京都、烏丸御池に滞在しています。宿(ハートン)のすぐ近くに、「株式会社はてな」さんがあります。
面白い企業のアイデア出しのプロセスを伺う、というのが私の創造工学の研究上、常に必要で、面白い企業、はてなさんのアイデアワークのやり方、伺いたいなぁと思っていました。
先月、仙台に近藤淳也(jkondo)さんがいらしていて、その時に「今度、京都でお昼でも」ということで、念願かなって、今日、お伺いしてきました。
烏丸御池駅から近いところに、一階が7-11のビルがあり、そこの上の方にはてなさんが入っています。
9階が受付のようです。ちなみに、仙台の企業、サイエンティアさん(宮城の愛すべき巨人が努めている会社)もこのビルに入っておられるそうです。
近藤さん。多忙な方だと思いますが、ゆっくり時間をとっていろんなお話を聞かせていただきました。
基本的に黒い服がお好きなのかなぁと思いました。僕自身が、黒をよく着るので、ふと、本題と関係のないことに興味がいったり。
大変恐縮なことに、はてなさんの社内ランチを、私たちも頂戴してしまいました。とっても美味しかったです、ありがとうございます。なお、一緒に、シリコンバレーのSVJEN代表の桝本さんとその会社の方も伺いまして、近藤さん、桝本さん他お二人、及び、石井の5人で、2時間ぐらいランチをはさんでいろんな話をしました。
私が特に、興味をもって伺いたかった、近藤さん流のアイデアワークのやり方。その時のお話について言及することに許可をいただいたのですこしメモしてみます。
ただ、正確には聞き取れていないかもしれません。そういう前提のメモであることをご了承ください。
■アイデア出しのやり方(はてなさん)
- 課題や目標を説明してもらう。
- 15分間、Thinking Time。黙って、アイデアを書く。(書くことの良い面。時間を切られることの良い面。勝負っぽさ。追い込まれ具合)
- 各自5分ずつ、プレゼン。(例えば、A案、B案、C案、のように説明。聞き手がわーっとなったり、あまり反応が無かったり。良いアイデアの感触が分かる)
- アイデアを、一歩具体的に。各自が好きなアイデアを画面遷移の絵に書く。(テキストじゃなく、絵で書こう。絵画を書く前に、文字でその絵画の案を書くことが無いのとそれは同じ。スケッチ大事)
- 描いたものをプレゼンする。(プレゼンしている間にアイデアが具体化したりも)
- これ(※)を3回する。(※発想し書く・描く⇒プレゼン、のサイクルを、3回回す、という意味でおっしゃったと文脈的に思われます。ここは厳密に聞けませんでした。インタビューの話しの流れをとめすぎるので)
- モックを作る。さらに多い人数に見てもらう。
こうすることで、短時間でとても具体的に面白いものができる、とのことです。上記はフルバージョンであり、時間に応じて部分的に実施したり変更をするものであるそうです。
その後、創造工学の周辺的なトピックにからませて、関連する技法や創造の特性に関する話を私からもコメントさせてもらいました。(スピードストーミング。アイデアスケッチ&ハイライト法。集団発想→個人発想、のフェーズは個人→集団、よりもよい効果があること。即興劇。ブレストの4つの阻害要因とくに生産性ロス。創造的ドロップアウト。などなど。)
また、近藤さんが、最近目にした面白いアイデア出しのプロセス例として、startup weekend
http://kyoto.startupweekend.org/ の話しを教えてくれました。面白いプロセスでした。
■アイデア出しのやり方(sw)
- ビール、ピザをみんなで楽しむ。
- 10チームに分かれる。皆でキーワードを出す。二子セレクト。それを組み合わせて即興で、仮想会社のビジネスモデルを作る。(偶然の妙で突飛なものも出たりする。それでバカなことを言ってもいいんだ、という空気が醸成され、場があったまる)
- 効果的なピッチ(極めて短いプレゼン)の仕方を学ぶ。
- 提案したいアイデアを希望者がプレゼン。30人が登壇。
- その後、提案者はアイデアを旨の所に掲げて会場で大きな輪になって立つ。参加者は自分が参加したいところにポストイットを張る。人が欲しいと思えば、一生懸命アイデアを提案者は来た人に説明する。
- 人が付くところ、つかないところがある。30人いても、チームは10に絞る必要がある。人が付かない所は次第に提案者を降りて、自分もどこかへ入っていく。(明るく楽しいやり方で、実際はサバイバルという厳しい作業を、実行できている、面白いやり方)
- 各チームでやっていくが、話していくとアイデアがどんどん変わっていくところもあって面白い。
追記:
後は、近藤さんが、最近温泉に行かれて、その車の中での発想がなかなかよい、という体験も教えてくださいました。
この辺からはインタビューというよりも、私の方でも出来る限り知っていること、関連するトピックを紹介させてもらいながらの話になり、例えば、楽器の練習、ほろよい、徹夜、ウォーキングなど、頭の一部を少しだけ使うような軽作業や、脳の一部を使っていて判断が甘くなるるような場面では、創造と判断でいえば判断の遮断機があまくなる、アイデアを出す時に見られる一種の退行状態「創造的退行」と呼ばれる概念があり、高速道路での車の運転のような、一定の軽作業をすることと創造性の発露に関する話や、東大のイノベーションゲーム、と呼ばれる新技術カードの組み合わせによるベンチャープラン提案と、オーディエンスが投資チップを持ってて、収益最大の所に真剣にかけるとなると、結構アイデア段階でもシッカリ評価がなされたりする、そんな事例が思い出されます、みたいなお話をさせてもらいました。
はてなさんの規模まで大きくなっても、社長自らが、アイデア創出の推進を実際にされていて、いろんなアイデア生成に対するやり方に興味を持っておられるのは素晴らしいと思いました。趣が違いますが、東の面白い会社である「カヤック」さんの中での発想、創造のプロセスや、創造的土壌のテイストもまた違ったところ(共通するところもあります)が興味深いと思いました。その辺は、簡単にことばにするのは、あまりに乱暴で不遜な行為かと思いますので、私の中で、また一つ、創造する組織への着眼点の1つとして、持っておくにとどめたいと思います。
はてなの皆さん、近藤さん、おいしいランチと、貴重なお時間・お話を下さって、ありがとうございました。また、同席された桝本さん方にも貴重なお時間をたくさんとっていただき、ありがとうございました。
注:
本内容は、私がランチを食べながら、話し会いメモしたものをもとに、やや石井の中で補って書いております。事実と違うことが多分に含まれている可能性があります。創造する組織のいち側面を垣間見るヒントの一つの参考情報、ぐらいに見ていただけましたらば、幸いです。
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株式会社はてな
京都市中京区
http://www.hatena.ne.jp/company/profile