2018年06月11日

ミッション/ビジョン/バリュー/行動指針

最近、ビジョンやコアバリューについて、考える企業さんが増えました。

経営戦略の上位に当たる部分で、私も社会人博士課程時代に、経営戦略の授業の中で、その重要性を学びました。
その辺を、専門用語でなく、子どもにわかるような表現で、すこし綴ってみようと思います。




<<石井版の説明>>

カンパニーってのは、「船」みたいなものなのだ。

昔は、海をわたり、物資か貴金属を運び、貴重な物品を持ち帰る航海は、大きな冒険だった。

一度の航海にでるのに、資金を募り、船を建造し、生活物資を買い入れ、船員を集め、現地で得たものを持って帰り、港に戻り、貴重な物品を売却し、販売金額から経費を抜いたら、利益が確定した。

こういう一度のプロジェクト単位で、会計、というのもできていた。「売り上げ」「経費」「利益」という管理の仕方ができていった。

さて。

船には、目指す場所がある。

ひとたび大海原に出れば、北極星の位置を頼りに、進む。
北極星の位置は、どれだけ長い時間たっても変わらない。

不明な場所も多いけれど、海図、という海の地図をもって、自分たちがどれだけの距離を進んだかを書き入れて、船を運航していた。

この「北極星」「海図」「目的地」というのが大事。

例えば、自分の港から、ひたすら北極星の方向に進んだ先に、目指す大陸があったとして、船は北極星を目指してゆく。

そうすると、別の陸地があって進めない場所もあるので、いったん北極星の方角を離れて、方向を変えたり、運河を進んだり。
それで、北極星の方角に進めるとこに来たら、ずれた分を戻して、北極星に進み続ける。

海図というのも、遠いとこは間違っていたりする。
そういう時には、書き替えて、正しい地図を作りながら行かねばならない。

時には、予想していなかった大きな陸地にぶつかり、情報がなくて、どちらに回り込むかを迷うときもある。
そういう時には、船長の判断が、必要になる。

吹きすさぶ厳冬の中、港の中で春を待たねばならない時もある。

困難や飽きの中で、乗組員の中には、辞めて船を降りていくものもある。途中で人を補充することもある。
この船は、どこを目指しているか。乗組員には何をしてほしいと要請するか。
そういうこの船のルール・ブックがあり、それに納得できない人は、採用できないし、航海中に事情が変わって、目的地や働き方が変わってしまうこともあり、その時点の改定ルール・ブックに合わなくなった人は、辞めていく。実際は逃げたんだけど。

食料や、それを買う資金も有限であり、長い航海になると、寄港した先で充分な食料を買えないこともある。食料、だけでなく、時間、お金、が大事な資源になる。

こういう色んなものを、背負って船は走っていく。


さて、本題。

まず、ミッション。使命。

この船が、危険を冒して、向こうの大陸の穀物のタネを取りに行くのはなぜか。

やせた大地でも育つ種があれば、この国の人々が、いつでもおなかいっぱい食べられる世の中なる。そういう世界にするんだ。

これがミッション。社会的で、尊敬できる志し。


次に、ビジョン。なりたい姿。

強く豊かな実りをもたらす種もみを、国中の農家に販売できるほど持ち帰り、出資者や乗組員の報酬に足る十分な収益を得る。豊かになった国で、人々から国を豊かにしたと尊敬される。

ビジョンは、ミッションの実現した像、という性格も持つ。


(ミッション、ビジョンは、明確に分けないで、その両方を混ぜた形で捉えられていることも多い。それも良い。)
(嵐の夜の甲板で、星の光も、灯台の光もみえない。冷えて、疲れて、じっくり考える時間もない。そういう中で、行動していく人たちにとって、ヨリドコロとなるもの。単純明快であり、唱えれば力が湧いてくる。志しとは、そういうものなんだ。)

 
そして、バリュー。価値観。

バリューは「価値」ではなく「価値観」。ミッション・ビジョンを実現するために自分たちの中に持つ原則、のようなもの。メンバーとして、あるべき姿を明文化したもの。

乗組員(メンバー)は、通常は上司の指示に従うが、危急の際には、自分で判断し行動しなければならない。バリューは、選択できる力を与えてくれる。行動原理、プリンシパル、がある状態になるので、それにのっとった各自の判断は、総体としては、組織を前進させるものになる。


それから、行動指針。ガイドライン。

行動指針は、バリューを実現するために、具体的な解釈「価値観を具体的にどう受け止めればいいのか」、詳細な行動「何をするべきなのか」、詳細な成果「出すべきアウトプットは何か」を明示したもの。など。

