2024年05月20日

人は苦労するがAIは得意なこと(アイデア領域)

アイデア創出に関して人は苦手でAIは得意なこと.png

AIの進化は日々加速しており、私たちは「考える」という行為の意味が初めて変わる時代に立ち会っています。数年後には、人とAIがタッグを組んで作業を進める時代が確実に訪れるでしょう。これは、創造や想像の仕事にも大きな影響を与えることでしょう。この新しい仕事スタイルを私は「人機共想」と呼んでいます。

この未来において、人間は単純作業や機械的作業、さらには高度な機械的作業から解放されるでしょう。その時、人間はどのような”脳作業”に専念するのでしょうか。

今日、チーム内で「アイデア創出において、人が苦手でAIが得意なこと」について議論しました。私がすぐに思いついたのは3つのポイントでしたが、もっとある気がしました。そこで、AIにも意見を求め、その結果をここに共有します。

AI曰く

  1. 大量のアイデア生成: 人間は短時間で大量のアイデアを出すのが難しいが、生成AIは高速で無数のアイデアを生成できる。

  2. ランダム性の導入: 人間は無意識にパターンに従う傾向があるが、AIは完全にランダムな要素を取り入れることができる。

  3. パターン認識と新しい組み合わせ: AIは膨大なデータを迅速に分析し、新しいパターンや意外な組み合わせを見つけ出すのが得意。

  4. 広範な知識ベースの活用: AIはあらゆる分野の知識を即座にアクセスし、関連付けてアイデアを生成できる。人間は特定の知識に限定されやすい。

  5. 感情に左右されない評価: AIは感情に影響されずにアイデアを評価し、純粋に論理的な観点から最適な選択肢を提示できる。

  6. 無限のクリエイティブリソース: 人間は疲れやストレスで創造力が低下するが、AIは常に一定のパフォーマンスでクリエイティブなプロセスを続けられる。

  7. 複数の視点からの分析: AIは異なる視点やフレームワークを迅速に切り替え、多面的なアイデアの評価を行える。

  8. データの統合と解析: 人間には困難な大量のデータを統合して解析し、洞察を得るのが得意。これにより、アイデアの質を向上させる。

  9. 即時のフィードバック提供: AIは生成されたアイデアに対して即座にフィードバックを提供し、迅速な改善を促進できる。

  10. 反復的な作業の自動化: 人間が退屈に感じる反復的な作業を自動化し、創造的な時間を増やすことができる。

石井もこれに全面賛同です。

今度は逆に、「人得意、AI苦手」を聞いてみました。

AI曰く

  1. 感情と共感に基づくアイデア生成: 人間は感情や共感を基にしたアイデアを生成するのが得意ですが、AIは感情を理解し共感する能力が限られている。

  2. 文化的コンテクストの理解: 人間は文化や社会的な文脈を理解し、それに基づいたアイデアを出すのが得意。AIはこのコンテクストの深い理解が難しい。

  3. 倫理的判断の含まれるアイデア生成: 人間は倫理観に基づいてアイデアを生成できるが、AIは倫理的判断が難しい。

  4. ユーモアのあるアイデア: ユーモアは文化や文脈に依存するため、人間にとっては自然でもAIには難しい。

  5. 抽象的かつ直感的な発想: 人間の直感や抽象的な思考から生まれるアイデアはAIには再現が難しい。

  6. 多義的なアイデア生成: 人間は多義的で曖昧な状況から意図的に多様な解釈を生むことが得意。AIは明確な定義を必要とすることが多い。

  7. 個人的な経験に基づくアイデア: 人間は自分の経験や個人的な背景からアイデアを生成できるが、AIは個別の経験を持たない。

  8. 即興性のあるアイデア生成: 人間は即興的に状況に応じたクリエイティブなアイデアを生む能力があるが、AIは事前のデータに依存する。

  9. 非言語的コミュニケーションの理解: 人間は非言語的な手がかりを理解し、それに基づいてアイデアを生成できるが、AIには難しい。

  10. 個別の人間関係に基づくアイデア: 人間は特定の人との関係性を基にしたアイデアを生成できるが、AIは個々の関係性を理解するのが難しい。

AIにはそれができないのか、の厳密な判定は、私の知見量ではできませんが、この2年間のAIとの対話からの感じでは、おおむね賛同です。(ただ、即興性のあるアイデア生成とかは、AIも得意だと思いますが。)

人機共想の時代に、人側の戦略的仕事の基本指針はだいたい、こんな感じになるんじゃないのかな、と思います。アイデアの領域に関しては。

posted by 石井力重 at 23:25 | アイデアプラント 6th(2021-2023)

