2016年11月29日

京都大学で事業企画のアイデアワークショップをしました(GTEP=京大のEDGEプログラム)

11月下旬、京都大学で二日間のワークショップをしてきました。

ワークショップの場は、20名超の京大生やビジネスマンが参画するGTEPというプログラムです。

ベースには文科省のEDGEプログラムがあり、東大、阪大、早稲田、など13校が採択されています。そして、京都大学採択プログラムが「GTEP」です。

EDGEプログラム

当日の様子は、GTEPの報告サイトから、プロセスと実際の様子やアイデアが詳しく報告されています。

GTEP_2016_IDEAPLANT.jpg




アイデアワークの設計やイノベーション系のファシリテーションをする方にむけた、すこしマニアックな話を以下、つづります。


このワークショップは、他のワークショップとは、大きく異なる構成や前後の状況でした。

◎アイディエーション(アイデア出し)とチームアップを二日間でやる。

◎殆どの人が自分がやりたいアイデアを持っている。

◎前回は未来洞察をしていて、次回はプロトタイピングをする。前回は仮のチーム。次回は確定チーム。ゆえにこの回では、チームが6~7つぐらいになりそれぞれのチームに主題となるアイデアがある。という状態で終えねばならない。

◎これまでのワークでは仮のチームで進んでおり、部分的に対人関係がある。全体としても相互に軽い面識はある。組んだチームはこの先のアイデア具現化のプロセスで長い間ともに汗をかく相手となる。

そういう状況でした。

このため、二日間の構成を組んだうえで、それをWordファイルにつづり、ワークショップの進行はそれを投影し、すすめました。ワークごとの発想メソッドのパワポは、二つ目のプロジェクターへ投影して実施する、というスタイルを取りました。

こうすることで、現場で皆のニーズや進捗度合いに応じて臨機応変にプログラムを変えていけるようにしました。(プログラムに沿ってスライドをくみ上げてしまうと、どこかのワークをまびいてスキップするということが柔軟に出来なくなります。それを避けました。)

常に、残時間とワークの進捗度や発想アウトプットの粒度をみながら、現場で舵切りをしていくような、ファシリテーションでした。

特に、機械的に進めることはできない難しい点は、チームアップです。各人が自分のアイデアを持ち、事業化したい。それを収斂していってアイデアを核にチームアップする、ということは、半数よりももっと多くの人が自分をあきらめて、チームメンバーになる、ということです。

また、アイデアだけでくみ上げるわけにもいきません。当日限りのワークショップイベントならば、あるいは、数日で終わるハッカソンならば
アイデアを核にしたチーム形成でもいいのですが、これから長~い時間、一緒に事業化を狙うチームを作るわけで、メンバー間の相性、リーダーとメンバーのやりたいことやりたくないことの率直なぶつけあいも必要です。

この辺は、実際にベンチャー企業が出来ていくプロセス、特に創業初期のチームが出来上がっていくプロセスを模して、完全に民主主義的な決め方でもなく、さりとてプリセットのお仕着せでもないスタイルにしました。特に一日目の終わりの夕方のブレストは練習ブレストですが、メンバー同士の相性を見ることにつかったり、懇親会も立食でわいわいいろんな人をスカウトする場として実践的に使う、という形を取りました。

そんなことを考えつつ、舵切りをしながらの二日間でした。

この場の特殊性は、ほぼ全員がリーダーとなって自分のアイデアを実現したいと思っている。という本気度の高さです。通常は場に10%もいれば上出来、というタイプの人材が、ものすごくいっぱいいる。そういう場なので、お仕着せでもなく、がちがちのワークステップだけないようにするのは、緻密にくみ上げる以上にハードな事でした。自分の忘備録として記しておきます。

以上、マニアックな話でした。



おわりに。


GTEPプログラムの中で提案されたアイデアの中には、とても大きなビジネスチャンスの気配のあるモノ、すぐにやろうと思えば小さくもできるモノ、研究者シーズをもとに高度な展開も可能性をもっているもの、など、面白いビジネスアイデアがありました。

全てがうまくいく、、というほど、ビジネス化は甘くはないのですが、ただ、それらのプランを追いかけて汗をかいていく過程は、その先に次のプランを事業化しようとしたときにきっと、生々しく学びとして心に残るでしょう。ぜひ、この才能の多いチームで、自分たちの目指す事業化への道を全力で駆け上がってください。

良いアイデア、良い事業化の努力、良い運。
それらを導くのはすべて人です。
良い運だって、ヒトなんです。

”チャンスは備えあるモノに訪れる” (パスツール)

備えるというのは、華々しくない水面下のたくさんの努力です。

それをするか。しないか。

良い目が巡ってくるまで、努力しない。そういう姿勢でなく、来る前からやっておく。汗をかいていく。
そういう人材であるかどうか、も、大きな成功には、効いてきますから。