行動指針=バリューだ、というケースもある。


バリュー、行動指針は、「船員心得」「業務日誌(目標明示と実績)」にあたる。





以上、推敲なしですが、「カンパニーの原点である、冒険船」の時代に戻して、4つの要素の説明を試みました。

スマートな説明が、書籍やWEBにたくさんあります。
ここでは、できるだけ、子どもに話して聞かせることを意識して、ざっくり説明を試みてみました。



posted by 石井力重 at 18:10 | 研究(創造工学)/検討メモ&資料



カテゴリ
プレスリリース&メディア掲載(79)
ideaplant 作品(29)
一人ブレスト(20)
電子書籍コンテンツを意識して(2)
今日の一枚(2)
IDEAVote/アイデアを、チームでスマートに楽しく評価していくツール(45)
アイデアプラントの試作の目線(87)
知であそぼう(5)
アイデアプラント 1st (2005-2008)(251)
アイデアプラント 2nd (2009-2011)(580)
アイデアプラント 3rd(2012-2014)(122)
アイデアプラント 6th(2021-2023)(34)
アイデアプラント 4th(2015-2017)(167)
アイデアプラント 5th(2018-2020)(93)
オンライン・ワークショップ&研修(43)
執筆作業と拙著(2)
アイデアワークショップ(&アイデア創出の技術&創造工学の講演)(421)
アイデア・スイッチ(39)
アイデアの技法(230)
メソッド&ハウツー(197)
研究(創造工学)/検討メモ&資料(136)
研究(創造工学)/発表論文&スライド(19)
TRIZ(143)
日記、価値観、仙台オススメ(448)
仙台(5)
Fandroid(11)
フリー・オートシェープ素材(ご自由にどうぞ)(2)
創造工学の絵本(5)
社会活動/全般(39)
社会活動/Five Bridge(11)
シリコンバレー(23)
面白法人KAYAC(9)
社会動向を見る(12)
カード・メソッド(todoとideaと会話をカードで可視化)(2)
研究(MOT)/検討メモ&資料(43)
研究(MOT)/発表論文&スライド(3)
ベンチャープラン「音co知心」(8)
MMJ(37)
事業化コーディネータのお仕事(165)
航海マネジメント・ツール(11)
道具考/pomera(6)
道具考/scansnap(14)
道具考/YUREX(1)
道具考/iPod touch(21)
道具考/ALL(32)
道具考/iPad(8)
ブレイン・ペーパー(1)
石井力重とは(9)
8月22日(20)
311special(8)
ideaplantに、お仕事を依頼してみませんか(9)
創業初年度の確定申告(8)
こども用(4)
iPad+アイデアワーク(10)
旅先にて(12)
Finland(5)
新しい知識を学ぶ(2)
ブレストカフェ(2)
気づきは仮説に過ぎず。だが表現すべし。(2)
アイデアプラント・ノート(1)
加藤昌治さんと石井力重の「往復書簡」(4)
ファシリテータの小ネタ(1)
『すごいブレスト』2020年(10)
長崎(1)
ことば(1)
アイデアプラント 7th(2024‐2026)(13)
過去ログ
2024年11月(3)
2024年10月(4)
2024年09月(2)
2024年08月(1)
2024年07月(2)
2024年06月(2)
2024年05月(2)
2024年04月(3)
2024年03月(3)
2024年02月(2)
2024年01月(2)
2023年12月(2)
2023年11月(1)
2023年10月(1)
2023年09月(4)
2023年08月(4)
2023年07月(1)
2023年06月(4)
2023年05月(2)
2023年04月(1)
2023年03月(1)
2023年02月(1)
2023年01月(7)
2022年12月(5)
2022年11月(4)
2022年10月(2)
2022年09月(2)
2022年08月(5)
2022年07月(2)
2022年06月(2)
2022年05月(1)
2022年04月(2)
2022年03月(2)
2022年02月(3)
2022年01月(3)
2021年12月(2)
2021年11月(7)
2021年10月(2)
2021年09月(1)
2021年08月(2)
2021年07月(5)
2021年06月(1)
2021年05月(3)
2021年04月(3)
2021年03月(6)
2021年02月(7)
2021年01月(13)
2020年12月(10)
2020年11月(9)
2020年10月(3)
2020年09月(9)
2020年08月(8)
2020年07月(4)
2020年06月(20)
2020年05月(9)
2020年04月(10)
2020年03月(9)
2020年02月(4)
2020年01月(6)
2019年12月(2)
2019年11月(2)
2019年10月(1)
2019年09月(1)
2019年08月(5)
2019年07月(1)
2019年06月(5)
2019年05月(3)
2019年04月(10)
2019年03月(6)
2019年02月(2)
2019年01月(8)
2018年12月(4)
2018年11月(3)
2018年10月(9)
2018年09月(3)
2018年08月(1)
2018年07月(8)
2018年06月(12)
2018年05月(11)
2018年04月(7)
2018年03月(8)
2018年02月(6)
2018年01月(2)
2017年12月(6)
2017年11月(12)
2017年10月(3)
2017年09月(3)
2017年08月(3)
2017年07月(5)
2017年06月(5)
2017年05月(8)
2017年04月(5)
2017年03月(8)
2017年02月(6)
2017年01月(6)
2016年12月(10)
2016年11月(7)
2016年10月(2)
2016年09月(2)
2016年08月(5)

Powered by さくらのブログ