2015年02月01日

コラム「発想法は、いつ使う?」

講義&ワークショップ中にコメントすると、多くの人が腑に落ちた、という顔をされるコメントがあります。今日はそれを紹介します。


【1】

「発想法、これをいつ使うのか?

 いきなり使う?

 それも、ありといえばありですが、お勧めは違います。

 アイデア発想技法というのは、いわば「型」がある思考展開です。
 頭が、自然にアイデアを沢山想起させてくる段階では、「型」は制約になります。不自由でやりにくい。

 そういう段階では、まず、徒手空拳に、型もなにもなしに、バーっと、発想していけばいいんです。

 そして、”発想し尽くしたよ・もう出ない”という時点がきます。

 発想力の得意な人、不得意な人、いろいろいますが、いずれにしても、5個なり、20個なり、人によっては100個なり、
 アイデアを発想して、「出し尽くした地点」があるわけです。

 で、創造的な努力が始まるわけです。頭の中で。概念要素の順当な組み合わせの、その先に行こうとする。
 でも、なかなか出ない。

 そういう段階になってから、やおら、発想法を使うんです。
 そうすると、驚くことに、出し尽くした、、、と思っていたところに、アイデアが出ます。結構、でる。

 その辺に入ってくると、頭の中のアイデアメーション(インフォメーションにアイデアの衣をまとわせただけのもの)を
 はるかに振り切った地点のアイデアなので、苦し紛れのアイデア、奇妙な、整合性のない像の想起だったりしますが、
 それでも出していくんです。

 そうして、出していくとその中には、”出し尽くしの先”という
 創造性のおいしいゾーンでの、あなたしか思いつけないモノが出てきたりもします。

 ・・・。

 講義では、アイデア発想技法は、紹介するなり、いきなり実践(演習)、という流れで使いますので、
 職場でアイデアがいる会議の時にも「発想する作業の頭っから使おう」となりがちですが、
 そうじゃあないんです。出し尽くしてみんな撃沈。でも、まだ、足りない。・・・そんな風になって初めて使うと
 技法と言うのはありがたいし、その先に歩いていけるわけです。

 人はスイスイ動けるときには、型を与えられるのは、かたっくるしさ、もたもた、を感じてストレスです。

 はじめは自由に。それで出し切る。
 で、その先に進んでもらおうとなったら、手法を使ってみる。
 考える方途がない時期だと、技法と言うのは、よすがになって先に進ませてくれる。

 そんな風に、使ってみてください。」

と。

【2】

たとえば、アイデア発想法でもっとも汎用性が高く、知名度が高いのはSCAMPER(あるいは、オズボーンのチェックリスト)です。これは、古くはE.P.トーランスの文献にも原型がみられるので、オズボーンのリストというのは、うーん、、まぁ、、、と思わなくもないのですが、とにかく、「発想のときの具体的な7~9つの問い」があります。「くっつけてみたら?削ってみた?逆にしてみたら?形を変えてみたら?」などなど。

こういう手法をいきなり使うのも、悪くないし、石井の書いた本もふくめて、そういう手法は、解説⇒使うとこうなる、という「すぐ使う」な感じに書いてあります。

でも、実際は会議でいきなりそれを使うのはきつかったりする。

ファシリテータあるいは議長として引っ張っているときに、
「じゃあ、今日は、このテーマでアイデアを出してください」という時には
はじめは、すいすい、アイデアが表出化しそうなテーマの時には、
場の流れに任せてたくさんだしてもらいます。

で、沈黙の30秒が出現するぐらいまできたら、

「じゃあ、ちょっとだけ、アイデア発想を助ける道具(=手法)を使ってみましょう」

といって、SCAMPERなりを投入します。

ここで説明が長たらしいと、場の流れや思考なかで進む醸成を壊してしまうので
きわめて、簡単に

「例えば、こういう、問いかけのリストがあります。
 ((⇒SCAMPERのリストを、スライドに投影))
 自分の心に、アピールするものがないか探してみてください。

 すぐにアイデアを引き出してくれなくても、
 ”なんか、これ気になるぞ”、というのがあれば
 しばらく耳を済ませて
 心の中でもやもや立ち上がるイメージを見てみてください。」

と説明します。大体、わたしはこれを、10秒で話します。
間も取りつつ、コンパクトにしゃべる。

そうすると、結構そこからアイデアが生み出されたりもします。


【3】

で、発言はしない誰かの表情に、アイデアが浮かんではまた沈んでいくような
そんな感じが、見て取れたら、言います。

「アイデアとして不完全な状態でも良いので、思いつくことがあれば
 教えてください。
 わたし(ファシリテータ)も、それをひっぱり出すのを助けます。」

と。

ファシリテータは、意見をはさまない、というのが、基本ではありますが
アイデア創出のプロセスにおいて、それを「促進する(ファシリテートする)」ことは
役目として、ありです。

イマジネーション・フィールドの上で、結像しかかっているアイデアの鼻っ面を
彼と一緒になって、思考の海の中から引き出していく、そんな感じです。

彼の想起する立ち居地に一緒に立ってみる。
 ↓
そこで見えるものを一緒に見る。
 ↓
その部分的な表出したなにかの良い点を探して、言葉にしてみる。
 ↓
そうすると、それがフックとなって、よいしょっと、思考の海の中から
残りの下側も引き上げられる。

ときどき、フックをさす位置をまちがえてしまって、
うまく引き上げられなかったり、奇妙な姿でひきあげちゃったりもしますが、
それはそれでいいんです。

そういうときは、プレイバック。
 ↓
さっきの出始めの像にもどって、そこに別の光を当てる。別のフックを付けてあげる。
 ↓
それで、別バージョンのアイデア表出化を、二人で、する。

そんな感じに手伝ってあげるんです。

【4】

このコラムのタイトルに書いた「発想法は、いつ使う?」について述べるには【1】だけでいいんですが、書いているうちに、余談として【2】とさらに、一歩進んだ【3】も、口が滑って出てきましたので、そのままつづりました。

とくに、【3】のところは、アイデアソン、アイデアワークショップのファシリテータとして動くときには、とても役に立つイメージです。

もっというなら、自分自身が出したアイデアにたいして、別の時間の自分がファシリテータとして寄り添うことで、手伝ってあげることもできます。ちょっと面倒ですけれどね。いったん忘れる(寝かせる)、という時間が必要ですから。



posted by 石井力重 at 09:31 | アイデアの技法



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