2006年12月30日

「なぜそれをしたいのか」と「何があなたを制止するのか」

アイデア出しにおいて、「適切に問題を設定する」ということが実はとても重要です。

創造的問題解決―なぜ問題が解決できないのか?のP30に、興味深い記述があります。「問題の根源をつきとめるのを助けるシンプルなツールがある。一見込み入っているように見えても、実際には2つのシンプルな質問で構成されることが多い。「なぜ」「何があなたを制止しているのか」」

それをもとに私なりに、問題の本質化手法を、言い換えてみました。
問題の本質化を行う際に、こうした考え方、ちょっと思い出してみてください。

なぜそれをしたいのか と 何があなたを制止するのか

取り組もうとしていること(目標、願い、挑戦)を書き出します。図のオレンジ色の玉が、その取り組もうとしているもの、です。

なぜそれをしたいのだろう。と問いかけます。すると相手(※)が、**だから、と答えます。繰り返します。なぜ**したいのだろう、と質問します。相手が○○だから、と答えます。これをどんどん繰り返していきます。モチベーションのベースのベースを明らかにしていくんですね。図では黄色い台座がそれです。どこまで、台座を掘り出すか、といえば、「より豊かな、充実した生活を過ごしたいから」まで、です。

※ここで出てくる「相手」は、自問自答するときは「自分」と読み替えます。

こうすると、取り組む際に、そもそもの根本的な目的に反した計画を立てることがなくなります。幸せになるために働いているのに、働くことを全うしていったら幸せでなくなった、なんてことがおきないように、モチベーションの基礎工事を行っておく感じです。

さて、それだけのやりたい、という気持ちがあっても、実際にはそう簡単に実現はしていないわけです。何の課題もなければすればいいだけ。現実には多くの問題があって、それを実現できていないわけです。

ここで、図で言うと、オレンジの玉が上昇しようとするのを、止めている抑制力が働いている、そんな感じです。重たいオモリがついています。これ、がちゃっと外せたらすっきりと玉は上昇し始めます。では、そのオモリと取り払うにはどうしたらいいか。それには、オモリの先のオモリ、一番下のオモリを外すことから取り組めばいい、ということです。いっぺんに全部を外すのはなかなかきつくて難しい。ならば、一つずつ、です。

このさきっちょのオモリを明らかにするのが「何があなたを制止するのか」という問いです。相手に問います。相手は□□だから、とこたえます。相手に問いかけます。「なにが、□□でない状態になるのを制止しているのか。」相手は△△だから、と答えます。相手に問います「なにが△△でない状態になるのを制止しているのか」。これを繰り返していくわけです。

阻害している要因の先っちょは、結構単純なようです。そこまでいけたら、問うのを終えます。


(こちらは抽象的だと分かりにくいですね。例。3キロダイエットをしたい。→なにがあなたのダイエットを阻止しているのか。→おいしいお菓子を売っているケーキ屋が通り道にあるから。→なにが、ケーキ屋の前をとおらないようにすることを阻害しているのか→バス停に行くにはその道しかないから→なにが、バス停に行くのにその道しかない状態を変えるのを阻止しているのか→家と最寄のバス停の位置は動かせないよ、、、だから?→なにが、バス停の位置を動かすのを阻害しているのか(違うバス停を使うのを阻害しているのか)→遠くて時間がかかるし疲れるから。、、、連なっているオモリのしたへしたへ、見ていく感じです。他に使えるバス停は遠すぎるので最寄のバス停を毎日使うが、その道中にすごくおいしいケーキ屋があってどうしてもかって食べてしまう。という記述がオモリの一連を表すことになります。ちなにみ、二番目の答えが「必ずどこかでケーキを買ってしまうから」と答えたならば、展開は変わります。何があなたがケーキを買わないようにするのを阻止しているのか。となり、それは、甘いものが食べたくなってしまうから。となり、なにが甘いものが食べたくなる状態を阻止しているのか。となるわけです。この辺まで来ると決して軽くはないですが、先っちょに近いですね。)

どのようにして実際に問題を探索し明確にするか」ということに悩んだらこれらのことを使ってみてください。


参考(引用)■

創造的問題解決―なぜ問題が解決できないのか? P30より、引用。

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問題の根源をつきとめるのを助けるシンプルなツールがある。
一見込み入っているように見えても、実際には2つのシンプルな質問で構成されることが多い。
「なぜ」「何があなたを制止しているのか」

(中略)全体を把握しようとするときには、このテクニックを使いなさい。


「なぜか」

1)あなたの意見表明や目標、願い、挑戦を書き出しなさい

2)「なぜ、自分はこの挑戦を解決したいのか」と自分に問い、自分にじっと耳を傾けなさい。

3)問題に関する意見表明を「その方法は・・・」「どうすれば・・・」で始まる文章にして言い換えなさい。そしてそれを書き出しなさい。

4)問題に関する新しい意見表明を取り上げ、「どうして自分は・・・したのか」を伴った「その方法は・・・」に置き換えなさい。
(例:「収益性を増す方法は」を「なぜ自分は収益性を増したいのか」に置き換えなさい)

5)そして「その方法は・・・」「どうすれば・・・」で始まるその問題に関する新しい意見表明に、新しい答え(反応)を言い直して入れなさい。そしてそれを書き出しなさい。

6)「より豊かな、充実した生活を過ごすには」というような1つの意見表明を得るまで、4)〜5)のステップを繰り返しなさい。この地点で、なぜかを問う必要がなくなる。


「何があなたを阻止しているのか」

7)オリジナルの意見表明に返り、「何がこの問題の解決をとめているのか。」と尋ねなさい。自分にじっと耳を傾けなさい。

8)この答えを「その方法は・・・」「どうすれば・・・」で始まるその問題に対する意見表明に言い換えなさい。

9)問題に対するその新しい意見表明を取り上げ、「あなたを阻止しているもの・・・」を伴った「その方法は・・・」「どうすれば・・・」の意見表明に置き換えなさい。
(例:「収益性を増す方法は」を「何が、私が収益性を増すのを増やしているのか」に置き換える)。自分にじっと耳を傾けなさい。

10)そして「その方法は・・・」「どうすれば・・・」で始まるその問題に関する新しい答え(反応)を言い直して入れなさい。そしてそれを書き出しなさい。

11)問題に関する意見表明が「あなたを阻止しているものは何か・・・」と問う必要がなくなるほどシンプルになるまで、9)〜10)のステップを繰り返しなさい。
(例:たとえば、私はどのようにして電話帳からある番号を見つけ出すことが出来るかのように、シンプルになるまで続ける)。
 この地点で、「あなたを阻止しているものは何か」と問う必要がなくなる。
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posted by 石井力重 at 06:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | アイデアの技法



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