2020年11月27日

新刊のご案内『使えるアイデアがあふれ出る すごいブレスト』(石井力重、2020年12月)

すごいブレスト.jpg

11年ぶりに、新刊が発売になります。
先ほど、amazonでの正式な予約が開始されました。

amazonのURL

説明文は、暖かい感じに書いていただいています。
引用します。

【「仕事に使える優れたアイデア」を大量に生み出せる驚異のメソッドを大公開! 】


ここ数年「人間の仕事の大半は、人工知能(AI)にとって代わられる」
というようなことをよく耳にします。
近い将来、「なくなる仕事」について論じられた本などもたくさん出ています。
確かに、今の技術の進歩を見ていると、
乗り物の自動運転や自動操縦などは近い将来、実現しそうですし、
仕事の大半が人間の手から機械へと移っていくことは間違いなさそうです。

しかし、いくらコンピュータが進化しても、
人間にとって代わることができない仕事があります。
それは「アイデアを考える」ことです。

確かに、チェスや囲碁などルールが決まっているゲームの世界では
すでにコンピュータが人間の能力を超えています。
しかし、コンピュータのアルゴリズムが
人間のアイデア創出能力と同等(あるいは、それ以上)のレベルに達するには、
かなり長い年月が必要になりそうです。
もしかしたら、「アイデアを考える」ことは、
人間にとって最後に残された仕事になるかもしれません。

そうなると、
アイデアを考えることは、
これからの生き抜くためには
とても重要であることがおわかりいただけると思います。
年齢、性別、職業を問わず、
すべての人にとってアイデア創出能力は必須スキルになるでしょう。
これは、個人レベルにおいても、集団レベル(企業など)においても同様です。

そうは言っても、
「新しいアイデアを考えるのが好き! 」という方は少数派で、
ほとんどの方は、アイデアを考えることに対して
多かれ少なかれ、苦手意識を抱いているのではないかと思います。

そんな方には
「ブレインストーミング(ブレスト)」がおすすめです。

「アイデアが出ない……」と1人で悩むのではなく、
みんなでワイワイ話し合い、
楽しみながら脳に汗をかいて、
よいアイデアをたくさん出すようにすればよいのです。

しかし、ブレストというと多くの方が
あまりいい印象を持っていないかもしれません。

たとえば、
「アイデアを出し合っているときは楽しいんだけれど、
結局、仕事に使えるアイデアが出ないんだよな」とか
「ブレストで出たアイデアが実際の成果につながったことがないんだよな」
などというケースです。

なぜそうなってしまうかというと、
成果が出るようにブレストを進めていないからです。

ブレストが正しく機能すれば、
参加者の潜在的な創造性が十分に引き出され、
独創的なアイデア、使えるアイデアはたくさん出ます。

「そんなこと言っても、正しいブレストのやり方なんて誰も教えてくれないし、
アイデア発想術の本を読んでも、
ブレストについてそれほど詳しく解説されてしないしなあ」などと
思われる方もいらっしゃるでしょう。

でも、大丈夫です。

これまでに、グーグル、マイクロソフト、NTTドコモ、富士通、KDDIをはじめ
600件以上の企業や教育機関で、のべ2万人以上のビジネスパーソンや学生に対して
アイデア創出やブレストの研修を実施してきた石井力重さんが
誰でも、どんな組織でもすぐに取り組める
「ブレストの方法」と「アイデア創出のコツ」をお教えします。

ブレストを「単なる雑談」ではなく、
「よいアイデアと成果が出る創造の場」にすることは、
実は、それほどむずかしいことではありません。
まず、次の4つの「ブレストの作法」を
みんながきちんと守るようにします。

1 まずは徹底的にアイデアを出し尽くす。そこからさらに出す(すべてを吐き出すと新しいアイデアが浮かぶ余地が生まれる)。
2 他人のアイデアを非難しない。よいところだけを見つけて言うようにする(誰もが思いついたことを言いやすい雰囲気になり、創造性が高まる)。
3 できるかどうかわからない未成熟なアイデアも、突飛なアイデアもかまわず出す(そのままでは使えないアイデアであっても、場に新規性や多様性をもたらす)。
4 出たアイデアを面白がる。その面白い要素をもとにさらにアイデアを出す(1つのアイデアからさまざまな可能性を探索する)。


これであれば、誰でもできるのではないでしょうか。
「みんなが、自由に発想して、自由に発言する」
ただこれだけのことなのですから。

そして、この4つのお作法を前提としたうえで 本書で紹介する次の6つの方法を試してみてください。

1 初心者でもうまくゆく「フリップボード・ブレインストーミング」
2 大人数のオンライン・ブレストに威力を発揮する「3人ブレスト」
3 「1人ブレスト」でアイデアをどんどん生み出す方法
4 大量のアイデアから良案を選び出す「ハイライト法」
5 アイデアを徹底的に出し尽くす「1ダース法」
6 50個の一気に脳を使う「クイック・ヒアリング」


この6つのブレストのやり方とアイデア創出法は、
著者の石井さんが長年研究している「創造工学」の理論をベースにしており
実際の現場(企業、教育機関など)で何度も実施されて、
参加者から「よいアイデアがたくさん出た! 効果があった! 」
という称賛の声があがったものばかりです。

さて、この6つの方法の優れたところは、
「ブレストでアイデアをたくさん出す」だけにとどまらず、
「アイデアの中からよいものを選び出し」
さらに「選んだよいアイデアを具体的に形にする」という点です。
つまり、アイデア出しから具体化までを一気通貫に行なうことができるのです。

