2021年08月22日

子どもに見せたい背中

例年のことですが、誕生日の日のブログは、一年後の自分に向けて綴ります。

元旦のブログが「アイデアプラント代表としての一年目標」であり、誕生日のブログは「個人・石井力重の一年目標」です。

今、48歳を迎えた今日は、記憶に残る体験をしています。

前日に、モデルナのワクチンの二度目を打っており、日付が変ったころには、副反応(悪寒と高熱)に苦しんでいました。朝方まで何度もトイレに行きたくて目覚め、朝に起きると、体の節々の痛み、頭痛、だるさ、というきつい状況でした。


例年は、誕生日のころは、未来予測資料をたくさん読み込み、この先の一年がどういう社会になるかの情報を収集し、未来イメージを自分の中に作り、その中で自分が何をするかを描き出して、ブログを書いていました。

今年は、そういうことができないので、直感的に、書いてみます。


「子どもに見せたい背中」

コロナ状況下で、お盆に墓参りも行けず、二年前に亡くなった父の猛烈な働きと勤勉な勉強ぶりを、思い出していました。

幼いころの記憶では、父は創業者として、昼はユンボの運転や水道設備工事で猛烈な勢いで動き、夜は遅くまで各種の国家試験の勉強をしていました。

私が文才の物書きだったら、現代の二宮金次郎的に、半生を書き留めたいぐらいの創業者でした。

我が姉弟はみな、怒涛の仕事量をしていくような生き方をしているのですが、その根底は父の夜まで頑張る背中を見てきたことにあるように思います。


私は、心底好きで価値があると思える仕事に、全力で打ち込みたいと思っています。

顧客への圧倒的な愛が製品のフォルムに宿る、そういう製品を作りたいと思っています。

そういう姿を娘たちに見せたい、と若い日に思い、アイデアプラントという生き方を選択したのでした。


その日々の中で、「子どもに見せたい背中」を、我が父のように、見せられているだろうか。

そんなことを考えていました。


背中_篆書体.jpg



話を、少し拡張します。


師となる人たち(父も含みます)が、これまでに、たくさん良いものを与えてくれてきました。

その人たちに直接恩を返す機会はそれほどありません。

なので、常々こう思います。


「もらったものを、次の世代にかえさなくちゃ。」


こういう姿勢で仕事を作り進んでいくのは、報酬よりもはるかに多い情熱と努力が必要です。

ですが、すでにお代は昔、恩師たちからいただいています。

その恩師たちに返すつもりで、常にどの仕事にも、臨みたいと思います。


そんなわけで、今年はフワッとした目標ですが「子どもに見せたい背中」(そして、社会一般に対しては「もらったものを、次の世代に」)を一年の個人目標にしようと思います。




<<一年前の目標の、到達を振り返る>>


2021年の展望は、消えた普通(リアルな対面中心の社会)。新世界(デジタル社会)の礎とならん。でした。

” 新世界で、「創造的な人や組織が次々と生まれてくることを支えるものや活動を提供してゆこう」、という姿勢で過ごした一年間、結果的には、自分なりにかなり実践できました。


@オンライン・ブレストが捗るためのHow toをまとめた『すごいブレスト』が202012月に出版され、それが20217月には、それが学会から賞をもらう運びとなりました。(日本創造学会・第8回(2019-2020)・著作賞を受賞しました。)


Aオンラインの創造研修やオンライン・アイデアワークショップなどを通じて、画面越しでも創造的な相互作用が起こるような「場」をたくさん提供してきました。


BMiro上に、「ブレインストーミング・カード」を設置して、リアルと同じように実践するコンテンツも、だいぶ熟成してきました。(これは、近い将来、デジタルコンテンツとして市販したいと考えています。)


去年のブログでは、コロナで急に世界中が不慣れなオンラインになった中で見えてきた様々な特性をまとめていますが、一年たっていまやそれは、ほぼ常識、という状況に到達しています。

逆に一年前はまだそれらが、出現し始めで、予兆のレベルで会ったのだ、と読みながら思いました。


なお、「相変わらず、コロナが猛威を振るい、一方で、リモートワークは推奨されど、できない(しない)会社は予想されたよりもずっと多い」ようです。

コロナのリスクが減ると徐々にリモート勤務を削減していく会社も一部上場企業にも多く見受けられました。


リモートは非効率。


確かにそういう面はあります。

この秋の学会発表で報告しますが、オンラインでのブレストは(リアルのブレストに比べ)、アイデア創出数や創造的反応(笑い、共感、鬨の声)が68割に下がります。

リアルでは1の時間で1の成果が出ていたことが、オンラインでは1の時間で、0.60.8の成果になる、これでは、らちが明かない、よしじゃあ、出社に戻そう、ということになるのもわかります。


