2011年04月18日

プランニングポーカーにみる曖昧を4択化する技術

プランニングポーカー(※1)。月曜日の早朝に一番に取りかかったことは、このカードを一時間かけて手作りすることでした。

【ノーマルセット】(※2)本来のセットで、かつ、フィボナッチ数列に入るカード
0,1,2,3,5,8,13

【extraセット】本来のセットで、かつ、フィボ・・・には入らないカード
1/2,20,40,100,∞,? (※3)

【石井仮説セット】2つ目のグループを外して、新たに追加したいカード
0.4,0.7,20,32,52,84 (20はダブりますが)


この【石井仮説セット】を考えた理由は、「61%の傘を着た見積もりアバウトさを数直線上に敷き詰めるならばこうなるはず」という二つ前のブログ内容に基づきます。あくまで仮説、なのですが。

そんなことを考えて、カードを手書きで作ってみていました。


次に、手で玩(もてあそ)んでみて、なるほど、と思いました。カードを厳密な法則で表示するよりも、認知上の負担が少なく何か楽しい作業ができそうなセット、というのはあるな、と思いました。

人間が一度に認知できる量から言えば、7枚位がちょうどいいな、とおもって、カードを減らしてみると、【ノーマルセット】になります。このカードセット、更によく見ると「中心は3である」ことも、うっすらわかりました。

見積もり時に、「作業ボリュームが中程度のものを3として他のものを見積もる」ということは、上側を見積もるときには「5,8,13」の3択だし、下側を見積もるときには「0,1,2」の三択。そうなるのか、と。しばし想像をめぐらせていました。

すると思い当たったのは、上側を見積もるときに、この範囲では窮屈な気がしました。だからやっぱり1つ上の「20」がいるだろうと。(感性的なものですが、”3”の四倍程度の数字で納まらず、”3”の七倍ぐらいの数字まで欲しい)

下側も、「0,1,2」はあまりに、”絶対感”が付きすぎる感じがします。やはり【extraセット】にある「1/2」がいるだろうと思いました。(感性的なものですが、”3”の三分の一倍程度の数字で納まらず、”3”の六分の一倍ぐらいの数字が含まれることになります。ゼロはニュアンスとして、0から0.5前での数字で半分よりも0寄りの数字なので、0.1とか0.2ぐらいまでを、誤差の傘として着ています。感覚ですが)

そんな感じで、まとめると、こう思いました。

1)使うカードのセットは以下が良さそう。

0,1/2,1,2,3,5,8,13,20

2)中間的作業をあてがうカードは3が良さそう。

中間的作業ボリュームのタスク = 3

3)見積もり作業は、実質的に4択であり、皆が参加できそうで良さそう。

中間的作業よりも多い作業を、セーノでカードを出すならば、それは、5〜20の4枚のいずれかを出すことになる。この4択の中であれば、直感で選んでもかなりの確度で正しいカードを出せるだろう。

(あるいは、5よりも3に近い、というケースは3が出されるかもしれない。また、ある人は内心、作業ボリュームを少なく見積もって2を出すかもしれない。それならそれで、違いについて議論ができる。)



なお、石井が当初、このカードの選択作業は「アンケートにおける7ポイントリッカートスケールに似たものがあるな、対数処理をすると」と思いましたが、上記の理由で、更に負担の少ない、3択もしくは4択の道具なのだと、今は思いました。


(余談過ぎる余談)

曖昧な物事を、選ぶ、評価する、という作業において、そこに、おもちゃのような「単純で、雑な扱いができて、複雑なものも生み出せるもの」を投入できると、すごく楽しいと思うのです。※4

しかもしびれたのは、この道具のシンプルさ。それでいて一ひねりが効いているところ。整数の集合であるようでいて「1/2」が出現するあたり、見た時点で、特殊さを想起されてしまいます。

もしかしたら、ですが、「曖昧な物事を扱う時に、単純な4択化する技術」には、結構な「知的ツール作成の未踏領域」があるのではないか。ふと、そんなことを思っていました。

・・・

※1 プランニングポーカー:書籍『アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~ http://amzn.to/gxHSfy 』に登場する開発作業の見積もりを皆でポーカーのように行うやり方。楽しい。皆の認識がずれていることを知り、ディスカッションを引き出すことができる。

※2 墨カッコ内はすべて石井が勝手に名付けたものです。

※3 【extraセット】には、「コーヒーカップ」という数字ですらないカードがあります。この遊び感も絶妙です。トランプのジョーカーともまた違った、特別感。これを誰かが出したら、まあコーヒーでも飲もう。日本語で書かれたブログには、このコーヒーカップの事がかかれているものが私は見つけられませんでしたが、英語で画像検索すると幾つか出ます。

※4 たとえば、私のチームの作った、アイデア収束ツール「IDEAVote(アイデアボート)」は、その一つで、アイデア評価時に”プリセットされた8軸”の中から軸をセレクトしてチップを投票していくテーブルゲーム形式の道具です。それもあって、こういう、何かを楽しく選択する技術、というのはすごく興味があります。或いは、CDCの業界に見られる「ValueCard」。人々の価値観という雲のようなもやっとしたものを言葉で話し合うのに、数十枚のカードをから自分の価値観に会うカードを選び出して並べていく使い方をします。これもまた、無限の自由度を有限のディスクリートな粒を用いて、概念的なことを見えるようにしていく補助道具です。

追記

iPhoneアプリにも、このカードがありました。無料のもの結構いいです。「Agile Planning Cards」が、マック風なUIでなかなかいいです。




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