『考具』の”かとうまさはる”さんが翻訳の監修というか、本の中をナビゲートされているとても面白い本です。
『アイデア・バイブル』
原著は、マイケル・マハルコの”Thinker toys”です。これは、数年前に、Second Editionになったのですが、それを、翻訳したものです。
ちなみに、初版は初版で翻訳されていて、『アイデアのおもちゃ箱』という形で世に出ています。ただ、前回の翻訳本よりも内容量がぐっと増え、本のテイストもかなり違っていて、新しいコンテンツセットとして捉えられます。本の構成やタッチもとても現代的なものなので、新しい発想の本として、世の中に広まっていくでしょう。
Michel Machalko (マイケル・マハルコ)について
http://creativethinking.net/WP02_AboutMichaelMichalko.htm
彼のThinkPakは、SCAMPERカードセットなのですが、私たちのブレスターよりもずっと前にそれは誕生しており、創造性の専門家としても、ブレストツール作家としても彼のほうがずっと大先輩で、いつかご縁があればお会いしたいなぁという方です。
ちなみに、昔ITmediaでSCAMPERの誕生〜系譜を紹介したときに、マイケルマハルコのことを少し書きました。
http://bizmakoto.jp/bizid/articles/0804/15/news007_4.html
面白いのは、左脳系、と、右脳系、の、両方が入っているところです。
世のビジネス書コーナーの発想法の本、というのは、どちらかというと、論理的に説明できる発想手順(しいて言えば、左脳的)が多いです。あるいは、現代の成功した人が明かす考え方(ヒットを生み出す発想法!みたいな帯がついて)は、左脳だったり、右脳だったりしますが、その手順の利活用性は領域がとても限定されていたりします。
困るのはアーティスティックな発想を求める人です。私は、京都精華大の漫画学部で毎年一回だけ、ブレストの講義をさせてもらっていますが、その場で行う発想手法は、ビジネスマン向けの方法論は取りにくく、発想という営みの幅の広さを感じるところです。「作家性ゼロでも、話のアイデアを生み出す手順」みたいなのも、もちろんやりますが、よりアンビエントで立ち上る香りだったり、読者を紙面の中に誘い込むような息遣いだったりは、そういうビジネス書に求められる発想手法とは対極のものがあります。
話は戻ります。そういうものを「右脳的」とよぶならば、このマイケルマハルコの手法は、右脳的、なものも、結構含んでいます。『象形文字―「死者の書」発想法』とかはとても面白いですし、『幻視の旅―「シナリオ・ジャーニー」発想法』とかも、魅力的なまでにイマジネーションを刺激する面白い手法です。
えてして、こういう「右脳系」の手法は、都会の、大企業の、会議室で、お昼過ぎの研修受講者が、ネクタイを締めながらやろうとすると、戸惑いがち、です。このマイケルマハルコの本は、その意味では、安心してください、左脳的な、どんどん、論理的に進められる発想法もたくさん載っています。
こういう一つの本で両方を明確に載せるというのは、日本の書籍では割と少ないです。(ないわけではないですが、紙面数が足りず、中途半端になります。1500円ぐらいの本にしようとすると、紙面的に足りなくなるなど、いくつかの要因があるのですが)

この赤い本は値段は3000円近くするので、一般のビジネス書としてはかなりの値段ですが、手元においておき、作品作り、企画のネタ作りなど、一人でブレストをする人にはかなり何度も使える内容になっています。
私もまだ全部実践はできていないのですが、確実に言えるのは、過去に私石井の講義やアイデアワークショップに来くださってその方法が性に合うなと感じた方なら少なくとも、3つは確実に、一人ブレストを助ける手法がここから得られます。
【ご案内】
【3月13日開催】
『アイデア・バイブル』刊行記念・無料ワークショップ
ダイヤモンド社で、かとうさん直々のワークショップがあります。しかも無料。
大変僭越ながら、私石井も、加藤さんの(補佐的な)講師として、進行させてもらいます。
すごく面白そうな機会をいただいたので、お誘いいただいた瞬間、一も二もなく「はい喜んで―!」とお答えしていました。
(もちろん、だからと言って、本を過大に評価して上のように書いたわけじゃありません。良いコンテンツなので多くの人がさらに前に進むときのブーストになればいいなぁと思っています。)