最近、ビジョンやコアバリューについて、考える企業さんが増えました。
経営戦略の上位に当たる部分で、私も社会人博士課程時代に、経営戦略の授業の中で、その重要性を学びました。
その辺を、専門用語でなく、子どもにわかるような表現で、すこし綴ってみようと思います。
<<石井版の説明>>
<<石井版の説明>>
カンパニーってのは、「船」みたいなものなのだ。
昔は、海をわたり、物資か貴金属を運び、貴重な物品を持ち帰る航海は、大きな冒険だった。
一度の航海にでるのに、資金を募り、船を建造し、生活物資を買い入れ、船員を集め、現地で得たものを持って帰り、港に戻り、貴重な物品を売却し、販売金額から経費を抜いたら、利益が確定した。
こういう一度のプロジェクト単位で、会計、というのもできていた。「売り上げ」「経費」「利益」という管理の仕方ができていった。
さて。
船には、目指す場所がある。
ひとたび大海原に出れば、北極星の位置を頼りに、進む。
北極星の位置は、どれだけ長い時間たっても変わらない。
不明な場所も多いけれど、海図、という海の地図をもって、自分たちがどれだけの距離を進んだかを書き入れて、船を運航していた。
この「北極星」「海図」「目的地」というのが大事。
例えば、自分の港から、ひたすら北極星の方向に進んだ先に、目指す大陸があったとして、船は北極星を目指してゆく。
そうすると、別の陸地があって進めない場所もあるので、いったん北極星の方角を離れて、方向を変えたり、運河を進んだり。
それで、北極星の方角に進めるとこに来たら、ずれた分を戻して、北極星に進み続ける。
海図というのも、遠いとこは間違っていたりする。
そういう時には、書き替えて、正しい地図を作りながら行かねばならない。
時には、予想していなかった大きな陸地にぶつかり、情報がなくて、どちらに回り込むかを迷うときもある。
そういう時には、船長の判断が、必要になる。
吹きすさぶ厳冬の中、港の中で春を待たねばならない時もある。
困難や飽きの中で、乗組員の中には、辞めて船を降りていくものもある。途中で人を補充することもある。
この船は、どこを目指しているか。乗組員には何をしてほしいと要請するか。
そういうこの船のルール・ブックがあり、それに納得できない人は、採用できないし、航海中に事情が変わって、目的地や働き方が変わってしまうこともあり、その時点の改定ルール・ブックに合わなくなった人は、辞めていく。実際は逃げたんだけど。
食料や、それを買う資金も有限であり、長い航海になると、寄港した先で充分な食料を買えないこともある。食料、だけでなく、時間、お金、が大事な資源になる。
こういう色んなものを、背負って船は走っていく。
さて、本題。
まず、ミッション。使命。
この船が、危険を冒して、向こうの大陸の穀物のタネを取りに行くのはなぜか。
やせた大地でも育つ種があれば、この国の人々が、いつでもおなかいっぱい食べられる世の中なる。そういう世界にするんだ。
これがミッション。社会的で、尊敬できる志し。
次に、ビジョン。なりたい姿。
強く豊かな実りをもたらす種もみを、国中の農家に販売できるほど持ち帰り、出資者や乗組員の報酬に足る十分な収益を得る。豊かになった国で、人々から国を豊かにしたと尊敬される。
ビジョンは、ミッションの実現した像、という性格も持つ。
(ミッション、ビジョンは、明確に分けないで、その両方を混ぜた形で捉えられていることも多い。それも良い。)
(嵐の夜の甲板で、星の光も、灯台の光もみえない。冷えて、疲れて、じっくり考える時間もない。そういう中で、行動していく人たちにとって、ヨリドコロとなるもの。単純明快であり、唱えれば力が湧いてくる。志しとは、そういうものなんだ。)
そして、バリュー。価値観。
バリューは「価値」ではなく「価値観」。ミッション・ビジョンを実現するために自分たちの中に持つ原則、のようなもの。メンバーとして、あるべき姿を明文化したもの。
乗組員(メンバー)は、通常は上司の指示に従うが、危急の際には、自分で判断し行動しなければならない。バリューは、選択できる力を与えてくれる。行動原理、プリンシパル、がある状態になるので、それにのっとった各自の判断は、総体としては、組織を前進させるものになる。
それから、行動指針。ガイドライン。
行動指針は、バリューを実現するために、具体的な解釈「価値観を具体的にどう受け止めればいいのか」、詳細な行動「何をするべきなのか」、詳細な成果「出すべきアウトプットは何か」を明示したもの。など。
行動指針=バリューだ、というケースもある。
バリュー、行動指針は、「船員心得」「業務日誌(目標明示と実績)」にあたる。
以上、推敲なしですが、「カンパニーの原点である、冒険船」の時代に戻して、4つの要素の説明を試みました。
スマートな説明が、書籍やWEBにたくさんあります。
ここでは、できるだけ、子どもに話して聞かせることを意識して、ざっくり説明を試みてみました。