良書も商業原理にのっとりいずれ絶版します。
研究者としては、「この本だけはいつまでも」と思う本なのに、書店からなくなってしまった本もあります。
その一つがFinkeらの「創造的認知」です。
そこに出てくる「ジェネ(レイト)」と「(エクス)プロア」での造語「ジェネプロア」という概念。
これは、人がアイデアを創出するうえで極めて有効である、と石井は考えています。
そういう根拠は、”そういう思考の構造の説明方法があるよ”、と教えると「あ、そうか、今まで できたり できなかったり していたこの、曖昧模糊とした思考活動は、そういうステップで再現すればいいのか」といって、そこから発想が楽になる人が結構出てくるからです。
<<ジェネプロアモデルとは>>
さて、そんなジェネプロアモデルを端的に表現する文章が、ネット上にはあまりないのですが、
参照する文献として良いものがありましたので、ご紹介します。
「ジェネプロアモデルでは、
創造プロセスは
創造プロセスは
心的なイメージを生成する生成段階と、
そのイメージを解釈する探索・解釈段階の
二つの段階のインタラクションとして表される。
まず生成段階において
発明先行構造と呼ばれる抽象的な心的イメージが生成され、
次に探索・解釈段階において
発明先行構造の概念的な解釈や機能の推論
などが行われる。
これら二つの段階の活動が繰り返されることで
発明先行構造は修正・変更され、アイデアが洗練・拡充する。」
出典
「心理学ワールド」63号
特集のひとつ、石井成郎(いしい のりお)先生の記事から引用。
(余談:
心理学会は、私は参加していないので「心理学ワールド」が
通常どういうトーンでつづられているのか分かりませんが、
この63号、竹宮恵子先生の原稿もあったりして、かなり魅力的な内容です。)