この「正しく機能するブレスト」を
あなたやあなたが所属する組織が実現できたら
これまでとはまったく違う「創造性あふれる世界」に到達できるでしょう。
もちろん、すばらしい成果を上げられるようになることは間違いありません。


本書は、アイデア創出のスペシャリストとして全国で研修を行うかたわら、
アイデア創出ツール「ブレスター」(みやぎものづくり大賞受賞)、
発想を引き出す専用メモ紙「nekonote」(日本創造学会学会賞受賞)を開発し、
さらにはNHK「おはよう日本」で紹介された「アイデアトランプ」など
数々のアイデア創出ツール品を開発している
石井力重さんが
アイデアを生み出すためのノウハウとコツを
あますところなく大公開しています。

常に新しいアイデアの創出を求められている
ビジネスパーソンは必読の1冊です。


【主要目次】
第1章 なぜ「アイデア出し」にブレストが効くのか?
第2章 FBS(フリップボード・ブレスト)
――最もやりやすいオンライン・ブレスト
第3章 大人数のオンライン・ブレストに使える「3人ブレスト」
第4章 1人ブレストでアイデアをどんどん出す方法
第5章 アイデアを整理して良いアイデアを選び出す方法
第6章 〈上級編〉ブレストの達人への道(オンライン&リアル対応)
第7章 短期間でアイデアをきたえる方法
第8章 アイデアの創造をめぐる雑談

個人的に思うのですが、新商品というのは、マーケティングが上手すぎても不幸です。
本来はあまり対象者でない人も買ってしまったりするからです。
読まない層までたくさん買ってしまう本というのは、買った人もムダ金になり不幸ですし、その結果レビューも荒れ、長期的な商品寿命の意味でマイナスです。

ですので、この本も、アイデアスイッチと同じく、ゆっくり数年かけて世に出ていくといいなぁと思っています。

とはいえ、潜在的読者にきちんと情報が届くように、これから数カ月は情報発信をしていきます。

しばらく、PR的な記事が増えますが、生暖かく見守っていただければ幸いです。

お願いついでに、〇〇書店で見かけたよ、とSNSで #すごいブレスト をつぶやいていただけたら、投稿者と書店さんに心の中で感謝を申し上げます。

そこまで来たら、近くの図書館に、リクエストカードを出してもらえたら幸いです。(一度読めばわかる内容なので、借りて読んでしまえばいいんじゃないかと。)

((と、落語で昔見た演目をまねて書いてみました。なんでしたかね。ちょっと施しを受けたら、そこに少しだけ希望を加えて、どんどん要求が多くなるといった話。酒も、肴も要求していき、どんな落ちでしたか、覚えておりませんが。))

さて、アイデアの著者らしくちょっと変わった工夫を。
「リクエスト・カード」を作ってみました、ここに置いておきます。


リクエストカード_記入見本.jpg

ぜひこれを、プリントして、ポケットにねじ込んで、図書館などに行った際に、そこのリクエストカードに書いていただければ幸いです。

著者が言うのもなんですが、本をずっと本棚に置いておくには、日本の住宅事情は狭すぎますので、紙の本は増やしたくない、というのが今の読み手のニーズではないでしょうか。

ブレストに悩むまだ見ぬ誰かにも、あなたのおかげで情報が届く、かもしれません。

ぜひ、近所へのリクエストを、よろしくお願いします。(深々お辞儀)
posted by 石井力重 at 14:46 | 『すごいブレスト』2020年

2020年11月26日

11分の講義動画を作るために、四日かけました。

「石井さんが、Youtuberに(なってる)!」というコメントを、数カ月前に友人からもらいました。
全然、そんなレベルにないですが、リモート教育の流れを見据えて、動画コンテンツを半年間作ってきました。
そして、(本の執筆も終わった今週は)4日間かけて、1本の講義動画を作っていました。

動画づくりに4日、といっても、最初の3日間はスライドづくりです。

今回は、技術的工夫のことを説明する部分も多いので、道具の挿絵もたくさん書きました。パワポの上で、オートシェープ機能で書いています。

kamihasami.jpg
(鋏よりも、蟹が上手く描けた一枚)

専門的で情報量も多い「TRIZ(の一技法)」を「アイデア発想法」として仕立てています。
重厚な知見を、いかに重たく見せずに、流れを把握してもらうか、が私の講義に求められていることなので、そこにこだわって何度も内容を改良していきました。


そして、4日目は、一日かけて、動画づくりです。

午前中に、何度も失敗テイクを重ねながら、収録しました。
スライドの話しにくい所を、都度修正して、冗長さ、分かりにくさを削ぎ落します。
内容がほとんど動かなくなってきたら今度は、講義のミブリや話す内容を洗練させていきます。
そうして、午前の3時間で、収録→見る→収録・・・を10サイクルほど繰り返しています。

なお、私なりの「気を張って喋る工夫」として「講義収録ライブ」をフェイスブックで垂れ流すことをしています。
誰かしら、通りかかった人が見るかもしれない、という状態でしゃべると声の出方が知うな、と気づいたからです。
実際はそれで誰も見ていなかった、ということが後からわかってもいいのです。