2024年05月05日

起業100アイデアのすすめ

これから創業する人に役立つかもしれない、創業時の思考の工夫を3つ紹介します。

❶ 起業100アイデア


「〇〇を仕事にする(あるいは、〇〇で飯を食う)」という、その〇〇がなんであれ、こう考えてみます。

100円でもいいからお金を出してくれる人(買ってくれる人)がいる〇〇のサービスや製品を考えよう】

これを、1行アイデアでいいので100個、列挙します。今はできないかもしれない案もOK。未成熟な案でいいからとにかく100個、あげてみます。

〇〇が、仮に「水泳」だったら、“百円でもいいからお客さんからお金をもらえる”サービスって、なんだろう?と考えてみます。夏の海で、5100円の水泳コーチをする、とか、30500円でお客さんを乗せた浮き輪を引っ張って泳ぎます(海の人力車、みたいな)サービス。そんなばかばかしいサービスでいいんです。


なお、「今はできない」にもいくつかありますよね。創業期の今のスキルではできない。創業期で知名度と実績がないのでできない。現代のテクノロジーではできない。まだ社会インフラが整ってなくて独自にやろうとするとコストが高すぎてできない。お客がいるのかどうか、テスト実施をしてみないとがわからないので資金投入ができない。などなど。


だけど、それを無視し、とにかく「うまく条件が整えば、だけどさ」とか「□□という流れが来たら、という仮説の話だけどさ」というのも、書き出します。

さて、100個書き出せたら今度は、選択です。

(なお実際は、100個というのは、目標であって50個でも40個でも結構です。でも、さすがに3個、4個だと少ないですね。40個ぐらいは欲しいところです。)

さて、選択には、評価軸を2つ作ります。A軸とF軸です。


A軸は、「やりたい仕事の度合い」です。「めっちゃやりたい」が10。「全然やりたくない」が1

F軸は、「仕事としての現実性の度合い」です。「やれば確実に仕事としてなりたつ」が10。「いや〜全然わからんよ、まあ、もしかしたら、可能性はあるかも」が1

さて、100個のリストを、まずはやりたい順(Aの大きい順)で並べます。

次に、Aが同点のもの(複数あるはずですが)の中で、やりやすい順(Fの大きい順)で並べます。

これで、一応の評価が終わりました。できたリストを眺めてみると、「意外と、やりたいし、いけそう(現実的にできそう)があるもんだなあ」と思えます。

めんどくさい?でも、これには、ありがたみがあります。


たくさん出して、起業アイデアのストックがたくさんあると、大胆に仕事ができます。

もし、思いついた案が一つしかなくて、それだけではじめようとすると「これにかける!」となります。「これが失敗したら、後がない!」「筋悪でもなんとかやり抜くしかない」みたいな悪い意味での不退転になりがち。そうすると、慎重になりすぎたり、顧客候補に対して、気に入ってもらおうと必死になり、そういうのは伝わり、嫌われたり、買いたたかれたりします。


顧客とは対等の関係になることをお勧めします。顧客も「この人は仕事の依頼の仕方が悪いとちゃんと言ってくれるし、できないことを頼もうとすると断ってくれる。」という信頼感がうまれます。これって、長い付き合いをするために大事です。


さて、そうして創業期の一年半(これが大事な時期)にあれこれ試していくと、結構短い時間で、「実際はどれが仕事になるのか」が分かってきます。


創業から3年で伸びるビジネスアイデアが大体定まります。(上から4個ぐらいはトライして、お蔵入りになり)、残り95個ぐらいはやらないまま。それでいいんです。これも無駄じゃない。


10年たったとき、あるいはもっと前に「この道でやれることはやりつくして、もう手を抜いても成果が出せて、なんか、マンネリだなあ」という幸せな退屈にたどり着いたときには、リストを眺めてください。そうすると、「あ、昔は、実績がなくてできなったこのコンサル事業、いまなら、いけそうだな。」とか「前はあまりやりたいと思えなかった案だけど、今の俺にはかなり魅力的。ちょっと開発投資してやってみるか」といった気持ちになるものが結構あります。


❷ “平均のチョイ上”でいいThinking


創業する人は、自分でハードルを爆上げしがちです。「その道の専門家であって、すべてを最高の成果でこたえられるようにしなくてはいけない。それができるようになるまで、仕事ができな」と。ストイックな性格の人とか、上質のサービスをたくさん利用してきた人は、そう考えます。

ですが、世の中には、能力的に49とか50の人が、55ぐらいの仕事を「自分でやると時間がかかるので、誰かに外注したいな〜」という薄いニーズがあります。自分の能力が56であればそれにこたえられます。薄いニーズなので一案件ではそんなに高い報酬はもらえませんが、何とか工夫をして、たくさんの人に手間なくサービスを提供できれば、「小利益×多数の売り上げ」で、食えるだけの事業になります。


仕事の品質が低いものを世の中に出していくのは哲学に反する、という声もあるでしょうけれど、その期間は比較的短いでしょう。実績を積むと、いろんなことを学び、発見し、どんどん独自のノウハウやスキルがたまります。


そうして、65のニーズにこたえられる。70に。75に。と上がっていきます。50の人が75の仕事を外注したいときには予算がそれなりにあります。先ほどの掛け算はだんだんと、「結構高い価格×それなりの案件数」になり、その先には「かなり高い価格×厳選された案件」という専門サービスへの道があります。


