2010年09月24日

用途アイデアを発想する技術

久々に、アイデアの技法を紹介します。



以下の内容がPDFでダウンロードできます。

用途アイデアを発想する技術




用途アイデアを発想する技術

自身のもつ技術や、自社の製造する素材に新しい用途を考え出す。業界に登場した新しい技術や新素材の用途を考え出す。こうした際に効果的にアイデアを創出することが出来れば、付加価値の高いビジネスを生み出せる可能性が高くなります。

技術と素材は、形の無いものと形のあるものであり大きく異なりますが、用途アイデアを発想するアプローチは同じです。普段は無意識にしているそれを、いつでも、確実に出来るようにしてみます。

ステップは2つです。

ステップ1「素材・技術」→「もっと○○できる」
ステップ2「もっと○○できる」→「潜在ユーザ・用途」

この2段階に分けて発想する。簡単に言うとそれだけです。この構造は、アカデミックな新技術を用いて新市場を作り出す場合にもよく使われています。この方式のよいところは、ステップ1と2を分けて行うことで考えやすくなり、アイデアを非常に多く得ることが出来ます。また、複数人でアイデア出しを行う場合にも有効です。メンバーの中に、テクノロジー側の人材、ビジネス側の人材がいた場合、アイデアを出しているレイヤーが違っていてかみ合わないことがよくありますが、二段階に分けて発想することでメンバーがもつ知識や着想を効果的に掛け合わせることができます。

詳しく方法を解説します。


ステップ1「素材・技術」→「もっと○○できる」

まず素材や技術(あるいは、設備など、自社の資源)の名称を具体的に書きます。それが、大きく異なるものをいくつかのものを含んでいる場合、要素に分解して、その一つを書くようにします。(発想するときには具体的なものの方が発想しやすいという特性があります)

次にそれがあると「もっと○○できる」というものを列挙します。このとき、世界で一番である必要は無く、業界平均に比べて勝っていればOK、というぐらいにハードルを下げると、沢山書き出せます。書き出す時は「○○できる」もしくは「○○」と書きます。(これは、素材や技術の持つ「機能」や「便益」を書き出すことをしています。)

似たようなものも沢山でますし、上位概念や具体的なものも出ますが、気にせず列挙していきます。通常ここは、素材や技術に詳しいテクノロジー側の人材が沢山発言します。


なお、この部分は、各人が「マンダラート」や「マインドマップ」を使って拡げるのも良い方法です。アイデアを拡げるときに、発想を強制的に引き出す力を使うノート記法の一つです。


ここからは、複数人で行っているか、一人で行っているかで分岐します。

【メンバーが複数人いる場合】

そして、複数人がいる場合は「ハイライト法」をします。メンバー全員がペンを持ち、リストを見てゆき、「“面白い”もしくは“広がる可能性がある”と感じるもの」に「☆」をつけていきます。皆が独自の判断でつけた後、星の多い順に並べます。

次のステップで、コンパクトに実施したい場合は「☆の多いもの上位5つ」だけを取り上げて、次のステップに進みます。

もし十分に時間がとれるならば「☆のついたもの全て」を取り上げ、似たものをグループ化します。その際にグループ内で☆の多いものを中心にしてカテゴリーを作るようにします。(グループ化すると一般に表現は抽象化していく傾向がありますが、それを回避することができます)

【1人で行っている場合】

一人しかいない場合は、「“面白い”もしくは“広がる可能性がある”と感じるもの」に☆をつけ、星の着いたものを簡単にグループ化しておきます。次のステップでコンパクトに実施したい場合は、その中でも特に取り上げたい5つを選び、次のステップに進めます。


ステップ2「もっと○○できる」→「潜在ユーザ・用途」

説明の簡略化のために「○○できる(1)」〜「○○できる(5)」を取り上げたというケースで話を進めます。

もっと「○○できる(1)」。もしこれがあると、どういう困りごとを解消できるか。どういうことに使えるか。これを考えて書き出します。

なお、漠然として上手く考えられないときは、「○○できる(1)」と「○○できる(2)」など、2つの「できる」から考えます。より強みの活かしやすい用途を想起でます。

なお、ニッチな用途でよいので、できるだけ、具体的な用途を書き出します。書き出すときは、有益さや実現性の程度の判断は後回しにして出します。似たものや上位概念の案もでますが、統合せずに書きます。


ここからは、複数人で行っているか、一人で行っているかで分岐します。

【メンバーが複数人いる場合】

なお、上記の部分で、ブレインライティングを用いると、沢山のアイデアを引き出せます。

アイデアを沢山出した上で、ハイライト法を行い上位のものを可視化します。上位案について、簡単なブレストをすると、アイデアをぐっと具体的にすることができます。

ブレストの後、各々、有望な用途を「アイデア・スケッチ」形式で書きます。A4の紙を横に使い「ヘッドライン化したアイデア」+「補足・詳細、3行」を書き出します。目安は5分で3枚ぐらい。

これをさらにハイライト法をして、星の多い順に並べます。上位のアイデアについてレビューを行います。

【1人で行っている場合】

一人の場合は、“強み発想matrix”をつかうと、強制的に発想を拡げることができます。縦と横に「○○できる(1)」〜「○○できる(5)」をいれて、対角線より下半分を斜線で消しこみます。そして、縦(2)横(4)のセルならば、「○○できる(2)」かつ「○○できる(4)」という2つの特長から用途を発想します。全てのマスに対してアイデアを考えるようにすることで、多様な発想が得られます。

アイデアを沢山出した後にハイライト法を行い、☆の着いたものをいくつかピックアップしてアイデアスケッチにします。


補足:

なお、用途アイデアとしての可能性をざっと検証するには、「アイデアスケッチ」をもって、まず身内など聞きやすい人にヒアリングをします。次に知人で、想定するユーザ像に近い人にヒアリングします。具体的な声は、机上で初期段階のアイデアをブラッシュアップするよりも、ずっと効果があります。

その際、「○○できる」リストは、参考情報としてもっておき、適宜見てもらうと、意外な用途アイデアをもらえることもあります。
posted by 石井力重 at 06:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | アイデアの技法



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