2023年08月31日

50代最初の仕事は「最終講義」でした。

奈良女子大学の夏季集中講義「創造学」。
7年前までは創造性の大家・國藤先生が教鞭をとられていました。
6年前、「石井さん、僕の後を、頼みます」と、大先生からバトンをうけとりました。
そのバトンを落とさないように必死に走ってきました。

同大は工学部の開設をしました。それに伴い閉じていく学部があります。
その学部の最後の生徒が今年3年生になりました。
3年生向けである「創造学」は、この夏季集中講義を最後に幕を閉じます。

したがって、石井の非常勤講師の任も完了となります。
この夏は、私にとって初の「最終講義」の体験となりました。

そもそも、大学教授の行う最終講義は「退官に伴う、その先生の最後の講義」です。
他方、非常勤講師は一年契約ゆえ、退官という概念がありません。
ただ「その年の契約が終わる」だけです。
したがって、非常勤講師たる石井が最終講義を行うことはほぼないだろうと思っていました。

しかし、今回のように「講義枠が閉じることに伴い、最後の講義となる回」は存在し
その講座を閉じるのにふさわしいメッセージを込めた講義を行う「最終講義」は
ごくたまに存在し、今回石井がその立場にありました。
多分、これが、人生で最初で最後の「最終講義」だろうと思います。
(他にも、早稲田大学や名城大学での非常勤の仕事もありますが、多分、ある年でただ終了するだけで、翌年からは別の方が講義枠を担当するわけで、そこには最終講義も何もないわけです。)

最終講義を経験するのは定年のケースがほとんどのため、60代で行います。
それを、50歳になった最初の仕事で経験する、というのは、定年のない個人事業主の石井として、とても奇妙なものだなぁと感じていました。

そして大先生から受け取ったバトンをきちんとゴールまで運べたことで、ほっとしています。


さて。

そんな心情の吐露はさておき、講義の報告をつづります。

講義の様子を30秒の動画にしました(個人の顔はぼかし処理しています)


KJ法、エクスカージョン、CEMRAPS(アイデアのチェックリスト法)などの技法や、PPG、ゼブラ、スピードストーミングといった各種のブレスト技法を実践中心に学んでもらいました。

休憩時に校舎の外にでると野生の鹿がハムリ、ハムリとのんきに草を食んでいます。ニュースでよく見る若草山の鹿がここまでやってきます。異常に暑い夏の時期で外に出ている人が少ないからか今年は講義期間中毎日、鹿がいました。野生の大型獣が学内にいて大騒ぎにならないのは多分、日本中でここだけではないかと。落ち着いた校風で大きい物音もなく鹿たちにとっても居心地がいいのかもしれません。

なお、講義内容は毎年更新しています、今年も例外ではなく更新しました。今年の新ネタとしては、生成AIとAIカードを用いてアイデア創出をする方法も紹介し、皆で実践しました。それまでにAIに触ったことのある回数はそれほど多くない生徒さんが多かったのですが、うまく使いこなしていました。

講義は毎年洗練させていき、(石井としては)今年が過去最高の出来だったと思います。最後の一回だけではもったいない気もしますが、改善を続ける仕事スタイルというのは往々にして「最後が最高」であるべきなんだろう、と思います。

今年だけは学務課さんのアンケート実施がなかったので代わりに、石井からアンケートを取りました。皆さんの同意を得て(個人名は完全に記号化処理をしたうえで)ここに公開します。
アンケート結果が高評価すぎるのは肯定的な校風もあるのでやや割り引いてご覧ください。

Q0.png


全15回終了後に、生徒さんの資質を聞いたものです。(あくまで自認するタイプですが。)
面白いのは、第1回の講義で尋ねたときと分布が変わったことです。

Q0_pre.png

グーグルフォームの自動生成グラフ故、前後での色に一貫性がありませんが、そこに目をつぶってみていただくと、当初の分布は「クリエイティブだと自覚する人は43%」でした。
講義終了後には、
「クリエイティブだと自覚する人は66%」になりました。