午後は、そのビデオを、編集ソフトで加工しました。
言い淀んだところや、いい間違っているとことを見つけて、削ったり、つなげたり。

こんな感じで11分弱の動画が出来上がりました。


11分の講義ビデオのために、丸々4日間を費やす、というのは、対面講義しかしていなかった2019年から見ると、相当にコストかけすぎ状態です。
ですので、時々立ち止まると自分でも疑問がわいてきます。
ですが、自分の力不足で時間がかかるだけなので、ともかく今は、修練の時と思って、取り組んでてみています。

(余談)

講義ビデオの収録を春・夏・秋、とやってきて、ようやく音質について、気にし始めました。マイクもいろいろな要素があって面白いですね。今回はネックマイクを手配して使っています。

音声としては、肉声よりも、シャリシャリとして劣化していますが、環境音というノイズがほとんどなく、PCスピーカーから再生してもクリアで聞き取りやすい声になっています。


2020年11月24日

全国の中学生向けオンライン・アイデアワークショップをしました。

全国の中学生向けの学びの活動「D-stadiam」の「アート思考・発想法」を担当していまして、今日11月24日は第二回目のアイデアワークショップを実施しました。

D-sta1124_.jpg

中学生向けとはいっても、一般企業で行うアイデアワークショップと基本骨格は同等です。
受講生の能力が高いので、すいすい進行させてもらえて、ある意味大学での講義よりスムーズです。
発想の中には「あ、それはいままで、聞いたことないなぁ」という斬新な名案もあって、驚かされます。

貴重な機会をくださった運営元、スポーンサー各社さん、ありがとうございました。
受講して下さったみんな、サポートに入ってくださった協力者各位、ありがとうございました。

posted by 石井力重 at 23:59 | オンライン・ワークショップ&研修

2020年11月19日

校了しました(新しい本を書いています)

(共同執筆の本を除いた単著としては)二冊目となる本を書いているのですが、ついに「校了」に達しました。

(校了:本の印刷データが完全となり、印刷してOKな状態のデータになること。)

実に長い、執筆でした。
精神的な強靭さはあるつもりですが、やはりつらかったです。
迷路の中を模索する長さ、のではなく、どこまでも仕上げの坂道を全速力で登り続ける、そういう充実感があり、その代償として支払う種類のきつさです。

そして、自画自賛になりますが、いい本が書けました。

書名は

『使えるアイデアがあふれ出る すごいブレスト』

です。
※これ以降は略し『すごいブレスト』と表記します。

((タイトル決定の報を聞き「す、すごいブレストですか、、、そんなたいそうな名称をもらっていいのでしょうか。『ふつうのブレスト』とか、そんなぐらいの内容だと思いますけども。。。」としり込みしたのですが、とにかく、『すごいブレスト』になりました。
著者案としては、色々出していまして「『できる!オンラインブレスト』とかどうです?」というのも送ったのですが、その出版社ではないですから、当然ボツです。))

詳細な書籍情報が掲載されるのは、11月末ごろです。
発売は、12月10日です。フォレスト出版から。
早い書店だと、8日に出るかもしれません。

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長い余談、執筆余話を少し書かせてください。



春はコロナ禍でどこにも行けず、自粛が解けても、この原稿執筆で、夏も秋も、平日も週末も、朝から晩まで部屋で本を書き、美しい夕暮れを見ながら家から一歩も出ないでまた夜が来て。
休みらしい休みは今日まで、とれませんでした。
特に、お盆過ぎてからの3カ月間は。

草稿→初稿→再校→三稿→四稿→五稿→六校→七稿→出力見本と、稿がここまで上がるとは思ってもいませんでした。

好きなことをしているとしても、正直、仕事も執筆も手を抜かずに両立するのは、きつかったです。
ですが、先に書いたように、費やした時間と情熱の分だけ、納得のいく一冊ができました。
この先、また本を書く機会がまたあっても、今回以上に納得のいくものはできないかも、と思います。

「アイデアスイッチ」の頃の技量1、執筆努力1、納得感1を基準にすれば、
新刊「すごいブレスト」は、技量2、執筆努力3、納得感6ぐらいです。

こう書いてみて、自分でも、あ、そうかと思ったのですが、
「技量」と「努力」の掛け算したものが、仕上がった時の「納得感」の量なのかもしれません。
そうであるなら、将来、三作目を書くときも、「技量才能」が乏しいとしても「努力」は最大限していこうと思います。

===

校了の日(11月19日)は、午前中で校了したので、仙台も夏日でしたので、久々に、気の赴くままに車を走らせて、湖畔まで行ってきました。

湖畔をまわり、人けのない砂利の広場に車をとめて、珍しく自撮りを。

kouryougoni.jpg

山を登り切った47歳のおじさんというのは、こういう顔をするのだな、と思ったり、かつて高校に見た父の姿に少し似たなぁとも。
(高校の後、家を出た後はずっと千葉の実家で暮らすことはなかったので、最後の方の父とともに暮らした記憶は、父が48歳ぐらい=今の僕ぐらいの年齢=だったので、その辺の印象が強いのです。)

===

制作に関わってくださった方へ

本を書く機会をくださった編集の貝瀬さん、素敵な挿絵を描いてくださった津久井さん、ありがとうございました。
お二人のおかげで良い本が書けました。

また、私は直接は存じ上げませんがフォレスト出版の皆さん、印刷所の皆さん、どうもありがとうございました。
皆さんのおかげで、広く知見を、世に届けることができます。

心よりを申し上げたいと思います。

石井力重 
2020.11.19

posted by 石井力重 at 23:52 | アイデアプラント 5th(2018-2020)

