2011年05月09日

遠隔地とつないでアイデアワークショップ

5ア月7日に、アイデアプラントとしては初の試みとなる、「遠隔地とネット回線で結んで行うワークショップ」を行いました。

これは、震災チャリティーのイベントとして、実現したものです。その点にクローズアップした話はまた、書きたいと思います。まずは、遠隔地とつないだワークショップを行ってみた報告から。

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拠点は2つ。講師がいる仙台(こちら側)と、参加者がいる東京(向う側)。

私の手元には、スカイプの動画を出しているMac Book Air(大上さんのマシン)と、スライドの操作に慣れているThinkPad(私のマシン)と、時計やらツイッターやらを確認している、iPad、それから、メモを取ったりするノートがあります。

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MBAの画面には、東京側の様子と自分の映像が右上に小さく出ています。基本的には、スカイプの動画機能と、画面共有機能を切り替えながら行います。(私が、Macのマウス操作に慣れていなかったので時々、間違いましたが、インターフェースになれるか、補助するフリップを作っておけばだれでもできそう、でした)

東京側は、PCとカメラとプロジェクタがありました。画面に映っているのは、東京側で運営をしてくださった矢吹さん(Lproの社長)。横を向いているのは、そちらに、スクリーンがあり、私の顔が写っているので、自然と向うは、横向きに。(この点は、参加者の方が、自然とスクリーン向きにしゃべってしまい、声の拾いにくさにつながりました。基本的には視線の誘導先にマイクがある方がいい、と気が付きました)

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仙台側は、マグネットデザインのオフィス(アイデアプラントの通町オフィスを置かせてもらっているオフィス)です。マグネットデザインの社長、大上さんが、機器の設営、画面切り替えの操作の補助、音声の調整、通話品質の悪くなる長時間スカイプの再起動などを、全部、サポートして砕いました。大上さんの見ているモニターも含めると、結構な数のモニターやマイクがここにはありました。

(多分、慣れれば、人は、一人で、PCは1台か2台で、今回の試みは、やれそうでした。)




スカイプの動画機能と、画面共有機能があれば、理論的には大丈夫のはずで、はじめてみたところ、予想外の出来事があったりしたのでメモします。

1)MBA(マックブックエア)のファンが最大速度で回転しっぱなしになった

スカイプを合計で4時間ぐらい使ってつなぎました。いつぐらいからだったか忘れましたが、少なくとも3時間当たりの時点では、ファンがずっとまわりっぱなしでした。ハードは最新のMBAです。普段はめったにファンは回ることがないそうです。ビデオ通話を長時間。これはかなりの負荷なんだなぁと大上さんと話していました。

2)こちらがしゃべると、向こうの音は途切れて聞こえた

電話のようなつもりで話してしまうと、向こうの話に、相づちを入れてしまうと、その数秒間のむこうの音声が消えてしまいました。質問タイムには、画面上でうなづくようにするだけにして、声を出してあいづちをうつのをやめました。この点は、ちょっと、何とかしたいところですが、うなづくしぐさをもっと表情豊かにして何とかしようかとも、思います。

3)向こうの場で音がたくさん発生していると、こちらの音は、向こうに届いていない

休憩時間の喧騒のなか、現地の運営サイドに、ちょっとした打ち合わせをしようとして、話しかけましたが、聞こえていないようでした。周囲がうるさいから相対的に聞こえなかった、というよりは、2)と同じ状況が向うでも発生したのだろうと思います。向こうが「音声インプット状態」にあるので、こちらからの声を拾わない(拾いにくい)状態になったのかと推察しました。

4)2時間を超えたあたりから、スカイプの通話品質が、劣化した

ワークショップを進めて、一度休憩を入れて、そろそろ、2時間が経過したあたりで、音が入りにくくなることが起こりました。この時には、一度スカイプを終了して、再度つなぎ直すことで改善しました。ハードの負荷もこのころから高くなっていたように思います。よく分かりませんが、可能ならば90分とかを限度に、再接続をするようにしたらいいのかもしれません。その場合、つなぐ簡単な作業を
できる人が、現地側にもいてもらう必要があります。

