猫の手、という、発散的思考を促すメモ用紙を、作りました――、と11月の沖縄での学会で学会発表して来ました。そのツールを今度は高校の授業で、28人に使ってもらいました。
どんなふうに記入されたのかを、報告します。
【実施の状況】
◎発想のお題は”「行ってみたいところ」もしくは「やってみたいコト」”です。
◎実際のメモ ⇛ 猫の手、サンプル的に100枚弱をスキャン(県岐商).pdf
◎作業手順は、一人作業、のちに、4人グループ作業
□ 一人作業(10分) (+休憩10分の内の各自の好みで数分)
□グループ作業(20分)(人数は4人)
◎書かれた猫の手の総数:690枚
(状況:4人グループ×7班)
(一人当たり、24.6枚)
(1枚あたり24秒)
(※実際は、Phase2でも僅かに追加されているので、上記の単位あたりは若干の誤差があるので、目安数字。)
◎観察メモ:
□ 一人の書き出しは黙々と行っていた。書くたびに連結する学生が多いが、まずは書き出して均等に並べてからくみ上げる学生も2割程度いた。
□ グループでの共有では、だれかが主導的に自分のものを紹介し、都度、関連するものをほかの人が、1つもしくは連結単位で、挿しこみつつ、自分の考えを紹介していた。
(以下、分析と洞察をつづります。)
【考察】
彼らの半数は、マインドマップを学習していた。半数はしていなかった(あるいは、挙手するほどに理解や運用に自信がなかった)。という対称群である。大半は高校1年生。おもに商業を専攻している。
この作業は、初めてマインドマップを学ぶ人のための練習道具である、という位置づけで、行ってもらった。
マインドマップをどう書くかは、ここでは一切触れずに、猫の手のやり方のみを、説明した。
猫の手の説明方法は、上図のようなスモールステップを提示したうえで、1分弱の解説。
ソロワークとグループワークを終えたあと、マインドマップを実施してもらったところ、各グループ、上手くマインドマップを書き出すことができた。その後、猫の手の使用感想を、自由記述形式でアンケートを取った。
その結果、(猫の手を使っていたことで、そのあとの)マインドマップがスムーズに行えた、という意見が多く見られた。
また、猫の手自体への感想としては、「発散と構造化の分割ができることが良い」という意見や「あとで構造を直せるのできれいに仕上がり、捗る」というものが多く出た。(補足:これは、学会発表時に分析対象とした早稲田大学での主な感想群とほぼ合致したものであった。)
【追加の分析】
690枚をすべて回収して、使われ方に、なにか傾向がないかを、調べてみた。
◎向き
右向きに使われたもの(順向き):625枚(91%)
左向きに使われたもの(逆向き):65枚(9%)
↓
説明図が右向きであることと、右利きが左手で押さえることから、自然と10:1の割合で、順方向に使われた。
◎内容の違い
右向きは:
国内:408
海外:207
地球外:10
左向きは:
国内:23
海外:42
地球外:0
↓
国内:海外の比率は右向きが2:1に対し、左向きは逆になる。
地球外、というレアカテゴリーもあるが、これは右向きにのみ現れた。
◎加工
大半の猫の手は差し込み部を折り返して使っていた。(自然に。)
猫の手の肉球の穴に、複数毎を挿して使っていた。(可能であると冒頭に実演して見せてあった。)
猫の手の肉球部分をもぎとって使っていたものが1つあった。(記入はされていた。左向き。)
【追加の分析に対する、考察】
形がもたらすアフォーダンスから、自然と順方向に使用されたとおもわれる。
なお、左利きの人については、書きにくさが高いのかもしれない。
左向き(逆向き)に書かれたものは、猫の手の広がり上、分岐エリアの空隙をもとめて自然と逆向き展開したものもあった。
特にグループワークでの追加時に。
左向きの方は、右に比べてマイナーカテゴリーが逆に多かった。
これが何を意味するのかは、現時点では不明だが、グループワークでの追加時になされた、と考えると、思いつきにくいものがグループ共有時に、増えたことを示唆するのかもしれない。
【その他】
各所で行ったワークから、説明はかなり簡略化している。一方で、どのようにさすかを、手元の書画カメラで写して、皆に10秒程度みてもらった。特に差し込む時に、コツがあり、それを皆に見てもらったのが大きいと感じた。
「肉球の切れ目に他の猫の手の剣先をそえて、ぺちり、と切れ目を押し下げながら差し込みます。」と。
これは、動画にしておいて、10秒で見て、皆にも、10秒で練習してもらってから、workに入るのがいいかもしれない。
【おわりに】
本講義に協力してくれた岐阜商業高校の皆さま、ありがとうございました。