教育産業市場に関する調査結果2008
http://www.yano.co.jp/press/press.php/000412
(そこの「詳細」と「PDF」へのリンクもぜひ開けてみて下さい)
それによると「教育産業市場」は減少基調にあります。それらを構成するのは「補習・進学教育市場」「資格取得市場」「英会話・語学教育市場」「趣味・習い事市場」「幼児教育市場」「企業向け研修サービス市場」「eラーニング市場」「各種教材・通信教育・学習ゲーム市場」「知育玩具市場」とのこと。
個々の市場がやはりダウンしている中で「企業向け研修サービス市場」(といくつかの市場、たとえば、ゲーム機用学習ソフトウェアを含む市場など)が伸びています。
「教育産業」というベースが地盤沈下しているなかで、ベースアップを実現している「企業向け研修サービス市場」はとても興味深いと思います。似ていると思いがちな「資格習得」市場は「資格バブル」という感もありましたが、下降気味である、という部分が、コントラストをさらにくっきりとさせています。
「企業向けの研修サービスはなぜ伸びているのか?」
この答えは、レポートを買わないといけない(個人で買うには高額)ので、推察してみます。
企業は不況で、人材への投資だって控えるのではないか、と普通は思いがちですが、そうではない、と。一方で、IT分野の人材に関する動向で、示唆あるレポートがありました。NTTデータ経営研究所の最近(2008年)のレポート『IT人材マネジメント、3つの提言』です。そのなかで、3つのポイントが目を引きます。
「(1)転職志向」
「(2)ポテンシャル(成長の伸びしろ)」
「(3)スキルシフト(変化への対応)」
詳しい引用は避けて、それをもとに考えた私見をのべます。IT分野の企業は確かに、人材投資に積極だと感じます。人材の流動化はIT分野では他の分野より顕著です。業界自体、企業自体が若いため、近年の人材のフリーな働き方を反映しています。また、楽しく成長してもらうための教育投資は盛んであるとも感じます。それを踏まえ、私見にもとづく仮説ですが、こうではないかと思います。
社会トレンドにあるように、転職志向で優秀な社員が会社をさるリスクは年々上がる。優秀な社員は、自分のノビシロを求める。変化する社会の中で、修得するスキルも変化していることを感じている。自分自身が人材市場の中で価値ある存在でありつづけられる環境を提供してくれる環境に、いたがる。優秀な人材が自発的にいたくなる環境を作らねばならないとなる。そこで、新しいタイプのスキル学習を提供してくれるサービスを人材開発部門は活用する量が増える。
IT業界ほど顕著ではないとでしょうが、社会環境を考えると、各業界に同じ構造があると思われます。「企業向けの研修サービスはなぜ伸びているのか?」という自分でたてた問いに、きわめてプリミティブな仮設で、ですが、ざっくりと答えてみました。
研修提供するプロの個人が、私の友人知人には多いですが、研修サービスの顧客(企業の研修部門)は、どういう環境にさらされ、何を望んでいるのか、を推察することで、よりエッジの立ったコンテンツが作れる気がします。そうしたヒントになれば幸いです。