2010年12月22日

サービス開発プロジェクト、3期

12月14日、サービス開発プロジェクトの3期の場で、アイデア創出のワークを行ってきました。

このプロジェクトは、サービス事業などで起業や事業革新を目指す人々が半年かけてプランを切磋琢磨していく、公的機関の提供する起業家育成プログラムの一つです。10月から翌年3月まで毎月一回実施され、12月14日は、第3回目です。私は講師を仰せつかっていて、この第3回目からの参画となりました。

この日の内容は、アイデア創出です。

それぞれに事業に応募する時点でアイデアをお持ちでした。プランレベルまで上げている方もいらっしゃいましたし、まだまだ幅広くアイデアの可能性を拡げようとしている方もいらっしゃいました。

今回は、グランドデザインを行っている先生から「とにかく、選択肢をたくさん手に入れる時間にしたい」ということでしたので、ペア・ブレスト、一人でブレスト、グループでブレスト、を織り交ぜて、アイデアをこの半日で可能な限り拡げるワークをしました。


アイデアワークの構成
━━━━━━━━━━━━━━━━━
  1. ペア・アイデア出し(スピードストーミング)(30)
  2. 発想トリガー・ボード(はちのすボード)(10)
  3. グループでアイデア出し(ブレインライティング)(45×3)
  4. アイデア発想技法を一挙に紹介(0〜15)


ちなみに今回のテーマは、各自やりたいの新事業アイデア、にしました。

ishiirikie_blog_skpスライド8.jpg

通常では、こういう「自分の個別テーマ」を行うことは少なく、たいていは、全体で同じテーマか、あるいは、グループで共有できる共通テーマにするのですが、今日はプログラムの意味と、メンバーの能力を見て、そう設定しました。

このメンバーは、ずっと一緒にレクチャーを受けていているので、アイスブレイクが必要なく、また、お互いにアイデアをコメントしあるような、経営やビジネスに関する高い能力をお持ちの方が多いので、すぐに、スピードストーミングに入りました。

ishiirikie_blog_skpスライド9.jpg

スピードストーミング。これは、やる前には「本当にうまくいくのかなぁ」と事務局の方が心配されることが多い割に、いざやってみると「いいですね、これ。こんど○○の場でもやってみよう」と言われることが多い手法です。MITの中で作られた新しいブレインストーミングの手法で、場の様子を見ながらこの手法もよく使っています。

ペアで5分ブレストして、時間が来たらペアを変えます。沢山のアイデアや観点が出ました。ちなみに「普段、あまり自分からはしゃべらない人同士が組んだ場合はどうなの?」と事務局さんが心配していましたが、実際にやってみて「なるほど」という反応に変わりました。大勢の中では積極的に発案をしない人同志がペアになった時には、はた目にはゆっくりに見えますが、当人同士は、自分のペースで自然に話せて、楽しんでブレストをし始めることがよく観察されます。

(余談、あるいは、自分メモ :この辺は、ブレインストーミングの効果実験をまたやるような環境があったら、個別の感想や心理状態の変遷などを調べてみたいと思うところでもあります。)

他の花の花粉をもらう作業、というのが、このワークの本質を一言で表していると、私は思います。


次は、発想トリガーボードです。一人で自分の内面とブレストをする、ということをします。

ishiirikie_blog_skpスライド10.jpg

各起業家さんの中に、これまでやろうと思っていたこと、今ディスカッションして、思いかび始めていたことなどがたくさんあります。この発想トリガーボードの46のフレーズは、人がアイデアと考えるときの観点を全方向から問いかけるようなものになっています。たとえば
  • 何か他の目的と一緒にやる
  • 出来るだけ音を変える
  • 何かを省いて簡単にする
  • 出来るだけ頻度を多くする
など、自分のプランに対して、発想のパターンを問いかけることで、明確に、醸成していた案を引っ張り出していくことができます。

このワークは、8分もしくは10分ぐらいでやるのがコツです。初めから15分、というよりも、計画的に延長する「まず8分、後でプラス7分」スタイルで実施します。

例えば「30分あるので、全部(46個)を埋めましょう」というやり方だとあまり良い案が出ません。8分ぐらいの短時間でやって、その瞬発力で発想が出始めて波に乗っていれば、もう5分〜7分ほど、みなさんの希望を聞いて延長する方式が効果的です。時間管理の点で、伸ばすぐらいなら初めから長くとったらどうか、と当初は、考えていたのですが、初めから長い時間があると、イマジネーションのエンジンがかかる具合がどうも違うようなのです。

