12月18日、大橋会館(池尻大橋)にて、アイデア創発ワークショップ(第3回=最終回)を行いました。
スライドは、こちら
http://ishiirikie.jpn.org/article/51918202.html
(初の試みなのですが、当日、ホワイトボードで即興で話した所も、スライドとして補ったバージョンを作り掲載しました。ご参加いただいた方は、復習の際の助けになると思いますのでぜひご覧頂ければ幸いです)
今回は、20名でワークを行いました。午前中に矢吹さんが4時間のワークをし、昼飯30分をはさみ、午後4時間45分のワーク。9-18時、こんなに人間は頭が働くのだろうか、と思いましたが、皆さんのご協力のおかげでやりきれました。
アイデア発想のパートでは、「ブレスター&発想トランプ」で遊びように発想をしてゆきました。その前段に「発想しやすいテーマを設定するワーク」があり、各グループでトップを取った課題を、実際にテーマにしました。(発想トランプも、ブレスターも、プリセットされた特定テーマ用に設計されているわけではなく、(ある程度)どのようなテーマでも対応できる汎用設計になっています。)
発想トランプをてーぷるに並べているところ。30秒の持ち時間で、できるだけ発想のトランプを使ってアイデアを言って、トランプ獲得枚数を競います。
次は、ブレスターも投入。4色のカードは、ブレストのルールを役割にしたもので、そのカードの意味合いを説明しているところ。(隣に、「さをんさん」がたまたま立っていて映ってしまったので、ネット上では、ミステリアスガールな人なので配慮して、写真を加工してあります)
次は、プラダン、という新製品アイデアの発想のお題となる素材を皆さんにお配りして、その特徴や過去に思いついてたこと試したことなどをざっと紹介しました。
そして、5分交代のペアブレスト「スピードストーミング」です。私も時々、どこかのペアに入ってブレストに加えてもらいます。
これはアイデア出すのが純粋に楽しいから、という側面もありますが、もう一つは、この後のアイデアスケッチを描く時に「たとえば、こんな感じに書きますー」という説明の際に、リアルさを出すために、この場で生まれていたアイデアを拾って書くためでもあります。
それで、席に戻って、即効でアイデアスケッチの一例を書いていました。(更新版のスライドにある、モバイル瞑想室、というのは、先の写真で聞いたことをベースにその場で書いたものです)
スピードストーミングの間、皆さんの手元には、いろんなアイデアがメモされていきます。
そして、動きながらのブレストが終わると、今度は机に戻って、アイデアスケッチを各々かきます。例えばこんな風に書きます、と石井から説明させてもらって、後は、一人発想タイム。スピードストーミングの後、アイデアは各人の中に、もやもやっとした不定型な状態でたまっていますが、それを少し具体的に、紙に書く、ということを通じて、更にアイデアを詳細化していくような発想過程をこの時間で行っています。
その後は、皆で、アイデアスケッチに☆を付けて回ります。魅力度の高いモノがあったら☆を付けていくと、短時間で、上位2割が可視化できます。
☆を付け終わった後、会場全体でのトップ5のアイデアをレビューしていきました。
アイデアの上位5人には、前回の発想の素材提供企業さんである欧文印刷さんから贈呈いただいた「レイヤー構造のある、リングノート型ホワイトボード NUBOARD」をプレゼントしました。(このアイテムは初版も第二版もすぐに売り切れでなかなか手に入らない人気の新製品なんですが、それを5冊もいただき、ありがとうございました)
その後は、IDEAVote(アイデアボート)です。テーブルの中の上位9アイデアを、チームの価値観軸を選びその軸で評価していく、というワークです。アイデア収束の根底ルールを自然と学ぶテーブルゲームのワークです。自分のになった軸にそって、良いアイデアに〇チップ、悪いアイデアに×チップをのせていきます。
興味深いことに、ハイライト法の上位アイデアと、評価軸をチームで制定し、その軸で見た時の良い案というのは、また別のものだったりします。この辺は語ると長い所があるのですが、ハイライト法は、最初にするべき「魅力度で、スクリーニングしている」行為なんです。アイデアワークでは、最初は魅力度の高いアイデアが必要です(その辺はスライドに追記しました)。
補足:(長いので、興味のない方は飛ばしてください)
チームでアイデアを選ぶときは、最初に、評価軸を議論し合意しておくこと。これがとても大事です。その価値軸に添って、見ていくと、アイデアのより詳細な評価ができます。(IDEAVoteでは、評価軸の提案・合意が簡単に体験できるように、プリセットされた網羅的な評価軸として8つ+2つ、が入っています)
また、〇=+1点、×=−1点、という形で最終的にアイデアが「4点」とか「2点」とか「-2点」とか、あるいは、ゼロ点、という形に点数が付きます。それで並べると、このチームの価値軸にあった良い案がどれであるのかが分かります。
