創造工学の範疇に入る文献を読んでいると、各分野の面白い「発想トリガー」と出会うことがあります。
『新編 創造力事典』に登場するもので「コピーライターのチェックリスト」というものがあります。
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1.習慣や伝統、常態の逆を考える
2.特徴を新語・古語・奇想語で表現する
3.特徴が静的なら動的表現に直す
4.3の逆をする
5.特徴や商品の通常の配列を変える
6.特徴を次に結びつける
- 動き、肉体、力、重さ、エネルギー、味、色、臭い、温度、他
7.特徴を次に結びつける
8.特徴を次の状態に引き起こしで考える
9.特徴を次に関連させる
- 幸福、魔法、運命、名声、因果、火、水、神秘、土、宇宙、生命
10.特徴を次に結びつける
11.次の点より考える
- 成功、達成、幸運、名誉、感謝、不調和、歪曲、誇張、意外
12.特徴を擬化する
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『
新編 創造力事典
』によると、古い文献が引用元のようです。「ABW(アメリカ・ビジネス・ライティング協会)」という組織のもののようですが、うまくその元データを見つけることができませんでした。
発想力を引き出すトリガーとして、各分野ごとにまとめられた発想パターンが、次々発想を引き出すためのチェックリストの形(それを、発想トリガーと私は表現しています)は、実は結構あり、その代表格は、Aオズボーンのチェックリスト「SCAMPER」があります。
こういうトリガーを自分の領域に適用しようとすると、どうも「自分にとって関係なさそうな項目がある」一方で「自分はもっと細かくその辺について考えたいのに項目はすごく大くくり」だというものもあるでしょう。
オズボーンや何人かの発想技法の文献で大家が異口同音に述べるのは、「自分のリストを作る」という点です。リストは早く発想をすることを助けてくれますが、使っていって習熟したら、それでは発想の自由さの面で狭くなります。発想技法は論理や法律のナレッジとは違って「手法を遵守することはあまり重要ではない」し「自分に相性のいい発想技法があるし悪いものものある」という特徴があります。
リストも自分でくわえたり、細かくしたり、削ったりしながら、世界に一つだけの自分オリジナルのリストを持っている事、それを作っていく過程自体がかなりの発想力の肝要にもなるでしょう。人間は一度にたくさんの事を覚えて考えるのはある程度で限界があります。「短時間の中でいっぺんに考えられること」のスペックは人間である以上、多くの人はそんなに変わらないはずですが(例外として、サバン、のような方もいますが)、平時から自分の思考力を補う道具を自然と作っている人はいて、そういう人には、発想トリガーの「ジブンノモノ化」はぜひおすすめしたいところです。
ちなみに、発想トリガーセットを人のために作る私たち(アイデアプラント)の仕事の中で見つけた、幾つかのコツがあります。絶対のルールとは言えないしなぜそうなるのかは、明確な理由はわかりませんが、書きますとこうです。
1.一つのフレーズは20文字以内に
2.フレーズの総数は40〜50個に
3.発想を触発する表現で
4.含む内容を1つに絞り
5.出来ればアナログで使う
最後の5はやや無理やりです。iPadの中に入れた発想カードを使うこともありますが、持ち歩けワンタッチで開けるので、逆によかったりします。アナログっぽいデジタル機器も十分によい、と最近は思います。
posted by 石井力重 at 14:06
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アイデアの技法