忘備録「210日間、現地に行かずに仕事した経験」

2019年までは年間170日以上旅仕事でしたが、コロナ禍で、一変しました。

数えてみたら、218日間、現地に行かずに自宅からリモートで仕事をしていました。
この経験は、記録しておきたいので、書き出してみます。推敲なしで。

暗雲の立ち込めた2月。
奈良女子大学の冬季集中講義が2月20日に終わります。
奈良県は日本で最初のコロナの出たところでしたが現地に行くと意外とのんびりしていて、割と普通に集中講義をしていました。しかし、ここから先は、次の滞在地へ行くと、「コロナでキャンセル」が続きます。結局二月末まで、出張はつづくものの直前キャンセルになるので旅程通りには行動するものの、全部キャンセルということになりました。
そして、自宅に2月末に帰り着きます。すると三月以降もすべてキャンセルの連絡が入りました。

この時、創業した時以来の「朝起きて、何もすることがない日」を数日ほど経験します。

2009年の4月1日に創業したのですが、そのころは「案件が途切れ、次の案件も何もないので、今日は何もすることがない」という穏やかな春の日が幾日かありました。
のんびりお茶飲んで過ごし、差し込む陽光に輝く白紙とペンをまえに、「さあ、これから何をしよう。きっと将来大忙しになって、こんな何も仕事のない一日を懐かしく思うぞ。」と、妙に前向きに、仕事のない創業期をワクワクして過ごしていました。(こういう性格の人は、創業者に向いています。研究者としてそういう理性的判断も念頭にはありつつ、地の性格がこういう感じなのですが。)
実際にその通りになり、11年間、大震災と復興の間を除けば、大繁盛といえる幸運な仕事の日々を過ごしてきました。

そういう馬車馬のごとき怒涛の日々が、ぴたっと、何もなくなりました。
さあ、来月も半年後も、何も案件がなくなり、一切の義務がなくなって、その日からは、毎日目が覚めるまで深く長く眠るようになりました。
三日もすると脳もすっかり健全になり、この状況を、第二回目の創業期のように思えてきました。

そして、一気にオンラインに活動場所を移すべく、オンラインのことを学び始めます。
従来もわずかに、オンライン会議はあったのですが、どうにも苦手で「あ、僕、行きますよ。その方が話が早くてしっかり分かりますし」といって、東京大阪どこでもどんどん、行ってしまうスタイルで、リモートは極力避けていました。
そのため、「すかいぷ」という道具しかわかりませんし、それも受話するだけのなんだかおっかなびっくりで、知識を持っていませんでした。

自腹でZoomの契約をし(10ライセンスからの高級版を1人だけの組織なのに、買ってしまって、いきなり無駄なコストで失敗したり、ビデオミキシングソフトをかって、自分と手元のカメラを重ねて投影したり、そのうちに名称が誕生したZoom飲み会も、どんどんやってみたり。
品質の悪いオンライン講座やアイデアワークショップも、試行的にやってみました。
今思えば、相当に低品質でしたが、世の中全部がそうだったのでその時点での先進性はありました。
でもやっぱり、今のスキルがあれば、だいぶ違ったのにな、というどたばたの3月でした。

このスキルの初めに、宮城県のオンライン講義を、いち早く、県のメンバーとともに成功させたのは大きな弾みになりました。その際にクロマキーを買ったりしたので、初めに道具をそろえるいいきっかけをもらったと思います。

超アナログだったのに、5月ごろには、オンラインでワークショップや創造研修をするようになりました。
大学のオンライン講義も始まり、100人や80人での実践中心講義を3時間とか4.5時間するようになり、リモート特有のやりにくさを大量に浴びて、がっくりと首を落として、悔しい夜を幾度も過ごします。

特に、リモート授業は生徒同士が私語ができないのですが、私語は学習を補助する機能があったのだ、とこの時多くの教員が、はっと、気が付いたり、なんてことも。
僕らはいま、巨大な社会実験装置の中にいるみたい。そんな空気が、先進的な先生方の中にはありました。
ひどいリモート授業と、先生が大奮闘して楽しませるリモート授業に分かれて行ったり。

さて、そうして、6,7月、徐々に外出もできるようになり、8月には夏季集中講義が2つの大学でありました。

早稲田で250名のオンライン講義は、困りました。
小部屋に分けてブレストするにしても、Zoomの仕様上、3人小部屋×50部屋=150名です。
しかも実際に別のイベントで、50部屋に分けようとしたら、ボタンが押せず、41部屋まで部屋数を減らしてようやくボタンが押せるという謎の仕様もあったので、実際には120名ぐらいが、可能な受講生でした。
そのため、オンデマンド動画学習授業(Oコース)とワーク実践リアルタイム授業(Wコース)に希望者でわかれてもらい、Wが120名ぐらいに収まり、何とか実践できたり。
なお、これはこれでエクストリーム授業運営でした。
130名が裏側ではオンデマンド授業を進めているわけで、課題内容も違いますし、何より全授業はビデオの先取りが必要でした。出来上がったのは授業初日の朝型でした。

奈良女は20名ぐらいのサイズなのでオンライン授業もスムーズでした。

この2つの対照的な夏季集中講義で、あたらしいオンラインブレスト方法も実験でき、それは、データ分析を経て、秋の学会発表のデータにもなりました。

企業案件はかけませんが、かなりコロナでピンチの会社さんの経営層で新事業アイデアソンをオンラインでやったり、新人研修をやったりで、企業研修も8時間に及ぶオンラインを運営できるようになりました。

