<<ワーク設計のメモ。そのうち消すかもしれません。>>
前のエントリーに対して、私の中で行っているアイデアワークショップの設計の思考展開をここに綴ってみます。
子ども、と、食、と言われて、すぐに何か便利なガジェットが思い浮かぶ人もいれば、ぜんぜん何も浮かんでこない人もいるでしょう。
日々、子どもと一緒の食事をする状況にある人もいれば、子どもに接点のない人もいて、それがずいぶん違いになるでしょう。
ただ、対象との距離が近い人は、クローズアップ効果でアプローチが具体で狭く固定的になる側面もありますので、門外漢の方がいることも良い効果があります。
子どもに接点がない、という人にとって、アイデアソンの中の短い時間で、これだという輝きを感じられるような、発想の材料を作ることは、はたして、できるのでしょうか?
今回のシチュエーションは、創造工学的に見えれば、クリエイティブジャンプの大きなものが必要という発想シーンではありませんで、どちらかといえば、自身の中にある大量のアイデア素材を掘り出してきて、明示的に検討できるように、思考作業のテーブルにざららっと、吐き出すことを最初にやるとよいシチュエーションです。
(逆に、このケースとは遠いケースでは、クリエイティブジャンプが必要で、そのための技法を投入することもあります。この違いは何かといえば、日々、そのテーマに対して何度も有意識的に考えていて、取り組みもしている。でも閉塞していて新しい考えが浮かんでこない。そういう状況であることが、違いです。例えば企業の中で特定の製品の開発をしているチームなどには、クリエイティブ・ジャンプの大きなものが求められていて、そういう場合は、直観力や回遊的に遠くまで飛ばしていくようなメソッドを使います。)
さて、具体的にはどういうワークコンテンツを組む? ・・・という段で、次のような、ラフスケッチが浮かびはじめます。
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1) ━(事前:0分)━
参加者は募集段階でテーマとテーマ文章をみる。これだ!と思うアイデアが浮かんでいる人も少しいる。仲間とともに刺激しあって面白いものがあれば、それを開発してみようと、という人もかなりいる。
2)━(15分)━
持ってきた人にとっては、アイデアをしっかり説明したい。刺激しあいたい人は、他の人のアイデアを醸成の刺激に使いたい。なのでチームでのアイデアピッチ(3分インターバルぐらい)があるとよい。
3)━(35+10分)━
こども、と、食は、原体験を誰しもが持っているので、着想の醸成は進行している。それらに明確な輪郭線を与えるため、一人Thinkingタイムを取る。What(何を叶える)とHow(それを、どうやって具現化する)を検討。
3-a)
Whatだけでもよい、とする。
3-b)
Whatを考える切り口を、簡単なツールにして渡す。
- 明確な課題を挙げていき、それに対するうち手を考案する方式。
この場合は、課題を発見するツールが要る。
広い観点で課題を発見するには「6観点リスト」を。 - 課題から、アイデアを明示的に考え出すには「属性分析」を。
理想状態を描き出して、徐々に現実方向に引きもどし、可能な線を考案する方式。
この場合は「理想解」がよい。
3-c)
Howは、チームにいるテクノロジストの具現化能力に沿ったものがいい。
最初はそれはメンバーが深く理解していないので、想定で描いてよいとする。
描かれたHowは自由に入れ替えて、アイデアPivotをすることを皆賛同しておく。
チームメンバは「自分であれば、こういう風に(この具現化方法でなら)できるかもしれない)」を逐次提案しあうことを前提ルールに。
3-d)
アイデアスケッチを描く。
アイデアスケッチを描く。
Iamas式のものを描く。
絵の描けない人は、IDEAPLANT式のもの、あり。
<休憩10分>
4) ━(15+10+45分)━
アイデアを共有し、諸案の潜在的な可能性を引き出す。具体的には、チーム内での、各案の発表(3分インターバル)、および、3タイプ・シールVoteを行う。
アイデアを共有し、諸案の潜在的な可能性を引き出す。具体的には、チーム内での、各案の発表(3分インターバル)、および、3タイプ・シールVoteを行う。
4-a)
プレゼン時間は、ファシリによるタイマーがよい。時間が余った人のところはその案の魅力について話をしておく。
