(年賀状を311の震災から廃止しています。いただくばかりで不義理しておりますがどうかお許しください。年賀状の近況報告に替えて、年始のブログを綴ります。)
あけましておめでとうございます。
【1.振り返り】
昨年は、4つのことがありました。
◎アイデアプラント製品の海外販売が予想以上に展開しました。
北米、ヨーロッパ、アジアの多様な国へ、私たちが作ったものが届けられました。これは製品製造・輸出対応を一手に引き受けてくれている仙台のパートナー企業(マグネットデザインさん)のおかげです。
販売データから貴重な示唆が得られました。これまでは、漠然と「海外の、創造的な人の多い都市」と思っていたのですが、それは各国の首都ばかりでなく、(私には)意外な都市が分かってきました。よく調べてみると、それら都市には、先端技術機関があったり、萌芽的な取り組みがあったりしました。
◎NHKのおはよう日本にて、アイデアプラント製品を取り上げてもらいました。
5年ぶり・3度目の、おはよう日本での製品紹介がありました。日本中の多くの人に知ってもらうことが出来ました。製品はnekonote(ネコノート)です。ありがたいことに増刷していく製品となりました。
◎200枚以上のアイデア(スケッチ)を書きました。
昨年の目標
「一日一クリエイション」は、毎日アイデアスケッチを描く、というものでした。習慣化の科学論文を見つけて、それを自分の能力修練において実践してみようとしたものです。毎日アイデアスケッチを描く、という行為は、かなり面白い体験でした。それがもたらしたものは、また別の場で報告してみたいと思います。
◎新コンテンツ(ワークショップのワーク・コンテンツ)をたくさん作りました。
アイデアプラントの守備範囲の隣接領域であり、よく相談をもらっていた「洞察」について、他のワークと同品質のワークショップ・コンテンツを作りました。アイデア創出のメインである「拡げる(発散)」行為の前段階には「見る(洞察・観察)」行為があります。以前は、そこについては「対象をよく見て、課題を定めることが大事です」と、言葉がけだけしていましたが、今はそこ(洞察の具体的な思考ステップ)も学習してもらえるようになりました。
また、発想ツールも開発しました。秋の学会で発表した、新発想ツール「if60」です、これはTRIZ&VEの両方の知識セットから創り出した、理想機能発想ツールです。まだ、世の中に簡単に使ってもらえる状態にできていませんが、もうじき出します。
一方で、3つの「中断したこと」があります。
□創業以来、はじめて、新製品リリースをしない年でした。
2017年は年間に4,5個の新製品をリリースするということに取り組んでいました。2018年は、その大量リリース製品の活用に重点を置いた活動をしていました。その裏側で、次の製品に向けての試作開発も沢山行ってきました。特に、if60は、学術的な調査や学会発表も経て、社会に一部公開するところまでは、出来ました。新製品をはじめて出さない年となりましたが、2019年のための準備の年でもありました。
□2011年以降続けた海外渡航が、出来ない年でした。
震災以降、海外展開を視野に入れて、毎年、多様な海外の都市へ、文化と人々の様子を見にいきました。毎年、平均2か国ぐらいは訪問していたのですが、昨年は、前半は制作に時間を集中投下し、後半は腰痛になってしまったので、腰の稼働時間を温存したいと考えて、体に無理のかかる渡航は見送りました。体調万全であれば、訪問していたかもしれない海外からのコンタクトもあったのですが。。。
中断したことで、気づきいたことがあります。2つ。海外渡航は準備と渡航期間中あわせて相当に時間をとること。海外の街での刺激(発想インプット)は、日本のミュージアムなどでも、何割かえられること。でもやっぱり、本物を現地で見る、食べる、体験する、ことに勝るものはありません。
今後も、海外渡航での「感性の仕入れ」は、続けます。
□習慣(ウォーキングとアイデアスケッチ)の中断が、強制的に起こりました。
創業あたりから「毎日8000歩」のウォーキングは、どの街にいてもほぼ100%実施してきました。雨の日、雪の日、深夜でも、つづけた習慣です。ところが腰痛になり「無理しない」という方針へ変更したため、ほとんど歩かない日や、5000歩程度であきらめる、ということも。
「毎日絶対やる」から「無理しない数値を、見定めて、続ける」に軌道修正しました。
