例年のことですが、誕生日の日のブログは、一年後の自分に向けて綴ります。
元旦のブログが「アイデアプラント代表としての一年目標」であり、誕生日のブログは「個人・石井力重の一年目標」です。
今、48歳を迎えた今日は、記憶に残る体験をしています。
前日に、モデルナのワクチンの二度目を打っており、日付が変ったころには、副反応(悪寒と高熱)に苦しんでいました。朝方まで何度もトイレに行きたくて目覚め、朝に起きると、体の節々の痛み、頭痛、だるさ、というきつい状況でした。
例年は、誕生日のころは、未来予測資料をたくさん読み込み、この先の一年がどういう社会になるかの情報を収集し、未来イメージを自分の中に作り、その中で自分が何をするかを描き出して、ブログを書いていました。
今年は、そういうことができないので、直感的に、書いてみます。
「子どもに見せたい背中」
コロナ状況下で、お盆に墓参りも行けず、二年前に亡くなった父の猛烈な働きと勤勉な勉強ぶりを、思い出していました。
幼いころの記憶では、父は創業者として、昼はユンボの運転や水道設備工事で猛烈な勢いで動き、夜は遅くまで各種の国家試験の勉強をしていました。
私が文才の物書きだったら、現代の二宮金次郎的に、半生を書き留めたいぐらいの創業者でした。
我が姉弟はみな、怒涛の仕事量をしていくような生き方をしているのですが、その根底は父の夜まで頑張る背中を見てきたことにあるように思います。
私は、心底好きで価値があると思える仕事に、全力で打ち込みたいと思っています。
顧客への圧倒的な愛が製品のフォルムに宿る、そういう製品を作りたいと思っています。
そういう姿を娘たちに見せたい、と若い日に思い、アイデアプラントという生き方を選択したのでした。
その日々の中で、「子どもに見せたい背中」を、我が父のように、見せられているだろうか。
そんなことを考えていました。
話を、少し拡張します。
師となる人たち(父も含みます)が、これまでに、たくさん良いものを与えてくれてきました。
その人たちに直接恩を返す機会はそれほどありません。
なので、常々こう思います。
「もらったものを、次の世代にかえさなくちゃ。」
こういう姿勢で仕事を作り進んでいくのは、報酬よりもはるかに多い情熱と努力が必要です。
ですが、すでにお代は昔、恩師たちからいただいています。
その恩師たちに返すつもりで、常にどの仕事にも、臨みたいと思います。
そんなわけで、今年はフワッとした目標ですが「子どもに見せたい背中」(そして、社会一般に対しては「もらったものを、次の世代に」)を一年の個人目標にしようと思います。
<<一年前の目標の、到達を振り返る>>
2021年の展望は、“消えた普通(リアルな対面中心の社会)。新世界(デジタル社会)の礎とならん。“でした。
” 新世界で、「創造的な人や組織が次々と生まれてくることを支えるものや活動を提供してゆこう」“、という姿勢で過ごした一年間、結果的には、自分なりにかなり実践できました。
@オンライン・ブレストが捗るためのHow toをまとめた『すごいブレスト』が2020年12月に出版され、それが2021年7月には、それが学会から賞をもらう運びとなりました。(日本創造学会・第8回(2019-2020)・著作賞を受賞しました。)
Aオンラインの創造研修やオンライン・アイデアワークショップなどを通じて、画面越しでも創造的な相互作用が起こるような「場」をたくさん提供してきました。
BMiro上に、「ブレインストーミング・カード」を設置して、リアルと同じように実践するコンテンツも、だいぶ熟成してきました。(これは、近い将来、デジタルコンテンツとして市販したいと考えています。)
去年のブログでは、コロナで急に世界中が不慣れなオンラインになった中で見えてきた様々な特性をまとめていますが、一年たっていまやそれは、ほぼ常識、という状況に到達しています。
逆に一年前はまだそれらが、出現し始めで、予兆のレベルであったのだ、と読みながら思いました。
なお、「相変わらず、コロナが猛威を振るい、一方で、リモートワークは推奨されど、できない(しない)会社は予想されたよりもずっと多い」ようです。
コロナのリスクが減ると徐々にリモート勤務を削減していく会社も一部上場企業にも多く見受けられました。
リモートは非効率。
確かにそういう面はあります。
この秋の学会発表で報告しますが、オンラインでのブレストは(リアルのブレストに比べ)、アイデア創出数や創造的反応(笑い、共感、鬨の声)が6〜8割に下がります。
リアルでは1の時間で1の成果が出ていたことが、オンラインでは1の時間で、0.6〜0.8の成果になる、これでは、らちが明かない、よしじゃあ、出社に戻そう、ということになるのもわかります。
この点は、創造性の研究者として「一方で、オンラインの方が効果的な創造作業もある」ということを、分析し、もっと発信していかないといけない、と思っています。
リモートワークが「リアルの劣化版、仕方なくやる緊急回避的勤務形態」にとどまっているのを「リモートワークの方が捗る仕事もある」という認識に変えていけるよう。