さて、こうなってくると「リアルの劣化版のオンライン」が「オンラインの方がむしろパフォーマンスが上がる」という部分も出てきます。
そうすると、リアルができるようになっても、オンラインの実施の方がよりよい案件もある、という心境になってきます。

また私は腰を数年前に悪くして、そのまま出張を続けてきていて一向に良くならなかったのですが、荷物かばんを引いて日本中を行かなくて済むようになったこの200日のおかげでかなり症状が良くなったのです。これは、コロナ禍も、禍福はあざなえる縄の如し、の良い面だなぁと思います。

さて、さて、そうして、10月に2度の東北工大の授業にたどり着きます。
東北工大は下期から対面授業の一部開始があり、私の担当枠は対面に入っていました。
一度目は、生徒も教員チームも全員現地にいて、私だけがリモート講義をする、という形式をとりました。
現地は三密を避けるように、100弱の生徒を2つの大教室にわけて疎になって講義をします。
2つの教室間は、回線でつないで先生のいない方ではモニターで講義をリアルタイムで見ます。
そのため、リモート稿講義はどちらにとっても、公平です。

そして二度目は、比較のためもあり、現地で講義です。
ただ、その前の週末に腰を痛め、講義途中で腰の痛みが限界で、前半のみ対面講義、後半は自宅に戻りリモート講義、というアクロバティックな構成。大学が近所でほんとによかったです。

そうして、218日ぶりに「現地に出向いて仕事をする」と、多くの人が一緒の空間にいることが、非常に違和感をもって感じられるようになっていました。
でもそれも30分ぐらいのことで、皆アルコール除菌、マスク着用、過度な会話のないような運営方法、というのもあり、割と穏やかな感じに進みました。
ただ、マスクを着けて大きな声でしゃべり続けるのは酸欠になりそうで、最後はかなりきつかったです。

この日を境に心理状態が、大きく旧来に戻ります。
7カ月も現地に行かないで過ごし、家からですべてが完結できると、「外に出ていくのが面倒」に感じたり「感染が怖い」と思うようになっていて、かなり出不精なマインドセットになっていたのでした。
そして「リモートはあるべき姿であって、これからもずっとこれでいいな」とも。
でも、現地に行くと、「あ、やっぱり対面はいいな(でもオンラインもいいけど)」、と思ったら、急速に「やっぱりリアルでできる世界に戻せるなら、戻っていくんだろうな」という感覚を受けました。

これが過ぎるとまずい。そう思うんですが、多くの人は、「職場に出てみたら、なんてことないじゃないか。他の人も出社したらどうだ?」となっていったことも、肌感覚として分かりました。

私は、たぶんかなり長い「7カ月の完全リモート期間」があったので、かなり、リモート側の心理を保っていただけに、この辺は変化していく自分の意識を、良く感じました。

と、ここまで推敲なしに一気に書きました。
今11月18日は、また、局面が変わりそうなところにいます。
感染者の拡大、第三波の開始、とも言われ、春先の自粛再びか否か、という段階にいます。
どうなるのか読めない時間が続きますが、春先よりはリモートの環境ができ、機器も品切れでないので状況はいいと思います。
もう、7カ月も完全リモートで過ごせる日は、この先10年ぐらいないかもしれません。
そんな今の記憶と感じたことを書き留めて、置きたいと思い、ここにメモしました。

あくまで直感ですが、リモートは結構このまま一定割合で残る気がします。
対面の良さも大きいですが、コストが大きい贅沢な事、であり、それを多くの人が分かってしまいました。
それは「会うまでもないことを、会うコストをかけるべきかを問われる社会になった」ことでもあります。

多くの人が、電話機と同じぐらいZoomを持っている状態になった今、「リモートじゃみんな参加しませんよ」という従来の否定ワードは使えなくなったので、「対面かオンラインか、決定の合理性」を、ちゃんと考えて、対面を決めるし、リモートも併用するし、災害時にはスイッチできるようにバックアップも設計しておくようにもなる、のだろうと思います。
posted by 石井力重 at 00:55 | アイデアプラント 5th(2018-2020)

2020年11月17日

セルフカットの初体験から9度目まで。

selfcut.jpg

久々に、このブログに私的な日記を書きます。

今書いている本の原稿が私の手元を離れました。
鏡をふと見ると、気づけば髪が伸び放題で、セルフカットをしました。
多分これが最後の自分でする散髪になりそうで、ここまでのことをまとめておこうと思います。

過去9回のセルフカットの日程はこんな感じでした。

Screenshot_20201117-105556.png


まず、セルフカットに移行する前に、1月中旬に、最後に理容室で散髪をしています。
出張先の銀座にある理容室なのですが、そこで切ってもらうと2~3カ月は髪型が崩れない切り方をしてくれる凄腕の人がきってくれます。

さて、3月中旬になると散髪を意識したものの、ちょうどこのあたりで、父が死去しました。
喪主として駆けつけて、散発のタイミングを逃し、そのまま社会全体が自粛に入り、床屋さんもいなくなりました。

春、髪がさすがに長くなりすぎました。

そこで、昔ひげを蓄えていた時に買っていたヒゲトリマー付きシェーバーを出してきてカットをしてみました。
それが4月11日です。
予定表にはカットをしたら、それをあとのために書き込んでおきました。
(そして今、こうして見ています)

