2020年06月18日

長崎大学でのアイデアの講義が始まりました。2コマ×4週間

今年から長崎大学にご縁ができました。
ゲスト講師として、アイデアの講義を8コマ担当します。

(これで、早稲田、奈良女、東北工大、長崎大学、と4地域(関東、関西、東北、九州)で、シリーズ講義をすることに。
あとは、北海道、四国当たりのご縁ができると、コロナ明けには日本縦断講義をする年もくるかもしれません。)

さて、本日6月17日が第1回目(1コマ目、2コマ目)の講義でした。

N_U_01.jpg
(個人情報に配慮して、思い切りぼかしを入れています)

80名前後の学生さんが参加されました。

今日は、ブレスト技法FBS(フリップボード・ブレインストーミング)と、洞察系の発想技法「6観点リスト」をレクチャーし実践。
雨の日を楽にするアイデア、と、普段の生活の困りごと探し、というお題で、行いました。

今回は実験的に、メソッド説明部は、事前にビデオをとっておいて、Youtubeにおいておき、そこへ書くに見に行ってもらう方式をとってみました。Zoomの画面共有よりも、閲覧性、操作性がよいだろうことから。

ワークはZoomのブレイクアウトルームをフルに生かして、行いました。

彼らの感想を早速拝読していますが、講義を提供する側の私の方が、学びになるよいコメントが多いです。熱心に参加してくださって、皆さん、ありがとうございました。

受講者の皆さんの創造的発展に資するメソッドを渡せるよう、次回も全力で講義を提供します。


<<資料>>

講義ビデオを、期間限定で公開します。



余談です:

発想のお題を3つ提示し、どれがいいですか?と皆さんからの決を採りました。
今回は、全員カメラOFFにしてもらい、挙手の代わりに、カメラONしてもらい、その人数をさっと数える、というアナログな方法を取りました。
これはとてもスムーズでした。ZoomはカメラONの人を一画面目に集める習性があるので、1枚目と二枚目をめくると大体、人数が分かります。
アンケート機能もあるんですが、今回は、どんな人がどのお題を希望するのかをざっと見ることもできて、すこし感覚をつかんで、お題決定ができました。
(Zoomの使い方の工夫として共有します。)
posted by 石井力重 at 01:46 | オンライン・ワークショップ&研修

2020年06月14日

(周期表)元素記号で多いアルファベットは何か?

大学院修士の頃は、量子力学を研究していました。その後、すっかり研究領域は変わって、創造性のことをしているのですが、今でも科学のことをぼんやり考えています。

そんな中、娘たちが周期表を覚える勉強をしていて、ふと。
周期表の中の元素記号はまんべんなくアルファベットを使っているようだけど、よく考えると、意外とアルファベット1文字の元素記号は26個もないんだな、とか、2文字構成の元素記号でも、たくさん使われるアルファベットとそうでもないないのがあるな、と。
たとえば「ナントカe」とか「ナントカr」が多い印象。

そこで、次のように2文字をMappinngしてみました。

周期表の2文字.png

ならべてみて、当たり前のような気もしますが、BBとかKKのように2文字が同じ元素記号は、命名ルールに外れるのか、一つもありません。そこは白抜きに。

次にハッとしたのが、JとQで始まる元素記号は存在しない事。1文字元素には確かなかったよな、と思っていましたが、Jeとかの二文字構成でならありそうな気もしましたが、Jで始まる元素名は一切ないのです。Qも。命名ルールに、JとQの始まりを禁ズとか、なさそうですが。。

更に、あれ?と思ったことに、二文字目のアルファベットにも、jとqはありませんでした。

電荷を「Q」で表記したりするとか、エネルギーの単位「J」(ジュール)があったので、避けたのだろうか、というくらいしか、パッと思いつきません。

この辺、命名ルールや、命名者の考慮ポイントがあるのかもしれませんが、今日のところは調べがつかなかったので、まずは、いったん考察は抜きに。

さて、もうすこし見方を変えてみます。
登場頻度順に並べてみました。

周期表の2文字_.png

こうなれべてみると、当然ですが、右下のエリアは大きな真空地帯です。
そのあたりにぽつんと「Lv」「Dy」(リバモリウムとジスプロシウム)があります。

なんというか、うすぼんやり覚えている周期表、その元素の中に、LV(ルイヴィトン)みたいな、元素記号としてなんか珍しい感じがして印象に残るなあ、と思ったのですが、この右下当たりのアルファベットで命名すると、元素記号っぽさがない、のかもしれません。「Yp」「Xk」(←こういう元素記号はありません)みたいな組合せは。なんだか、アドビのソフトの新種みたいです。