(とはいえ、即興で作ったフォーム故、回答の選択肢の構造を変えてしまいました。なので目安的に見てください)

以下は、授業の満足度を問うものです。

Q1.png
Q2.png
Q3.png
Q4.png


そして、Q5「 この講義で特に印象に残ったテーマや概念は何ですか?」

 
良いアイデアを出すメゾット/あと10個/マンダラート、カラーバス、発想力の促進要素、「アイデアが尽きたらもう10個!」の考え方/アイデアの出がらし/"アイデアの通せんぼ/講義を通してくだらなくても何でもいいので出すことでたまたまいいアイデアが出てくるという体験ができたと思います。"/「万策尽きた」がスタート地点/全く関係のないようなことから、新しい製品を生み出せる(カラーバスやエクスカージョンに関すること)というのが新たな発見だった。やってみるまでは、まさか思いつかないだろう、そういうことが出来るのはクリエイティブなセンスのあるごく僅かな人だと思っていたが、実は私にもできるんだと思った。今までに全く経験した類のない発想法だったので、むしろ煮詰まった時に使ってみたいと感じた。/「幸せ」をテーマに考えた時。幸せを考えると気持ちがポジティブになって、幸せを考えている時自体幸せな気持ちに溢れた!/ハイライト法の時に、最後に思いついた案の方が面白い物だったところ。/出し尽くしたがスタート地点。最初に出るものは誰でも思い付く凡案だけど、凡案だから言わないでおこうではなく出す。突飛な意見も創造力を促進するから出して良い。クリエイティブは難しい、苦手と思っていましたが、何でも言ってみることが新しいアイデアに繋がるかもと捉えると、自分の評価を気にすることよりも重要な目的に向かえるなら言ってみようかな、という気持ちにさせられました。緊張は自意識から来る、のお話とも似ています。/"自分が感じるアイデアの枯渇が、創造性のスタート地点であるということ。/突飛な内容や結びつかない2つのモノから、世間を驚かすような新たなアイデアが生まれるということ。"/アイディアスケッチ、とにかく出た案を限界まで書き出すこと。/ブレインライティングとハイライト法、凡案を出し尽くすこと、出し尽くしてから10個出すこと/"万策尽きたがスタート地点。この言葉に合致する経験があったため、余計に、その通り、うわぁすげえええええこれじゃん!!!っとかりました。"