まとめますと、最初にハードルを上げて、一歩も進めない人は、「世の中の平均のチョイ上の能力があれば、それで飯は食える」と意識をかえてください。きっと100個書き出すのも、難しくなくなるはずです。


❸ “好きなこと”ד得意なこと”でさらにブースト


好きなことと、得意なことの両方を兼ね備えた事業で起業することを、おすすめします。

好きなことは、力が出せます。得意なことは、早く完遂できます。この、「早くできる」というのは、仕事をするうえで、非常にありがたい能力なんです。ライバルは10の時間がかかるところを、8の時間で終えられる。余った時間は、プラスアルファのサービスを載せてもいいし、早く帰って自分のスキルを上げるための勉強をするのも武器が増えていいでしょう。

(さらにいうと、時間の余白があると、心の余白ができ、空いた時間で人にやさしくできます。人を大事にする組織にするには、トップがいつもいっぱいいっぱいではなく、「なにか困っていることない?一緒に考えよう」と手を貸せます。律をもって運営するより、徳をもって運営するほうが、社員のマインドが明るいですよね)


さて、「自分が得意なことを思いつけない」と思った方は、大丈夫です。人間、何かしら、いびつです。へっこみもあればその分出っ張っているところがある。すべてが平均という人間は存在しません。なので、必ず、(へっこんでいることの代償として)出っ張っているものです。

で、これが面白いところなのですが、「こんなこと、簡単にできるので、他の人もきっと簡単にできるんだろうなあ」と人は思ってしまうものです。多くの人は、本人が秀でているところは「誰でもできる、普通のこと」ととらえて生きています。

だから、そういう人は、「51でいい。世の中の平均の人より、ちょっとでも秀でているなら、得意なことに入れていい」と考えてみると、そういうものも、把握できるようになります。

周りの人10人に「私が他の人よりも、楽にこなしていることって何がありますか」と聞いてみるのもいいでしょう。意外な答えが返ってきます。

おうおうにして、それは、自分が好きなこと、とは、違っています。「別にそれ、足りたいことじゃないなあ」と、面白くない気持ちで相手の言葉を聞くでしょう。でも、捨てるのは待ってください。メモしておいてください。「得意なことリスト」として、持っておくんです。


この「得意なこと」と、「好きなこと」を組み合わせてビジネスアイデアを作れないか、と考えてみるんです。そんなの、全然わからない、という感じもしますが、ほんとにばかばかしいことでも、無茶なことでもいいから考える。そうすると、ビジネスアイデアを考えるときに、ほかのライバルよりもうまくいくだろう勝ち筋が見えてきます。


たとえば、好きなもの「旅」で、得意なものが「絵を描く」だったら、発想しやすいですよね。旅先で出会った風景を描いて、オンラインで販売する、とか。もっと難しいケースも考えてみましょう。好きなものは「旅」、得意なものが「会議の進行がうまい(ファシリテーションの資質がある)」だったら?・・・これは悩みます。旅をサービスにして100円でも貰おう、という❶の考え方にのっとって色々出せたとして、そこに、「ファシリテーション能力」って関係なさ過ぎて。ここでばかげた未成熟な思い付きも言葉にしてしまいます。このお題も今考えたばかりなんですが、思い付きの例として、いま熟考なしに思いつくそのままに書き出してみます。・・・そうですね・・・「旅する会議室」なんていうのが思い浮かびます。会議メンバーがサルーンカーのようなものに乗っているイメージです、そこでファシリテーションをする本人がいて、会議がいつもと違った発想や展開になっていく、、、そんなサービスを提供していそうです。これが意味を持つアイデアになるならどういう風になるか、と、考えてみます。


「合宿会議ファシリテーションサービス」

いつもと違う環境で事業展開について深く議論していく合宿です。会議のできる共有エリア付きの一棟貸し切りの宿プラス、ディスカッションを進行してくれるファシリテーターがついています。議論のお題の設定も皆でできるように助けます。話したことは基本的に発言者各々が付箋に書き留めますが、オプションサービスとして、議論を要約しながら書き留める書記やグラフィカルに描き出す「グラレコ」もあります(事前予約制)

・・・という感じならどうでしょうか。個人的にあったら使ってみたいなあ、という感じにした他てみました。好きなことが旅、ということですが、旅の要素はあまりサービスの前面には出していませんが、この事業をすると、旅行会社のツアーコンダクターのように全国各地にいけるでしょう。


単に「〇〇がすき」だけから考え出すビジネスアイデアよりも、だいぶお金の入ってくるイメージができるものになります。



以上、3つの考え方を紹介しました。


❶ 起業100アイデア

❷ “平均のチョイ上”でいいThinking

❸ “好きなこと”ד得意なこと”でさらにブースト


会社で副業制度ができたので副業をしてみよう、という方や、定年や早期退職制度をつかってこの先は自分で仕事をしてみよう、という方にとって、こうした考え方がなにかお役に立てば幸いです。


100ideas.png


タグ:アイデア



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