ということを考えていました。
結論の無い、メモでした。

posted by 石井力重 at 23:59 | 知であそぼう

2020年06月13日

オンライン学会の懇親会のアイデア『席替え飲み会Zoom』

Zoom.png

リアルとオンラインのハイブリッドの社会になりました。

今年の学会は、急な状況変化で中止にならないように、オンラインの併設もしくはオンライン一本化の可能性が高そうです。
学会発表自体はリモートと相性が良いようです。
出産したばかりのある先生が、自宅から三日間の学会参加をしたが素晴らしい体験であった、などの談が出ていたり。

さて、そうなると、学会のもう一つの機能である「知の相互交換」です。
  1. フォーマルな質疑応答時間。
  2. インフォーマルな廊下でのコーヒーセッション。(立ち話)
  3. さらに、越境的な研究アイデアが生まれやすい場、夜の懇親会。
Zoomの普通の使い方は、この3つ目、「懇親会」には向きません。
3人でZoom飲みをするなら、確かに便利です。
しかし。
50人、100人が、一つのズームの中で、飲み会をする、というのは、絶望的につまんない懇親会になります。
リアルで言えば、宴会場の決められた椅子に座り、マイク1本を回して、全員がそれを手にした時だけ喋る、という懇親会です。
(たまにあります。中心の先生は、オーガナイザーとしてたくさんしゃべりますが、多くの方は、1:99の構図で回ってきたマイクで、ながなが喋ったりできず、更にはインタラクティブに会話したりもできず、なんだか会議みたい。。。そんな場。)

そこで、次のような方法を、小さい集団で実験してみました。

<<プロセス>>

20:00〜20:05

R1:オーガナイザーが喋ります。(5分)

「互いに面識のない人もランダムで組みますが、
雑談をどうぞ。自己紹介は短く。
例えば、コロナの変わり目、どんな風ですか?
どんなことしていきたいですか?」という雑談から
きょうが乗れば、興味関心のある研究トピックを語りあってみましょう。」

などなど。
この後に記すプロセスの説明だけなく、
相互に喋りやすくするような、ムードを醸成します。

時間までに戻らない人(自宅なので夕飯を家族でとるでしょうから)が
三々五々集まる猶予時間でもあります。

20:05〜20:55

ズームのブレイクアウトルームへ、ランダムに送ります。 

R2:小部屋の雑談(6分)(ランダム2人)
 ↓
R3:小部屋の雑談(8分)(ランダム3人)
 ↓
R4:小部屋の雑談(10分)(ランダム4人)
 ↓
R5:小部屋の雑談(12分)(ランダム5人)
 ↓
R6:小部屋の雑談(14分)(ランダム6人)

という流れです。
大体これで、60分です。
毎回、移動のタイムロスが出るので、
+5分ぐらい見ておいた方が安心です。

オーガナイザーは、
「話が途切れたら
『コロナの変わり目、 どんな風ですか?
どんなことしていきたいですか?』
と共通トピックにもどってみてください」
などとR(ラウンド)の変わり目で声をかけて、
ムードを醸成します。
(もちろんトピックはこれに限りません。皆が共通に関心のあることで、有意義なことが掘り下げられそうなものであればなんでよいでしょう。)

小部屋で、学会の重鎮の先生と当たれば、ラッキーでしょうし、
えらい先生も若い人と二人の場になれば、
オンラインのスキルを聞けるなど、リアルの懇親会ではできない話を聞けることもあるでしょう。


<<実験時の感想>>

石井の知人を募って小規模に、この方式の実験をしてみました。

人数が少ないので、上記のままにはできませんでしたが
回数とタイムインターバルはそのままに実施しました。
なお、全員が初対面でした。(正確には、石井だけが全員と面識あり)

そのさいの、アンケートを、個人情報を完全に記号化し、紹介します。

いつもは聞き手に回る事が多いのですが、少人数とくに2人になる状態になると否応なく話さざるを得ない状況になるので、いつもよりも話す時間が増えたような気がします。その状態から人数が増えていくので気分が上がり、人数が多くなっても話すことが多かったかなと思いました。
時間も2n+2というのも絶妙だなと思いました。話が進むと少し足りない感じがしましたがいい塩梅なのかなと。足りないぐらいが楽しい感じでしょうか。