※KJ法を印象に残せなくてすみません。。。

Q6「講義を通じて得た知識やスキルを今後の学びやキャリアにどのように活かしたいと思いますか?」

 就活での自己表現やグループワーク、サークルでの発表/"教育実習での授業。何か落ち込んだときに、勢いを思い出して、頑張る。"/就活やインターンの活動、趣味のことをする際にアイデアが出ず行き詰まった時/メインの内容ではないですが、人に話すとき伝える内容は3つくらいに絞る!というのは使っていきたい。私は言いたいことを全部ダラダラ言ってしまうから。/自分が社会に出て企画を考える、アイデアを求められるという場面には少なからず出会うと思います。その時に何も出ませんと言うのではなく、出ないなと感じても「出し尽くしたらあと10個」を意識していきたいと感じました。/様々なブレストの方法を知り、実践できたので、話し合いが行き詰まっているなと思った時率先して今回学んだ手法を提案するなどして、ブレストの場にブーストをかけられるような人間になりたいと思いました。/今回の授業で、案外私はクリエイティブなことが好きで、たくさんアイデアを考えることに喜びを得られることがわかった。本当にそういう方面に進んで大丈夫だろうか、活躍できるだろうか、という思いから二の足を踏んでいたが、企画などをする部署に就職してみたいという思いが強まった。ゲーム会社に務めたいと思っていて、シナリオライターや新しいゲームを考える部署に就職して、今回学んだような内容を活かして仕事をしてみたいと思った。/講義を通じて新しいアイデアを生み出す方法を身につけました。将来の仕事やプロジェクトで問題を解決する能力を向上させ、イノベーションに貢献したいと思います。/ロジカルな部分が強いけど、好きなことはクリエイティブなことだから、将来の仕事もその方面に進みたいと思っている。行き詰まった時はスキル(ロジカル)に頼ってクリエイティブを広げていきたい。/自分のやりたいことがわからなくなったり、目標を見失った時に、マンダラートは無心で思いついたことを書けるので、気持ちの整理に使えるなと感じました。また、話し合いの回し方などはただ考えなさい。と言われるよりもより発展した考えが生まれるのでいいなと思いました。今後もし話し合いの場で議長になる機会があれば使ってみたいです。/大学や就職先での課題はもちろん、日常の悩み解決などなど、人生の色々な場面で思い出すかもなと思います。/適切な方法を利用すると、自分は自分が考えるよりもずっとずっとクリエイティブの素質があるという自信を得ることが出来ました。よって、今回の経験と得たものを自分がアイデアに行き詰まった時はもちろん、仲間との議論、研究の際にも積極的に利用していきたいです。/自分の長所を見つけたりアイディアを出す時に存分に活かしたい。/会社で案を出すときなどに1回個人で考えようとかペアになって考えようと提案して、誰でも意見を言いやすいような場面をつくるようにする。/"活かし方というか、活かす場が分からない。正確には、どんな場面でも活かすことができるという自信があるため、どのように活かせばいいかを問われた時に答え方が分からない。与えられた環境下で全てを活かせる自信はある。ただ、自分でこれを活かす場を選び取ってくださいと言われた時、まず最適解を選べる自信はない。"

