その中で、できることを再定義していく。
やりたくないことは把握して、逸脱しない自己ルールを持つこと。
一年のうちの数カ月、「オンライン・ファースト」という未来の働き方を、社会の多くの人が経験しました。
誰もがカオスの中で、新しい社会の中を手探りで進んだり、とまったり、逆戻りしたり。
夏が過ぎ、秋ごろは、もう大丈夫なので昔に戻そう、というムードになったり。
それを時期尚早とみて組織内が分離していたり。
年末にかけて感染の急拡大でまた状況が変わったり。
震災の時も感じましたが、未来イメージというのは大きくゆっくりした変化の先に外挿されるイメージであり、昨年まで気配もなかった大インパクトな現象の発生時には、ほぼ見通しが達成されません。
その空席に、別の未来が座ります。
では、見通しや計画とは無力なのでしょうか?
いいえ。
計画という基準点があるから、軌道修正する際に、何をどれだけ変えるのか、という座標が具体的に定まります。
何がどれだけ違ったのかを振り返ることで、時には、興味深い発見も。
今年立てる年始の目標も、またズレ幅が大きいでしょう。
年始の時点でも、凄く不確定要因の多い年であることが分かっていますので、その分では去年よりは、カオスに備えられますが。
不確定要因は、コロナ。そして、ゆれるオリンピックイヤー、です。
もともと東京オリンピック2020は、20世紀型(超高コスト)オリンピックの最後の開催例、と目されていました。
一年スライド、というのは、かなり社会的にきついものがあり、今年の開催もまだ、危うい。この状況下で国際イベントを開催する判断がどう下されるのか、現時点では全く分かりません。
21世紀は都市型国家の時代、とも言われていました。しかし疫病の中では、都市と通勤→田舎リモート暮らしの流れも。
観光産業や飲食産業には「市場の蒸発」というほどの苛烈な市場変化も起こりましたが、一方で「マスク」「webカメラ」「日用品」「食材」「オンライン購入と配送」「オンライン会議サービス」が急伸しました。
自宅内消費経済に移行したことで、超大手の衣服ブランドの相次ぐ倒産。コロナ感染を嫌って病院に極力いかなくなったことで医療機関が常にすいているどころか、経営問題を抱えるほどに。
2021年が2020年に近いものだとすると、一年以上の事業制限をへて一気に事業者数が減る産業も出現しそうです。
蒸発した市場は、消滅するのではなく、形は全然違いますが、今までなかった場所に、新産業の雨を降らせます。
その市場をこれまで生み出していた「根源的な欲求」をよく見ること。その市場が蒸発しても、欲求は雲となり、今の社会に合った形で、地上に戻ります。
- 贅沢の仕方がかわる。
- 時間の使い方が変わる。
- 体験の様式が変わる。
- 人付き合いの在り方が変わる。
- 生活の便利さの中身が変わる。
- 直接会う、ということの貴重さが変わる。
未来の地点から見れば「当然、コロナが起きればここにビジネスが生まれるよね。どうして当時の人はそんな簡単なことに気づかなかったのだろう。」というものが、あるはずです。
新産業の雨が、どこに振っていくのかを、じっと目を凝らせて、見てゆきたいと思います。
(追記:大みそかの夕方、下り坂がブラックアイスバーンになっていて、気づかず激しく転倒して、右腕を痛めてしまいました。大きな厄落としだった、と思います。遠くばかり見ていないで、足元も気をつけよ。そういうメッセージかもしれませんね)