いた活動をしていました。その裏側で、次の製品に向けての試作開発も沢山行ってきました。特に、if60は、学術的な調査や学会発表も経て、社会に一部公開するところまでは、出来ました。新製品をはじめて出さない年となりましたが、2019年のための準備の年でもありました。


□2011年以降続けた海外渡航が、出来ない年でした。

震災以降、海外展開を視野に入れて、毎年、多様な海外の都市へ、文化と人々の様子を見にいきました。毎年、平均2か国ぐらいは訪問していたのですが、昨年は、前半は制作に時間を集中投下し、後半は腰痛になってしまったので、腰の稼働時間を温存したいと考えて、体に無理のかかる渡航は見送りました。体調万全であれば、訪問していたかもしれない海外からのコンタクトもあったのですが。。。

中断したことで、気づきいたことがあります。2つ。海外渡航は準備と渡航期間中あわせて相当に時間をとること。海外の街での刺激(発想インプット)は、日本のミュージアムなどでも、何割かえられること。でもやっぱり、本物を現地で見る、食べる、体験する、ことに勝るものはありません。

今後も、海外渡航での「感性の仕入れ」は、続けます。


□習慣(ウォーキングとアイデアスケッチ)の中断が、強制的に起こりました。

創業あたりから「毎日8000歩」のウォーキングは、どの街にいてもほぼ100%実施してきました。雨の日、雪の日、深夜でも、つづけた習慣です。ところが腰痛になり「無理しない」という方針へ変更したため、ほとんど歩かない日や、5000歩程度であきらめる、ということも。

「毎日絶対やる」から「無理しない数値を、見定めて、続ける」に軌道修正しました。


アイデアのスケッチは、元旦から9月末までは、ほぼ、継続していました。出張時の時間のない時にも、一行アイデアを綴っておいて後に描く、というやり方で継続を切らさないようにしていました。そして、10月初旬の大阪できつい腰痛になりました。そこまでに、毎晩スケッチをリビングで描くことで腰にはストレスもかかっていたでしょうし、大阪出張での現地での動き方もかなりハードだったことが、クリティカルに効いたように思います。そこから長らく中断したのですが、年末にだいぶ良くなってきて、たまっていた分で描けるものは、描き、一年が終わりました。261枚でした。



【2.今年の働き方】

昨年を振り帰り、ベース(働き方)を考え直しました。

1.濃く働く。

腰痛からの回復後、短時間労働を体験したことから教訓を得ました。腰痛後、回復し90分ぐらいの着座の制作作業が可能になりました。(ちなみに、立位<着座<着座作業、の順で、腰に負担だ、というのも今回学びました。)


90分で腰が痛くなる。


この制約は、私に「新しいやり方」をさせるきっかけとなりました。

絞って、濃く時間を使う。

自分しかできないことだけをする。

あらかじめ頭の中で設計しておき、一気にデスクワークをする。

・・・というスタイルに。


2.無理せず続ける。

腰を痛めたことからの教訓。ウォーキングとアイデアスケッチ、習慣が2つになったことで、ますます活動時間がひっ迫し、体に無理をかけていました。決めたらやり通す、という頑固なところを、少し変えよう、と思います。無理しない、その上で、中断しても続ける。

3.人に助けてもらうこと。

弱さは謙虚さの土台だ、と実感しました。

腰痛状態では、できることが限られます。絶対的に不便なのが「荷物を持つ」こと。高性能なスイスイ進むキャリーバッグをつかって、全国出張を続けられました。宿泊施設で受け取る段ボールは、部屋までキャリーバッグに固定具で乗せて対応しました。しかし、エレベータがない低層階の別館、しかもフロントまで雪道300メートル・・・という場面では本当に困りました。

私は「人の手を煩わせたくない」という性分なので、無理してでも何とかしてしまうのですが、「人に頼らなければ行動できない。頼ることを覚えよう」と腹をくくって、仲間に段ボールを運んでもらうことをお願いしました。

この時に、311の震災後の生活を思い出しました。電力・機械動力がないと現代人の人間生活は一人で完結できず、誰もが人に頼る必要があった。そういう中では人は謙虚になり、互いに自然と助け合う、と。

弱さを持つことは、謙虚さをつれてくる。上っ面の謙虚さではなく、ホントに困ってはじめて謙虚さが醸成されていく。私のような気質の人には、そういうところがある、と思いました。


【3.今年の展望】

今年(2019年)の仕事の展望を、考えました。

◎これから台頭するニーズに先回りして、コンテンツを作ろう。

社会の時流の察知の早さと、依頼が来る前から、想定して日々の制作ストックをしておきます。

(AIは”人間と同じ振る舞いができる計算機”です。AIが台頭していく中でも人間がする仕事がいくつかあります。それは、意思決定・判断、創造性にまつわる仕事、高度接客・対人サービスです。本物のAIが登場するのはまだ先ですが、我々が定年退職する時点では普及期を迎えています。)
人々が、雑務から解放され、創造的なことをする時間が多くなります。感性や五感、直観や心地よさ、そういうものを、ビジネスシーンで考えることが増えるなかで、必要なコンテンツ、沢山、作ります。

◎私利でなく利他に思考時間を使おう。

例えば、社会に今後必要となるコンテンツが作れたら、それもどんどん公開していき、必要な人のツールとして使ってもらえるようにします。

◎ミドル60%の創造の支援ツールを提供しよう。

従来、クリエイティブ・リーダ(組織のクリエイティブの上位層)に対象を設定した高度な支援ツールやコンテンツを作ってきました。組織の人材2:6:2のモデルで言えば、多くを占める「ミドル60%」にも、使ってもらいやすいものを創ることを、今年は作って行きます。

今年の展望として、一言でまとめると「創造的社会の礎になろう」と。

・・・

少人数のアイデアプラントができることは、限られています。ですが、社会の中で活躍する多くの人々(そして将来、活躍していく未来の人々)に、創造の壁を乗り越える手助けとなるような”触媒的なもの”を提供できたならば幸甚です。

「われらこそ、国の礎」とは、母校の学生歌に出てくる一節で、学生時代はそれを「意気軒昂だなぁ」と冷静に受け止めていましたが、東北大で受けた薫陶は今もまっすぐ心の中にあり、日々進んでいます。

今年も、全力で事業に邁進してまいります。
皆様どうぞご指導ください、よろしくお願いします。

posted by 石井力重 at 12:25 | アイデアプラント 5th(2018-2020)



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