”2名から始まる。最初は短い時間で辛くならないように。”は良い手法だと思った。繰り返されること、少しずつ時間が延びることで、自分の中でPDCAがまわることも面白かった。ラウンドと次のラウンドの間に、各セッションの話をシェアしたりフィードバックしたりできる余韻があっても面白いかなと思いました。

時間が長くなっていくこと→話しやすかったです。別の場の交流会で類似のやり方をしたことがあります。
そのさい、ブレイクアウトルームの人数は変えませんでしたが、最初は様子を見ながら話し始めるので、時間が余りがちで、一方、口が滑らかになる3ターン目は時間が足りなくなる、ということがありました。なので、この方法のように、時間は短く〜長くがいいかな、と思っていました。人数少なく開始というのはやってみようと思います。


<<実験的に運営してみた感想>>

参加者の質が場の空気をよくする大事な要素であり、この時は、良い方ばかりでしたので、肯定的な結果に終わった、という可能性もあります。あがり症とか、ネット環境が悪い方、あるいは、学会でも混乱を招く議論の破壊者となる方、などがいた場合にはどうなるか、分かりません。なので、一参考にしてもらえれば幸いです。

また、場が大きくなる後半では、画面共有で焚火を投影して、それを見ながらゆっくり語る、というケースもありましたが、それもなかなか、まったりしてよかったです。学会共通の何かを投影するとか、小部屋の中で工夫して動画を持ち寄るのも面白いかもしれません。

運営自体は、割と簡単です。
Rnの時の人数は「n人」で、時間は「2n+2」分です。
オーガナイザーも場に入って楽しんでもいいでしょう。
ただ、人数が多いと大広間に意図せず戻ってくる人、落ちて入り直す人がいるので、門番的に誰か常駐する方が現実的かもしれません。その場合は、事務局メンバーでお酒を飲んで過ごすとかもいいでしょう。

あとは「私は◎◎先生と同じ部屋に入れてほしい」という個別リクエストは一切聞かない、という運用が鉄則です。それしたら、妙な空気になりますので、完全ランダムに。人数が多いと対応してたら収集がつかなくなります。


((試していないけど、検討したアイデアも))

「トピックを決めて希望者をその部屋へ送り込む」方式
→ありでしょう。でも、分科会、といった趣に。集団サイズが4人を超えると、懇親会のような感じにはなりにくく。

「トピックオーナー(亭主)を立てて、好きに選んでもらう」
→入ったら、そこを中座して他の部屋に行くってのは、相当に、心苦しい。。。

「いっそ全員100人とかで、1分トーク」
→それ、楽しくなるかな。。。事前にそういうビデオを撮って閲覧場においておく方が皆幸せでは。。。


以上です。
今年は、オンライン学会でいろんな懇親会がありそうです。
後世に残る素敵な方式が、◎◎学会から生まれた、ということも、有りそうです。
楽しみです。ここでは、石井式を紹介させてもらいました。

posted by 石井力重 at 20:56 | オンライン・ワークショップ&研修

2020年06月12日

Kさんの実験的イベント(のお手伝いと対談)をしました。

最近、一般の場に告知の出ないイベントが増えました。
なぜかといいますと、フェイスブックで急遽「一週間後に〇〇のイベントをリモートでやります」という案内がたち、すぐに満席ということになって、SNSの外に告知がなされることなく募集終了、というスタイルが増えたからです。
従来だと、SNSで集客しはじめて、順次、ブログなどの掲示やイベント掲示板への配信をしたので、そこが大きく変わりました。
私も、あとで知って、あ、参加したかったなあと思うことが結構あります。

ずっとこのままではないと思いますが、石井が先日お手伝いしたイベントでもまさにそんなことがありました。20人ぐらいの参加かなと思っていたら、告知したら1時間ぐらいで50人を超える申し込みで、慌てて、満席案内をした、というのを、裏側で見ていて、最近のイベントは、入れるかどうかは運しだいだよなあと。

さて、そのイベント、子細はかけませんが、実験的なワークショップをKさんがしよう、ということで、石井は「副〇〇」という立場で入りました。非常に貴重な体験ができました。
その後は、Kさんと石井の対談。トピックを決めて、賛否をしめし、それをディスカッションする、というものでした。これは、石井的には楽でしたが、興味深い反応がありました。