なお、口頭で申し上げたのですが、この後は、アイデアを発展させる必要があります。トップのアイデアをPPCOプロセスでさらに発展させることで、とてもよいアイデアになります。
また、〇〇××=0点、のようなアイデアも、PPCOプロセスにかけることで、〇〇〇〇に変えられる可能性があります。×チップはけなしているようでいて、実は、改良点の抽出でもあるのです。それを解消できれば、×が〇になる。そういう点を持っている印でもあります。その意味では、PPCOを行えるスキルがあると、チップの合計点、とならんで、チップの絶対枚数(〇〇××は、4)も、重視したいところ。今そのままでは低いけれど、可能性の高いアイデアでもあるのです。
本来ならば、次に、PPCO(アイデアの強化プロセス)をやるべきところでした。アイデア創出の4つのフェーズ、最後のフェーズは「強化」ですから。しかし今回は、ここでタイムアップ。でも、幸運なことに、午前の矢吹さんパートで、かなり洗練された形でPPCOプロセスを行っていたので、「この後は午前のPPCOプロセスを行っていくんです。そうすると、このトップアイデアの実現性はぐっと高まりますよ」というコメントで全体のフェーズの把握・体験をしてもらうことができました。
なお最後に、ご賛同いただいた方からは、アイデアスケッチを提供してもらい、ハリマ梱包さんに、贈呈しました。同社がさらに面白い新製品を生み出す一つの踏み台にしてもらえましたらば幸いです。個人的には、これ欲しいなぁと思うものが、いくつもありました)
その後は、大橋会館の一階で有志で懇親会、アイデアを出しつついろんな意見交換をしました。
・・・
最後に、
御礼)
このワークショップは、「2011年に東京で3回、公開型のアイデアワークショップをやりたい」と、一年前に思って、アイデアプラントのパートナー企業であるラーニングプロセス(矢吹さん)に相談して、実施してきたものです。
2011年1月1日の、ブログには、一年間の目標を掲げたのですがそのトップにこれがありました。
http://ishiirikie.jpn.org/article/42343652.html 最初の実施は2月。その後、311の震災がありました。震災直後の仙台はまるで戦後のような状態で、今年の開催はもうダメになるかなと思いましたが、矢吹さんたちに鼓舞されて、サポートしてもらって、最後まで全力でやりきることができました。むしろ、仙台と東京をオンラインでつないだ実験亭なワークショップ「震災特別版」として、当初の予定より一回多くやることもできました。(その意味では、第1回⇒震災特別版⇒第2回⇒第3回、なので、合計4回実施したことになります)
ご参加いただいたみなさま、準備運営のサポートをして下ったパートナー企業の皆さま(ラーニングプロセスさん、マグネットデザインさん)、発想の素材提供企業さま(欧文印刷さん、ハリマ梱包さん)、オブザーバー参加いただいた皆さま(かとうまさはるさん、鷹木創さん、他多数の方々)、ありがとうございました。皆様に心から御礼申し上げます。
創造的な人や組織が次々と生まれてくる社会を創りたい。
東京でのワークショップはとても実験的な試みの多い場でした。「Idea to Prototye」のような、発想し、形にするところまでやる、というスタイルはとても刺激的で発想の促進面でも興味深いことが観察されました。また、「発想の素材やお題を、企業さんから提供してもらう」という形も、公開型のワークショップとしては、あまりできないことで、それを実際にやってみると、こんなにも新製品アイデアが、出るし、4/100ぐらいは、多分、本当に製品化検討がなされる水準のものが数時間の場の中から生まれてくることも、分かりました。(アイデア会議において、課題持込み者が初めに説明するべきこと、というのが、創造工学ではしられているのですが、それにのっとり説明した場合、ほとんど背景を共有していない人同士でも、十分にアイデアを即興で出せる、ということも確認できました)
また、この3回シリーズは、アイデアワークショップとしては、高額(1万円〜2万円)な価格帯でも毎回多くの方に参加いただけましたが、その場に来る人はみな発想力がもともと高くて、その発露をちょっとデザインするだけで、創造的な場が相互刺激でどんどん醸成されていくのをみて、「こういう無形の価値みたいなものが、そのまま、押し固められて、企業に持って帰れればいいのだけれど、こういう創造的資質の高い人たちの高圧縮状態だからこその空気というか、関係性というのは、そうそう簡単にコピーできるわけではないなぁ」と思いました。多分、自社に帰って技法を誰かと一緒に使う時、職場ではメンバーがそこまでの雰囲気にはなれず、苦労されることも、何度も接する中で伺っていて、興味深い課題だと思いました。その辺、研修や道具や、というものの開発を進めるアプローチもありそうですが、組織を超えて、創造する人々の集まるコミュニティーを作り、そこで、イマジネーションの回転数をぐーんと高めて、日々徐々に落ちていっても、またそのコミュニティーで、エネルギーを相互に与え合って、創造性をホットな状態に高く維持する、ということは、可能性としてあるのではないかと思いました。