2009年08月12日

アイデアの処理法を持っていますか?

独創的なアイデアを出すには、先に、平凡な、常識的な、アイデアを出し尽くす必要があります。心理学の中でもある程度、そうしたことが古くから知られています。発想技法の専門家でも、別の言葉で同党の考えを提示していたりします。


すごく簡単化して言うと、
ブレストで出てくるアイデアのうち、
前半2/3は、平凡なアイデアです。
新しさや目覚ましい有益性のないものが出ます。
(実は、それは荒っぽいモデルです。本当はスタート直後にも
 ピークがあらわれます)

出しつくしてしまってそこから続ける「後半1/3」は、
独創的なアイデアが出ます。


この時に難しいのは、
出てきたアイデアリストを、「うまく処理できない」で
いたずらに検討会議時間をつぶして、なにも得られない
(あるいは、出てきたアイデアをただリストにしただけの
 活用に困るリストができて終わるだけ)状態になりがちです。


独創的なアイデアを見つけるには、たくさんださねばならない。
しかし、たくさん出すと収拾がつかない。

さて、こまりました。と。

ここには、本当は、次の大事な作業があります。
アイデアの処理方法、もうすこしキチンというと
「アイデアの収束手法」が、創造工学的には、あるのです。



かなりハイレベルの方法・プロセスもあれば、
かなりシンプルで直観的にさっとやれる方法もあります。


本当は、この部分も、アイデアスイッチに入れたかったのですが、
本を書いてみてわかったのですが、読者の多くない専門ノウハウは
商業出版に乗ってこない、ということです。

アイデア出しに困る人を100としたら
アイデアを絞ることに困る人は1です。

だから、本にならない(なりにくい)。

でも、創造技法の専門家たちは、かなり確立した
アイデア収束技法を持っています。

この辺は、ワークショップや講演などで
対面で習う機会だけが、提供されているのが現状です。

さて、脱線はここまで。

アイデアの収束方法を、もっていると、
早く独創フェーズにたどりつき、その中から質の高いものを
効率的に抽出することができます。

はじめから、「独創的なものだけ、出そう」としている脳の
活動よりも、はるかに、思考負荷はすくなく、参加者のストレスも
軽いものです。

具体的には、もっとも、お勧めしたいのは「ハイライト法」です。

これは、CPS(クリエイティブ・プロブレム・ソルビング)の中の技法です。(CPSは、オズボーンの系譜の創造技法で、創造工学の範疇に含まれるものの一つ)


「魅力度」で、直感的に、アイデアを評価して、多人数の評価が集積することで、アイデアの質を可視化します。

100個なりのアイデア、全員が目を通し、各人がペンを持って「面白い」あるいは「広がる可能性がある」と感じるものに、星印を付けます。いくつ付けても構いません。(ただし、1つのアイデアに1人がつけられる星は1つまで。三ツ星、とかはNG)。

ブレストに参加した人(たとえば6人、であるとしてて、)全員が☆をつけておわると、あるアイデアには、最大で☆が6つ付きます。☆6つがない場合でも、5つ、4つあたりは必ずあります。そして☆が3個2個、☆が1個、というものがあります。

☆が1つもない、というのもでます。

おもしろいことに、大体どういうブレストの状況でも、星は全体のアイデアの2〜3割に集中する傾向があります。たまに、4〜5割に届くこともありますが、それでも50%なわけです。

その☆のないものはこの段階で「お蔵入りボックス」へ入れます。別のブレストの時にアイデアの材料としてお使い下さい、といいながらしまいます。

のこった星のついたアイデア(もしこの時にアイデアが多すぎるならば、星1個を、さらに外します。これを外すと一気に、2〜3割まで絞られます)

このようにして得られたアイデアは「人が直感的に、おもしろいな」「いろいろ使えそうだな」と思えるアイデアになっている可能性が高いものです。

この段階からKJ法に入ると、質の高いアイデアの統合なので、えられるアイデアリスト(だいたい3〜7つのアイデアになる)はかなり質の高いアイデアリストです。

この中でベストアイデアを選んで、アイデア創出会議は終えて、検証プロセスにそれを進めます。

(時間にして、私の創造工学ワークショップの場合では、6人で100以上のアイデアだし=20分、ハイライト法(☆つけ)=5分、ハイライト法(アイデアの統合作業)=10分、合計で35分ぐらいです。ところどころに説明が入るので、プラス10分ぐらいで、45分ぐらいでしょう。あとは、アイデア出しのテーマ設定作業から行う時には、大体6分ぐらいかかります。それらの一式を行うと、51分ぐらいです。)


アイデアの処理法がない会議では、膨大なアイデアを前に「判断するにも曖昧すぎるコンセプト」をどう扱っていいか、いたずらに時間をかけて、皆が不完全燃焼で会議がタイムアップになります。

なんとなくアイデアを出してみた。そして、さて、どれやりましょうか。とどことなく頼りない判断作業を延々おこなって、60分の会議時間がすぎて、タイムアップ。議長が後はまとめておきます、といい皆は解散。半端な状態のアイデアの評価作業の書かれたホワイトボードをどうまとめようかと、悩ましい議長が一人残される。そういうことが、よくあります。

それは、議長の能力が足りないわけでもなく、メンバーがやる気がないわけでもないのです。創造的思考には、ある程度、傾向とか特性があります。たとえば、「創造的退行」とよばれるものがありますが、そういったものを活用するには、ブレストのテイストは有効であったりしますし、ブレストの4つの阻害要因、というものが知られていますが、ただブレストを信じてやってみようとしても、さまざまに「人が集まり作業することによって自然と発生するある種の阻害要因」が邪魔します。

それらはちょっとした、会議プロセスのデザインをつけるだけで、創造技法のプロでなくても、うまく迂回して速くゴールまでたどり着けます。そういうことを、参画しながら行ったり、講演やワークショップの場に呼ばれておこなったり私はしていますが、ほとんどの人には、高い創造能力があります。ちょっとした手順をしるだけで、知らなかった時よりははるかに、創造的思考は、活用できるようになる、と体感的に思います。

長くなりましたが、アイデアの処理法は、独創的アイデアの効率的な獲得にはとても有効であり、それは必ずしも、たいそうな作業は必要としていないんです。

もっと多くの人が、自分の持っている創造的な力を使えるようになれれば、と思います。できれば、将来、(かなり商業出版的には苦しいとしても)そういう「アイデアの処理法」についての本の執筆にもトライしてみたいと思います。


【参考:ブレイン・ライティング・シート】
posted by 石井力重 at 17:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | アイデアの技法



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