アルコール・ブレスト会議、紙面(カンパネラ)が定期的に更新されています。
今回のテーマは
というもの。
ビアガーデンは雨の日は中止になる。みんなで楽しみにしていたのに楽しめない。これが普通の考えなのですが、雨の日でも楽しめるビアガーデンって無いだろうか、というテーマでブレストに取り組みました。
従来の、昼の、会議室の、ネクタイ締めたままでの会議なら、「うーん、、、そうはいっても難しいねぇ・・・。そんな良いアイデアがあったらきっとすでにどこかでやっているだろうし・・・。 ・・・。 (そして沈黙へ)」となりそうな難しいテーマです。
さてAB会議では、どうなったか、というと、1ページ目と2ページ目、気軽な雑談交じりにトークが展開しはじめていきます。
次第に、おおこれは!と思うような、魅力的なアイデアも展開されていきます。昼の会議と違うところは、他の人のアイデアを便乗的に発展させる発言パターンが増えていくことです。これがもたらすのは、最初に提示される未成熟なアイデア、皆でそれがもつ可能性を短時間で引き出していく、そんな集団の創造力の発現です。
そうして魅力的なアイデアがでて、まとめに入ります。
この3ページ目の、皆さんのコメント部分を引用します。
ほろ酔いレベル?のアルコール・ブレスト体験は終了。みんなが感じた前回のアルコール無しのブレストと今回のアルコール有りブレストの違い、感想は?
仲:みんなに楽しいことを感じてもらおうというテーマや内容の場合、アイデアを出すときにはやっぱり飲んでいる方がいい。飛んだ楽しい発想が出てくるんやなあと。お酒を飲むと、「そうっすね」みたいな砕けた会話になりますね。
木原:今日はブレストをはじめる前に他人の意見を否定しないというルールがあったので意識しながらできました。でも、会議室でやると、自分より若い人の意見を「いや、でもおまえさあ」っていう入り方になってしまう。ビアホールのような場所でやると、本当にさっくばらんに意見が出るし、場所や空間も要素としては大きいのかなと思いました。
松生:入社前の最終面接で、アサヒビールに入ってやりたいことは? と聞かれたときに、「世の中の会議が飲みながら、みんなざっくばらんに話せる “飲ミーティング”をやったほうがいいと思います」と言う話をしたんです。今回まさにこれだなと思いました。お酒を交えながら話すほうが、若い人にとっては一層意見を出しやすい環境になると思います。
藤井:うちの会社は人と人が仲がいいなという印象があるけど、それは一緒に飲む機会が多いから親密な雰囲気になるからだと思うんです。今回もお酒を飲んで親密な雰囲気になって、もっとあなたのことを知りたいという気持ちで人の意見を聞くからよく聞くし、自分の意見も知ってほしいという気持ちになれたんだと思うんです。
松田:営業現場にいるとあまりブレストはなく、報告事項を追って、チームとして何をしないといけないということが前提の会議が多いんです。そこから生まれるものは伝達でしかないんです。今回は、一方的な話じゃなくて、会話の中でこういう考えもあるし、こういう考えもあると繰り返していくことによって磨かれる部分が非常に大きい。「これを言っても大丈夫かな」という雰囲気になるのはお酒の利点なのかなと思いました。
石井:そうですね。普段はいろいろなことを考えて口もだんだん重くなります。でも、飲んでいるときは頭のCPUが速く回転してないから安心して言えるというところもありますよね。
「砕けた会話」「意見が言いやすい」「飛んだ楽しい発想」というコメントが皆さんのコメントの中に見られます。
ビールが入ったことで、そういうものが出しやすくなる、と言う点は、誰もがなんとなく経験している印象があるでしょうけれど、今回のように、20分ぐらいの中で自分達の行動を振り返ってみると、やはり被験者(AB会議の参加メンバー)はそう明確に感じている、ということがわかります。
ブレストの4つの阻害要因、というものがあります。そのひとつに「評価懸念」というものがあります。これは「そんなことを言ったら馬鹿だと思われるんじゃないか。相手が何を考えているか分からないから、未成熟な案は言いにくい。」と感じている心があり、それが、アイデア創出を阻害している要因のひとつになっています。
私自身のコメントにありますが、アルコールが入ると、頭の回転は通常よりも遅くなります。特に、判断力の部分は。なので、「相手がどう思っているか、を気にする思考力」も「相手が言ったことの未成熟なところから懸念点が思わず思い浮かんでしまう思考力」も散漫になります。ブレストの阻害要因のひとつが緩和された状態になるわけです。そうして、生成された初期的なアイデアを制限なしに表出化させていくことがしやすくなります。
その辺の観察を、当時、私は、次のように言及しています。
最後にファシリテータの石井氏から総評。2回のブレストでわかったことは。
石井:カードに書いたアイデアの枚数、ひとつの文字量はアルコール無しの場合のほうが圧倒的に多かった。しかし、アルコール有りの場合は、コンセプトにふかくくいこんだアイデアが多かった。数だけでは計り知れない。みんなが乗りあえるテーマということも含めて、アルコール・ブレストの価値だと思います。アルコールが入ると、曖昧なものを曖昧なまま受け取って会話のキャッチボールができる。これは、アルコール・ブレストの効能ですね。
この時点では、皆さんほろ酔いをキープするぐらいの量で飲んでいます。石井もそうです。ほろ酔いの酒量が人によって違いますが、記憶では確か、石井の場合は、3杯ぐらい、皆さんもたぶんその前後ぐらいだったかと思います。(私は、最初の3杯目までを飲むペースがすごく速いようです。その後はスローペースになるのですが。)
人によってはほろ酔いは、ジョッキ半分、だったり、一杯ちょっと、だったり、するとおもいます。自分がほろ酔いになる酒量を知っておくと、こういうアルコール・ブレストのときは便利でしょう。
また、記事の後半に出るかもしれないことなので、後半側の記事に詳しくは譲りたいと思いますが、AB会議に最適な時間の長さ、というものもあるのではないか、と、この経験で心に浮かび始めています。
AB会議の効果を最大限に引き出すための工夫。シリーズの中盤〜後半にご期待ください。