2015年11月09日

〔道理にかなっている批判〕と〔思い付きの批判〕と、もう一つ。

創造的挑戦の所有者たちにむけた応援メッセージとして、今日は綴ります。

批判というものは、創造のためのスパイスであり、正しく利用しなければなりません。
そこで、批判をなんでもすぐに創造的思索の囲いの中にとりこむことなく、「門番」を置いてほしいのです。

そんな話を書きます。
  

創造的精神と批判的精神は大事なものです。
両方がつよくなければ、優れたものを生み出せません。

しかし、同時に使うと折り合いが悪く、早すぎる判断力の使用は、優れた可能性すらも、枯らせてしまいます。

自分の中に沸く批判でもその対処は難しいものですが、他者が投げかけてくる批判というは、さらに強い力をもち、影響してきます。


批判にも二種類があります。〔道理にかなっている批判〕〔思い付きの批判〕です。

(「道理にかなっている」は「筋の通った批判」という表現もありえるでしょう。辞書的には、同等ですから。)

当人以外の万人は、自分の創造的挑戦のオーナーではありません。

そうした人々の中でも、当人のためを考えて熟慮できる暖かい心とその挑戦に対する経験と知識を十分にもった人だけが、優れた批判を提供することができる可能性を持っています。

大学院のゼミなどで優秀な先人(教授など)が、熟慮された批判というものを、繰り出してくれた機会のある人は分かるでしょう。本当の良い批判というものを。

大辞泉を引くと、【批判】は、次の3つになっています。
  1. 物事に検討を加えて、判定・評価すること。「事の適否を―する」「―力を養う」
  2. 人の言動・仕事などの誤りや欠点を指摘し、正すべきであるとして論じること。「周囲の―を受ける」「政府を―する」
  3. 哲学で、認識・学説の基盤を原理的に研究し、その成立する条件などを明らかにすること。
本来、批判というのは、〔道理にかなっている批判〕でなくてはなりません。

〔思い付きの批判〕というのは、ぎりぎり甘めの判定にみて「項目2」をかすめている、といったところです。

批判=〔道理にかなっている批判〕、なのだとしたら
??=〔思い付きの批判〕なのでしょう。

大辞泉でそれらしい言葉を引くと、

【批難】=人の欠点や過失などを取り上げて責めること

が、隣接概念として浮かびます。

批判の項目2、と、批難、は、似ていますが「指摘し、正すべきであるとして論じる」vs「取り上げて責める」という点が違うことが分かります。

ここからわかるのは、その「欠点を言ってくれる人」との熟議により「正すべきもの」を見出せるか、どうか、が肝であること。

筋の通った批判、からは、それが展開できます。
発展の材料になるコメント、という性格も持っています。

思い付きの批判、からは、それは展開できません。
迷いの材料になるコメント、という性格も持っています。

批難、からは、それは展開できません。
消耗の材料になるコメント、という性格も持っています。


さて、石井の考えを一歩踏み込んで書きます。

あなたが創造的挑戦のオーナーであるならば、〔道理にかなっている批判〕をする人が周りに必ず現れてくれます。その人は、あなたを愛してくれている人でしょう。友人だったり師事するひとだったり。その人の批判からは熟議をして正すべきものを見出す、ということをするとよいでしょう。熟議といっても激論とかはしなくていいでしょうけれど、「なぜ?」「改善の手がかりは?」ということを共に紡ぎだせるはずです。

思い付きの批判、および、批難、については、「創造的思索な心の営み」の入口に「門番」を立たせておいて、入場まかりならん、と、ガードさせるべきです。

しかし、〔思い付きの批判〕については、うっすらとした可能性を気づいて教えてくれているシグナルが含まれていることもあります。それは捨ててよいのでしょうか。

私はこう考えます。それが時を経て発酵して中から良いものが出てくることもきっとあろう。しかし、それは今は食べられない渋柿。しばらく、門番エリアにおいて、天日にさらしておく。そのうち、いいものが香ってくるかもしれない。それまではほおっておく、と。中にはなにもでてこないものもある。(こっちが多い)

創造的思索の囲いの中に、挑戦の速度や感性のエッジを鈍らせるようなものを入れない方がいい。挑戦はサイクルを小さく早く回して、具体的に間違って発展するもの。そのサイクルの速度を迷いが下げるようならば挑戦の妨げです。

自分が、度量がむちゃくちゃでかい、という人は、重たい荷物も抱えたまま、創造と批判の乱気流の中を飛翔できるでしょう。そういう人は、いいんです。どうやっても行ける。

しかし、多くのわれわれ普通の人々が、まだ若く非力な想像の翼で高く舞い上がるときには、重たい荷物は少ないほうがいい。
そういう時には、迷いとなるものは、ひとまず、門番預かりで、いいじゃないですか。

・・・以上、石井の考えでした。

創造工学において、批判を思いっきり使うプロセスがあります。PPCOのCフェーズです。そこでは、思い付きの批判も大量生成をするわけですが、全部をそのあとのフェーズに持ち込みません。思い付きの批判はより到達点の高い批判の創出のための踏み台として、役目を終えて次のフェーズにはもちこませません。

創造と批判の両刀遣いにおいて、大事なことは、「〔発展に使う〕批判と〔要らない〕批判を見極める良き門番を育てておくこと」だと、思います。

石井自身が、人の発表をきいて厳しい視点でコメントを言わないといけない局面では、同時に心でそのようにも思っていますし、私がかつてビジネスプランコンテストに挑戦者として出場していた時期に、辛辣コメントに対して馬耳東風に涼しい顔をしているね、といわれましたが、僕の門番が強いので、有益なことは「発展のいい材料を聞いた」と思って取り入れ、一考に値しないコメントは門番あづかりのまま10年が過ぎました。

10年たって、そのコメントが本物だったか、偽物だったかを知る機会が、アイデアの専門家になった今、日々、分かる出来事にめぐりあいます。今だからわかるようになったことも1/1000ぐらいの確率であります。ですが、900/1000は間違った指摘でした。それに向き合って、道を変えていたら、今とは違っていたでしょう。
posted by 石井力重 at 00:08 | 研究(創造工学)/検討メモ&資料



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