人の企画なので、そこで得たことをあまりかけませんが、最近の活動報告の一つとして散文的に書いてみました。

xsplit.jpg


執筆後記:

とはいえ、このブログには活動報告だけでなく、イベントの事前案内も掲載しなくては、と思っています。ブログを読みに来てくださっている稀有な方にむけて、イベント情報を早く出せるように、心がけます。
posted by 石井力重 at 15:38 | オンライン・ワークショップ&研修

2020年06月11日

ブレストの本質(オンライン講義ビデオ、4分)


オンライン授業で、ブレストの本質の解説をしました。
ブレストの場合、ルールってのは創造性のガイドなんです。

雑談(発想例のトーク)を削り、4分30秒にしてあります。
スライドの文字の見えやすさを改善して、再録しようと思っていますが、いつになるか分からないので、まずはこれを上げておきます。

posted by 石井力重 at 15:21 | オンライン・ワークショップ&研修

2020年06月10日

オンラインのフリップボード・ブレインストーミングの事例(東北工大、5月27日)(スライドとスケッチ実例)

先の記事に続き、東北工大でのFBS(フリップボードBS)の実践例を紹介します。

<<スライド>>


※冒頭にJamboardを紹介→使えないグループあり利用断念
※アイスブレイク4「ガハク」⇒実施(これはFBSの予備ワークにもなっています)
※P18,19のグループ内の持ち点評価法は実施せず←オンライン空間に貼る作業を割愛したため(JamboardもNGだったので)
※全体では、各チームの代表案に持ち点評価法で、☆を付けました。

90分を2.5コマ使っての実施でした。

<<アイデアスケッチ集>>

なお、この日の発想のお題は「ドーナツの売り上げを上げるアイデア」でした。
各チームの代表一案をこちらから見ることができます。


アイデアに全員で☆付けをし、その順に並べ直した状態になっています。
FBSをした後なので、スケッチのスクショを利用して作成されたアイデアスケッチもあります。



<<☆の分布>>持ち点評価法式

idea_hyouka_mochitenhyukahou_2020.png

スケッチについた☆の数で並べてみました。
評価方式は全員が3つの星を自由に投票できる方式(=持ち点評価法)。同じスケッチに複数票も投じられます。
(ちなみに、参加者は87〜89名。揺れるのはシステムから落ちる人がいるため。つけられた星の総数は207でした。
 参加者88名と仮にするなら平均で「一人2.4個」の☆を打っています。
 システムが重いので3つ打てなかった、とか、投じたいアイデアが見つからず、3個まで☆を投じていない可能性が考えられます。)

前回の投票(ハイライト法、かつ評価対象アイデアは全員のスケッチ)と、曲線を比べると
トップ1個が突出して☆を獲得していること
◎上位層(2番〜4番)の得票が比較的低めで、中間層(~50%)の得票数は比較的多いこと
◎下位層(下45%)は☆の数がかなり少ない(ものの、ゼロのアイデアがない

という点に気づきます。
もっとも、今回の対象アイデアは「各チームの代表案」であるため、アイデア粒ぞろいの状態であることも、この分布パターンに影響しているかもしれません。


<<実施した感想>>

受講者アンケートから、個人情報を完全に記号化処理したうえで、4つほど、アンケート記述を紹介します。

受講者の感想石井コメント
口頭でのブレストでは全員無言になることが多かったが、紙に自分の案を書き、カメラで見せることによって無言になる人がいなくなり、全員で意見をまとめることができた。とても良い技法だと思った。
ブレイクアウトルームなどで、少人数のブレストの際、通常、カメラを極力オフにする人が多く、その状態はブレストがしにくい。FBSは必然的にカメラがオンになり、ブレストが捗る。
言葉だけだと誤解されたりうまく伝わらないということがあったが、フリップがあることによってアイデアをより分かりやすく伝えられるようになったと思う。そして、紙に別のアイデアを書き込んで付け加えることもできるので、とても便利だと感じた。
オンラインは一般に考えを伝えにくい。そこで、フリップがあると、考えをすっと伝えられる。
ブレストで出てきたプラスアイデアを書き留めることもしやすい模様。
フリップボードブレストを行うことで、自分で出そうと思った意見を、ある程度自分の中でまとめてから発言することができた。紙を見ながら自分の意見を言うことができるので、補足説明もしやすかった。もし、自分の中でまとまっていなかったとしても、絵で表すことで、言葉で言うだけでは伝わりにくいものも伝えることができると思った。書くことで自分の中でまとめる効果がある。説明がしやすい。絵的なアイデアも伝えやすい。
言葉だけでなく、文字やイラストレーションとして紙に残すことで、理解しやすかった。口頭だけよりブレストしやすく、そのアイデアに付加価値を加えたり、新たなアイデアを提案することができた。聞いている方も理解しやすい。アイデアが発展しやすい。



