受講者や参加者に、提示するお題には、雑なものと洗練されたものがあります。
出題者自身ではその回答を具体的に考えたことのないお題は、雑なお題です。
出題者自身がその回答を2つ3つでも具体的に考えたことのあるものは、その過程で知見がたまり、意外な回答も含みえるような範疇が再定義されて行き、洗練されたお題になります。
「そのお題に対する具体的なアイデアとしては、例えば何が思い浮かびますか?」という質問を私が時々、お題の出題者に問います。
そうですね例えば、これこれ、と即答される方もいます。
その質問に突き当たって初めて考えてみて「うーん、難しいですねこれ」という回答をされる方もいます。そういう場合は最終的にたどり着くお題がだいぶ違うものになります。
- まず、自分がそのお題にあたってみる。
- そのうえで、整ったお題を提示しつつつも、自分の中には「あらかじめ用意してある正解など全くない」ような顔しておく。
- そして実際に、自分が事前に思いついたこと以外のアイデアがたくさん出てくることを歓迎し受け止める。
洗練された魅力的なお題を提示されると、そういう知的処理の見えない積み重ねを感じます。
見えない水面下の努力と度量の広さが、優れた知的生産の場面では必要ですよね。
(優れたアイデア創出の4つのフェーズの、最初のフェーズは、テーマ設定(あるいは再定義)です。この議論のあたりも重視しているのは、よりよい創造力の発揮のためです。私の場合は。)