プレゼンでは「世界で一番、強力な笛
が800メートルと言われています」ということをお伝えしたのですが、実物について、すこし紹介します。

取り寄せてみるとこんな感じ。

裏面に、諸注意が書いてあります。
意訳するとこうです
「この笛はとってもうるさい。
使い続けるとhearing loss(聴力低下)を起こすかも。ear protection(防音保護具)を使え。
絶対に、聞いている人の耳のすぐ近くで吹くな」
開封して、手に取ってみました。

大きいです。

手が大きいので写真ではそこそこの大きさに見えてしまいますが、ポケットに入れていると、”ちょっと邪魔だなぁ”という位の存在感があります。
部屋の中で、小さな音で吹いてみます。
「ぴっ」
最初の感想としては、そこまでのうるささではないな、という感じでした。
廊下に出て、思い切り吹きます。
「ピーッ」
耳がキーンとしました。
うまく説明できないのですが、大きなスピーカーから繰り出される物理的な音圧とは、また違った感じの「大きな音」です。これまでの人生で最も似たものを探すとすれば、、、そうですね、半端なく大きな悲鳴とか、壮絶な勢いで絶叫している人の声、が最も似ているかもしれません。(そういう場面は人生においてそうそうないですが)。我々が普段耳にする”スピーカーが発する大きい音”とは違うタイプの「うるささ」です。
これを、100人以上いる会場で、(先日の笛モールスの)授賞式の檀上で、思いきり吹きました。
「 ピピピピーピーピーピピピ 」
(モールス信号のSOSです)
耳栓をしないで吹いたのですが、心臓の動悸がしばらく収まりませんでした。破裂音を聞いたかのように、しばらくキーンとなっていて三十分ぐらい戻りませんでした。
(なお、吹く前に、「耳の悪い方は、塞いでください」とアナウンスしました)
体験してみて、まず、ぜひ伝えたいのは、注意書きは大げさではない、という点です。
さて、次は距離の話です。
800メートル届く、というこの笛。
普段の感覚で800メートルってどのくらいか、すぐには分からないですよね。
たった800メートルなら歩いたって別にいいじゃない、という考えも自分の中にありました。
地図アプリで、東京駅を中心にして、到達距離を可視化をしてみました。

例えば、東京駅の中心点から、吹いたらこの範囲に届きます。
南は、銀座のプランタンあたりがちょうど800メートルです。
この距離を、なんども往復しないといけないとしたら、結構、大変です。
建物があったりして、距離が落ちることを考えて、半分の400メートルと仮定してみると、到達距離はこんな感じになります。

それでも、皇居の前の通りまでなら、届きます。
逆に、工夫して、距離を伸ばせないのか、と考えてみました。
しばし、いろいろ、考えました。実際にすぐに手に入る物で、形状もある程度簡単にじゃないと、利用性が落ちるので、「要は、笛とメガホンっぽいものを一緒に使えばいいだろう」という結論に落ち着きました。
メガホンはなく、デスクマットがあったのでそれを大型のメガホンに仕立ててみました。

笛を巻き込むように円錐形に巻きます。

このメガホンだと、ただの声だけでも、かなり遠くに伝わりました。
エネルギーの減衰は結構激しいので、到達距離は、二倍にはならないと思うのですが、仮に30%アップであると仮定するならば、800m×1.3=1kmちょっと、にはなります。
東京駅から1000mとして円を描くとこうなります。

日比谷公園のあたり、北は神田駅の少し南まで。
笛で届けられる距離感というの、ざっと、こんな感じです。
以上、「800メートルの笛」、その実際と、距離について、紹介してみました。
・・・
余談:
ここで紹介したアメリカ製のストームホイッスルのほかに、日本製の物もあるよう
です。その他にも、探してみると、高性能の笛、というのは、結構あります。モノづくりの点から見ても、笛というのはなかなか、面白いアイテムのように思えます。
日常的に所持しやすい、という意味では、私はコクヨの長方形の笛 『 ツインウェーブ 』を、気に入って持ち歩いています。
出張でも、呑みに出る時でも、実は身に着けています。この笛は人間の聞きやすい2つの周波数の音を発生します。形状もおもしろく、笛としては珍しい本体とつながったキャップが付いていて、ネームストラップにも簡単に取り付けられるフックがあり、デザインも洒落ていて文具カバンに入っていても違和感がありません。
日ごろの備えとしての防災アイテムとしてならば、個人的にはそのあたりがお勧めかなぁと、思います。


(音というのは、広がりを絞ることで、ある程度、距離が稼げます。技術的にどういう形状がいいのというと開放端までの形状が指数関数的なラッパ形状をしていると、開放端での拡散性が抑えられるようです。この辺、すごく興味がある面白い所ですが、別の機会にします。)



ストームホイッスル
強力な笛