Q7「ご感想(講師に言いたいこと、上記では評価を伝えきれないこと)などを、ご自由にお書きください。」

3日間ありがとうございました。ここで習った方法を日常でも活用していきたいと思います。/楽しかったけど、普段1人の人はどうしたらいいのか分からない。無理だろうなと思うけれども、1人でも、グループワークを超えれる方法がこの世にあればいいのにと思った。/普段、「ただ聞くだけの授業」だったりするとそわそわしてあまり集中できない私にとって今回の集中講義は1日あたりの時間が多く、しっかり参加できるか不安でしたがグループワークが多いこの授業は集中できる良いものでした。ありがとうございました。/"会話をつなげるのがうまい真似したい。シーンとなる間をつくらない。いっぱい言葉が出てくる。人に話しかけるのも真似したい。大学の先生は学生に話しかけること少なめだから話に入ってきてくれるの楽しい。"/"講義をして頂き、ありがとうございました。これまで受けたことのある講義の中でこんなにもグループワークが多く、何度もブレストをしたのは初めてでした。自分の意見を言う際、つまらないから言わなくていいかと思ってしまうことが多かったのですが、つまらないことを出していくうちになにかいいアイデアが浮かぶこともあると学び、小さな意見も浮かんだものは全て自分の考えとしてまずたくさん思い浮かべることが大切だと学べました。とても興味深い面白い授業をありがとうございました。"/私は今まで生きてきた中で、「これを言っても無駄」「どうせ実現できないから言うのやめとこ」と飲み込んだ経験が何度もあります。効率的に話し合いを進めるためには実現不可能な意見を出す時間は無駄だと思い込んでいました。ですが、今回グループワーク等を通して、そんな突飛な意見も出して、さらに出して、出しきった先に良いアイデアが生まれるという体験をしました。思わぬところにクリエイティブな発想のヒントは落ちているのだなと感じました。本当にお世辞でも何でもなく、奈良女子大学に入って受けた授業の中で1番楽しかったですし、1番身になった感覚がしています。「万策尽きた がスタート地点」を座右の銘にして、これから先の人生に活かしていきたいと思います。3日間ありがとうございました。/これまでただの好き、だったことが、案外得意かも?と思える、自信が得られるキッカケになりました(メソッドを教えてもらったからかもしれませんが)。3日間ありがとうございました。/先生の授業本当に聞きやすかったです。短い間でしたがありがとうございました。/"クリエイティブな分野には天才的な人がいる。天才になれないから、才能がないからこそ、考え続ける時間だけは誰よりも負けずにいたい。その手法をたくさん知れたので本当に良かった。ありがとうございました。メンタルが病むことが多いけど絶望せずに生きていこうと思うことができました。(でも私は絶望から生まれるものもあると信じてます)工学部の学生などにも授業を受けてほしいです。また奈良女で講義してください〜!"/今まで受けた講義の中で一番楽しく、意欲的に参加できました。今ちょうどサークルでアイデアがなかなか出ず、考えを練り直しているところだったので、実際に活用してアイデアを出してみようと思います!/3日間正直結構疲れました!充実していて楽しかったです。ありがとうございました!/初めて、創造性を培う授業を受けました。自分が考えたアイデアを発表する機会はこれまでいくらでもありましたが、このように考え方のヒントや自分の可能性を引き出してくれることは無かったので、今回この授業を履修して良かったと思います。私はクリエイティブなことに自信があまり持てなかったのですが、受講生と何回も議論を重ねるうちに新たなアイデアを考えれるようになり、可能性が広がったように思います。ありがとうございました。/人と話すことが苦手、アイディアが浮かびにくい、特にグループワークが苦手な私にとって創造学の授業を受けることは非常にハードルが高く、受ける前は緊張しかありませんでしたが、この感想を書いている今夏休み期間中でも受けてよかったと思えるくらい自分のためになった3日間でした。私は授業に入る前のアンケートでグループワークでやるより個人の時間が多い方がいい(ニュアンス)に投票しました。しかしいざ授業が始まりグループワークをした時に個人で考えるより人とコミュニケーションをとった方が案がいくつも出たり良いアイディアが思いついたりしました。ただ、個人でアイディアを考える時に一切案が出てこなかったわけではなく、グループと個人で取る時間をそれぞれとることの重要さに気づくことができました。/匿名でいいからみんなの出した課題(オリジナル・メソッドとか物語とか)が見たいと思いました。使わなかったスライドが気になりました。/"ありがとうございました。想像力を発揮する必要がある場に限らず、普段の日常から何かを考えないといけない場面で全ての方法を使うと思います。**等々を利用し、何かを表現することが他の人より圧倒的に得意であると自負があり、そうであろうと意識してる面もあります。ここに、今回想像力が加わりました。表現する物を自ら作り出す、創造する術を得ました。本当にこの授業を受けて良かったです。正直めちゃくちゃに舐めていました。創造学という名前に惹かれただけで、面白くなかったら履修取消でいいだろうで考えていました。私が今まで適当にしてきたものに名前があることを知れる程度であろうと、学術的知識を得られるだけであろうと本当に舐めていました。すみませんでした。本当にこの授業は楽しかったです。過去の人生を振り返って、受けてきた授業の中で1番楽しい授業であったと言いきれます。本当に面白かったです。初めて家で授業が楽しかったと親に話をしました。実際に創造物を作る授業以外楽しいと感じたことがなかったのに、単純に想像力を使うだけでここまで楽しいと思っていませんでした。様々なメソッドを教えていただけた点も含め、大変有難い時間を過ごすことが出来たと感じています。ありがとうございました。"

アンケートは匿名、実名どちらでもOKとし、実名8名、匿名7名でした。実名の方は、講師に見られるという意識が、回答をややよい風にしてしまう可能性はあったかもしれません。しかし、否定的回答もできるように匿名も許容しています。そこを考慮すると、満足度の高さはある程度、受け取っても差し支えなさそうです。

いただいた言葉は、良いと言ってもらえた点はおごることなく励みにし、悪い点は真意をよく踏まえより良い講義一層精進いたします。

以上を持ちまして、奈良女子大学の非常勤講師の職を完遂しましたの報といたします。

授業準備と運営に力を貸してくださった学務課の皆さま、この機会を下さった同大の佐藤先生、前任の國藤先生、そして、過去6年間のおよそ100名の受講者の皆さん、ありがとうございました。