==蛇足==

この日の一連の講義の様子を、100倍速(300分→3分)にした動画も公開します。


動画には、肝心のFBSを実践している様子がありません。
石井が小部屋に入っていないためです。この日は大広間で、システムエラーではじかれる学生の対応を終始迫られてそれをしていました。

大学で大人数のワークショップ授業の雰囲気だけ、ご覧ください。


ishiirikie2020_OIWS.png

続きを読む
posted by 石井力重 at 17:57 | アイデアプラント 5th(2018-2020)

オンラインのブレストは「フリップボード・ブレインストーミング」(百均のスケブでOK)

東北工大「アイデア基礎」の授業の二度目では、FBS(フリップボード・ブレインストーミング)を実施しました。

まず、「フリップボード」とは何か、を短く。

クイズのパネラーなどが、自分の回答を書いて、一斉に、とんっとテーブル上に立てる、厚みのあるB4ぐらいのサイズのボードです。あるいは、ニュースの解説に使う、図示したもの(これは、フリップ”チャート”と呼ばれることが多いようです)。

ブレストの際に、これを用いて、アイデアを提示・説明するのがFBSです。

FBS.png

<<準備するもの>>

2つ。フリップボードとマーカーです。

実際には「ちゃんとした厚みのあるB4サイズのボード」を用いる必要はありません。
100円ショップで売っているスケッチブックで充分です。
それもなければ、コピー機の中のA4の紙束、あるいは、大きめのメモ用紙で結構です。

それから、太く書けるマーカー。
私のお薦めは、プロッキーの太いやつです。ですが、サインペンあたりでもいいでしょう。大抵、百均にあります。
あるいは、コピックでも、油性マジックでも、OKです。裏うつりするので机の汚損に注意と、換気をしましょう。
(ボールペン、シャーペンなどのような細かい文字を書くものは線いため、細く画面越しに見えないので避けます。)

※持ち運べるサイズのホワイトボードでもいいの?といわれると、FBSにはあまり向いていません。ホワイトボードをカメラ越しに見ると、肉眼とは違って照明の反射で思ったよりも視認性が低いのです。(あと、頻繁なかき消しをするので、ホワイトボードのケシカスが思ったよりも、とびちり、机の上の本やノートを汚します。土足の場所でないと消すのに気を使う道具なのです。)

<<やり方>>(オンラインのFBS)(想定人数は、3~6名)

0.ファシリテータ(いなければ、メンバーの誰かがやる”ブレストの軽い進行役”)が、ブレストのお題を説明します。

もしメンバーがお題について掘り下げるディスカッションが必要であれば、その時間も取ります。5分ぐらい。大抵は、そのお題について、疑問点や、アイデアの範囲(方向性や粒度)はどの辺まで許容されるのか、という話をするでしょう。

1.一人でアイデアを考えて、それを手元のフリップボードに書きます。5分間。

この時、各自がZoomやTeamsのシステムで参加していますので、多数のメンバーの並ぶ画面が横長(Zoom)か、縦長(Teams)かによって、フリップボードを横長に使うかを判断します。一般的には、アイデア素描は横長の紙に書く方が捗るという傾向があります。

アイデアスケッチは1案1枚の形式にします。複数案ある人は複数枚書いてもOKです。

2.皆で一斉にアイデアスケッチを画面の前に掲げ、順にアイデアを説明していきます。6~12分

アイデアを説明する時間は、一人2分程度。なので、参加人数N人いれば、2N分かかります。ステップ2が、6〜12分ぐらいで終わるのがが良いころ合いです。10分を大きく超えるようだとスピード感が失われすぎるので、参加人数は3〜6名がいいでしょう。

