当時、私が読んだ本は上記のリンクの本の前身、ハードカバー時代のものです。(日本経済新聞社、から発行されていました)。この本が執筆された時期、著者、新原浩朗氏は、経産省系のシンクタンク、RIETIのコンサルティングフェローをしていた方のようです。(ハードカバーの本が手元に無いので当時の著者欄を確認出来ませんが、2010年現在、WEBで見てみると。)
<以下は、2005年当時、私の書いたメモをそのまま編集せずにのせます>
日本の優秀企業研究。サブタイトルが『企業経営の原点−6つの条件』でありその名の示すと押し、6つの条件が論じられています。
中表紙をめくったページに、一言こう記されています。
「自分たちが分かる事業を、やたら広げずに、
愚直に、真面目に
自分たちの頭できちんと考え抜き、
情熱をもって取り組んでいる企業」
ここに、さまざまなことを感じます。
目次に、その6つの条件がヘッドライン化されています。
目次
序章 優秀企業はいかなる特質を有しているのか
優秀企業の「形」と「本質」
第一の条件 分からないことは分けること
第二の条件 自分の頭で考えて考えて考え抜くこと
第三の条件 客観的に眺め不合理な点を見つけられること
第四の条件 危機を持って企業のチャンスに転化すること
第五の条件 身の丈に合った成長を図り、事業リスクを直視すること
第六の条件 世のため、人のためという自発性の企業文化を埋め込んでいる
終章 私たちが輝いていた原点へ
この目次だけでも、ビジネスをする上での聡明な判断を助けるツールになります。
「リサーチ・クエスション」と「アプローチ方法」も、シンプルで力強いものです。特に、「対象選定における工夫」も参考になります。
P14「本当に優良な成果を上げている企業は、どのような特質を持っているのか。うまくいっていない企業との違いは何か。こういった点を明らかにすれば、閉塞感に包まれた日本企業の新たな発展の道筋もおのずと見出せるのではないか」
P16調査方法と留意点「優秀企業を抽出して、そこに共通的に見出せて、しかも、そうでない企業に見出せない特徴を探したい。」
P16「中長期で見ると、一貫して波のない状態でよい成果が持続する企業はほとんどない。そこで、同業種の平均的な企業と比較して、相対的に、良い時期には良い成果をしめし、悪い時期にもさほどデータが悪くならない企業を探した」
・・・ここまでが、当時の私のメモです。
私はいまは、ビジネスサイドにいますが、視座としては、アカデミアとビジネスセクターの中間ぐらいに私の視座があるのだと思います。既存の枠組みからいえば、「ハンパな位置」と表現される視座ですが、私の提供するものにとっては、「必要な位置」なんだろう、とおもいます。
思えば、この本を読んでいた当時、私は、技術経営戦略の研究者(博士課程の学生)でしたが、「アカデミア」の位置にありながらも、視座は「アカデミア」と「ビジネスセクター」の中間的な視座でした。当時の学会発表資料などに、その痕跡が見られます。博士コースの前に、商社に務めていた、というのも視座の醸成に大きく影響しているとおもいます。
この本をよんだ2005年の少し後、私は工学部のMOTの博士課程を休学して、産学連携のフェロー(某機関の3年限定の職員)になっています。単位については、博論を除けば、ほぼを取っていたのですが、よりイノベーションの現場で学びたいと思い、休学に踏み切ったのでした。
その後、某期間のフェローを任期満了で終えて、大学に戻るときには、現在の専門分野に近い内容をディスカッション出来る教授のもとに転科(工学部→経済学部)します。その先生がたまたま経済学部にいらしたので、経済学部の博士コースに、といった次第です。)
当時読んだ本で見えていた「世界」に対して、今の私は、まだまだ、ふもとで行ったり来たり、うろうろと、しているんだなぁと、”今”を思うのでした。
本をひらくと目に入るこの言葉は、金言、だとおもいます。
「自分たちが分かる事業を、やたら広げずに、
愚直に、真面目に
自分たちの頭できちんと考え抜き、
情熱をもって取り組んでいる企業」
身の丈に合った挑戦を、ずっと続けていく日々を、これからも
つづけていこう、と、当時のメモを見て思うのでした。