アイデアマラソン
http://www.idea-marathon.net/
発想法の中でも、シンプルゆえにすぐに始められて、大量発想の基礎体力が付いていき(アイデアもストックできていき)、ずいぶんと昔からファンが年々増加している発想技法です。
アイデア出しの本に関する一つの傾向として、栄枯盛衰、があります。一時はやり、そのうち廃れる。しかし、アイデアマラソンは、そういうものとは違ったテイストがあります。昔から知っている人は知っている樋口先生のアイデアマラソンは、定期的に本も出ていて、産業界への普及もトピックスが常にあります。数年前に、ジャパネットたかたさんへの導入という記事もありました(こんなふうに楽しそうにされていますね。)
その樋口先生がわざわざお電話をしてきて下さったのは、アイデア・スイッチを買って読んでくださって、その感想をおっしゃって下さったのでした。「面白かったですよ」と、おっしゃっていただいた言葉はずいぶん、励みになりました。
その時に、少し会話をさせていただいて、アイデアマラソンに近い私のカード・メソッドを、当初は原稿に入れていたのですが、それをカットしたことを思い出しました。本のコンセプトに外れるものを、ある段階で大きく削ったのですが(5章の本ですが最大で原稿は13章ありました)、その中にあった、「書いていく」ことの重要性と実践テクニックについては、どこかでまた、形にしたいなぁと思いました。
余談:
ここからは、創造工学の研究者としての考察です。長く、細かい話に、なります。
創造工学のことを研究する身として各種の発想法をみると、各創造技法・発想法を集約すると、一定の本質的ないくつかの核があり、それを、実践行動ベースに具体手法化し、様々なものが時代ごとに登場している、と思います。
メソッドは、実践レベルに落とすとどうしても、社会環境やユーザのライフ・オフィススタイルが変化して、しだいに古くなる、という宿命があるようです。
アイデア・スイッチも、創造工学の本質に近い章(2章の発想トリガー、4章のブレインストーミング)などは、良いとしても、ネットを使う発想手法である1章などは、10年後に古臭くないか?といわれたら、ノーとは言えないと思います。
もっと踏み込んでいうと、ネットや社会的な知のインフラを使う発想要素、と、人間の知の特性を使う発想要素の、混合割合が、人より、のものほど、技法としての有効寿命が長いといえるでしょう。
アイデアマラソンは、というと、人より、の割合が高い技法だとおもおもいます。道具を選ばずに実施できて、100年たっても、福るなっていない技法でしょう。(もしかしたら、デバイスへのインプット技術の向上で、考えるだけで、文字がテキストデータになる時代が来るかもしれません。その社会環境かでも、アイデアマラソンという基本概念は有効です。)
一方で現代社会向きだと思うのは、ステップが非常にシンプルだということです。私のことで言うと、できるだけアイデア創出の技術を講義する時に、3ステップ以内に収まるようにしています。複雑なことは忙しい時に使いにくい。激務の現場では、シンプルな道具しかつかわれない、ですから。そういう、ステップがシンプル、という点でも、アイデアマラソンは優れています。思いついたアイデアを書く。これが基本的行動。もっとも簡単にやりたい人はそれだけでいいので、しごく簡単にはじめられます。
アイデアマラソン的な「思考のアウトプット&蓄積」という行為の継続は2つの面があります。アイデアの瞬発力が鍛えられていくという点と、過去の自分とのブレインストーミングがなりたつ、ということです。
毎日走り込みをすると、筋力が付くように、毎日アイデア出しをすると、発想したいときにしやすくなります。
また、本や原稿的なものを書く人は、切実に実感することに「アイデアが既に出ている」ことのありがたさ、があります。それ自体は、そのまま使えないアイデアであっても、そのアイデアを刺激に、アイデアを広げることができます。蓄積された自分のアイデア集とは、ブレインストーミングが成り立つ、というのは、いろんな人が、異なる表現で書いています。豆にブログを書く人、メールでアイデアをよく発信する人、は、そういう体験を大なり小なりしています。
そういうわけで、継続的なアウトプットとそれを蓄積する、というプロセスを継続し続ける発想スタイルは、とても質がいいと思うのです。
アイデア:
たとえば、今は、オーディオブック、がありますが、それに近い技法があってもいいかもしれませんね。
ボイスメモでアイデアを吹き込む
↓
ナンバー(の音声)が自動で付与される
↓
考えながらしゃべるので空白が多いが、それは自動カットしてくれる。あー、とか、えー、もカット。
通勤電車や、車での長距離移動の際に再生。
↓
アイデアは「ランダム再生」と「類似再生」
(類似は、音声認識ソフトが、自動タグ。関連の高いものがならぶ)
↓
音声は、1.5倍速ぐらいで、早くすすむ。
こういう運用の仕組みが付与されて、
体験自体をデザインしたアイテムがあれば、
ボイス・アイデアマラソン、もあり得るのかなぁと思います。
現在の主なボイスメモでは、話したままを、そのまま直線的に同じ時間をかけて再生するので、刺激が増幅しにくいです。というのも、肉体を使ってインプット・アウトプットする速度は、一般に、人間の思考する速度よりも遅い。そのため、もっと、再インプットする時に速度が上がるようにしたほうが、刺激が刺激的になる(表現が変ですが、そういうことです)。書きものの場合は、視覚的に速度はすきなだけ加速できますからね。)
ジャスト・アイデアですが、iPhoneみたいなデバイスを前提に、
傾けるとそれだけ、倍速の速度があがり、
次々と早く送りたい時に便利なデバイスだと、いいかも知れません。
画面デザインは、ビーカーに音が注がれていて、
傾けるほど、早く音が出る、というものがいいかなぁと。
どなたか、こういうアプリ、作りれません?
僕は、2000円ぐらいのアプリなら欲しいです。
創造学会の会員が数百名で、たぶん国内の創造の為の道具が
欲しい人の規模は、その10倍以上、100倍未満だと思いますので、
数千名〜数万人、ぐらいが国内市場の規模感かと。
2,000円×10,000=2千万円。
全部その市場をとれないとしても、小規模開発の方なら
採算ベースに合うようには、できるとおもうんです。
脱線が長くなりました。
アイデアマラソンが長く愛される理由を考えてみると、そこにも、いろいろと発想支援の新製品アイデアが、感じられるのでした。