2023年9月30日と10月1日に開催された日本創造学会の研究発表大会では、私石井力重は、パネリストとしての登壇と2件の研究発表を行うという、通常よりもかなり多い登壇〜発表をしました。
(私の学会経験の中では、過去最多で、多分これが最多だと思います。2つの研究を同じ年にするのはかなり大変でしたが、その2つは車の両輪のように、両方、今、大事なものでしたので。)
創造性教育と生成AI:教育における新たな地平
パネルディスカッションでは、創造性教育と生成AIの組み合わせがどのように教育の未来を形作るかについて議論しました。私は、生成AIが創造的思考を促進し、学習や研修のプロセスを変革する可能性についての見解を提供しました。
直観力の研究:創造性の源泉
直観力に関する私の研究発表では、直観が創造的思考において果たす役割とその重要性を先行文献からまとめ、現代の各業界のイノベータ―4人のインタビュー調査から得られた直観力事例を報告しました。最後に、直観力を育成し活用するための方法論に焦点を当て、今後の方途を提案しました。
( 発表論文:20231001_intuition_ishiirikie.pdf )
生成AIとアイデア創出:40枚のカード
生成AIを活用したアイデア創出のテクニックを40枚のカードにまとめた事例の発表も行いました。これらのカードは、創造性を刺激し、多角的なアプローチで問題解決に取り組むためのツールとして開発されました。
( 発表論文:20231001_AIcard_ishiirikie.pdf )※なお、学会の発表要綱集にはこの論文の後にすべてのカードが掲載されています。
生成AIカードに対する反応と影響
私が発表した生成AIのカードは、その後、多くの参加者や研究者から高い関心を集めました。これにより、さまざまな分野の専門家とのディスカッションの機会が生まれ、新しい協力関係や共同研究の道が開かれる可能性が高まりました。これらの交流は、私の研究と生成AIの応用に関するさらなる洞察をもたらすことでしょう。
お問い合わせのご案内
石井と直接面識のある方で、今回の発表内容にご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽に私のメールアドレスまでご連絡ください。皆様からのフィードバックや質問、さらなるディスカッションの機会を心より歓迎します。
(ここからは人力執筆します。)
上記は、石井の活動のファクトを生成AIに伝えて、まとめてもらったものです。
さらりとして、読みやすいですが、文体が石井文体からは遠いので、ちょっとこそばゆくもあります。
しかし、今後は、人力執筆より、AIの作文補助が普及する世界になり、文章表現は整ったものが増えるし、速くなるでしょう。
事実、この報告記事を人力で書こう、書こう、と思っているうちに、10月が終わり、11月も終わろうとしていて、これは早く報告を書かねば、と思い、AIに大半を記してもらう記事としました。
こうして編集後記的に、人力執筆を付ける、のがこれからのブログスタイルになるのかもしれない。そんな予感がします。
さて、忙しくなるのにどうして2件も研究発表をしたか、を余話として綴ります。
生成AIが創造性の平均レベルまでは既に人間水準(を少し超える)レベルになっています。北欧の研究論文がこの夏にありました。次のようなものです。創造性テストを人とAIが行い、どちらのものかを知らない判定者が創造性を評価する、という研究方法です。あるものの意外な使い道を考える、というテストで、創造性のテストの一つのスタイルです。さて、その結果は、人間の平均値よりもAIの平均値が高い、というものでした。ただし、最高得点は人間の回答でした。
・・・ということとで、実はもう、平均値レベルの創造性なら人が下手に考えるよりAIにさせたほうがいい、ただトップ水準のものは人間が出すしかない、という状況になっています。みんなが何となく予想している未来のポイントの一つは既に、この夏に通り過ぎちゃった、わけです。
創造性の研究者からみると、創造性は未踏の闇が深い学問領域です。いくつかの地点が照らされて明るくなっているのですが、深い闇がまだ多い。明るいところはメカニズムが分かっていてプロセスが技術出来るので人間と同様AIにもそれっぽいことができてしまいます。ゆえに、いままで研究しにくかった暗い領域に人は踏み込まねばならない時期にきました。
その一つが直観力です。直観力研究は非常にとらえどころないもので、定性的なことをするのがせいぜいなので、今まで研究対象としてはちょっと避けてきたわけです。AIがぐいぐいっと人間のミドルレベルまで登ってきたことで、この「直感と直観」の力をもっと解明して、人々がもっとその力を発揮する知見を整えていく必要が出てきました。
そうしたわけで今年は、「AIとアイデア」のことを限界まで調べてみる、ということをしつつも、一方で極めてあいまいな「直観力」のことも調べ始めた、という「車の両輪」のような感じの研究構成になりました。
創造性の研究者は、晩年、禅、とか、仏教の概念を多く使うようになるんだ。ちょっとのその時代の文献になると理解しがたくなってくる。僕はそっち側に行かないつもりーー、と若かったころに友人に話したことがあります。当時は若すぎて「再現性のある、多くの人に論理でわかってもらえる創造技法」を志向していました。今もその基本スタンスは変わりません。
しかし、それだけでは、AIに端から端まで全部代替えされる未来がそう遠くない時代にくる。予想していた未来が一足飛びにやってきた感じです。
優秀なビジネスパーソンやエンジニアや研究者が「直観〜直感」をより発揮するために、何をすべきか、何かやめるべきか、を恐る恐るではありますが、石井も研究していこうと思います。
いずれにしても遠くに見える北極星はいつも同じです。
人々が本来持っている創造力を意図的にもっと発揮できるようになる、その支援を全力でしよう、と。
AIがアイデア発想法の大半を代替えしてくれるなら、その土台の上に立ってさらに高くジャンプできるように、礎(いしずえ)となろう、と。
(最近では、禅寺をたずねたり、沖縄ヨガ協会の代表の方とディスカッションしたり、今帰仁でビーチ瞑想を体験したり、と、体感としてそういうものを、まずは知っていく、という事をしています。まずはつかる、というところでしょうか。)
以上です。
AIは世界を変える。創造性の世界も例外ではありません。脅威と見る向きもありますが、私は「人機共想(人とAIが共に発想していく)」未来がさらに世界を豊かにすると考えています。これからのクリエイティブの在り方がとても楽しみです。