11月下旬、京都大学で二日間のワークショップをしてきました。
ワークショップの場は、20名超の京大生やビジネスマンが参画するGTEPというプログラムです。
当日の様子は、GTEPの報告サイトから、プロセスと実際の様子やアイデアが詳しく報告されています。

このワークショップは、他のワークショップとは、大きく異なる構成や前後の状況でした。
◎アイディエーション(アイデア出し)とチームアップを二日間でやる。
◎殆どの人が自分がやりたいアイデアを持っている。
◎前回は未来洞察をしていて、次回はプロトタイピングをする。前回は仮のチーム。次回は確定チーム。ゆえにこの回では、チームが6~7つぐらいになりそれぞれのチームに主題となるアイデアがある。という状態で終えねばならない。
◎これまでのワークでは仮のチームで進んでおり、部分的に対人関係がある。全体としても相互に軽い面識はある。組んだチームはこの先のアイデア具現化のプロセスで長い間ともに汗をかく相手となる。
そういう状況でした。
このため、二日間の構成を組んだうえで、それをWordファイルにつづり、ワークショップの進行はそれを投影し、すすめました。ワークごとの発想メソッドのパワポは、二つ目のプロジェクターへ投影して実施する、というスタイルを取りました。
こうすることで、現場で皆のニーズや進捗度合いに応じて臨機応変にプログラムを変えていけるようにしました。(プログラムに沿ってスライドをくみ上げてしまうと、どこかのワークをまびいてスキップするということが柔軟に出来なくなります。それを避けました。)
常に、残時間とワークの進捗度や発想アウトプットの粒度をみながら、現場で舵切りをしていくような、ファシリテーションでした。
常に、残時間とワークの進捗度や発想アウトプットの粒度をみながら、現場で舵切りをしていくような、ファシリテーションでした。
特に、機械的に進めることはできない難しい点は、チームアップです。各人が自分のアイデアを持ち、事業化したい。それを収斂していってアイデアを核にチームアップする、ということは、半数よりももっと多くの人が自分をあきらめて、チームメンバーになる、ということです。
また、アイデアだけでくみ上げるわけにもいきません。当日限りのワークショップイベントならば、あるいは、数日で終わるハッカソンならば
アイデアを核にしたチーム形成でもいいのですが、これから長~い時間、一緒に事業化を狙うチームを作るわけで、メンバー間の相性、リーダーとメンバーのやりたいことやりたくないことの率直なぶつけあいも必要です。
この辺は、実際にベンチャー企業が出来ていくプロセス、特に創業初期のチームが出来上がっていくプロセスを模して、完全に民主主義的な決め方でもなく、さりとてプリセットのお仕着せでもないスタイルにしました。特に一日目の終わりの夕方のブレストは練習ブレストですが、メンバー同士の相性を見ることにつかったり、懇親会も立食でわいわいいろんな人をスカウトする場として実践的に使う、という形を取りました。
そんなことを考えつつ、舵切りをしながらの二日間でした。
この場の特殊性は、ほぼ全員がリーダーとなって自分のアイデアを実現したいと思っている。という本気度の高さです。通常は場に10%もいれば上出来、というタイプの人材が、ものすごくいっぱいいる。そういう場なので、お仕着せでもなく、がちがちのワークステップだけないようにするのは、緻密にくみ上げる以上にハードな事でした。自分の忘備録として記しておきます。
以上、マニアックな話でした。
おわりに。
GTEPプログラムの中で提案されたアイデアの中には、とても大きなビジネスチャンスの気配のあるモノ、すぐにやろうと思えば小さくもできるモノ、研究者シーズをもとに高度な展開も可能性をもっているもの、など、面白いビジネスアイデアがありました。
全てがうまくいく、、というほど、ビジネス化は甘くはないのですが、ただ、それらのプランを追いかけて汗をかいていく過程は、その先に次のプランを事業化しようとしたときにきっと、生々しく学びとして心に残るでしょう。ぜひ、この才能の多いチームで、自分たちの目指す事業化への道を全力で駆け上がってください。
良いアイデア、良い事業化の努力、良い運。
それらを導くのはすべて人です。
良い運だって、ヒトなんです。
”チャンスは備えあるモノに訪れる” (パスツール)。
備えるというのは、華々しくない水面下のたくさんの努力です。
それをするか。しないか。
良い目が巡ってくるまで、努力しない。そういう姿勢でなく、来る前からやっておく。汗をかいていく。
そういう人材であるかどうか、も、大きな成功には、効いてきますから。