5)スカイプの画面共有機能で見せている時、パワーポイントの操作にちょっと違和感がある

スカイプの画面共有で、こちらのスライドを見せるのが一番、直観的でやりやすい進行でした。ただ、スライドを次に進めるときに、クリックしても反応がないな、ということがありました。これは、スカイプのモニター小窓が一番前に出てくる(パワポをスライド状態にしても、前に出てくる)ので、クリックをしたときに、そのスカイプへの操作とされてしまうことが原因の様でした。スライドを操作する時には一度、スライドの上をポイントして、そのうえで、クリックをする、というワンアクションが必要になりました。


この他、人間部分での、改善点も気が付きました。書いてみます。

A)手ごたえがないと、つい、前に出てしまう

音声品質が劣化した後、現地に伝わる私の声が、時々、ノイズのようにして、こちらに戻ってくることがありました。この音が出てくると。しゃべりにくくなって説明に集中しにくくなりました。そこで、数分のしゃべりの部分で、こちらのスピーカーをミュートしました。すると向うの様子が全く分からなくなり、手ごたえとなる反応がない(分からない)ので、普段の調子でつい、前に出て、更に大きい声でしゃべる、ということが自然と起きてしまいました。その時、現地では声が割れて厳しい状態であったと、数分後に、参加者の方のツイッターで確認して気が付きました。それからあとは、マイクに寄り過ぎず、声も抑えて話すようにしました。

B)自分の話し声がもどってくると、話者は話しにくくなる

スピーカーに出した音がマイクに拾われて戻ってきてしまう問題については、仙台側が、イヤホンマイクで音を拾うようにすることで幾分、落ち着きました。少なくとも、向こう側は自分たちの声がもどってくる状態はなくなったでしょう。体験してみて強く思ったのですが、自分の話した声が数秒遅れで聞こえてしまうと、話しにくいものです。

C)現地の機微がわからないと、臨機応変にプロセスを変えたり、説明を加えられない

参加者の層によっては、説明を省いたり、丁寧にしたり、高度な内容への言及をしたり。自然とそういうことを人はしています。遠隔で行った場合、現地の様子の機微がわからない(カメラに写っていないテーブルもある)ので、その点が、用意したプロセスの進行、のみになると気が付きました。かなり、進行プロセスは、ねられている必要があります。ただし複雑すぎると現地で進行できなくなるので、その辺は難しいトレードオフです。

D)現地で話されているアイデアの内容をとれない

現地のワークの内容を時おり、発表してもらうことで、どんなアイデアを出されているのかを拾えましたが、作業中の様子をさっと見たり、話されている内容を把握したりはできません。私は説明の合間に、誰かの出されたアイデアを引用しながら、次のステップを説明するタイプなので、それがないことで、どうも「流れをつかんで次の道を示す」ような感覚が持てずにいました。この点は、現地から様子を写真ととってもらい非公開の形でWEBにあげてもらいそれを見ておく方法があるかと思います。ネットにアップするスキャナも利用すれば、サンプル的に時々上げてもらえば、いいのかもしれません。





事前の準備が大きく役に立った点、もあります。


イ)予め説明動画を作る

今回は、インプット編として、特に長い語り部分があったので、事前に説明している様子とPC画面を動画で撮って、現地に送っていました。ワークの部分に入るとやや進行が複雑になるので、できる限り、通信回線を通しての進行説明でしたが、音声品質の悪化した後半にはまた動画をつかうことで、通信環境の劣化によらず音声を流すことができました。ただし、ワーク中の機微は反映できないという点もありますが。

ロ)印刷物や機器設定の事前準備

現地側で、会場を用意して、印刷物を用意して、通信方式の準備と事前チェックを複数方式で行う、という対応をしてくれる方がいたのでうまくいきました。この点は、現地にスカイプのできるPCだけをもってきて、さあ、やりましょう、というスタイルよりもずっと、良い環境で提供できました。

