講座開発の流れを、紹介します。(スライド動画にしました。)
以下、文字でも解説します。
「アイデアを出す講座をしたい」というご相談を受けて、実際に講座を開発する仕事を10年以上続けてきました。組織や個別の事情を越えて共通する要素があります。
「3つの円」と「実務の4つの要素」が大事です。
これを一回目の打ち合わせで議論しておくと、精度よく、希望するものを設計することができます。
== 講座設計の「3つの円」 ==
1.主催者さんは誰か?
・どのような組織構造か(相談に関わる範囲での組織構造)
・長期の目線(人々に将来的にこうなってほしい)
・短期の狙い(今回の講座でこれこれを叶えたい)
<<これにより、主催さんさんの目線を共有して、
深く、企画を考えることができます。>>
2.想定する参加者は誰か?(※あくまで、想定でOK)
・普段どんな仕事をしている人か
・どんな気質の人か(コミュニケーション志向か熟慮黙考的か、など)
・普段の仕事において興味を持っている事・困っている事
<<彼らの資質や興味によって、言葉をデザインします。
「技法ありき」でなく、興味や悩みに合わせた導入部をします。>>
3.話者(講師)の持っているもの(≒石井)
・専門知
・ツール(発想カードなど)
・ワーク(アイデアソン、や、発想技法)
<<1と2を見据えて、最適なものやチャレンジングなものを
複数、その場で紹介します。>>
こうして、3つの円の重なりが見いだせると、
効果的な講座をすることができます。
打ち合わせは、ここで終わることも良くあります。
しかし、もし可能なら次のことも、ディスカスしておくと
企画の精度が向上します。
== 実務の4要素「ニントキダイセイ」 ==
1.人(想定する人数)
人数が20名なのか、あるいは、大規模(60名〜200名)や、小規模(4〜8名)なのか、でできることが、大きく変わります。小さいと深くできます。大きければ、内容はシンプルにして実行容易性が高くなるように中身をデザインします。数字は目安です。実際は企画に募集をかけたら、想定の倍になった、なども吸収できるように設計します。
2.時(使える時間)
実践中心の場合、一方的に講義する学習時間に比べて、時間を多く要します。ざっくりしたイメージですが、1技法とか1ワークステップを30〜40分ぐらいの時間とみます。そのうち、レクチャータイムは5~10分です。もし使える時間が90分であれば、発散⇒収束⇒簡単なまとめ、とか、技法を2,3個実践する、とかといった感じになります。よくある8時間であれば、結構なステップを積み重ねて、アウトプットを形成することもできます。
3.題(発想のお題)
アイデアを出す研修やワークショップでは、「何について発想するか」はとても大事であり、技法選定のための重要なファクターでもあります。一方で、技法が大事であってテーマはそれに合うものなら何でもよい、というケースもあり得ます。「我が組織としては、このお題でアイデアを出したいと思っている」という確たる要望があれば、それはどんどん伝えていくと、効果的なワークプロセスが描けるでしょう。
4.成(生み出す成果物)
アイデアを大量に出してそれらをアイデアスケッチの形で20枚〜100枚ぐらい生み出して欲しい、というリクエストもあれば、数は数案でいいので十分にビジネスモデルや具体構造まで検討したアイデアがほしい、というリクエストもあります。また、「創造的に考える共通体験、原体験が出来ればいい。創造的組織風土の醸成が達成を第一にして、アイデアスケッチやポストイットを書き出すことは副産物程度の位置づけで良い」というケースもあります。受講した方が次のステップで何をするか、によって、この辺は自然と要件定義されています。
以上が、講座を精度よく、設計していくための「3+4」個の要素でした。
==講座開発の流れ==
「講座を作りたいので相談したい」という連絡をいただいてから、実際に実施するまでの流れも、動画の最後のあたりに入れました。
[初回打ち合わせ](対面が多いです。オンラインのこともあります)
◎3つの円、をインタビューしつつ、あぶり出し
◎4つの要素も、想定レベルでいいのでーー、ということで伺い
◎その場で、概要レベルで「こんな技法をして、次にあんなワークをして、ここにこういうことを入れて・・・」といったワークプロセスの概要を提案して、ラフな流れをディスカッション
↓
[後日](早ければ48時間以内に、遅くても2週間ぐらい)
◎詳細に分単位で時間を検討したワークプロセスを設計
↓
[オンラインでの打ち合わせ](場合によっては、対面にて)
◎ワークプロセスの詳細を説明
◎ご要望をいただいて、バージョンアップ。
↓(その内容で、実施する、となれば)
[スライド&ワークシートの制作](およそ、2,3日〜2,3週間)
◎実際に使うスライドを作ります。
(スライドを提出して、内容に問題なければ、)
◎ワークシートも作ります。
◎配布用のスライド(ハンドアウト)のPDFデータも作ります。
◎準備物リストを、念のため、整理して、お送りします。
以上が、「講座開発の流れ(全体)」です。
この流れを意識していただく必要はありませんが、打ち合わせ中に石井がインタビューすることや、全体の流れについて、事前に把握しておきたい、という方にとっては、お役に立てば幸いです。
また、アイデアワークを社内で依頼されて実施するという方には、その際に、打ち合わせを暗中模索で進めるよりは、考えるよすがとして、参考にしてもらえたら幸いです。