2023年08月22日

半世紀、生きました。(50歳になりました)「やりたい仕事は残らず全部、やってみよう」

本日、50歳になりました。ついに、半世紀生きたことになります。

この日だけは、記事の読み手を未来の自分としています。「展望を誕生日のブログに書く」ことで、一年前の自分との約束を思い出し、自分の問いに答えて時間を強制的に持つ仕掛けになっています。今年は、50代に入るので、十年展望として綴ります。

##この記事は、ホテル日航奈良から、9月3日に書いています。この夏は、早稲田大学の集中講義、母の法要、奈良女子大学の集中講義(最終講義)、八尾市の起業家育成講座と連続して長時間講義がありタイトでした。移動の新幹線や、滞在先のホテルで万年筆を走らせて、この日記の内容を考えていました。

ishii50.jpg

夏の旅仕事で各地に滞在しながら、50歳の10年間をどう生きようかを、考えました。

その前に一つ、思い出深いエピソードを。
新卒で入った商社の部署は人生の縮図のように新人、中堅、ベテランのいる大きなチームでした。とてもおっかない大先輩がいまして、私が入社二年目ぐらいの時に定年されました。彼が退職する日しんみりといったのです。「お前らはうらやましいよ。これからなんだってできる。」と。若造の私には、その意味があまりよく分かりませんでした。しかし、一年後にお会いした時に人が変わったように好々爺とされ、終始笑顔なのですが丸くなった背中に、にじむような哀愁というか寂しさのようなものが。確か、すすめられて何か趣味を始めた、と。多忙な職場なので、一人一人と電話が鳴って呼び戻され、うやむやに解散になり、それからはお会いする機会がありませんでした。
その時に強く感じたものがあります。
日本の社会には定年がある。その日を超えると、能力に優れ体力の高い人でも、仕事の土俵から出されてしまう。彼はその土俵を出るその日に『土俵の上にいられる日々』が永遠に失われ、二度と戻らないことを、そういったのだ、と若造の石井は一年かけてハッとしたのでした。

社会は大分変りました。働く喜び、を感じるタイプには定年延長もあり、第二第三の職場で活躍されている方も少なくありません。
石井自身は個人事業主なので、自分がもうこれでおしまい、と思う日が来ない限り、ずっとアイデアプラントという生き方をするのだろうと感じています。

アイデアプラントの仕事を振り返ると、どの時代でも、お客さん(主に大企業でイノベーションに取り組む方)との年齢差があまり大きくありませんでした。大体±10歳までのことが多いのです。50歳になる今、お客さんの肩書が昔とはずいぶん違うことに気づきました。部長、課長が多く、若手側ではグループリーダーや上側では若い取締役も。
そこから外挿して考えると、60歳の石井の上側10歳はかなり減り、下側10歳がお客さんに。そして、70になると±10歳の皆さんはほぼ2つ目の職場で活躍する方、という構図になりそうです。(もちろん、10歳以上の差がある方も少なくはないので、ここまで単純にはならないと思いますが。)

それでも大きな構図として、そうなっていくことを今から心得ておこうと考えました。
すると、定年の日がない個人事業主といっても、徐々に曖昧な土俵ラインを少しずつ割っていく時期がくることを覚悟しておくべきだと。

話を展望に戻します。

産業界、特に大企業では、実績と実力を積んだ50代はリーダーシップを発揮する世代です。そうした世代がお客さんの中心になるとなると、依頼の幅も、中身の高度さも増すでしょう。
引き受けられるかどうかわからないような、今まで誰もしたことがない仕事。そういうものをずっと引き受けてきて納めてきましたが、毎回かなり頑張って到達しています。そういう「まだないこと」を引き受けるというのは振り返れば成長譚ですが、その案件の最初の一歩に立つときは「果たして俺はこれをやり切れるのだろうか」と毎回悩み、不安の藪を漕ぎ分けて進んできた日々でした。この先、お客さんの立場がさらに高くなる。そうすると、登ろうとする未踏峰はますます険しくなると予想されます。