カテゴリ
プレスリリース&メディア掲載(79)
ideaplant 作品(29)
一人ブレスト(20)
電子書籍コンテンツを意識して(2)
今日の一枚(2)
IDEAVote/アイデアを、チームでスマートに楽しく評価していくツール(45)
アイデアプラントの試作の目線(87)
知であそぼう(5)
アイデアプラント 1st (2005-2008)(251)
アイデアプラント 2nd (2009-2011)(580)
アイデアプラント 3rd(2012-2014)(122)
アイデアプラント 6th(2021-2023)(34)
アイデアプラント 4th(2015-2017)(167)
アイデアプラント 5th(2018-2020)(93)
オンライン・ワークショップ&研修(43)
執筆作業と拙著(2)
アイデアワークショップ(&アイデア創出の技術&創造工学の講演)(423)
アイデア・スイッチ(39)
アイデアの技法(231)
メソッド&ハウツー(197)
研究(創造工学)/検討メモ&資料(136)
研究(創造工学)/発表論文&スライド(20)
TRIZ(143)
日記、価値観、仙台オススメ(449)
仙台(5)
Fandroid(11)
フリー・オートシェープ素材(ご自由にどうぞ)(2)
創造工学の絵本(5)
社会活動/全般(39)
社会活動/Five Bridge(11)
シリコンバレー(23)
面白法人KAYAC(9)
社会動向を見る(12)
カード・メソッド(todoとideaと会話をカードで可視化)(2)
研究(MOT)/検討メモ&資料(43)
研究(MOT)/発表論文&スライド(3)
ベンチャープラン「音co知心」(8)
MMJ(37)
事業化コーディネータのお仕事(165)
航海マネジメント・ツール(11)
道具考/pomera(6)
道具考/scansnap(14)
道具考/YUREX(1)
道具考/iPod touch(21)
道具考/ALL(32)
道具考/iPad(8)
ブレイン・ペーパー(1)
石井力重とは(9)
8月22日(20)
311special(8)
ideaplantに、お仕事を依頼してみませんか(9)
創業初年度の確定申告(8)
こども用(4)
iPad+アイデアワーク(10)
旅先にて(12)
Finland(5)
新しい知識を学ぶ(2)
ブレストカフェ(2)
気づきは仮説に過ぎず。だが表現すべし。(3)
アイデアプラント・ノート(1)
加藤昌治さんと石井力重の「往復書簡」(4)
ファシリテータの小ネタ(1)
『すごいブレスト』2020年(10)
長崎(1)
ことば(1)
アイデアプラント 7th(2024‐2026)(15)
過去ログ
2025年02月(2)
2025年01月(3)
2024年12月(3)
2024年11月(3)
2024年10月(4)
2024年09月(2)
2024年08月(1)
2024年07月(2)
2024年06月(2)
2024年05月(2)
2024年04月(3)
2024年03月(3)
2024年02月(2)
2024年01月(2)
2023年12月(2)
2023年11月(1)
2023年10月(1)
2023年09月(4)
2023年08月(4)
2023年07月(1)
2023年06月(4)
2023年05月(2)
2023年04月(1)
2023年03月(1)
2023年02月(1)
2023年01月(7)
2022年12月(5)
2022年11月(4)
2022年10月(2)
2022年09月(2)
2022年08月(5)
2022年07月(2)
2022年06月(2)
2022年05月(1)
2022年04月(2)
2022年03月(2)
2022年02月(3)
2022年01月(3)
2021年12月(2)
2021年11月(7)
2021年10月(2)
2021年09月(1)
2021年08月(2)
2021年07月(5)
2021年06月(1)
2021年05月(3)
2021年04月(3)
2021年03月(6)
2021年02月(7)
2021年01月(13)
2020年12月(10)
2020年11月(9)
2020年10月(3)
2020年09月(9)
2020年08月(8)
2020年07月(4)
2020年06月(20)
2020年05月(9)
2020年04月(10)
2020年03月(9)
2020年02月(4)
2020年01月(6)
2019年12月(2)
2019年11月(2)
2019年10月(1)
2019年09月(1)
2019年08月(5)
2019年07月(1)
2019年06月(5)
2019年05月(3)
2019年04月(10)
2019年03月(6)
2019年02月(2)
2019年01月(8)
2018年12月(4)
2018年11月(3)
2018年10月(9)
2018年09月(3)
2018年08月(1)
2018年07月(8)
2018年06月(12)
2018年05月(11)
2018年04月(7)
2018年03月(8)
2018年02月(6)
2018年01月(2)
2017年12月(6)
2017年11月(12)
2017年10月(3)
2017年09月(3)
2017年08月(3)
2017年07月(5)
2017年06月(5)
2017年05月(8)
2017年04月(5)
2017年03月(8)
2017年02月(6)
2017年01月(6)
2016年12月(10)
2016年11月(7)

Powered by さくらのブログ