プレゼン時間は、ファシリによるタイマーがよい。時間が余った人のところはその案の魅力について話をしておく。
4-b)
全員の発表の後は、案を材料にさらに可能性を引き出していくブレストをするが、その前準備としてシールVoteをする。
全員の発表の後は、案を材料にさらに可能性を引き出していくブレストをするが、その前準備としてシールVoteをする。
- 赤シール「これはWhatが魅力的!」
(※その魅力は、後でしゃべる) - 青シール「自分のスキルで(そのまま、もしくは、別のHowに変えれば)作れそう」
(※魅力的であるかどうかは別にして考えてよい) - 緑シール「赤と青の切り口以外で、特にコメントしたいアイデア」
(※赤や緑のシールの切り口には当てはまらないが、特にコメントしたいことがあるアイデアである)
4-c)
じっくりチームでアイデアの吟味。
じっくりチームでアイデアの吟味。
ブレストという発散オンリーの縛りはしない。アイデアの改良には指摘もいるがのでそれも否定コメントも許容する。
シールは、アイデアを吟味する際の手がかりにする。
場のルールは1つだけ。シールを貼った人のコメントをすべて聞くこと。(それだけは途中で口を挟まないで聞く。)
場のルールは1つだけ。シールを貼った人のコメントをすべて聞くこと。(それだけは途中で口を挟まないで聞く。)
<休憩10分>
5)━(15分)━
アイデアMapping
アイデアMapping
アイデアスケッチを「A:魅力」と「F:フィット」の二軸上に並べる。
アイデアのPivotすれば、軸上のポジションが上がるものは、
ポストイットで「案3’(案3を◎◎方向に変えたもの)」のように、
別バージョンのアイデアとして記して、おいておく。
6)━(30分)━
意思決定。
どれを作りたいかを、話し合って決める。
意思決定。
どれを作りたいかを、話し合って決める。
6-a)
話し合いで決まればそれでよい。
話し合いで決まればそれでよい。
ただし、複数の案を足して割ったようなものは上手くいかない。カレーとお汁粉のレシピを混ぜたレシピは単独よりもずっと悪くなる。
6-b)
話し合いで決まりにくい時には、意思決定のために重視したい評価軸をそれぞれが提示しあう。
話し合いで決まりにくい時には、意思決定のために重視したい評価軸をそれぞれが提示しあう。
なぜそれの軸を重視したいのかをつまびらかにする。
チームで重視したい評価軸として上位3つを、議論して決める。(軸のプライオリティもつける)
6-c)
合意形成した3軸を用いて、諸案を評価する。
合意形成した3軸を用いて、諸案を評価する。
のとき、3軸に対して最も平均的な案と思われるものを、5にし、基準と相対比較して点数をつけていく。
プライオリティが高い軸でダントツで高いものがあれば、それを選定する。
複数が高い群に入るならば、二つ目の軸の評価も行う。さらに優劣がつけにくい時には、3軸目も使う。
<<以上合計、ちょうど3時間>>
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さて、こんな感じで、アイデア創出から選定までを、ざっと組んでみました。
さて、こんな感じで、アイデア創出から選定までを、ざっと組んでみました。
とはいえ、アイデアワークの時間は、3時間なので、これでは、プロセスが長すぎます。(アイデアワークは7割設計でなければならない。)コンパクトな作業で本質をもっと、ぎゅっと。
これからもっと洗練させていかなくてはいけない、という思考を残ししつつ、草案第一稿としては、こんな感じに書きあがりました。
このメモまでの作業としては、無意識の作業と、書き出しの作業がります。
案件の始まる前にも軽い打ち合わせもして、今日までもずっと考えてきています。
それをいま、文章にして書き出すのにかかった時間がだいたい4時間ぐらい。
ワークの作業時間とほぼ同じ時間を費やしてワーク・プロセスを書き出す。
そういうことを、アイデアワークショップの設計では、いつもしています。
ここから全く別の形になることもあります。
運営チームの方々と、この先も議論して、形を作っていきますので。
当日、どういう形になっているか、全く違ったものになっているのかもしれませんし、ほぼこのままの実施かもしれません。その辺、一か月後のイベントをぜひ楽しみにしていてください。