この先の10年は、多分『仕事のゴールデンタイム』だ、と直観的に思うのです。
なので、逡巡するよりも、「やりたい仕事は残らず全部、やってみよう」と思い、これを10年の指針としました。

2つ目の指針もつづります。

50歳になるあたりで少し、自分の中で変わったことがあります。
これまでは、一人で質の高い仕事に全力を注ぎ最高のものを顧客に納める。という職人的な専念をしていました。
あまり、場を作るとか、皆で何かをすることを企画することはありませんでした。
(顧客の依頼に応じて、その種のことをすることはありましたが。)
これからも、顧客への愛が製品のフォルムに(仕事の細部に)宿る。そういう仕事をします。
しかし同時に「もっと皆で楽しもう。場を作ろう。」とも思い、これも10年の指針にしました。

ということで、未来の自分への問いです。

1年後、そして、10年後の私は
❶「やりたい仕事は残らず全部、やりましたか?」
❷「もっと皆で楽しみましたか?場を作りましたか?」

各年代で、10年展望を立ててきました。
今回は、少し自身の心を解き放つ方向性が入りました。
とはいえ、慢心することなく、一層精進しながら、愚直にアイデアプラントの道をゆきたいと思います。

なお、今まで「元旦」(事業)と「誕生日」(個人)に書いていた抱負や指針は、必須とせず、次に書くのは、10年後でよい、としました。正月と誕生日ごろにその時間をまとめてとるよりも、日々、展望を更新して進みたいと思います。



なお、7つの指標を建てました。
残り5つは、ブログ記事としは割愛しておきます。
10年後の自分は「50代の7つの指標」ファイルを開いてください。

posted by 石井力重 at 09:00 | 8月22日

2023年08月21日

早稲田大学で夏季集中講義「デザイン論」をしました。

10年目を迎えました。早稲田大学・所沢キャンパス・人間科学部での夏季集中講義「デザイン論」。
デザインの中でもアイデアデザイン寄りで、実質ブレスト各種技法を学ぶものです。
講義の様子を今年は(学生さん個人の顔や声がわからないようにして)動画で掲載します。
大企業の新人研修で行うのと同じ水準の講義です。
むしろ、100分×14コマなので、どの新人研修よりも多様なものを提供しています。


彼ら彼女らが社会に出て企画的な道を行くときに一つでも多く役立つものを渡したい。そう思って全力でワークショップ中心講義を提供しました。

また、毎年、新しいブレインストーミング法を開発し、学会発表してきましたがその効果性を見る実験はこのデザイン論です。毎年百名以上の受講者がいてデーターとしてある程度のものが得られます。彼らの協力により、社会に新しい創造技法が提供されていきます。
なお、今年は、171名の受講者。AIカードを用いたアイデアワークを体験してもらい、アンケート調査を実施しました。

余談:

非常勤講師は任期が10年間で一応終わるようです。
が、延長希望者は申請をして続ける道もあるそうで、一応申請をしました。
来年も早稲田の非常勤をするかどうかは半々かもしれません。
もし続くなら今までと変わらず全力で講義を提供したいと思います。

2023年08月20日

7〜8月の感性の仕入れ(S660、水上バイク、ジェットパック、フライステーション)

仕事柄、広い発想、面白いアイデアが浮かんでくるよう、日ごろから感性に新鮮な風が入ってくるような体験を心がけています。それを私は「感性の仕入れ」と呼んでいます。

この夏の完成の仕入れは、陸海空、いろんなことができました。
4つの体験を1画面の中で再生する動画にまとめてみました。


陸・・・S660(ホンダの軽自動車スポーツカー)。軽自動車とは思えないハイパワーが重量の軽い車に乗っているのでとにかく面白いです。峠のカーブで面白いようにスパッと曲がりコーナーの出口でスワワと加速。私の体格だとどうしても後部の出っ張りに頭が当たります。どうシートポジションを工夫しても当たりました。なのであまり段差を勢いよくで超えると頭頂部をぶたれるような痛みがあり、気絶したらまずいなという別の意味でもドキドキするドライブでした。S660は乗るではなく着る、とよく書かれていますがまさに。自分より一回り大きいマシンを着るような、そんなわくわくする乗り物でした。なおほとんどインパネに余計なものがなくナビもないのですが代わりに重心点を示すディスプレイがあり、前後左右の加重が常時わかります。0.5Gを超えるとピピっと警告音が鳴るので安全支援装置の位置づけかと。実際は競技自動車をする人はこれがあると、コーナー入り口できちんと前荷重にして、とか、カーブであまり荷重がアウト側になっているとグリップがやばいかも、という判断ができます。

