新しいタイプの創造ワークショップを行いました。報告します。(スライドは一番下にあります。)
このブログ記事の要約 (この要約はAIが書き、石井が推敲し、さらにAIが整えました) | ||
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■開催概要
日時:2023年6月4日14時から15時まで
会場:メタバース空間(Spatial)
参加人数:8〜9人
主催者:FSMS(ファーストステップメタバースフェスティバル)
このFSMSに石井は講師の一人として呼んでいただき、1時間のセッション枠をクリエイティブワークショップとして使いました。石井の内的な位置づけとしては創造性研究のパイロットスタディとして取り組んでいます。
■手法の土台
認知心理学における創造性文献『創造的認知』(Finkeら)には、1080回もの試行を行って参加者60人にプロダクトアイデアを大量に出させる実験が綴られています。
その実験の座組をそのまま用いるにはメタバース上では難しいものがありましたので少しそれを変え、援用という形で行っています。
具体的には15個改め17個のパーツをメタバース上に置いておきます。
パーツは球体、車輪、板、L字の物体、円錐、など、基本的な幾何学的な立体です。
(なお、Finkeの15パーツに対し、今回17個に増やしたのは変形自由度の低さを補うためです。「幾何学的な立体の縦、横、高さの比率はFinke実験では被験者は頭の中で自由に変えることができた」のに対して「メタバース空間上ではその比率が固定されてしまい」ます。なので、その比率が大きく変わったときにテイストがかなり変わるようなものだけけは、あらかじめ変えたバージョンを用意したものです。
具体的にはチューブ(細長いチューブと極めて短く拾いチューブ=リング)、ワイヤー(少しのくねりのあるシンプルなワイヤーと、渦巻き状のワイヤー)が2種類になっています。
具体的にはチューブ(細長いチューブと極めて短く拾いチューブ=リング)、ワイヤー(少しのくねりのあるシンプルなワイヤーと、渦巻き状のワイヤー)が2種類になっています。
Finkeの実験では、これらのパーツの中から3つを組み合わせて「8つの製品カテゴリー」のいずれか一つに属するように、製品を形成してもらいます。8つのカテゴリーとは家具、家電、おもちゃ、科学測定器、などです。
(要は、半球+円柱+十字の形、で、カテゴリーは玩具として、「人が乗ってぐらぐら揺れてあそぶ遊具」。そんな感じに発想します。)
今回の実験においては17個の立体パーツを空間に浮かべておき、4人組で話し合いながらプロダクトにしてもらうということにしました。パーツは複製して同じものを複数使うことは不可、しました。
その際カテゴリーは壁に8つあらかじめ掲示しておき、自分たちで自由に選んで良いとしました。ただし2度使うことはできないものとしました。
■流れ
参加者には、初めにメタバース空間上での立体の上下左右方向への動かし方拡大回転の仕方を練習してもらいました。
その後即席でチームを作りました、初めて会った人が多い4人チームです。
次に、20分間の時間をもうけ、チームで話し合いながら「3つのパーツとそれに対するカテゴリー」をディスカッションしながら実際に立体的に組み立ててもらいました。
なおこのVR空間の特徴上、回転には制限があるゆえ、自由に回転させた時になっているあろうもので「見立て」てもらうえばOK、完全には形になってなくて良いとしました。
実際にワークをする人の人数としては4人かける2チームが形成できました。
そして、20分後、2チーム(AチームとCチーム)の作ったものを皆で品評会をしました。
品評会の後、歴史的にFinekeの実験では何がわかったのか、特に「制約がきつくなるほど人間は創造性が高くなる」という結果を紹介してワークショップを閉じました。
■成果物の実際
全員が退出した後にそれらの空間を眺めて歩いた動画を以下に貼ります。閲覧してみてください。
※BGMが流れます、音量注意
結果としては各チームとも5プロダクトを生成していました。(これは17個から製作できる最大数です)
その中でも特にクリエイティブだと思うもの(今回のクリエイティブの定義は新しい有用性としましたが)、そういったものに賞を提供しました。
クリエイティブ賞作品は鎖鎌ならぬ”鎖渦巻き”という新しい武器です。
鎖鎌のように振り回し相手に投げつけ、先端についている渦巻きが相手にババッと巻き付いて相手を無力化する、そういった殺傷能力の低い武器として面白い、ということで創造賞としました。
コンビニの防犯グッズ、あるいはさすまたを用意してあるような会社の備品であれば、対象顧客になりそうで、商品化可能性もありそうです。
■資料(スライド)
スライド(動画へ出力版) | ||
スライド(PDF版) | ||
(Finkeらの実験をよりよく知りたい方は、出典『創造的認知』を。) |
■今回のパイロット研究を通じて得た感触:
◎15のパーツを用いた実験はオンラインのワークショップのアイスブレイクや創造性のトレーニングとして使えそう(多分、対面の場でも同様にできそう)
◎メタバース空間上、参加者がパソコンを用いるレベルでも、Finkeの実験は実行できそう
◎ただしメタバース空間上にアップロードしたアイテムの数が100に近いぐらい多いと、パソコンのスペックが高くないと十分な操作ができない。スマホやパソコンの性能が低い人は固まりがちであったりろくに操作できない可能性も。
◎このパイロットスタディを元に、実験条件を整えることで、創造性特性を調べる各種の実験スキームも考案できそう
■展望:
更に、野望といいますか、この数年考えている「沖縄とか北海道で合宿型の研修」の企画へも、つながりそうです。
アウトドアで、発想力と感性をはぐくむ野外クリエイティブ・ワークショップをしたい、というものでして、古くは、川喜田二郎先生の移動大学のエッセンスも念頭にあります。
こんかいのメタバースのワークショップをベースにした発展版を行えばと、その先には、海岸で拾う流木や漂流物を寄せ集め、見立てて、いろんなプロダクトや作品を想像するというアート・ワークへも発展られそうです。
海辺でクリエイティブワークをいきなりやるのはむずしい人でも、このワークショップで少し発想トレーニングをすることで、いけるかもしれないな、という感触を持ちました。
(この企画は、全くの絵空事なんですが、いろんなチャンスが巡ってくることがあれば、やってみたいなぁと、暖めてみています。)
こんかいのメタバースのワークショップをベースにした発展版を行えばと、その先には、海岸で拾う流木や漂流物を寄せ集め、見立てて、いろんなプロダクトや作品を想像するというアート・ワークへも発展られそうです。
海辺でクリエイティブワークをいきなりやるのはむずしい人でも、このワークショップで少し発想トレーニングをすることで、いけるかもしれないな、という感触を持ちました。
(この企画は、全くの絵空事なんですが、いろんなチャンスが巡ってくることがあれば、やってみたいなぁと、暖めてみています。)
■謝辞:
貴重な機会をくださったFSMSの運営の皆さん、参加者の皆さん、ありがとうございました。