第二回目以降は、大体3週間おきにカットをしています。
自然とその辺が切りたくなるころなんでしょう。

そして、第8回の後、原稿の追い込みでインターバルが1.5カ月間があって、今日、最後とするだろう9回目をしました。

初めは鏡の中の自分をカットするので、手が逆方向に動いてしまい、全然捗りませんでした。
その結果、襟足は左右バラバラに。前衛?というような仕上がりになりました。

しかし、3度目あたりから、頭が演算するようになり、鏡の中の自分の手が望むように動き出します。

2ブロックなら、境目が隠れるので結構、それなりに見えました。
しかし、長い部分はヒゲトリマーでは難しいので、こまっていました。
際ぞりの刃で、指でつまんだ毛束を切る、ということをしましたが、まあこれはひどい仕上がりで。

ただ、この時期は仕事がすべてがオンラインなので正面からみて問題なければOK、ということで、続けます。
整髪料で固めれば、まあ、それなりにみえますので。(見えていた、と思う。)

selfcut2.jpg

最後の二回は、「スキばさみ」を手に入れてのカットでした。
後頭部や頭頂部も、ザクザクと髪のボリュームを落とせます。
ただし、刃物を見えないところで動かすので、結構慎重さが要りました。

毎回、仕上がりを撮影してFBには挙げてみていたのですが、追い込みすぎる(手をかけすぎる)と大体失敗の仕上がりになる、という経験則を得ました。

今回は、途中でシェーバーの充電が切れたのでそこでやめたのですが、長くてうっとおしかったので、その反動で、ものすごくたくさんスキばさみを入れ、9回の中でもワースト1,2に入るひどい仕上がりになりました・・・。

「セルフカットの経験を積む」

コロナ状況下でなければできないことは、やっておこうと思い、セルフカットに、ややこだわって取り組んできましたが、そろそろ、意地を張るのをやめ、床屋さんに行こうと思います。

そろそろ、現地講義が増えてきましたので、無茶苦茶なカット(特に後頭部〜襟足)を皆さんに見せるわけにはいきませんので。

セルフカットで得た教訓。

1)いつでも思い立った日に散発できるのは、ストレス発散になる。
2)望む髪形を床屋さんに口で伝えなくてよい(セルフでは切りたいように切れる。変になるとしても)。
3)鏡の中の自分の腕を動かすのは当初無理に思えたけど、数回で脳回路が順応し始めて最後の方はスイスイでき、何事も3度目まではやめない方がいいなと気づく。


その他の気づき
1)カット代金の浮いた分で、ワイン1本飲める
2)はさみは意外と2000円台でセットで買えるし、物がしっかりしていた。
3)ドレッサーを二時間占拠するので、家族がみんないないか、いても娘たちが部屋で勉強しているような時間帯を選ばないといけない。
4)落ちた髪は、服は毛を払ってからコロコロして、頭はシャワーを浴びて、床は新聞紙三枚で、道具の洗浄はタオル1枚で、対処可能。意外と手間がない。
5)図画工作とか、粘土の床屋さんおもちゃみたいな、芸術やデザインの側面があり、楽しい。
6)スキばさみで、髪を「ざし、ざし、」と落としていくのは病みつきになる心地よさ。(10円ハゲみたいなところを作ってしまったのですが、それは夢中で楽しんだため。自制心のある人にはおこりません)
7)オンラインセミナーを流しながら紙を切ると、手間がかかってもじっくり手を動かせてよい。(ただし急に名指しされるようなセミナーだと焦ることはあります。)
8)一年近く、なじみの床屋さんに行っていない(最後に近所の床屋さんに行ったのは、2019年大晦日直前)ので、だんだん、行きにくく感じ始めた。
9)髪を切りたくなる自然な周期は三週間であったことに気づきいた。今までは「毎月のこと」という感覚があって、なんとなく一カ月に一度でかよっていたけれど、それは実は、自分にとっては、ちょっと切りたい時期を超えていたのだとわかった。

そんなところです。

最後の8は、一年行かないと、申し訳なくなってくるので、その意味でも、この辺でまた床屋さんに通い始めなくちゃ、と思っています。
また、9が分かったので、今後は、3週間に一度きりに行こうと思います。
ただし、床屋さんは一か月分の長さをきるもののようで、前に短い周期で通ったときはだんだん髪が短くなったので、それを踏まえ、三週間インターバルで通うよ、と言わないといけない、とも思います。

11か月間かけて、分かったことは、大体予想していたことですが、「自分が切りたいと思うのは平均三週間」ということに気づいた点は、コロナがなければ気づかない発見でした。

以上、久々の日記のブログでした。

posted by 石井力重 at 15:37 | 日記、価値観、仙台オススメ

2020年11月16日

リモート会議とうなづき、の実験回が興味深かったです

先日、NHKの番組に、興味深いものがありました。
ためしてガッテンの、11月に放送された、リモート会議とうなづき、に関する回です。

テレビで行う実験の大半は、「実験方法がゆるく、主張を結論付けるだけの実験の仕方ではない」論が出るのは重々承知していますが、それでも中には「可能性をみるための事例として大いに参考になるデータ」を提供しているものもあります。
この日の放送は、そういう内容であり、メモを取りながら見ていました。

結論は「リモートではうなづきが減る」というもの。
具体的な数字が出ていましたので、グラフにしてみました。

unazuki01.png

数量はうなづきの回数を示しています。
時間は15分間です。
ブルーは、ビデオ会議。
オレンジは、対面会議。

バーの上の方に添えた数字は「ビデオ会議のうなづき回数/対面会議のうなづき回数」です。
比率によって黒か緑を用いて示しています。
被験者の性別と番号は、石井の方で付与しています。
便宜的に数字を3~5を付与していますが、意味はありません。