2分インターバルはできるだけ、確保します。2分間の中で、アイデアを紹介し、質問をもらって解説をくわえ、更にアイデアを広げてくるコメントが出てきたりもします。
もしそこで皆からのアイデアが広がり始めて2分で足りない場合は、ファシリテータは少し時間を延ばします。それでも長くて5分ぐらいまで。

なお、複数案を持っている人は、2分では足りない場合があります。というのも、1つ出すたびに質問が出て答える方が、場が温まります。なので、共有する時は、言いたい順に紹介して時間切れで共有し損ねてもいいようにします。

3.また、一人でアイデアを考え、フリップに書き出します。8分

この時間の長さは、ファシリが調整してOKです。先のステップで、アイデアの相互刺激が多く出てきて、ここは時間を少し長めにとった方が、アイデアを熟成させられそうだ、と思えば8分ぐらい。逆に、長くとるより、早く皆のブレスト状態に戻した方がいいと思えば、5分としても結構です。

各自が書くアイデアスケッチは、自分が新たに考えだす案ももちろんOKですし、先のステップで聞いた良いアイデアに着想を得てそれを改良発展させたアイデアを書くのもありです。この場で出てるくアイデアは共有材と思って相互に使います。

4.ステップ2を実施します。

基本的は同じです。ですがだんだん、アイデアが構造化されてきたり、アイデアの具体性が高まってくるので、共有やそれについての質問やプラスアイデアのコメントも多くなります。なので、一人のインターバルが長くなっていきます。ファシリテータはその辺は皆の発話状態を見ながら調整します。

さらに時間があれば、上記のステップ3と4を繰り返します。

おおくて、3周ぐらいをめどにします。

なお、ビデオ会議で会話状態にしている時間(ステップ0と2と4)の総時間が40分を超えると疲れてきます。アイデアが広がるのでどこかのステップを時間拡大することもあるでしょう、その際に、あと何分ぐらい、ビデオ会議時間を取っても場のエネルギーを維持できるだろう、ということを気にしてすすると、うまいく行きます。

<<アイデアの記録>>

ファシリテータが任命する記録係は、アイデアスケッチのスクショ(スクリーンショット)を取ります。

WindowsのPCの場合は、「Shift+Windowsマーク+S」を押すと、スクショが立ち上がります。「四角形の領域切り取り」で、スケッチ部分をラフに選んで、保存します。それがもたつくならば、「全画面表示の領域」の保存でもOK。

タイミングは、共有開始するステップ2や4で、各自の番でまず「はい、最初に、撮ります。でっかく映るように前に出して、5秒制止してください。」と声をかけて。こうすることで、他のメンバーもそのスケッチをじっくりと見ることができます。

そして、記録係は、オンラインで共同編集可能ファイルに張り付けていきます。
具体的には、Googleスライドがおすすめです。Win、Mac、他のPC、スマホのどのユーザからも軽くて開けます。
全員がパワポの使えるWinのPCから入っていれば、パワポをオンライン共有状態にして、(そういう設定があるのですが)、そこに張り付けてもいいでしょう。

この処理の効果は「一人でアイデア考える時間」に大きく効きます。一人発想時間には、「さっきのあのアイデア面白かったなぁ、、、」と回想し、そこを土台にして新しい着想が花開いていくことがあります。共有ファイルを書くが手元で開くことで、その刺激を何度も浴びることができます。

もう一つは、成果物の確保です。

オンラインでブレストしたアイデア群が各自の手元に紙で残った場合、あとでスキャンして送信、や、きれいに打ち直して提出、ということをすると、途端に”めんどくさく”なります。なかなか集まらないので、整理がつかない、リモートワークなのにスピードが下がる、ということが起こります。なので、その場で、全アイデアを確保してしまいます。

ブレスト後にアイデアの魅力度に対して、投票したり、グループピングをしたり、という次のステップも必要ですが、ブレストが終わると同時に、アイデアスケッチ集が出来上がっているので、次の作業へスムーズに進むこともできます。


<<実際の例>>

東北工大では、上記を実践しました。
その例を、次の記事で書きます。

(次に行く前の補足)

なお、この時は大規模(90名ぐらい)いる授業でしたので、上記のやり方をフルに足並みをそろえて行うことはできませんでした。特に記録です。そこが上記の用にはできませんでした。

