2024年12月23日

「仁」と「黒字」は車の両輪

創業16年目であるので、時々「アイデア、創造性の先生」としてではなく「長い年月の創業事業をしてきた経営者」として、質問を受けることがあります。創業したいけど食っていけるか不安です、どうやってここまで来たんですか、という質問は割とよく聞かれます。(なにせ、アイデアの仕事、というふわふわしたことやってるわけで、どうやって食ってきたんだ、と。)

私の答えは、とてもシンプル。『人への愛がある人は、くいっぱぐれない。』それをもう少しちゃんと説明してみました。



仁を守り、黒字を築く

創業する人にアドバイスを求められると、私は「仁」を持つことを勧めます。
「仁」とは、『論語』に出てくる徳の一つで、「人を愛すること」を意味します。人を愛し、社会を愛し、世界をより良くしよう。そのための装置として事業を位置付ける――そんなスタンスを持つ人は、不思議なことに、どんなに難しそうな事業計画でも食いっぱぐれることがありません。

ビジネスで大成功を収めるには、才能と如才なさが必要です。しかし、不撓不屈で事業を続けていくためには、信念と多くの人々(お客や助っ人)が欠かせません。「仁」で始まる事業は、人を出し抜いたり短期で高収益を得る成長路線には向きませんが、適正な利益をきちんと積み重ね、盤石な成長を実現します。長い時間が経ったとき、しっかりした土台の上に、はるかに高い地点まで到達できるのです。建物が高く積めるのは、基盤が良いからこそ。

もちろん、「儲かる方法」を教えるのはとても難しい。そうしたことは、大儲けを目指す人が自ら切り開いていくしかありません。しかし、「やりたいことを全力で取り組み、食うに足る分あればいい」という生き方を目指す人には、この考え方が役立つはずです。

「好きを仕事にして、飢える心配がない」。この生き方は、「仁」という心のスタンスで始まり、途中で指針を変えることなく一貫して続けられます。そして、遠い未来、事業が人生とともに「ピンピンコロリ」で終わる――そんな理想的な結末を迎えられるでしょう。

特に、定年後に小さな事業を始めようとする人にとっても、このアプローチは有効です。利潤追求に苦手意識を抱え、中途半端にコンサルを頼んで「なんか違和感があるな」と感じながら進めた結果、失敗してしまうよりも、「仁」を基礎に据え、自分の好きで得意なことを土台として積み上げる方が、長くやりたいことを仕事にできるでしょう。

ただし、「仁」を持つ人がやりがちな「ただでいいよ」という必殺技には、注意が必要です。まだ見ぬ「未来の顧客」にもきちんとしたサービスを将来提供するためには、案件単位で赤字にしないことが大切です。材料費や交通費、機器の損耗、地代や税金、さらには自分自身の給与も含めて、適切な対価をいただく必要があります。

一見、「仁」と相いれないように感じるかもしれませんが、本当に人を愛し、社会を愛し、世界を良くしたいと願うのであれば、案件ごとに黒字で終えることが使命を果たすための条件です。もし赤字を出してしまうと、もともと資金なんて薄い気楽な事業では、すぐに続けられなくなってしまいます。そして、それを繰り返せば、いくら志があっても事業を続けることはできません。これでは、まだ見ぬ「未来の顧客」があなたのサービスや商品を必要としても、それを届けられない結果になります。使命を果たし続けるためにも、黒字であること――「仁」と「黒字」は車の両輪です。

タグ: 黒字
posted by 石井力重 at 23:01 | 日記、価値観、仙台オススメ

2024年12月20日

最近の雑感「賛否両論でイノベーションは進む」

技術はリスクと恩恵を生む。

この種の原始的事例は「火の技術」だ。「火が暴れたらどうするんだ?」「昔通りでやれるのになぜ火の力に頼る?」「火を閉じ込めて動力を引き出すなんて無茶だ。」

そして今も稀有な「期を画する」時代に我々はいる。賛否両論がぶつかりイノベーションは一層進む。

(ここまでの18か月間を振り返っての雑感でした)

2024年12月11日

師走のアイデアワークショップを開催しました!

12月8日、ファイブブリッジで開催されたアイデアワークショップに、多種多様なバックグラウンドを持つ10名の参加者が集まりました。ビジネスパーソンから大学生まで、幅広い層の方々が参加し、会場は活気にあふれていました。

会場のファイブブリッジは創造性を刺激する雰囲気に満ちていました。

ワークショップ内容の紹介

今回のワークショップでは、以下のメニューを通じて創造性を引き出し、実践的なアイデアを発想する機会を提供しました。

1. 直感チャレンジカード

ランダムに引いた「状況カード」と「チャレンジカード」を組み合わせて課題解決のアイデアを発想。創造性の準備運動としても活用できるこのミニワークは、参加者の思考を一気に柔軟にしました。

2. IF60 + How40

50種類の日用品を題材にしたカードを使い、新しい商品アイデアを考案。利便性や実現可能性を考慮し、具体的かつ実行可能なアイデアを構築しました。

3. HUMA

「つまらない」と感じるアイデアを、楽しさや感動を加えることで魅力的にする方法を学ぶセッション。グループディスカッションを通じて、創造性を高める実践的な思考法を体験しました。

4. 「じぶんの発想法」を作る

AIが思考を支援する時代だからこそ、「人間ならではの感性や直感に基づいた発想スキル」を基にした発想スキルの重要性を学びました。参加者は自身のアイデア発想法を作り、それをAIを活用して発展させる方法も試しました。

盛り上がりを見せた「投資家・起業家アイデアワーク」

ワークショップの最後には、「投資家と起業家」というユニークなテーマでゲームを実施。一人が投資家役、他の参加者が起業家役となり、各自が90秒で考えたアイデアをプレゼンテーションしました。投資家が最も投資したいと思うアイデアが選ばれる仕組みで、参加者の熱い議論と笑い声が絶えませんでした。

多様な視点が生み出すアイデアの魅力

参加者のバックグラウンドが多様だったこともあり、提案されたアイデアは驚くほど多彩で独創的なものばかりでした。「こういった視点があったのか!」と驚きと発見の連続で、参加者同士の交流も非常に活発でした。

ファイブブリッジの扉はいつも、羽よりも軽い

今回のワークショップが開催されたファイブブリッジは、多様な活動やセミナーが日々展開されるクリエイティブな空間です。参加者同士の交流を深め、アイデアを生み出す場所として、ぜひ足を運んでみてください。理事長の畠山さんをはじめ、温かい雰囲気で皆さんを歓迎してくれることでしょう。次はあなたのアイデアが、この場所で羽ばたく番かもしれません。

若いころから、地域社会をよくするいろんな活動をしてきた畠山さん(中央)



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