創造性の学会である「日本創造学会」が、慶応大学・日吉キャンパスで開かれました。(9月9日、10日)
今回の基調講演は、あの浜口秀司さん。
産業界におけるイノベーションの達人として広く知られている方です。私はかねがねお噂は聞いていましたが、今回初めてお話を伺いました。
洞察、切り口、まとめ、モデル化、いろんなものが素晴らしく、なにより膨大なイノベーションの実績を出されていてその一部を話されただけでも圧巻でした。
二日間にわたる研究発表は多様な分野の方が、それぞれの活動や切り口で、創造という営みを分析されそれをつまびらか話されていました。
今回、私は「PPGブレスト 〜不慣れな人たち向きのブレインストーミング方法〜」というタイトルで発表しました。
スライドを掲載します。
PPGは、ペア、ペア、グループ、の略称です。
ブレストは、ブレインストーミングの略称です。
要は、グループの中で、初めにペアブレスト(6分)を、2度ほど行ってから、グループメンバー全員でブレスト(15分)をする、というブレスト方法です。
これまで、このやり方が、学校などから支持を集めていたので、今回、大規模授業でアンケート調査をしてみました、という研究発表です。
調査内容は2つあります。
一つ目。
「どのブレインストーミング方法が、もっとも効果的だと感じるか」という問いです。
答えは、「ブレインライティング」でした。次いで二位が「PPG」。
実験環境の妥当性、結果の汎用性には、限界があるものの、ここからざっくりいえることは、
〇不慣れな人たちが始期に行うブレストとしては、書き物系なら、ブレインライティング、会話系なら、PPGブレストが向いている。(可能性が高い)
ということです。
二つ目。
「PPGブレストの発想の促進となる要素は何か?」「阻害となる要素は何か?」という問いです。
記述式アンケートの回答をアフターコーディングして、得た答えは、以下の通りです。
〇ペアで話し始める気軽さ・楽しさがある。
〇他者の意見をしっかり聞ける。
〇グループでのブレインストーミングも円滑にいく。
〇一方、ペアなので多様性の面では狭い。
〇グループになった時にブレインストーミングは収束的になる。
PPGも実はいい点ばかりではありません。あらゆる技法は、長所と短所があります。
そうしたことを知ったうえで、適する場面に使うならば、きっとよりブレストを引き出すプロセスとして、活用できるでしょう。
以上です。
より詳しい記述は、スライドをご覧ください。
(なお、人物が映っている動画部分については、公開資料上は加工処理をしています。)
終わりに)
こうしたブレインストーミング技法の開発という行為は、創造学会に属する多くの先人たちの発見や、大先輩方からの示唆や情報を使わせてもらって、行っています。
そうして生み出した技法を、広く社会に使いやすい形にして提供していきたいとおもいます。
開発や調査にご協力いただいた膨大な協力者の皆さま、本当にありがとうございました。
関連資料:
学会要項集に掲載した研究論文はこちら。
PPGブレストについて、もっと情報が欲しい方は、このブログやネットで検索してみてください。