ハ)Twitterの情報交換

(事前準備、といえるかわかりませんが)ツイッターで現地に向けてコメントを送り、参加者からのツイートも見ていることで、現地からの情報をもらえて、軌道修正を何度かかけることができました。





実施していて感じたこと、「I wish(こうだったらいいのにな)」もあります。


α)副回線がほしい

一回線だと、会場にいる人全体に聞こえてしまう声で現地進行役と話すしかないので、ワーク中に、ちょっと進行を変更しようよ、という変更相談をさっとする時などに、これがあると便利。現地で進行がうまくいかない場合の相談なども、そっとできます。皆さんのワーク中に、わーわーと進行打ち合わせを大声でされたら、参加者にしてみれば迷惑な話ですから。

β)テキストベースで意思疎通できるデバイスを持ちたい

リスト機能をつかったツイッターでもいいのですが、テキストの方が伝えやすいこと(たとえば、数字とか、正確に伝えたいフレーズとか)などをやり取りしていける方法があるといいなと思いました。音声回線は負担が重いので、通信環境が一時的に悪化した時でも使える、軽く素早いコミュニケーションの道具がほしいなと。こちら側か、現地の運営側、どちらかはしゃべったり動いたりしているので、非同期コミュニケーションの方が、確実さもあり。

γ)現地のプロジェクターには今何が投影されているかを知りたい

現地で今何が投影されているのか、こちらの送っている画面は意図通りか、を知ることができるといいなと思いました。

δ)各テーブルで出ているアイデアを知りたい

理想は、テーブルにiPad2があって、フェイスタイムでつなげておければ、リアルタイムで様子をモニターできます。でも、これだと、会場のネット回線スピードをますますくってしまうので、きついかもしれませんね。時おり、ネットにアップするスタイルのスキャナーで共有できるといいなぁと思います。(いま、どうなっているのかを、固定カメラでは知る限界があります。理想としては、こちらのコントロールで自走してテーブルに寄ってくれるカメラロボットがあるといいのですが、それはさすがに、現実解ではないので、現実解として、iPad2の利用を考えていました)

η)受講者の「理解」「戸惑い」「満足」「スリープ」を知りたい

やることを理解した、やりことが分からず戸惑っている、というのは、現地にいればすぐにわかります。でも遠隔だと、受講者の発するボディーランゲージの意味を、現地の運営者は正しく取れない。そのコンテンツを初めて経験するのでその反応が正常か異常を知りえない。それをケアすることができればと思います。「理解」は、適した実践を通じて、「満足」になります。「戸惑い」は、そのまま押し切れば、興味を失い、学習から遠ざかる「スリープ」状態になります。これらを、標語っぽく「り・と・ま・す」と名づけました。このステータスを知るリトマス試験紙が、ほしいです。

補足)違和感なく、それを伝えるアイテムが作れたら、それは、遠隔ではないワークショップや講義などでも、講師側の話かたを改善する手助けになるでしょう。ここは、ちょっと、デザインの力で、どうにかしたい、取り組みテーマです。考えてみます。(昔から、友人たちとはそういう話をしていました。印刷できるポスト・イットラベルシールなどで、なにかできそうな気もします)

θ)名刺交換したい

遠隔で話した時でも、受講された方とは、人間的なつながりをしたい。と思いました。iPad2とかを現地においておいて、フェイスタイムで終了後の名刺交換もできたらいいなぁと思いました。名刺は一枚とってもらって、一枚箱に入れていただく、的な。



以上です。

年始に立てた目標の1つ「目標2:Distance」
http://ishiirikie.jpn.org/article/42343652.html
は、今回の震災という形で、奇妙にも実現しました。
今回の事は、できるだけ、ノウハウにして、多くの人の利用できるところまで昇華させてみたいとおもいました。

今回の場を下さった、大上さん(マグネットデザイン)、矢吹さん、さをんさん、上田さん(ラーニングプロセス)、そしてご参加いただいたみなさん、本当にありがとうございました。




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