【1】1秒間に、話せる早さ
昨年、元アナウンサーの方にボイストレーニングをしてもらいました。その時に「しゃべることのできる早さは、どのくらいか?」というトピックがありました。
私は「1.2文字ぐらいでしょうか?」と答えました。正解はそれよりもずっと多くて「1秒7文字」とのこと。”5秒あれば、これぐらいの文章が話せます”といって、彼女は番組のおわりにアナウンサーがまきではなすシメの挨拶を再現されました。秒速7文字よりも速い速度でした。プロはさておき、普通の人は滑舌に限界があるので、その水準は厳しいかもしれませんが、ひとつの目安として、面白い数字でした。
「人は、1秒で、7文字、話せる」
【2】1アイデアを述べるのにかかる時間
仕事柄、ブレストをたくさん観察します。大企業の企画部門やベンチャー、市民プロジェクト、公的機関の研修、などなど。その経験からわかることがあります。それは「1つのアイデアをのべるのにかかる時間は、大体20秒」と言うことです。
ホットなブレインストーミングがなされている場では、20分で60個ぐらいのアイデアが出ます。これは、途切れずにかなりたて続けに発言がなされている場の水準です。割り戻すと、1分で3アイデア。「アイデア1つ分の発言=20秒」という計算です。
ただしこれは目安です。これを上回る速度の事例も時折あります。例えば、ネーミングのアイデア、はもっと速い速度で提示されていきます。ただ、多くの場合のホットなブレストには、1アイデア=20秒、はアイデア創出量を見積もる一つの目安にはなるでしょう。
「人が、アイデアを1つ述べるには、20秒かかる」
【3】かけると、1アイデアの文字量は?
単純に上記の数字で計算すると、秒速7文字 × 20秒 = 140文字です。
「かなり速い速度でアイデアが出されていくブレストにおいて、1アイデアの説明に費やされる文字量は、140文字」
ただし、「秒速7文字」は平均的な人にはかなり早いので、上記は「上限値」とうけとめるべきかもしれません。
実際には「140文字」の0.7がけ、ぐらいが、妥当な水準かとおもいます。
(=>単純にかけると、98文字)
”ツイッターは、ホットに出し合うアイデアの表現量と、とても相性がいい。”
これが、しばらくツイッターを使ってみた感想です。
それはなんでだろうか?と考えていて、アイデアをめぐるいくつかの特性で「140文字」を照らしてみて、このブログを書いてみました。
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…ここで、終えようと思いましたが、すこし、追記を。
今、書きながら思い浮かんだことを、未整理なままに、もうすこしだけ、記してみます。
[追記1]
ホワイトボードとか、ポストイットに書かれるものは、アイデアをヘッドライン化したもの。
なので、もっと短い。
だいたい、単語(3文字)〜ショートフレーズ(十数文字)。
平均すると、かかれる段階でのアイデアの文字量は、約「10文字」。
これを、しゃべりの文字量、98〜140文字で割ると…
「しゃべり言葉の7〜10%が、書きとめられていく」
という割合のようです。
7%=10文字/140文字 10%=10文字/98文字
「しゃべって伝えたアイデアの10%の文字量が、そのアイデアのシンボルとして、記録されたり、伝搬される。」と。
これが、しゃべりと、書き留められているものの、ざっくりとした関係かと。
[追記2]
とても荒っぽいモデル(アブダクティブな推論)ですが、以下のような感じになっているのかな、とおもいました。
『言葉の中に10%ぐらいのレイトで、切り出されやすい”小さい塊”を入れておく』と遠くまで伝搬する。
遠くまで伝搬すると、発言の周辺を知らない受け取り手によってその言葉の「圧縮ファイルの解凍」のようなことがなされる。
伝搬して行ってもボケない(正しく解凍される言葉)は『レーザービームのような言葉』。これを紡ぎ出せると、残る言葉になるのかも。
[追記3]
(蛇足的なメモ。研究主題に関係ないですが。ツイッターのあちこちで見られる緩やかな参加者構成によるほっとなブレストを、抽出して、平均文字量を計算すると、98文字プラスマイナス10%ぐらいになるのではないだろうか。どうかな、ちがうかも。)