その場合の対処として、「他の人のアイデアは、手元にメモをしておこう」としてしのぎました。

また、「各グループのリーダは、自分の偏見と好みでいいので、グループの中で魅力的だったアイデアを1案だけ、クラス共有のオンラインファイルへ記入してください」としました。
90名の全員がアクセスできるグーグルスライドのURLを石井がつくり、そこ、各チームの代表1案を記入してもらいました。

そうした理由は、その後、90名で、☆付けをして、上位案をレビューするためです。
このやり方は苦肉の策で、急遽とったのですが、実践上、ベターだったように思います。
もし、全チームのアイデアスケッチのスクショを、一つのファイルに置いたら、数〜数十ギガの重さになり、開けなくなる人が続出したでしょう。

ベストにするために、あと1歩欠けた部分は「代表1案をリーダが一人で決めた」点でした。各チームの中で、代表1案を決めて、それを投稿してもらう、ということをできれば、ベストに近かったと思います。(とはいえ、代表1案を決める、という作業は、アイデアスケッチをグループ内で記録していない中では、話し合いがしにくいはずなので、「5分話して代表案を合意できない場合は、リーダーに一任」という感じに、作業を明示していくことも併せて必要だったでしょう。)



追記:

レクチャー動画を作りました。
上記の文章とは、微妙に時間設定が異なります。
そのあたりは、調整シロとお考え下さい。


ishiirikie2020_OIWS.png

posted by 石井力重 at 11:04 | オンライン・ワークショップ&研修

2020年06月07日

授業コンテンツ動画を、「パワポ」+「紙とペン(半透明)」+「PCカメラ(半透明)」でつくる

多種多様な先生たちが、集い、オンラインで自分のハウツーを教えあうようになっています。
石井も、そういう場から学ばせてもらいました。
私からも、一つのやり方を共有します。

パワポ、書画カメラ(半透明)、講師(半透明で狭く)の構成で、
講義を行う方法です。

ツール的には、ノートPC、普通のwebカム(書画カメラとして)、モバイルディスプレイ、そして、Xsplitというビデオ映像ソースを調整するソフトで、行っています。

紙とペンで、コメントする、図示する、方が圧倒的に早いなあ、と思って、それをこんな感じでやってみました。
(ただし、何もない紙の上で、パワポの文字をなぞるのは、初めは少し戸惑います。一番最初の丸は、見当違いな場所に線を引き始めていたり。ですが、しゃべっている5分間の間に、だんだん、慣れてきて、狙った位置にひけるようになっているのが見えるかと思います。)


この方式は、結構便利です。

パワポのソースは消しておけば、「紙のノート」と「話者」の構成でやると、板書だけで講義する、というスタイルをすっと実現できます。

==補足1==

ビデオ会議の際に、Xsplit BroadCasterは、仮想カメラとして、Zoomの映像ソースなどにできるので、画面共有云々なしに、メモを書いて見せることができる、という使い方も。(ただし、XsplitはかなりCPUとGPUの性能を使うソフトなので、Zoomも立ち上げると、結構、ひやひやしながらの運用にはなります。PCのスペックが非常に重要です。)

それってどういうソフトなの?に対して、的確に答えにくいので、Wikiを貼っておきます。

「すぐ使えそう?」といわれたら、「映像ソースを画面にもってくる作業のボタンが小さいので、なんか直感的じゃないな」と思いますが、半日も使えばわかります。石井はそれまで、ビデオミキシングソフトだとかスイッチャー的な機能だとか、全然興味も知識もありませんでした。必要なら学し、使えばわかってくる。そんな感じで今は、このソフトを愛用しています。

(なお、同種のことを無料で叶えるものもある用です。OBSというそうですが、それを使ってないので、何とも。)

==補足2==

「書画カメラ」といっているのも実は「100円ショップの水きり台」と普通の「WEBカメラ」です。
水きり台の上にノートPCを載せると机が広く使える、という工夫はよく知られていますが、まず、そうして、その台の端にWEBカメラを付けます。垂直に真下に向けて。あとはその下でノートに文字を書くだけです。だいたい、台の高さが20センチで、A5ノートの幅をちょうど映し出す感じに。毎回、同じ高さに設定できることと、垂直に下を向かせることができることから、この「台のふちに着ける」工夫でだいぶ助かります。
(三脚に取り付けると真下は、三脚の足でノートが入らないんですよね)



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posted by 石井力重 at 18:08 | オンライン・ワークショップ&研修



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