アイデアのスケッチは、元旦から9月末までは、ほぼ、継続していました。出張時の時間のない時にも、一行アイデアを綴っておいて後に描く、というやり方で”継続”を切らさないようにしていました。そして、10月初旬の大阪できつい腰痛になりました。そこまでに、毎晩スケッチをリビングで描くことで腰にはストレスもかかっていたでしょうし、大阪出張での現地での動き方もかなりハードだったことが、クリティカルに効いたように思います。そこから長らく中断したのですが、年末にだいぶ良くなってきて、たまっていた分で描けるものは、描き、一年が終わりました。261枚でした。
【2.今年の働き方】
昨年を振り帰り、ベース(働き方)を考え直しました。
1.濃く働く。
腰痛からの回復後、短時間労働を体験したことから教訓を得ました。腰痛後、回復し90分ぐらいの着座の制作作業が可能になりました。(ちなみに、立位<着座<着座作業、の順で、腰に負担だ、というのも今回学びました。)
90分で腰が痛くなる。
この制約は、私に「新しいやり方」をさせるきっかけとなりました。
絞って、濃く時間を使う。
自分しかできないことだけをする。
あらかじめ頭の中で設計しておき、一気にデスクワークをする。
・・・というスタイルに。
2.無理せず続ける。
腰を痛めたことからの教訓。ウォーキングとアイデアスケッチ、習慣が2つになったことで、ますます活動時間がひっ迫し、体に無理をかけていました。決めたらやり通す、という頑固なところを、少し変えよう、と思います。無理しない、その上で、中断しても続ける。
3.人に助けてもらうこと。
弱さは謙虚さの土台だ、と実感しました。
腰痛状態では、できることが限られます。絶対的に不便なのが「荷物を持つ」こと。高性能なスイスイ進むキャリーバッグをつかって、全国出張を続けられました。宿泊施設で受け取る段ボールは、部屋までキャリーバッグに固定具で乗せて対応しました。しかし、エレベータがない低層階の別館、しかもフロントまで雪道300メートル・・・という場面では本当に困りました。
私は「人の手を煩わせたくない」という性分なので、無理してでも何とかしてしまうのですが、「人に頼らなければ行動できない。頼ることを覚えよう」と腹をくくって、仲間に段ボールを運んでもらうことをお願いしました。
この時に、311の震災後の生活を思い出しました。電力・機械動力がないと現代人の人間生活は一人で完結できず、誰もが人に頼る必要があった。そういう中では人は謙虚になり、互いに自然と助け合う、と。
弱さを持つことは、謙虚さをつれてくる。上っ面の謙虚さではなく、ホントに困ってはじめて謙虚さが醸成されていく。私のような気質の人には、そういうところがある、と思いました。
【3.今年の展望】
今年(2019年)の仕事の展望を、考えました。
◎これから台頭するニーズに先回りして、コンテンツを作ろう。
社会の時流の察知の早さと、依頼が来る前から、想定して日々の制作ストックをしておきます。
(AIは”人間と同じ振る舞いができる計算機”です。AIが台頭していく中でも人間がする仕事がいくつかあります。それは、意思決定・判断、創造性にまつわる仕事、高度接客・対人サービスです。本物のAIが登場するのはまだ先ですが、我々が定年退職する時点では普及期を迎えています。)
人々が、雑務から解放され、創造的なことをする時間が多くなります。感性や五感、直観や心地よさ、そういうものを、ビジネスシーンで考えることが増えるなかで、必要なコンテンツ、沢山、作ります。
◎私利でなく利他に思考時間を使おう。
例えば、社会に今後必要となるコンテンツが作れたら、それもどんどん公開していき、必要な人のツールとして使ってもらえるようにします。
◎ミドル60%の創造の支援ツールを提供しよう。
従来、クリエイティブ・リーダ(組織のクリエイティブの上位層)に対象を設定した高度な支援ツールやコンテンツを作ってきました。組織の人材2:6:2のモデルで言えば、多くを占める「ミドル60%」にも、使ってもらいやすいものを創ることを、今年は作って行きます。
今年の展望として、一言でまとめると「創造的社会の礎になろう」と。
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少人数のアイデアプラントができることは、限られています。ですが、社会の中で活躍する多くの人々(そして将来、活躍していく未来の人々)に、創造の壁を乗り越える手助けとなるような”触媒的なもの”を提供できたならば幸甚です。
「われらこそ、国の礎」とは、母校の学生歌に出てくる一節で、学生時代はそれを「意気軒昂だなぁ」と冷静に受け止めていましたが、東北大で受けた薫陶は今もまっすぐ心の中にあり、日々進んでいます。
今年も、全力で事業に邁進してまいります。
皆様どうぞご指導ください、よろしくお願いします。