このデータが示すのは、「リモート会議は、対面会議に比べ、うなづき回数が大幅に減ってしまう(2割から4割ぐらいになる)」というものです。

このグラフを見ているうちに、何か2種類の系統があるような気がしました。

初めは、性差かなとおもい、つぶさにみると全体的に女性の方が、対面もリモートも回数が多めですが被験者の男性3名、女性3名では、そうでない例もはいっていて、何とも言えません。

いろいろ考えてみて、別の観点でもプロットしてみました。

unazuki02.png

横軸は、対面でのうなづき回数。
縦軸は、リモートでのうなづき回数。
こうしてみると、リモートと対面の回数の比率は、
0.2のラインと0.4のライン付近に点が多くあります。
先のグラフでも、黒と緑で数字を変えていましたが、このグラフにするとそれがより際立って見えました。
6人全員の平均は「0.3」ですが、そのライン付近にはプロットされた点はありません。

率直に読むと、
「リモートだと総じて減るけれど、減り方には2種類あり、ほとんどしなくなるタイプ(2割になる)と、半分弱になるタイプ(4割になる)がいるようです。

(補足:番組では6人の被験者が、15分ずつ「リモート会議」と「対面会議」をして、どれだけうなづいているかを人ごとにカウントしていました。示されていたのは1度目の数字(結果)の様です。実験は同様のものを3度行なったところ、同じような傾向であったと述べられていました。)

このデータから、
リモートでの会議は、うなづきが2割もしくは4割ぐらいに、下がる。
というのは、ある程度、参考になる数字だと思いました。



研究ノートとしてのブログはここまで。
以下、ほかの長い余談をつづります。

<<余談>>

〇 うなづきの権威

解説には、岡山県立大の渡辺先生が、でていました。
渡辺先生の「うなづき理論」の研究成果は、ぺこっぱ(話しかけるとお辞儀をする双葉のおもちゃ)として実用化されています。
10数年前、私がNEDOフェローをしていた時代に技術展示会で偶然お会いしています。渡辺先生自身がうなづきの権化のような方です。気さくでどんどん話を引き出してくれるような人柄でした。

〇 リモートはやりにくい、のは、うなづき担当で解消

「やりにくいと感じているリモート会議ではあるものが減っていました。それはうなづきです。これが減っているために話しにくいのです。そこで、うなづき担当者を入れると、話しやすくなると同時に、他の人もうなづく回数が増えます」ということで、うなづき担当を入れることを推奨していました。

論理展開をよく聞いていると「うなづきが減ったのは事実だが、リモートで減ったのは、果たしてうなづきだけなのか?」という原因切り分けはしていません。
なので「仮にその仮説を正だとしたら」と補って、番組後半を見るのが正しい味方になるかと思います。
そのうえで、「うなづき担当者」を入れると、話しやすくなるようなシーンが流れ、他の人のうなづきを増やしたようなシーンが入ります。これをもって、「うなづきを強制的に上げることで、リモート会議の話しにくさは解消される」という論理に展開しています。
これは、たぶんそうだろうな、と思う結論なので一見そのまま受け入れたいのですが、反対意見を作ってみることで仮説が鍛えられますので敢えて立てると、「うなづき担当により、喋りやすくなったことを、定量的に示せるか?」「うなづきの仕方や量によって、リモートのやりにくさを解消できる(対面と同等のやりやすさまで持って行ける)のか?」という質問がありえます。

特に先のグラフのように、2割にまで減っているタイプの人は、リモート会議で自然にうなづく頻度を強制的に5倍に高めねばなりません。だとしたら、どこでそのうなづきを入れるのだろうか、ということも検討余地のある要素です。
1回のうなづきの後適当に4回うなづく、という無機質な増量もあれば、「うなづくほどではないレベルの小さな納得要素にも頷く」という取り方もありそうです。
また対面だと他の人のうなづきに同調する力が強いため、「つられうなづき」もあるけれど、無機質に増やしたら、同調性が生み出す相乗効果を期待できないかもしれない、という点も気になります。

〇 厳密でなくても進むべし(石井私見)

うなづき、という行為は単純な首の上下動に思えて、割と複雑な関係要素がある「統合的な営み」だと、私は思うので、この辺は、突き詰めると何も言えなくなってしまうので、上記のような、問いは残るけれど、ある程度、仮定して進み、どこかで間違ったときにそこを疑いに戻ってくる、ぐらいの進み方がいいのだろうと思います。

さて、番組後半も興味深かったです。
ラッパーの方が、即興で韻を踏む回数を、邪魔したり促進したりする、という実験です。(ラッパーという職業があることに驚きましたが本題とそれるので先に進みます。)
ランダムな単語がタブレットに表示されると、ラッパーが4小節程度、即興で韻を踏むような歌を作ります。
いっぺんにたくさん韻を踏むことができ、純粋に芸能としてすごい!
次に、ラッパーの三本指を出してYoYoって回すあの身振りを禁じます。腕組みを解かないでやってもらうのです。
同じ実験をすると4小節で踏める韻の数は、4割ぐらいまで減ってしまいます。やりにくそうです。
次に、腕組みを解かない条件のまま、タブレットを提示する人(正面に立っています)が、リズムに合わせて、首をクイクイと上げ下げします。うなづき、とはちょっと違う行為に思えますが、観客がリズムに乗っているあの感じの「首くいくい」です。
すると、韻を踏めた数は劇的に改善。当初の数に近くなりました。
番組ではこれを、人は自分で動くことで言葉を紡ぎ出すためのリズムを作り出しているが、相手のうなづきも、同様に言葉を紡ぎ出すためのリズムを提供するのだ、という趣旨でまとめていました。