海・・・水上バイク。15年前ぐらいに旧4級船舶をとり、長らく失効していましたが、再取得講習を受け、水上バイクの講習設けて、レンタル&ガイドさん付きプランで、宜野湾から恩納村まで1時間ぐらい走行してきました。ガイドさんの行く後をついていくのですが、結構必死です。べたなぎの時はスピードを出しても操縦の難しさは感じません。ですがわずかな小波でも出てくると、バキン、バンッ、ドン、と船底に固いものがぶつかります。何か浮遊物かと思うぐらい、高速走行時の波って固いんです。腕が疲れますし、神経を使います。また基本は波に平行に走らないようにするのですが、常に垂直に走ることもできないので、波に平行気味に超えていくと船体がぐらんと傾きます。高速走行しているだけにバランスを崩すと振り落とされそうなので、楽しいのと同じぐらい緊張した体験でした。右のレバー操作がアクセルでわずかな角度でゼロからフルスロットルになるこの操作系は、人間工学的にちょっと未成熟なままにされていないかなと思うのでした。そういう気づきは、どこかでの製品開発の際のアイデアになりそうです。

空(1)・・・ジェットパック。背負った装置からすごい量の水が噴き出します。その向きを二本のレバーで操作し、方向をコントロールします。なれてくるとそらを意のままに飛ぶ感じが気持ちいいです。動力は水上バイクの排水であり、太いパイプ経由で水上バイクから送られてきます。なので、水圧のコントロールはインストラクター任せで前後左右の移動が自力でできる感じです。操作はかなりピーキーでハンドルをグイっと動かすとくるくると回転したり思わぬ挙動をしたり。ほとんど動かさずちょんちょんとずらす程度がいい操作のコツのようです。なおきりもみしながら水面にたたきつけられたときは相当に痛かったです。ぼーっとするような、多分軽い脳震盪が起こっていたかもしれません。空を飛ぶ乗り物が今後普及するうえで、何が大事かその鱗片を少し見たような気がします。

空(2)・・・フライステーション。最大250q/hの風が吹き上げる風洞の中でスカイダイビングをする施設です。日本では越谷レークタウンにあります。大気中でスカイダイビングで落下する人は約200q/hで平衡状態に達するそうで、その状態を作り出して飛びます。インストラクターがついてけがの無い様にまめに姿勢を治してくれるので安心して体験できます。体感的には(当然ですが)落下している感じはなく、ものすごい風圧の中でふわふわ浮かんでいる、という奇妙な体験をします。手足そして体をピンと伸ばし、顔は壁面を向くように上げ、足は膝をわずかに(15度ぐらい)まげ、手は大きな丸を作るあの感じを頭1つ分ぐらい開けます。これがもっとも空気抵抗が大きくなり浮く姿勢だそうです。実はこれだけは3度目の体験でかなりうまくなっていました。なお同じターンに体験したレスリング選手の方は身体の使い方がうまくかなり初回からよく飛んでいました。彼曰くしばらく息ができなかったとのこと。以前体験があった石井としては息苦しさは感じませんでした。なお着地は体を畳めば抵抗がなくなるのですとんと。今後空飛ぶが普及するときに、着地が最も重要なキーテクノロジーになるんだろうなぁ、とジェットパックの体験とともに感じていました。


こうした体験を良いインプットにして、各所各社さんのアイデアワークをより実りあるものにしたいと思います。
posted by 石井力重 at 16:44 | アイデアプラント 6th(2021-2023)



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