グループワークをすることが企業や学校や地域活動などでありますが、「報告会議」や「意思決定会議」のみがグループで作業の仕方であるかのように経験を通じて学んでしまっているので、常にそういう「言って」「決める」方式だけを行いがちです。
そういう場を何とかするために、いろんなファシリテータがいるのですが、私はファシリテータをあまり前面に押し出した考え方はしていません。(石井自身の仕事の何割かが「ファシリテータとしてワークショップの設計と進行をする仕事」ではありますので、自己矛盾的かもしれません。)
しかし思うのです、本当に獲得すべきことは、良いファシリテータではなく、良い成果を生み出す組織であり、そのための集団的知性のうまい使い方ができること、であると。
必要に応じてメンバーの誰かがさっとファシリテーション(集団作業を促進するプロセスを組み運営すること)ができるほうが、よりよいはずです。
そういうい場面で役に立つ情報をシェアしたいと思い、少し書きます。
クリエイティブの共同作業は、意思決定会議のような「眉間にしわ寄せて、厳しさをfullに発揮する討議」とはちょっと違っています。そういう時には、以下の言葉(文献からの引用)を一つか二つでも意識してもらうと、だいぶ良くなります。
共同作業のための提案 以下の提案は単純に思えるかもしれないが、 厳密に適用すると、通常の集団に並外れた成果をもたらすのに役立つ。 友達のように振る舞え お互いに敬意を払いなさい。サポートしなさい。他者が成功するように援助しなさい。 自分を表出せよ 参加者が進んで傾聴するように、心の内を話しなさい。 可能なものを探索せよ 障害となるものではなく、可能なものに焦点を当てなさい。 本気で学習せよ 好奇心を持ち、驚き、あなたの思考を導き出しなさい。 選んで挑戦せよ 自分自身の安全に対する責任を果たしなさい。プレッシャーを与えるのではなく、サポートすることで他者を勇気づけなさい。 謝意(=感謝の気持ち)を表明し、価値を認めよ 他者の貢献に謝意を表明する時間を設け、他者の偉大さの価値を認めなさい。 寛容な心で傾聴せよ 自分自身の判断、確信、仮説を延期するようにしなさい。 コーチのように振舞え フィードバックを受け入れ、自分の思考、意見、行動を進んで変えなさい。 楽しみを持て 自分自身を楽しみなさい。一所懸命に仕事はするが、過度にまじめになる必要はない。 P29 『創造的リーダーシップ ファシリテーションの極意をつかめ!』 |
最後から2番目の、「コーチのように振る舞え」というのは、自分がコーチのように、という意味ではなく、あたかも相手がコーチであるかのように振る舞え、という趣旨であろうと、一行補足から読み取れます。
(余談:この文献は、なんといいますか・・・、創造性のエッセンスの深いところを、ダイナミックに突き通して見せてくれるようなところがあり、言葉もエネルギーに満ちています。その対価として、おとなしめの文献にあるような、緻密な語りの要素は少な目かもしれません。初心者が読み解くにはきつい、行間を読み取る力を前提として要求しているような文献だろうと、私は思います。100年書棚に残したい、良い本なんですけれどね。)