この辺になってくると、「面白い。でもいろんな原因切り分けをぶっ飛ばして結論付けたよね」という心の中の警鐘が鳴り響きます。
たくさんの、研究仮説の原石を見せてもらった気がします。正しいかどうかを確定するには、実験条件が足りない、というのは、こういう番組に対していうのは野暮ってもので、それをもっともっと精査していくのは気になった研究者の仕事だろうと思います。
(あるいは、もしかしたら渡辺先生の論文をつぶさに読むとこの辺の疑問への検証はすでにあるのかもしれません。番組なので最後に参考文献が示されたりしないのですが、科学番組だったらそういうのが出ても面白いですよね。けど、喜ぶ人は100人もいないか。。。)

この後半部を、仮説の上に仮説を立てて、好意的に受け取りにいきますと「人は言葉を紡ぎ出すときに、相槌を適切にもらうともっと、引き出せる。相手がいない時には、自分の手ぶり身振りでそのリズムを生成するか、そのほかの方法で、脳に対して適切なトリガーを与えてやれば、言葉をもっと引き出せる」ということはあるのかもしれません。

ブレストする時とか、講演者が興が乗ってくるときに、謎の手しぐさをします。
ろくろを回す、とよく揶揄したものですが、それは相手に対する空間図示ではなく、自分の脳のはずみ車を回すための行為である、ととらえるならば、「創造的思考に最適な手しぐさ」も開発しえるのではないだろうか?とさえ思います。

posted by 石井力重 at 19:31 | 研究(創造工学)/検討メモ&資料

2020年11月02日

人生で初めて、学会で座長をしました。(&座長ツール)

昨日のオンライン開催の学会で、私としては初めての「座長(ざちょう)」をしました。

hatuzacho.jpg
大会実行委員長の豊田先生、副委員長の藤原先生と。
藤原先生は、顔写真がネットにあまり出ていないので、配慮してぼかしてあります。

学会発表は、百名前後の大会参加者が、テーマごとの部屋に分かれ、次々発表をしていきます。
1発表あたり、だいたい20~30分(質疑応答を含み)です。
各部屋には、座長がいて、発表者の紹介をしたり質疑応答を運営したり、しています。

今年は所属学会がオンライン開催(40年以上で初)であり、新しく「デジタルポスターセッション」という部屋が設置されました。

ポスター発表、というのは、通常は対面では大きな会議室に多数のパネルを配置し、各研究成果を大きくシュルツ力したものを張り、ポスター前に集まった人に解説する発表形式です。座長はいません。

ただ、今回は、オンラインでスムーズにそれに近いことをシステムがないため、デジタル・ポスター発表と称するものの「通常発表の発表時間を短くしたバージョン」という位置づけになりました。そして、通常発表形式ならば座長は必要、ということで、私が座長に任命された、という経緯です。

そんな経緯での初座長でしたが、個人的には、学会の座長をする時が来るとは、思いませんでした。

やってみた感想を一言でいば、「実に大変」でした。
一発表者の時にはわからなかった気づきがものすごくある一日でした。

さて、やってみて大変でした、だけでは、何も学びにならないので、ここから座長を補助するツール(あるいは、座長が上手くなくても進行できるツール)を生み出すことを考えてみます。


== 以下、座長ツール ==


思えば、かれこれこの四半世紀で「物理学会」「産学連携学会」「日本知財学会」「TRIZシンポジウム(≒準学会)」「日本創造学会」と、いろんな学会で研究発表をしてきました。
そこには当然ながら、いつも座長がいました。
人のよい座長、厳しい質問の座長、タイマー係しかしない座長、面白い感想も述べて場を温める座長もいました。
そういうキャラクターの人なんだろうな、ぐらいの感じで気にも留めていませんで、座長が何を見据えて運営しているのかを考えたことは全くありませんでした。

それが、座長側になって、はっ、と気づくことが山のようにありました。あぁ、座長がしていたことはすごいスキルだったんだなぁと。

そこで、この「初めて座長をしたときに得た感覚」が消えないうちに、座長の心がけと質問を「座長ツール」としてまとめてみました。

この辺は、長く座長をすると身体知になって言語化できなくなりそうです。
また、初めての経験をされた方も、私のように自由な発信ができる立場になければ、気づきを公表することがないかもしれません。
なので、私の立場の使命と思い、社会に役立てばと思い、以下を公開します。

過去に見た良い座長たちがしていたことを、まとめ、質問10個にまとめました。(今回、石井なりにも生成した質問も加えてあります)

なお、定説があるのかわかりませんが、学会とは「知識創造の場」である、と私は考えています。
運営者や発表者に、その心意気があればこそ、参加したくなる魅力的な学会になるのだ、と考えています。
私見に満ちたスライドですので、その辺は違うと思えば割り引いて、解釈してみてください。



このスライドを、合成音声で読み上げてみました。
 ↓

こんな感じで、座長という新しい経験から、1つアイデアを考えてみていました。

知識創造社会に進むにあたり、学会がより良い体験になっていくといいなぁと思っています。これがその一助になれば幸甚です。
posted by 石井力重 at 15:10 | 研究(創造工学)/検討メモ&資料



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