この点は、創造性の研究者として「一方で、オンラインの方が効果的な創造作業もある」ということを、分析し、もっと発信していかないといけない、と思っています。

リモートワークが「リアルの劣化版、仕方なくやる緊急回避的勤務形態」にとどまっているのを「リモートワークの方が捗る仕事もある」という認識に変えていけるよう。


posted by 石井力重 at 19:48 | 8月22日

2021年08月15日

「社会的促進」と「創造的孤独」について(考察メモ)

社会的促進、social facilitation、という概念があります。

心理学の言葉ですが、大辞林にも載っています。引用しますと
「集団で作業をすると、同じ仕事をする他者の存在が刺激となって、一人でやるよりも達成効果が増大する現象。」
です。

とはいえ、”いつでも”、促進になるわけではなく、逆効果になることもあります。
これについて、正確な解説はほかの文献(例えば、こちら)があります。

ざっくりといえば、
「慣れている作業」は周囲に人がいると、促進され、
「慣れていない作業」は周囲に人がいると、抑制される、
という効果です。

さて今度は、創造的孤独。
[創造的孤独(周囲に人のいない環境で熟慮する)こと]
これは一般に使われる表現ではありませんで、
これから、使っていきたい概念を言葉です。
詳しく述べます。

ワークショップでワイワイしゃべると、場の設計がうまいと、非常にアイデア出しは「捗り」ます。

まず、量がたくさん出るんです。
そして、アイデア出しには「量が質をもたらす」側面があるので、質的にもよい閃きが出る傾向にあります。

さてしかし。

初期的な多数のアイデアが出た後に、それを整理してアイデアスケッチを書き出す作業では、先日の実験で興味深いことが分析からわかりました。
それは、オンラインでのワークショップ参加者のアイデアスケッチの方が、リアル会場の参加者よりも、高評価を取ったのです。(比較の座組は、ここでは端折ります。詳しくは学会発表時に。)

アイデア創出数や笑い声などは、オンラインは不利です。2〜4割ほど減ります。
量が減るということは、質的にも不利、となりがちです。
ですが、アイデアスケッチという「コンセプトをまとめて、表現した作業」においては、オンラインが有利になったのは、不思議に思えました。

この点を掘り下げるには今手元にある実験データでは条件が足りないので、仮設の範囲を出ないのですが、考察を述べます。
オンラインとリアルの差をよく体験している各種の研究者や講師とのこのことについてディスカッションをしました。
すると浮かび上がってきたポイントがあります。
「アイデアを整理して推敲して書き上げる作業において」、リアル会場は他者が周囲にいる状態であり、オンライン参加者は完全に一人状態になっている、点が大きく影響したのではないか、と。

つまり、社会的促進、という意味では、アイデアスケッチを仕上げていく上では、現地会場は「抑制」効果になる、のかもしれない、と。

こういう、アイデアワークの中の熟慮フェーズには、創造的になるための孤独、いわば「創造的孤独」が大事なのではないか、と。

この考察は、まだ研究が始まったばかりです。
正確なことが、統計的に言えるのはまだずっと先、10年後とかもっと後かもしれません。

この時点では「考察レベルのこと」ではありますが、という前置きをして、言いたいことを述べ切りますと、

社会的促進が「抑制」として働いてしまう「高度な思考処理を必要とする段階」すなわち「整理(概念の構造化、記述の推敲)」には「創造的孤独」(物理的に周囲に人がいない)状態を形成するほうがよい、かもしれません。

オンラインの活動(講義や研修やワークショップ)がリアルに比べ、いろいろとやりにくく効果が落ちる、と多くの人が実感を持っていますが、どうも、オンラインの方が有利になる要素もありそうです。

この辺、もっと整理して、秋の学会では報告・共有したいと思います。
以上、このブログとしては珍しい、研究メモ、的な記事でした。

posted by 石井力重 at 02:32 | 研究(創造工学)/検討メモ&資料



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