余震と停電が続く中で、鞄の中にあったたくさんのラベルを最初にはったのは、多分、携帯電話にでした。今回はその話を紹介します。
いずれ電池が切れて、公衆電話に切り替えなきゃいけなくなる。その時までに、携帯の中の必須番号を書き出して貼らなきゃ、というのが最初の考えでした。(でもそれは、あまりうまく行きませんでした。結局のところほとんどの番号は、かけてもつながらず、発信すら本当にたまにしかできませんでしたし)
では、携帯はいらないか、というと、急場をしのぐ意味で2つの用途がありました。「ライト」と「テレビ」の2つです。停電は三日にわたり、トイレに行くのにもライトがありませんでした。また、余震に備えたり原発の事故規模によっては脱出に備えなくては、ということで、暗闇の中で小さな画面をみんなで見ていました。
そうなってくると、通話機能はあきらめるとしても充電が重要で、数日たつと電気のありそうなところへ歩いて行って充電する、ということを試みました。その時にとても助かったのが、楽天イーグルスの球場での携帯充電サービスです。彼等だって被災しているのに、たぶんボランティアで夜遅くまで電気を提供していました。
そこには、沢山のテーブルタップがあり、携帯がすずなり状態で充電中でした。同じ機種もあり、取り違えないようにしないと、と思いました。特にその場を妻に頼んで他のことをしに行こうとすると、回収時に似た別のものを選んでしまう可能性もゼロではないな、と感じ、ラベルを貼りました。それだけでも十分に他のと区別がつきました。係りの方から受け取るときのことも考え、名前も書いておきました。(名前の書いてある携帯電話。。。ダサすぎて斬新です。でも、まあ、この環境下では体裁は気にしていらなれないなと。)

その後、ようやくいろんなところで、充電ができるようになりました。すると困ることがおこりました。「充電しながらトイレに行ってくるとか、近くで別のことをする」という時に、めったにつながらないのに、そういう時に限って、大事な電話がかかってきていたりするんです。相手は長蛇の列に並んで公衆電話を使ってかけたりしているケースもあり、貴重なコールです。なんとか出るようにしたい、と。
そこで、裏面にはメッセージを書いておきました。

「かかってきたら、電話に出てください」
お願いの文章が丁寧ではない・・・と我ながら思いますが、この面を上にして、そこを離れると、もし鳴ったら妻や知人なら電話に出てくれます。(なった時に近くにいるのが、まったく知らない人だとそうならないかもしれませんが。)
ちなみに、充電器はそういう場所では電話から外さないことが鉄則でした。自分のが分からなくなります。でも外れてしまうことにそなえて、充電器にもラベルを張ってみました。これは放熱の関係からいってあまり推奨できない、緊急措置ですが。
(電話のようなものの外側に、メモのスペースを付けることで、なにかプラスアルファの効用があるな、と今回思いました。この辺は、日常でもラベルを張ってみて、他にどんな用途やアイデアがあるか、を考えてみたいと思います。)
なお、「同じものがいっぱいある。それを区別する」という観点ではこの強粘着ポストイットは、とても役立ちました。同じ部屋に同じペットボトルが一杯あれば、飲みかけのものが誰のかわからなくなりますが、貼っておくと、誰のものかが一目瞭然です。また飲めない水を汲んでおいた空きペットボトルを誤飲することも避けられます(ラベルに、トイレ用、などと書いておきます)