(私見、あるいは、自分メモ :この辺は、かなりいろいろ、実験を行いたいところでもあります。創造学会の過去の文献などは非常に入手しにくいので、先行研究が埋もれがちですが、きっと関連した何かに光を当てて実験があるでしょう。また、現代の環境を生かして、ある時点でいろいろ、試してみたいと思っています。)

起業家さんは、これまでの自分の案を強制的に広げたアイデアをこのパートでたくさん出ています。

私が自分で、やってみたものを一つサンプルとして、つけておきます。

 はちのすボードでの発想事例:「ブレスト飲み会キッド(プラン)」 
 はちのすボード_発想事例1.pdf
  • 材料を変える 
    → 食べられるポストイット
  • できるだけ音を変える 
    → ヘリウムガスでボイスチェンジ会話
  • 何かを省略する 
    → メニューがない。ブレスト1つできるとランダムに、メニューから一つセレクトされる(ミステリ飲み会)

通常のアイデアワークショップでは、この辺で、「体験してもらい技法が身についた」ところで、完了なのですが、このプログラムでは、実際に半年後に創造的なプランを発表する、というリアルなアウトプットをする場なので、もう一段階、アイデアを創出するワークを入れました。

ブレインライティングです。

ishiirikie_blog_skpスライド11.jpg

ブレインライティングは、西ドイツのホリゲルによって開発された、黙ったまま行うブレインストーミングです。黙ったままで行うのですが、メンバーの発想を相互刺激にしながら発想できる、面白い方法です。そして生産性がMAXである点と、アイデアが紙に残るのも大きな利点です。

私たちのチーム(アイデアプラント)では、ブレインライティングシート2、というカード状に切り離せるA3の腰のあるシートを作っています。個人で買うには高いと思いますが、アイデアだしが楽しくなるように、様々な工夫を盛り込んであるシートです。今回はこのシートを用いました。

即興で、突然ブレインライティングをやるときには、A3の白紙をくばって升目を手で書いてもらってやることもあります。それで充分なのですが、そのあとのアイデアを切り離すワークが非常に短時間ででき、きれいにカードがそろうことが、メンバーの推進力の醸成と維持につながるので、事務局に了解してモラル場合は、できる限りはブレインライティングシート2を使っています。(そして何より、後で、スキャンスナップに通すのが楽です。)

また、ブレインライティングは、5分の間に、シートの上に3つアイデアを書いたら左隣に回す、回ってきたシートにまた3つ書いて回す、ということを6行目まで繰り返す手法です。6人で行えば108個のアイデアが出ます。途中で止めたりしなければ30分でそれだけのアイデアが得られます。

そのあとは、ハイライト法を行います。面白い、広がる可能性がある、と思うアイデアに☆をつけて回します。すると、☆が集まるアイデアが可視化できます。上位のアイデアを短時間でさっと可視化することができ、レビューに便利、で、かつ、その後の活用が容易になります。

このブレインライティング(&ハイライト法)のパートは、昨年の2期の時には、全員のテーマを、順に行ったのですが、今年は、3期生と、1,2期生の混合メンバーでしたので、3期生のテーマだけを発想のテーマにして、5人3チームで、3度ほど行いました。ブレインライティングは一回が30分ぐらいなので、みなさんは合計で2時間弱、ブレインライティングを行いました。(ちなみに、昨年の経験から、ブレインライティングを、連続して行うのは3回が限度だとわかりました)。ブレインライティングを、続けて3回もやる、というのは、通常の場では見られない、かなり特殊なケースで、私もこのサービス開発プロジェクトでだけ行う特殊事例です。全員が起業家で、意欲も能力も高い、という特殊な環境下なければ、ここまではできないと思われます。


なお、ブレインライティング中には、時折止めて、アイデア創出のコツや、ブレストのルールの根底にあるもの、をお話しています。それには2つの意味があります。一つは頭を休めてもらうこと、もうひとつは、創造的な考え方のガイドも、この時間で学習して使えるようになってもらうこと、です。


以上が、この日のアイデアワークでした。

10時から初めて、14時45分まで(途中、昼休みは1時間)、合計で3時間45分のアイデアワークでした。

これだけ長い時間、アイデアを出し続けるというのは非常に脳がつかれるはずですが、みなさん、最後まで良いアイデアを出されていました。

サービス開発プロジェクトの3期は、1月、2月と続きます。3月には一般公開のプラン発表会があります。そこに来る未来のビジネスパートナーに、できるだけ魅力的な具体的なプランを示せるように、私も講師として微力ながら全力でお手伝いします。皆さんの事業発展を通じてより良い地域社会ができることを、お祈りしております。



― ― ―

使用したアイデア道具

はちのすボード A1

ブレイン・ライティング・シート2





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